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いかにして文系新卒エンジニアが「大きな問い」を大事にするCTOになったのか
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Fujimura Daisuke
March 09, 2023
Technology
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700
いかにして文系新卒エンジニアが「大きな問い」を大事にするCTOになったのか
Fujimura Daisuke
March 09, 2023
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Transcript
2023-03-09 CTO名鑑 vol.2 STORES 株式会社 CTO 藤村大介 いかにして文系新卒エンジニアは “大きな問い” を大事にするCTOになったのか
自己紹介 2 時期 2008~2012 2013~ 2015~ 2020~ 会社 いろいろ Quipper
マチマチ STORES バックエンド Rails Rails Rails Rails, etc. フロントエンド jQuery, Backbone.js etc. Backbone.js etc. React.js React.js, Vue.js 立場 ほぼメンバー いわゆるEM CTO CTO 藤村大介 twitter.com/ffu_ github.com/fujimura note.com/fujimuradaisuke
3
STORES のミッション こだわりや情熱、たのしみに駆動される経済をつくる 熱中しているひとたちから生み出される、 多様な商品やサービスが街に溢れる世界。 その経済を支える、デジタルインフラを提供する。 4
サービス紹介 5 お店のデジタルを まるっとサポート。 個人や中小事業の方々に向けて、 お店のデジタル化をまるっと 実現できる価値を提供しています。
自己紹介 - 書いたり発表したもの 6 Rails Developer Meetup 2019 入門 名前
WEB+DB PRESSの特集のダイジェスト版 https://speakerdeck.com/fujimura/ru-men-ming-qian WEB+DB PRESS Vol.110 特集 名前付け大全 「よい命名とは」をガチで考えてみたやつ https://gihyo.jp/magazine/wdpress/archive/2019/vol110
自己紹介 - 作品 7 Haskellのプロジェクト生成ツール $ bundle gem みたいなやつ。当 時いいツールがなかったので作った
git-grepの結果で置換とリネーム $ git grep | xargs sed -i s/foo/bar/ が面倒なので作った rspec-railsのHaskell版 正確にはRackにあたる層のためのも の。無かったので作った
自己紹介 - ポッドキャスト 8 論より動くもの.fm 藤村がホストになって、技術や技術にまつわることについてざっくばらんに話す Podcastです。 文字起こしもあるよ! 論より動くもの.fm |
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今日の話 9 文系の学部を卒業しモチベーション低く新卒でプログラミングを始めた私がな ぜCTOをやるに至ったか、を、 時々の考えていたこと、仕事、キャリア選択な どを時系列で振り返り、CTOをやる/やれるに至った理由を再構成してみよう と思います。 ああ、こういう考え方もあるんだな、と、みなさんのキャリアに何かしら参考 になるところがあれば幸いです。
2023-03-09 CTO名鑑 vol.2 STORES 株式会社 CTO 藤村大介 いかにして文系新卒エンジニアは “大きな問い” を大事にするCTOになったのか
幼少期〜学生時代まで 11 • 音楽好きの反抗的な捻くれ者 ◦ 関心の中心は常に音楽 • 大学では哲学を勉強した ◦ 何がどうなってるのか知りたかった、および、一番根源的なやつをや
りたかった、が選んだ理由だったと思う • 分析哲学という、論理学とかを使う数学よりのやつメイン ◦ これがプログラミング言語理論の親戚みたいな位置関係で、今考える と伏線だった
最初の仕事:業務システムの下請け 12 • 2006年。24歳、新卒 • 引き続き音楽にハマり続けつつ、仕事をはじめる ◦ 仕事をしないと生きていけないことに気がつく ▪ これずっとやるの…?マジ…!?
