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Scurum Fest Sapporo 2020
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Hiroto YAMAKAWA
November 07, 2020
Education
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1.1k
Scurum Fest Sapporo 2020
学生に「チーム活動」を再認識させる!ある大学の情報系カリキュラムでの試み
https://confengine.com/scrum-fest-sapporo-2020/proposal/14203
Hiroto YAMAKAWA
November 07, 2020
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Transcript
学生に「チーム活動」を再認識させる! ある大学の情報系カリキュラムでの試み 公立千歳科学技術大学 山川 広人 1
Hiroto YAMAKAWA, @gishi_yama 2 公立千歳科学技術大学 情報システム工学科 専任講師 R&D: Experimental Development of
ICT Systems (ex: City-Bus Tacking System) Computer in Education, Programming and Programmer's Learning Communities:
モブプログラミング大好き 3
モチベーション 4
チームでシステム開発体験を行う授業の、終盤のある日 5 ある学生 うちのチーム、システムが 完成しなさそうなんですけど どうしたらいいですか 4〜5名の学生チームで、フリーテーマでシステムを提案し、 15週+αでプロトタイプシステムを設計・開発、できれば利用評価までを行う課題 ※新入社員研修でシステム開発してもらうイメージ ※勿論、習得度に個人差はあるが、それまでのカリキュラムで設計・開発・評価手法は学んでいる前提
他のメンバーに仕事を頼んでも やってくれないし、頼んだ事も できあがってきません ぶっちゃけ作業できるの僕だけですし、 教える暇も無いんで、一人で作業してます 詳しく話を聞いたり、状況を見てみると: チーム内でのスキル(とやる気)の偏り、タイトな計画立て、個別分担、雑な進捗・完了確認...etc ⇒「チーム内で問題点をよく考えて解決しよう」という、自浄作用を期待した薄っぺらい助言だけでは 光が見えない... ※ここまでいかなくても、 ◦◦の担当者待ちで進まない、チーム内で実質不在などの 相談はよくある ⇒役割や責任を振り分けたらそのままになりがち
チーム内でのスキル(とやる気)の偏り、タイトな計画立て、個別分担、雑な進捗・完了確認 ...まず、チームビルディング(とそのケア)がうまくできてないのでは?(仮説) ⇒ 彼ら/彼女らにとってチームとは? チーム活動をどう捉えているんだろうか? チームメンバーのお互いのことをどれだけ知っているのか? お互いの得意・不得意・期待していること、期待されていることを共有しているか? 自分達のチームの強み、弱み、チームだからできること・やりづらいことは?
単に集まったメンバーで役割分担すればいい(せざるを得ない)と考えていないだろうか? チームを組むことが彼らにとってメリットのある、成長・成功の場になってもらえるように、 アジャイル・スクラム分野のチーム活動を(再)認識する仕組みをカリキュラムの中に取り入れていきたい! ⇒どのような授業での実践や効果が期待できるか、まずは個別に技術検証から 問題点はいろいろあるとして.... 6 他のメンバーに仕事を頼んでも やってくれないし、頼んだ事も できあがってきません ぶっちゃけ作業できるの僕だけですし、 教える暇も無いんで、一人で作業してます
Part.1 Ball Point Game 7
Ball Point Game 8 御存知!! https://scrumology.com/from-the-archives-the-ball-point-game/ 学生に「チーム(活動)で改善していく」体験をして貰いたくて試行 (大まかな方法は 2018/5/21の[札幌]Rakuten Scrum
Workshop で体験した内容を授業向けに変更) 「ピンポン球4箱買ってください!」と申請したら、大学当局に「何に使うんです...?」と訝しがられながら、 ゼミ活動をはじめた学部4年生の授業で実施(2019年度)
授業での Ball Point Game 実践 9 ゼミ対抗ドキドキBallPointGame大会 プランニングし、まずは一列で → ふりかえり(KPT)、リファインメント →
次スプリント 伸び率を実感してもらう
Ball Point Game を通じた学生の実感、効果?(n=65) 10 数字が小さいほど「全く実感できなかった」 / 数字が大きいほど「強く実感できた」 (4段階で回答) 各自の卒業研究活動のKPT
(実践直後に、最大300字程度で記述) K P T 最大文字数 309 304 330 最小文字数 6 5 8 文字数 (平均) 79 80 86 文字数 (中央値) 57 62 70 ※文字数が多い方が具体的な内容が書かれている傾向がみられる前提で チーム活動の中で評価と改善を繰り返すことの効果は体験をしてもらえたのでは? KPT:KPは当てずっぽうな事を書いている学生はみられず、各個の状況に照らし合わせて書けている Tは、当面の計画を書いてしまう学生もみられる。 KPTのやり方はもう少し練った上で、Ball Point Gameはチーム活動での改善体験には良さそう
2020年はコロナで断念... オンラインでできる Ball Point Game ありませんか...? 11
Part.2 Mob Programming 12
