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使用済み燃料プール火災の恐怖

HKano
November 18, 2022

 使用済み燃料プール火災の恐怖

2011年3月11日の東日本大震災と津波で起きた事故のため、福島第一原発4号機のプールは、もう少しのところでプール火災が起きて、風向きによっては、約3000万人の避難が必要な事態に至るところでした。
大規模なプール火災を防止するために、プールで5年以上保管した使用済み燃料を、自然対流利用の空冷式乾式貯蔵に移すことを提唱しています。

HKano

November 18, 2022
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Transcript

  1. 使用済み核燃料
    プール火災の恐怖
    教訓
    5年以上プール冷却の使用済み燃料は
    自然対流空気冷却の乾式貯蔵へ
    2022年10月26日
    院内集会 原発・核燃サイクルの中止を求めて
    主催 脱原発政策実現全国ネットワーク
    於 衆議院第1議員会館大会議室
    田窪雅文 [email protected]
    核情報 http://kakujoho.net/
    1

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  2. 福島第一4号機プールの教訓:乾式貯蔵早期導入を!
    恐れられたシナリオ:冷却水喪失➡詰込み状態プールの火災
    2
    田中俊一・元原子力規制委委員長 2012年9月の就任後初会見から乾式貯蔵推進
    5年程度プールで冷却した燃料は空冷式のキャスクに移動を!
    更田豊志・前委員長も乾式推進の立場
    3号機から流入の水素の爆発で建屋上部が損壊
    プール火災なら 放射性物質の約90%が大気中に
    ➡100万人から3000万人の避難必要の可能性
    プール内には
    工事計画で取出したばかりの熱い炉心燃料全部(発
    熱量が大きく、大量蒸発を招く)
    +1.4炉心分=合計2.4炉心分
    セシウム137の総量:1,2,3号機の炉心合計に匹敵
    *3基とも:格納容器が大破せず。放出は1~3%
    コンクリートポンプ(キリン)

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  3. ジルコニウム火災の恐怖
    蒸発による水位低下➡熱い燃料の被覆管(ジルコニウム合金)発火
    ➡ぎゅうぎゅう詰めのプール全体に伝播➡大量放射能の放出
    3
    出典:原子力規制委員会[福島第一原発実施計画]2.11. 使用済燃料プールからの燃料取り出し設備
    https://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/11627144/www.nsr.go.jp/data/000268160.pdf *95/793
    壁付箱型ラック
    部分的冷却材喪失時に
    空気冷却不能(横からの
    空気の流れが起きない)
    ➡ジルコニウム合金発火
    ➡プール全体に及ぶ火災
    ➡大量の放射能放出
    恐れられたのは:崩壊熱
    のみで一部燃料だけが溶
    融温度に達し、残りは無
    事という事態ではない
    地震によるプール
    の亀裂・冷却材流
    出は発生しなかっ
    たが・・・

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  4. 幸運な偶然によって助かった福島第一4号プール
    圧力容器の工事のため
    原子炉ウェルは空のはずだった
    ところが、工事の遅れ➡原子炉ウェルに水があった
    経緯:プール水蒸発➡水位低下➡水圧低下➡ゲート動く➡ウェル側から水流入
    この流入がなければ燃料は上部から空気に曝されていったはず(米サンディア研究所)
    4
    高い水圧 蒸発・水位低下
    ➡水圧低下
    ➡ゲートが動く

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  5. 原子炉ウェルからの水の流入がなかったら・・・
    ( 『プルトニウムーー原子力の夢の燃料が悪夢に』 図5.3 )
    *水位ピークは、不十分ながらコンクリートポンプ(キリン)による注入があったため
    流入なしのシナリオ
    米科学アカデミー報告書
    Fig. 2.15
    実際(東電の計算による再現)
    (最初の測定)
    使用済み燃料頂部
    原子炉ウエルからの流入がなかったら
    燃料






