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大学職員のための生成AI最前線 :最前線を、AIガバナンスとして読み直すためのTips

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大学職員のための生成AI最前線 :最前線を、AIガバナンスとして読み直すためのTips

本資料は、大学職員向けに生成AIの最前線を「ツール活用」ではなくAIガバナンスとして捉え直す講演資料。NotebookLMやClaude Coworkの実例を通じて、AIに任せる作業を参照・生成・編集・実行に分け、個人責任へ押し込まず、ガイドライン、サンドボックス、免許制、レビュー、ログ、AIガバナンス組織で支える必要性を説く。国内外大学の事例も交え、組織的な循環の設計を促す。

2026年5月9日、東京都市大学渋谷PXU公開講座「生成AIとデータ基盤 ―大学職員のための業務改革最前線」
主催:東京都市大学/大学行政管理管理学会 関東地区研究会
https://peatix.com/event/4967519/view

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May 09, 2026

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Transcript

  1. T C U S H I B U Y A

    P X U · 公 開 講 座 · 2 0 2 6 . 0 5 . 0 9 大学職員のための生成AI最前線 森木 銀河 –
  2. 2 森木 銀河 モリキ ギンガ @gmoriki @pogohopper8 • 佐賀県佐賀市 出身

    • 修士[教育学] • クジラとゾウが好き AIとヒトをつなぐ人 CURRENT gmoriki 代表(個⼈事業主) / ⼀橋⼤学 ⽣成AI業務推進アドバイザー ⺠間企業にて⽣成AI活⽤推進、個⼈事業として⼤学・教育機関のAI⼈材育成。 BACKGROUND 私⽴・国⽴⼤学職員としての実務経験 ⼤学という組織特有の⽂化・課題に精通。 DELIVERY 教員・職員対象の研修/登壇/アドバイザリー 現場に即した実践的なAI活⽤⽀援を⾏う。 https://gmoriki.com
  3. はじめに… 01 · 導入 04 n 今日の講演内容はnote記事にして公開しています https://note.com/preview/ne38a1584eac6?prev_access_key=d04763dff12fe07d57174a68aced8017 n AIが生成した画像スライドと私が作ったスライドを投影しながらお話します。

    お聞き苦しい点はご容赦いただければ幸いです n 投影資料は後日配布します(研究会記載の概要とはかなり違います。土下座。) よろしくお願いします! n 研修ではないので基礎知識の座学はほぼ飛ばしています ぜひ質疑応答のお時間でご質問ください リトル森木
  4. はじめに…生成AIとは何か 画像・音楽・動画を 生成するAI、 入力可能なAIもある 文章、画像、プログラム等を生成できるAIモデルにもとづくAIの総称 (AIモデル…入力データ又は情報にもとづいて推論(inference)又は予測を生成する数学的構造) AIモデル 入力 生成物 入力された文章をもとに、文章を生成するAIの場合

    ※大規模言語モデル(Large Language Models;LLM) 日本の 首都は? 東京都です AI事業者ガイドライン(第1.0版)(2024), https://www.meti.go.jp/press/2024/04/20240419004/20240419004.html 事前にAI開発者がインターネット 上の文書等を用いてパターンを大 量に学習・調整させている 私たちが普段から使用している言 葉(自然言語)でAIに指示を投げ ることができる 答えや事実を一言一句覚えて回答 するのではなく、入力された文章 に後続するデータを推論し続ける 今日登場するAIには もれなくAIモデルが 搭載されています 文章の生成はもちろん 自分で考えたり自律実 行したりできちゃいま す
  5. はじめに… 私たちは「AI利用者」です AI利用者は肩身が狭い! AI利用者 AI提供者 AI開発者 AI システムを開発する事業 者(AIを研究開発する事業 者を含む)

    AI システムをアプリケーション、 製品、既存のシステム、ビジネ スプロセス等に組み込んだサー ビスとしてAI利用者(AI Business User)、場合によっ ては業務外利用者に提供する事 業者 事業活動において、AIシス テム又はAIサービスを利用 する事業者 例:OpenAI社(GPT-4開発) 例:Microsoft社(Copilot提供) 例:大学職員(Copilot利用) AI事業者ガイドライン(第1.0版)(2024), https://www.meti.go.jp/press/2024/04/20240419004/20240419004.html
  6. AI特有のリスク(一例) ▍再現性が低い可能性がある • 「ある単語や文章の次に来る単語や文章を推測し、 「統計的にそれらしい応答」を生成する」AIであり、原則として 再現性は保証されない 文部科学省,”初等中等教育段階における生成AIの利用に関する暫定的なガイドライン”, https://www.mext.go.jp/content/20230710-mxt_shuukyo02-000030823_003.pdf ▍学習に使用されたデータ等に影響を受ける可能性がある •

    回答は学習用データセットやアライメント(調整)の傾向に依存する 例:「結婚式」に関する回答が「教会式の結婚式」に偏る傾向にある OpenAI,” Models”, https://platform.openai.com/docs/models/overview ▍プロンプトに影響を受ける可能性がある • 「結果の品質は提供する情報の量とそのクオリティ(=プロンプトの書き方) によって異なる」 ”Prompt Engineering Guide”, https://www.promptingguide.ai/jp/introduction/basics 生成AIの仕様を把握する 入力 生成AI 生成物 リスクに関わる3つの主体 🤔 職員個人の判断に任せて良い?
  7. トピックから得られる示唆 • AI特有のリスクではないよ • 個人・メンバの裁量で判断でき ないかもしれないよ • 既に成果が公開されつつあるよ • そのまま輸入できないかもしれ