◦ この仕事?産業?事業ってやつは一体なんなんだ? という疑問を抱き 始める ◦ なりゆきでプログラミングを始める(仕事は業務システムの下請け開 発)
プログラミングへの目覚め 13 • 2007年。25歳。ABAPプログラマー • 仕事でやりはじめたプログラミングに目覚める ◦ 理論と実践と創作の入り混じる世界に魅力される。抽象的な理論を実 践に落とすという哲学との親和性、工学と創作の合間にあるという音 楽との親和性があった
◦ ここで自分の仕事にたどり着いたのだと思う。 • もっと面白いプログラミングを求めてRailsを使った(今でいう)スタート アップへ
2社目でいきなりハードシングス 14 • 2009年。27歳。スタートアップでRailsを書く • 仕事でレイオフされる ◦ 業績不振! ◦ 経営ってものを(ほのかにだが)意識するようになった。うまくいか
ないと辛いってのを知る • Groovesに拾ってもらう(本当にありがとうございました)
スタートアップ業界で働きはじめる 15 • 2010年。28歳。引き続きスタートアップでRailsを書く • 世間ではスタートアップが大きな流れになっていた ◦ iPhone普及の流れもあり、面白い時代。海外のブログやスライドを読 み漁り、『起業のファイナンス』などの本を読んだり ◦
正直よくわかっていなかったとは思うけど、 事業って、経営って何な の?を考え、学び始めたのは本格的にはこの頃
プログラミング言語への関心が深まる 16 • RubyコミュニティでOSSの「現場」に触れる • 関数プログラミングブームが最盛期。OSSを作りはじめるなど大いに乗っ かる ◦ 数学を勉強しなおしたりするが迷宮入りする ◦
結果的に、いままであまり読んでこなかった自然科学はじめ幅広い ジャンルの本を読むようになる ◦ プログラミングという自分の仕事から、その先の基礎やさらにそこか ら広がる世界に目が向いた
引き続きスタートアップ業界であがく 17 • 2013年くらい。31歳。Rails、フロントエンド、EM • だんだんリーダーシップのいる仕事をするように。とにかく何かをうまく 行かせたい、というモチベーションだった • CTOの下でスタートアップのヒリヒリした現場をより経営に近いところで 見る
◦ 事業に関わっている奴、という雰囲気はとはいえ、経営メンバーって 言えるレベルとは程遠かった(反省が多い) • 引き続き本を読んでいた。新たに広がった知の世界と厳しい現実を糧に、 さらに理論と実践の間であがくというような時期
CTOとして起業する 18 • 2015年。33歳。マチマチ 共同創業者CTO • 次のデカいチャレンジは何だ?と考えると起業だった。知人と起業し、地 域SNS事業をやる • 駅でビラ配るところから実装まで、何でもやった
• 結果的に途中で退任し、事業はその後クローズとなった。人のお金で事業 をやる、ってことの意味を知ることになる • エンジニアとしては今まで蓄積したものを投下して収穫するフェーズだっ た。読書は引き続き色々
その一方音楽マニアとしての活動も継続 19 • 音楽の聴き込みおよびバンド活動も継続していた。余暇の多くを音楽に費 やす日々が続く • これのおかげで、産業や自分の仕事について引いた目線で見れたというの はあるだろう
またCTOになる(いまここ) 20 • 2020年。38歳。STORESのCTO • やめたあとしばらくフリーランスをやる。パートタイムのコミットではで きないことが多いと感じる ◦ 長期的に事業や組織、システムのためになる意思決定は、長期的なイ ンセンティブと深いコミットメントが必要になると知る(それはそ
う) • 出会いがあり、腰を据えて据えて仕事できる場所をついに見つける • やるとわからないこと、できないことが多い。周りに助けてもらい、学び 続けるしかないですね
〜完〜 21 ということでCTOになっていた!
なぜCTOになった/なれたのか 22 では、僕がCTOになった/なれた理由を経緯から再構成してみます。
大きな問いが設定されていた 23 • 仕事ってなんなの?という大きな(素朴すぎる)疑問をもとに職業人人生 を開始する • そもそも働くことも前提ではなかったし、市場経済も前提ではなかった し、会社ってのも謎の存在だった • 結果的にマクロな視点でものを考えるようになり、マクロな仕事(経営)
をするようになった
自分に合っていて熱中できるプレースタイルを見つけた 24 • プログラミングという「自分の仕事」に出会った • 関心とラブがあるので実践も理解も深まっていく • 結果的に成果が出て、より大きな仕事ができるようになった
仕事が面白かった・面白くなっていった 25 • 産業・事業・会社・組織・技術・経営などについて実地と座学の行き来で 理解を深めていくのがメチャ面白い • 問いはデカく設定されていたのでアプローチできるところは無限にある • やればやるほど知的にどんどん面白くなっていく
とにかく、なにかをうまく行かせたかった 26 • これはなんでかはわからないけど、そうだった • 名誉もお金もあんまり興味はないけど、うまく行かせたいという気持ちは めちゃある • その時々でベストを尽くそうとして、失敗して、学んだ
これだけではないと思うが… 27 • CTOになった/なれた理由の再構成まとめ: ◦ 大きな問いが設定されていた ◦ 自分に合っていて熱中できるプレースタイルを見つけた ◦ 仕事が面白かった・面白くなっていった
◦ とにかく、なにかをうまく行かせたかった
CTOを目指す人へアドバイスをするならば 28 • 藤村がCTOになった/なれた理由からのアドバイス: ◦ 大きな問いから考えよう ◦ 自分に合っていて熱中できるプレースタイルを見つけよう ◦ 仕事に知的好奇心をもち、面白くしよう
◦ なにかをうまく行かせるためにがんばる!
おわり 29