    (単






    5
    ここから上部空焚き状態へ

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  6. 稠密貯蔵とプール火災1
    設計よりぎゅうぎゅう詰め
    ➡冷却材喪失で空気冷却不能状態に
    再処理を想定した小さなプール
    再処理想定➡数年で搬出予定➡1炉心あるいは2炉心分収納のプール設計
    ところが、再処理中止・建設遅延、集中貯蔵施設・最終処分場計画の遅延
    箱型ラック(収容枠)使って詰め込む=リラッキング
    米国のプール: 平均7炉心分。年間取出し量にして20年~30年分を原発
    プールで貯蔵可
    日本のプール:現在運転段階の炉では、平均6炉心分収容可。 11~12炉心
    分も(大飯3・4号、伊方3号、川内1号)。実際貯蔵量平均約4炉心分。約8
    ~9炉心分も(高浜3・4号、大飯3・4号、伊方3号、川内1号)。
    6
    出典:過密貯蔵の進む日本の原発と乾式貯蔵──危険な稠密貯蔵の実態分析
    http://kakujoho.net/npp/sfp-j.htmlじさし実際

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  7. 稠密貯蔵とプール火災2
    箱型の稠密貯蔵ラック
    中性子吸収剤(ホウ素)含んだ壁(連鎖反応防止用)
    冷却材部分的喪失の際に 空気冷却不能
    4号取出し直後の熱い燃料棒の被覆管(ジルコニウム合金)が高温に
    発火➡プール全体に伝播・古い冷えた燃料にも
    7
    出典 『プルトニウム──原子力の夢の燃料が悪夢に』図5.1
    オープンラック 稠密貯蔵ラック ジルコニウム火災シナリオ
    冷却喪失➡ 1000度を超え上
    昇➡水蒸気と激しく反応
    (➡水素発生➡水素爆発➡プール上
    部損壊)
    *4号炉上部はすでに損壊
    (3号から水素流入➡水素爆発)
    ➡燃料が損傷➡放射能放出
    ➡損壊した建屋から大気中へ
    *空気中の酸素との反応では約800
    度で発火

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  8. 補足1 9.11から3.11へ
     2001年9.11同時多発テロの警鐘 標的が原発なら使用済み燃料プール火災発生の可能性
    教訓 取り出し後5年の使用済み燃料を乾式に!
    出典『米国における貯蔵された原子力発電所の使用済み燃料の危険性を減らす』2003年
    (Robert Alvarez, Jan Beyea, Klaus Janberg, Jungmin Kang, Ed Lyman, Allison Macfarlane, Gordon Thompson and Frank N. von Hippel)
     2011年3.11福島第一4号機プール冷却機能喪失事態の警鐘 プール火災があわや現実に
    教訓 「3度目の正直」を招かないために迅速な乾式貯蔵導入を!
     4号プール火災仮想事故シミュレーションが示すプール火災の恐怖 首都圏を襲う放射能
    出典:『使用済み燃料プール火災の危険の低減 (2016年)』
    http://scienceandglobalsecurity.org/archive/sgs24vonhippel.pdf
    ↑2003年論文共著者で、米科学アカデミー報告書『福島原子力事故の
    教訓』(右)にも関わったフォンヒッペル(『プルトニウム』共著者)らの研究
     次に示すのは、 『プルトニウム──原子力の夢の燃料が悪夢に』第5章
    掲載のシミュレーション改訂版
    参考:同時多発テロ後の使用済み燃料関連論争
    http://kakujoho.net/npp/snf_p_c.html
    8
    福島原子力事故の教訓
    フェーズ 2
    米国科学アカデミー
    2016年5月
    https://www.nap.edu/catalog/21874/lessons-learned-from-the-fukushima-nuclear-accident-for-improving-safety-and-security-of-us-nuclear-plants