    ないよ 「ツールの工夫」では超え られない判断が求められて いる • ガイドラインを作ってね • 自組織の中で腹落ちさせてね トピック 回答例 導けそうな示唆 「他大学の事例」では代替 できない自組織の意味づけ がある • 「AIに詳しい個人」がどうに かできる範疇を超えている • 組織として「AIに何を任せる か」を設計する視座が求めら れている 熱心なAI利用者は多いけど 個人のAI利用者がが何とか できることは少ない
  8. これでだいたい「AIエージェント」がわかる AIチャットサービス AIエージェント ユーザーの指示に基づいて 動作する 【自律性】与えられた目標に基づいて独立して行動し、ユー ザーの介入を最小限に抑える ユーザーの質問に答えることに 主眼を置いている 【目標指向性】特定の目標やタスクの達成に向けて計画を立て

    て行動する シンプルな一問一答に 限定されることが多い 【高度な推論】複雑で連続した対話の中からタスクを処理する 能力を持つ ▍AIチャットサービス • 自由に入力できるチャットUI • 指示を書けば自由自在 • 無償の場合も多い NotebookLMとの単なる対話 ▍AIエージェント • AIを他のアプリケーションの 機能と統合したサービス • 入出力の自由度が低い場合がある • たいてい課金 Claude Coworkによる納品 2024年12月18日現在 [2408.02479] From LLMs to LLM-based Agents for Software Engineering: A Survey of Current, Challenges and Future (arxiv.org)
  9. AIガバナンス入門:生成AIサービスを運用する手段として AI事業者ガイドライン(第1.0版)(2024), https://www.meti.go.jp/press/2024/04/20240419004/20240419004.html AIを取り巻き変化する社会における AI利用者のためのAIガバナンスを確立する ▍AIガバナンス n AIのリスクを受容可能な水準で 管理しつつ、AIの便益を最大化する設計並びに運用 リスクを

    管理する 便益を 最大化する 外部環境 の変化 透明性等 の確保 AI利用者をリスクから守る必要があるが、AIの便益もリスクも発展しているため 「一度決めたルールを守り抜く」運用は困難であり、現実的ではない 羽深(2023),『AIガバナンス入門──リスクマネジメントから社会設計まで』,ハヤカワ新書
  10. 再掲… 私たちは「AI利用者」です AI利用者は肩身が狭い! AI利用者 AI提供者 AI開発者 AI システムを開発する事業 者(AIを研究開発する事業 者を含む)

    AI システムをアプリケーション、 製品、既存のシステム、ビジネ スプロセス等に組み込んだサー ビスとしてAI利用者(AI Business User)、場合によっ ては業務外利用者に提供する事 業者 事業活動において、AIシス テム又はAIサービスを利用 する事業者 例:OpenAI社(GPT-4開発) 例:Microsoft社(Copilot提供) 例:大学職員(Copilot利用) AI事業者ガイドライン(第1.0版)(2024), https://www.meti.go.jp/press/2024/04/20240419004/20240419004.html
  11. ガイドライン事例【武蔵野大学】 項目番号 項目名 内容 1 本ガイドラインの目的 教職員が生成AIを利用する際の 注意事項の解説 2 本ガイドラインが

    対象とする生成AI 対話型AI(ChatGPT等)、画像生成AI( Stable Diffusion等)、動画生成AI、音楽生成 AIを含む。 3 生成AIの利用が 禁止される用途 他者の著作物を使用して二次的著作物を生成し、 それを自分のものだと主張することなど 4 本ガイドラインの構成 データ入力と生成物利用の 注意事項を中心に構成 5 データ入力に際して 注意すべき事項 第三者の著作権データ、登録商標・意匠、著名 人の顔写真や氏名、個人情報、秘密情報、機密 情報への注意 6 生成物を利用するに際して 注意すべき事項 誤った情報、既存の権利の侵害、著作権の発生 しない可能性、商用利用の可否、生成AIのポリ シー制限への注意 武蔵野大学 教職員向け 生成AIの利用ガイドライン(2023年6月29日) 武蔵野大学,「武蔵野大学 教職員向け 生成AIの利用ガイドライン」,2023, https://www.musashino-u.ac.jp/academics/basic/generation_ai/generation_ai_guidelines.html JDLAのガイドラインのひな形に準拠
  12. ガイドライン事例【慶應義塾】 項目番号 項目名 内容 1 本ガイドの目的 生成AI利用時のリスクを正しく理解し、情報セ キュリティを確保しながら、その恩恵を最大限に 引き出すこと 2

    対象者 義塾に在籍するすべての学生・大学院生・教職員 (一貫教育校や大学病院を含め、常勤・非常勤を 問わず) 3 利用上の注意・禁止事項 (全利用者共通) ファクトチェックの徹底、独自性・独創性の確保、 研究の透明性と再現性、著作権への配慮、生成物 の類似性確認、倫理的利用(差別・名誉毀損・公 序良俗違反の禁止) 4 AIサービスの3分類 【A】ライセンスフリー/【B】個人・個別契約/ 【C】法人全体契約(義塾が契約するGemini・ NotebookLM)に分類し、情報漏洩リスク・利用 可否を区分 5 法人契約サービスの 試行導入 Google Workspace for Education上で Gemini・ NotebookLM の標準機能版を@keio.jpアカウント で利用可(2025年7月時点で試行導入)。Google AI Studioは対象外で要注意 6 責任の所在 生成AIは学習・研究・業務を補助する「ツール」 であり、最終的な判断と責任はすべて利用者本人。 情報漏洩・著作権侵害・研究不正等について義塾 は責任を負わない 慶應義塾における生成AIの利用ガイドライン(2026年3月11日) 慶應義塾情報センター(KIC)「慶應義塾における⽣成AIの利⽤ガイドライン」, 2026, https://www.itc.keio.ac.jp/ja/software_ai_guideline.html