Mob Programming 13 御存知!! 進級・卒業で毎春メンバーがリセットされる事で悩んでいた、ゼミのシステム開発プロジェクトで先に実践していた。 ⇒ 定量・定性的評価はできていないが、学生同士で議論してトラブル解決や知識・スキルを補完して進める、 レビューの手戻りが減る、期限に間に合うなどの効果を実感(済) ⇒
陥りやすい「良くない仕草」「破りがちなルール」も蓄積(済) 学生はプログラミングの授業では、だいたい一人で課題をこなす... 一人ではなく、協働するプログラミング手段として学生に使えるようになってほしいと思い試行 (2019年度・2年生)
授業での Mob Programming 実践 14 モブプログラミングを初体験する学生ばかりなので、 少し注意点をおおげさに(強く制限するように)して、 モブプログラミングを進めるポイントを指示 科目の最後のまとめの課題を モブプログラミングで実施し、
学生にとって自信がない部分や 再確認したいところを 協働で解決できるかを実践
Mob Programming を通じた学生の実感、効果?(n=75) 15 山川広人, 上野春毅, 小松川浩(2020).反転型のプログラミング授業におけるモブプログラミング導入の試み, 教育システム情報学会研究報告, vol.34, no.6,
pp.37-42 ある程度の数の学生は 協働的に開発することのメリットを 体験できている ⇒教育目的には、意図やゴール設定を 適切に伝えないと、十分な効果を 感じられない学生も増える (例:新たな知識の収穫はなかった) ⇒発言出来ない時や、 話がまとまらない時にどうするか、 といったテクニック的なフォローも必要 学生が一人の活動で壁にぶつかったときにモブプログラミングでやってみようか、と思えるか? 成長効果を見いだしていけるか?⇒手法としてのより深い理解や実践の機会(経験値)が必要そう
2020年は(今のところ)コロナで断念... オンラインモブはできなくはないけど 授業の規模の環境用意するのはちょっと辛い IDEのコラボレート開発機能で 何か出来ないか検討中 16
Part.3 The Drucker Exercise (※変則的 ・ 現在進行中) 17
The Drucker Exercise 18 御存知!! 学生に「チームの状態」や「メンバー間のギャップ」を相互理解する体験をして貰いたくて試行 「(4)メンバーは自分にどんな成果を期待しているか」はチーム結成直後は難しいと考え、分けて実施 個々の特性からチームの強み・弱み、気をつける点も考えて貰うようにワークシートを作成 (2020年度・3年生, プロトタイプシステムの設計・開発課題)
チーム結成時に、 (1)〜(3)と、チームの 強み・弱み・活動の中で 気をつけることを議論 (初心表明的に) チーム活動の進捗を確認し、 ふりかえりの材料として (1)〜(3)や強み・弱みを 再確認、(4)を議論, KPT チーム活動 チーム活動
授業での The Drucker Exercise の実践 (一例) 19 テーマ:センサ等を用いた教室のモニタリングBot(5人チーム)から抜粋 チーム結成時... 開発が始まって....(進捗が1週程度遅れていると自己評価)
A氏 B氏 C氏 ...(略) A氏 B氏 C氏 チーム内の認識のギャップは少ない 技術が得意な学生がリードして、苦手な学生は ドキュメント整備等に回っている 開発力の弱み、Bot作成部分ででてきている ⇒技術が得意な学生が先行していく方針 ⇒センサ担当とLINEBot担当でペアプロの方針 ⇒開発時間の確保
授業での The Drucker Exercise の実践 (別の例) 20 テーマ:AI(BERT)を用いた授業評価アンケート解析ツール(5人チーム)から抜粋 チーム結成時... 開発が始まって....(進捗は計画通りであると自己評価)
(1) (2) (3) D氏 E氏 F氏 ...(略) D氏 E氏 F氏 チーム内の認識のギャップは大きい (主に、AI技術についての知識面に個々の差がある) 知識に差がある・不透明なところがあることで 作業量に差が出てくることを予想、 進行度合いの確認・作業量の調整を意識 ←
(下敷きにして変則的なワークシートにしているので、そのものとは言えないが) チームメンバーの特性や、チームの強み・弱みについての認識が可視化される ⇒ 認識が揃う部分・ギャップがある部分に基づいて、対策を検討をしやすく(促しやすく)なる 教員やトレーナーにとっても、指導・助言がしやすい感がある(来週やる予定) ⇒ヒアリングだけでは見えづらい、個々の状況、思考の追跡、チームの現在の問題点に アプローチするための入り口が分かる 題材についての議論をきっかけに、学生達が自身の特徴や行動、課題に気付きを得る ⇒ワークシートを作成するための議論を観察して、学生の発言例 ・ 「(検討事項が多くて)目先の事しか見えてない」
・ 「詰まったときにお互い助け合えてる」 ・「Githubに定期的にpushできてるから順調」 ・ ある学生「実は結構分からないところがある」⇒他の学生「遠慮せずに聞いてくれ」というやりとり The Drucker Exercise の効果? 21 ※ただし、全てのグループについて効果が現れているか、効果の差があるかは、別の面での評価が必要
今後の課題 22
一つ一つの方法の検証では、どれも導入することで利点が発揮されそうな事例が見えてきた ただし、今回は個別に単品で(出来るチャンスを見計らって)、異なる群に適応した例を検証している ⇒ 体験したことが、ちゃんと彼ら・彼女らの活動の中に根付くだろうか? ⇒
一貫したカリキュラムとして、複合的にどう組み合わせ、体験する機会を作れるか? ⇒ やってみたけどうまくいかない...大した意味が無い...やらされてるだけ... と感じてしまうような事例が発生したときに、うまくカバーできるか? 今後の課題 23 他のメンバーに仕事を頼んでも やってくれないし、頼んだ事も できあがってきません ぶっちゃけ作業できるの僕だけですし、 教える暇も無いんで、一人で作業してます の頃よりも、メンバー達自身が希望が持てチーム活動につなげられそう