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  9. 福島第一4号プール火災仮想事故(フランク・フォンヒッペルら)
    セシウム137 汚染≧ 1.5 MBq/m2 (オレンジ)
    で住民避難と想定 (福島・チェルノブイリと同等) 出典:『プルトニウム』 図5.6)
    実際の福島第一事故
    (3/15/2011)
    避難人口: 8万8000人
    面積 1100 km2
    MBq/m2
    ≧ 0.5
    ≧ 1.5
    ≧ 4.5
    仮想プール火災
    2011年4月9日
    仮想プール火災
    2011年3月19 日
    実際の
    セシウム137
    汚染
    福島
    第一
    HYSPLIT大気拡散モデル 計算 当日の天候
    海岸側への風(4/9/2011) 陸地側への風(3/19/2011)
    避難人口: 80万人 避難人口: 2900万人
    面積 2600 km2 面積 2万5000 km2
    9

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  10. 近藤駿介原子力委員会委員長(当時)が
    菅直人総理大臣に提出した報告書で
    同規模の避難予測
    出典:福島第一原子力発電所の不測事態シナリオの素描
    近藤駿介原子力委員会委員長(当時) 2011年3月25日 p.10 ~12
    http://www.asahi-net.or.jp/~pn8r-fjsk/saiakusinario.pdf
    10
    *4号機プールには約2炉心分のセシウム137が
    収納されていた (核情報注)

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  11. 米原子力規制委(NRC)研究:早期乾式貯蔵移行で低密度貯蔵なら
    火災発生でも:放射能放出の影響が約100分の1に低減
    低密度貯蔵:ジルコニウム量小➡水素発生量低下➡爆発の可能性低下
    ➡建屋損壊回避➡火災でも大気中への放射能放出量98%減➡影響約100分の1に
    仮想プール火災事故
    (米国の典型的原発:首都南西のサリー原発)
    避難人口
    (単位:万人)
    避難面積
    (単位:平方km)
    NRCスタッフ:稠密貯蔵プール
    避難閾値: 4.5 MBq/m2
    350
    (130– 870)
    3万
    (1万3000 – 4万7000)
    NRCスタッフ情報基に著者ら再計算 避難のセシウム137汚染閾値 1.5 MBq/m2
    稠密貯蔵プール (水素爆発)
    820 (120 – 4150) 4万4000
    (1万 – 8万3000)
    低密度プール(水素爆発なし)
    14 (0 – 40) 900
    (0 – 3200)
    11
    ジルコニウム量が少なく、プール火災が起きて
    も、水素濃度が爆発限界の10%に達しない *( )内は平均

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  12. 福島第一4号炉の恐怖を回避するには?
    5年以上冷却の燃料は乾式貯蔵にし
    プール貯蔵を元のオープン・ラック状態に
    自然対流による空冷式乾式貯蔵
    12
    金属キャスク コンクリートキャスク
    乾式貯蔵にテロ攻撃だと?
    ミサイル・成形炸薬弾による攻
    撃で燃料損傷は可能。
    だが、火災発生でも、他のキャ
    スクに広がらない。
    *1体約10トン(年間取出し量
    の半分)
    稠密貯蔵プール:数百トンの燃
    料全体に火災が広がる。
    米科学アカデミー報告書
    (2006年)は、狙い撃ちを難しく
    するために、「盛り土」や「視界
    障害物」などの設置を推奨。日
    本やドイツでは建屋内に設置。 https://www.pref.aomori.lg.jp/soshiki/kikikan
    ri/bosaikikikanri/files/dai3kai_shiryo1.pdf

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  13. 金属キャスク
    (三菱重工)
    13
    愛媛県原子力情報ホームページ
    https://www.ensc.jp/committee/esm/2018/safety_management/file/20180828_shiryou3-2.pdf
    *核情報注:
    乾式貯蔵は
    自然対流による
    空気冷却
    空気喪失事故はな

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  14. なぜ5年間水冷却か?
    熱発生率の低下:核分裂停止後数日 100キロワット/トン
    5年後 2~4キロワット/トン
    取り出し後5年の使用済み
    燃料約10トンを入れたキ
    ャスクの表面から除去す
    べき熱は、晴れた夏の日
    の同じ面積の黒い道路か
    らのものと同じ
    プール冷却期間を長くする
    と1体に収められる集合
    体の数が増える、出費を
    先延ばしにできるなど経
    済的利点が
    5年
    3キロワット/トンU
    14













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  15. 日本では敷地内乾式貯蔵は福島第一と東海第二のみ
    福島第一:9基 408体
    1995年~
    Tokai
    津波の後
    15
    東海第二 24基許可(250t) 2001年~
    21基設置済み(17基使用可) *15基使用中
    海藻
    米コネティカット・ヤンキー

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  16. 輸送用キャスクを使った
    乾式貯蔵 ドイツが先行
    16
    1998年 社会民主党+緑の連立政権誕生
     再処理義務撤廃
    2000年 電力会社との合意
     2005年7月1日以降の使用済み燃料の英
    仏再処理工場への輸送禁止
     乾式貯蔵施設の建設義務付け(各原発
    の敷地内または近傍)。遅くとも5年以内
    に実現)
    米国はじめ世界各国で乾式貯蔵進む
    2018年現在30カ国+台湾のうち
    21カ国+台湾が乾式貯蔵導入済みまたは計画
    独原子力サービス社(GNS)倉庫
    左のクラウス・ヤンバーグは元(CEO)
    輸送用キャスクを使った貯蔵方法開拓
    当初再処理工場受入・敷地外用(同社
    キャスクは鋳鉄製。他は一般に鋼鉄)

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  17. 補足2 独原発敷地外乾式貯蔵施設
    ゴアレーベン 発端は再処理工場計画
    ニーダーザクセン州が計画拒否
    理由:受け入れプールでの貯蔵の危険性
    ➡最終処分場含む総合計画が乾式貯蔵施設に変更
    搬入:使用済み燃料1995年~1997年(返還ガラス固化体 ~2003年)
    アーハウス 中間貯蔵用プールが乾式貯蔵に変更
    現在、主として高温ガス炉使用済み燃料貯蔵
    ノルト集中中間貯蔵施設
    旧東ドイツ原発使用済み燃料
    17
    https://www2.rwmc.or.jp/hlw:de:prologue
    https://zwischenlager.info/en/standort/gorleben/
    https://www.gns.de/language=en/31816/ahaus

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  18. 独:2002年12月敷地内乾式貯蔵運用開始
    原発敷地内貯蔵は、小さな敷地でも可能
    オフィス棟の下の貯蔵トンネル:ネッカー・ヴェストハイム原発(独) 開始 2006年
    18
    現在、ドイツの電力会社は、各原発の運転完全停止後2年以内に使用済み燃料
    の乾式貯蔵移行を完了予定。使用済みMOX燃料も(すでに乾式移行中)。
    *使用済みMOX燃料:使用済み低濃縮ウラン燃料と混ぜてキャスク内に配置
    高い熱量・放射線に対処するため

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  19. 補足3 フランスにおける使用済みMOX燃料の取扱い
    ラアーグ再処理工場でのプール貯蔵(=輸送)実績
    +新たな計画 同工場での乾式貯蔵施設建設案
    ラアーグ再処理工場での使用済みMOX燃料貯蔵量
    1766トン (2022年5月31日現在) *MOX使用原発から輸送
    六ヶ所再処理工場受け入れプールの容量(約3000トン)の約60%に達する量
    これが使用済み燃料受け入れプールの満杯化問題の悪化の重要な要因
    ➡工場の運転会社オラノ、満杯化対処法として、敷地内に容量900トンの乾式貯蔵施設建設を提案
    *使用済みMOX燃料など、再処理の計画のないものを貯蔵するため
    新型輸送・貯蔵兼用キャスク TN Eagle (世界的展開用)
    2020年 使用済み低濃縮ウラン燃料用許可取得
    2022年 使用済みMOX燃料及び使用済み回収ウラン再濃縮燃料用
    許可申請
    • 出典:日本のお手本、フランスの再処理体制が崩壊の危機 2022.9.4〜
    http://kakujoho.net/npp/fmox.html
    19

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  20. ドイツの暫定貯蔵施設1
    本格的施設建設まで (4原発で運用)
    • ネッカー・ヴェストハイム原発 運用 2001年4月10日-2006年12月19日
    20
    出典:「乾式貯蔵先進国」ドイツ
    ──故高木仁三郎氏のメッセージ
    http://kakujoho.net/npp/drycsk.html

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  21. ドイツの暫定貯蔵施設2
    ネッカー・ヴェストハイム
    原発
    21

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  22. 福島第一で暫定貯蔵方式コピー
    他の原発でも可能
    22
    使用済み燃料の保管状況(2022年9月29日)
    https://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/decommissioning/co
    mmittee/osensuitaisakuteam/2022/09/09/3-2-6.pdf
    保管容量
    キャスク 65基
    燃料集合体 3965体
    2012年4月運用開始
    2022年9月現在
    キャスク 38基
    燃料集合体 2102体
    *保管率 53.0%
    教訓:廃炉促進のためにも乾式貯蔵
    が必要
    2020年3月

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  23. 福島第一使用済み燃料乾式仮保管
    2012年4月運用開始
    2014年3月 2020年3月
    23

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  24. リサイクル燃料備蓄センター
    (原発敷地外中間貯蔵用)
    24
    https://www.tepco.co.jp/electricity/mechanism_and_facilities/power_generation/nuclear_power/interim_storage-j.html
    「リサイクル燃料貯蔵株式会
    社(RFS)」
    青森県むつ市
    2005年11月
    東京電力と日本原子力発電
    株式会社が共同設立
    2013年 第一棟「完成」
    2023年度 操業目標

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  25. むつ貯蔵施設 原発敷地外乾式中間貯蔵施設第1号
    90年代の必要論「六ヶ所処理能力800トン。今後年間取出し量1000トン以上に」
    25
    1999年「原子炉等規制法」一部改正で
    原発敷地外使用済燃料「中間貯蔵」可に
    (第二再処理工場への搬出を想定)
    容量3000トン(合計5000トン計画の第一棟)
    建設費 1000億円程度
    金属キャスクの費用が7~8割を占めると想定
    出典:リサイクル燃料貯蔵株式会社 事業概要 (アーカイブ)
    https://web.archive.org/web/20130425165144/http://www.rfsco.co.jp/about/about.html
    http://www.rfsco.co.jp/company/bisiness.html
    中間貯蔵サイト当たり貯蔵規模 5,000t
    2.4万t用に2010年度以降に5サイト建設
    電事連 2004年計画
    https://www.fepc.or.jp/about_us/pr/sonota/__icsFiles/afieldfile/2008/09/04/0107.pdf

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  26. 乾式貯蔵導入遅れ:促進すると再処理の正当化ができない
    「再処理をやめると使用済み燃料の行き場がなくなる。行き場確保のために再
    処理工場稼働を!」敷地内(外)乾式貯蔵が進むとこの主張ができなくなる。
    例:「[再処理政策中止なら原発]立地地域との信頼関係を再構築することが不可欠であるが、
    これには時間を要し、その間、原子力発電所からの使用済燃料の搬出や中間貯蔵施設の立地が
    滞り、現在運転中の原子力発電所が順次停止せざるを得なくなる状況が続く可能性が高い」
    出典:原子力委員会「核燃料サイクル政策についての中間取りまとめ 」 2004年11月12日
    http://www.aec.go.jp/jicst/NC/tyoki/sakutei2004/ronten/20041112.pdf
    地元が反対? 各地の自治体・反原発運動でも敷地内乾式貯蔵容認・推進の声がある。
    理由:安全性、道義的責任、運転確実化など http://kakujoho.net/npp/hlw_scj.html#r4
    福井県(関電原発集中)は「絶対県外搬出」主張? 前及び現知事はともに、2019年
    春の県知事選を前に、県外搬出までの暫定措置として県内乾式貯蔵検討する用意があ
    ると発言。県内の原発受け入れ自治体首長の声を考慮 http://kakujoho.net/npp/fukui.html
    26

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  27. 補足4 原発地元の乾式貯蔵受け入れ発言例 (肩書はすべて当時)
    福井 前ページ言及の2019年春の福井県知事選に影響力を持った立地自治体首長の発言
    野瀬豊高浜町長 中間貯蔵施設を県外に作れない場合、乾式貯蔵の検討も必要
    中塚寛おおい町長 (乾式貯蔵は)選択肢の一つであることは間違いない
    山口治太郎美浜町長 (乾式貯蔵を)前向きにとらえて練る必要 http://kakujoho.net/npp/fukui.html
    浜岡 http://kakujoho.net/npp/shizuoka.html
    川勝平太静岡県知事 早く乾式貯蔵にすべき。すでに六ヶ所再処理工場に送られている使用済み燃料が送り返
    されることになった場合は、引き取って乾式貯蔵する。
    西原茂樹牧之原市長 最終的には乾式貯蔵の施設を造っていかなければいけない
    松井三郎掛川市長 安全対策が急務。かさ上げの早期完成と乾式貯蔵施設の建設を
    東海第二 http://kakujoho.net/npp/hlw_scj.html#rdd41
    村上達也東海村村長:[六ヶ所の燃料引き受ける用意ある]福島第一の4号機を見てもわかりますが、プールに保
    管するのは危なくてしょうがないでしょう。水に浸けるのではなく、乾式貯蔵という形にしてもらいたい
    原子力所在地域首長懇談会及び県央地域首長懇話会申し入れ:使用済核燃料の安全対策について積極的な対
    応を図り,所在地域首長懇談会で要求している乾式キャスクでの保管についても早期の実現に努めること。
    玄海 http://kakujoho.net/npp/hlw_scj.html
    岸本英雄玄海町長 近い将来、玄海原発の貯蔵プールも核燃料で満杯になる。中間貯蔵施設は絶対に必要

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  28. 乾式貯蔵導入状況
    出典:電気事業連合会 2022年 5月10日 (赤は核情報挿入)
    https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/genshiryoku/pdf/026_04_00.pdf
    p。9
    28
    むつ
    東海第二 現容量180t
    玄海
    浜岡
    伊方
    敷地外

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  29. 原子力規制委員会の田中俊一初代委員長
    就任後最初の記者会見発言
    2012年9月19日
    できるだけ早く地上に下ろしていただきたい
    強制冷却が必要でないような燃料については
    乾式容器に入れて保管する
    多分、5年くらいは水冷却をする必要があり
    ます
    ほかのサイトについて、そういうことをする
    ように求めていきたいと思います
    http://www.nsr.go.jp/kaiken/data/20120919sokkiroku.pdf
    29

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  30. 原子力規制委員会元・前委員長
    九州電力に対し:リラッキング計画放棄して乾式貯蔵を!
    九州電力と原子力規制委員会 2014年10月29日
    更田委員(当時)
    どの炉も、使用済燃料プールに貯蔵している燃料がどんどん増えてきてい
    る。やはりこれ、実態としては、PWRの場合は使用済燃料プールが比較的
    低い位置にあるとは言うものの、ああいった形で使用済燃料プールの貯蔵
    量を増やしていくよりは、乾式のキャスクに入れて、それこそ、その辺に転が
    しておくというと言葉は悪いですけれども、その方がまだ更に安全性は高い
    のではないか。
    田中委員長 (当時)
    国際的に見ても、一定程度冷却が進んだものはプールから出して、乾式容
    器に入れてサイト内に貯蔵する方が、安全上も、これからセキュリティの問
    題もありまして、そういうことが一般化しています、ヨーロッパとかを見ますと。
    そういう点で日本は少し遅れています。
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    出典:http://kakujoho.net/npp/tnk_drycsk.html
    その他の田中委員長発言 http://kakujoho.net/npp/nsr_log.html

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  31. 補足5 乾式貯蔵早期導入義務化について政府は?
    再処理は義務化しているが・・・
    2022年10月17日衆議院予算委員会 岡田克也議員vs西村経産大臣https://www.youtube.com/watch?v=IDHFjyKyfUU
    西村康稔経済産業大臣 使用済み燃料の貯蔵に関することにつきましてはですね、これはまさに、原子
    力規制に関わることでありまして、高い独立性を有する原子力規制委員会が一元的に所掌しております。
    プール貯蔵、乾式貯蔵いずれの場合でも原子力規制員会は安全基準に適合しているという確認を受け
    た上で適切に実施されているものという風に認識をしております。これ以上は経産省としては、差し控え
    たいと思います。
    山崎誠議員「使用済核燃料の保管方法に関する質問主意書」(2022年8月3日)への政府答弁(2022年
    8月15日) https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b209020.htm
    「リラッキングによる稠密貯蔵」及び「乾式貯蔵」のいずれの場合においても、原子力規制委員会として、
    最新の科学的知見や国際原子力機関等の規制基準を参考にしつつ必要な基準を設定し、当該基準に
    適合するものであることを確認したものについては、当該基準で求めるレベルの安全性が確保されてい
    る方法であると考えているが、その上で両者を比較すると、水や電気を使わず空気の自然対流で冷却
    することができる等の利点を有する「乾式貯蔵」がより安全性が高いものと考えている。・・・当該基準に
    適合するものであることを確認したものについては、当該基準で求めるレベルの安全性が確保されてい
    る方法であり、「早急にリラッキングによる保管を全面禁止」する必要はないと考えている。
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  32. 日本六ヶ所再処理工場
    使用済み燃料プール仮想核事故
    (カン・ジョンミン『プルトニウム』共著者)
    六ヶ所再処理工場使用済み燃料プール仮想核事故の避難地域
    2019年10月1日及び12月1日(6470PBqのセシウム137放出)
    核情報注:六ヶ所の燃料は古く、冷却喪失だけでは火災に至らないかもしれない
    が、ウクライナ情勢を背景にミサイル攻撃によるプール火災を想定。六ヶ所工場
    のプールには約3000トン収納。乾式貯蔵なら直撃を受けたキャスクの被害は他
    のキャスクに広がらない。

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  33. 国 避難人口 避難面積 (km2)
    平均 最大 平均 最大
    日本 640万
    (890万)
    6210万
    (8920万)
    51,700
    (65,900)
    312,700
    (391,800)
    ロシア 0.5万
    (2万)
    3.1万
    (20万)
    12,100
    (24,300)
    70,300
    (151,300)
    (括弧内の数字は、自主避難人口を足した総数)
    日本六ヶ所再処理工場
    使用済み燃料プール仮想核事故(続き)
    出典:原子力施設に対するミサイル攻撃のリスク
    姜政敏(カン・ジョンミン) PhD 元韓国原子力安全委員会委員長
    https://cnic.jp/wp/wp-content/uploads/2022/04/Kang-JPN-.pdf
    於 原子力資料情報室主催イベント(2022年4月14日)
    https://cnic.jp/42532

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  34. 稠密貯蔵プールの火災と解
    決策としての乾式貯蔵
    についてはこの本の
    第5章及び第6章
    とウェブサイト 核情報
    のご活用を!
    http://kakujoho.net/
    緑風出版
    http://www.ryokufu.com/isbn978-4-8461-2116-7n.html
    原著序文:モハメッド・エル
    バラダイ元国際原子力機
    関(IAEA)事務局長
    推薦文:ロバート・ガルー
    チ元米国側対北朝鮮交渉
    責任者(1994年)と
    エドワード・マーキー米国
    上院議員(核軍縮・核不拡
    散の第一人者)
    http://kakujoho.net/ndata/pu-book.html

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