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2018年度 分離化学工学 第9回

2018年度 分離化学工学 第9回

前回の復習
ガス吸収
アンケート結果 難しかったところ
二重境膜説 設定
アンケート結果 難しかったところ
二重境膜説 定常状態における(物質)流束
境膜物質移動係数の単位
二重境膜説 気液界面の特徴量
アンケート結果 難しかったところ
二重境膜説 界面における気液平衡
二重境膜説 総括物質移動係数の式
アンケート結果 難しかったところ
二重境膜説 どうして*使うの!?
二重境膜説 気液平衡
二重境膜説 式変形
二重境膜説 総括物質移動係数の式
アンケート結果 難しかったところ
二重境膜説 物質移動抵抗
二重境膜説 抵抗の割合
前回の問題①
解説①
解説①
前回の問題②
解説②
前回の問題③
解説③
今回の達成目標
吸収塔の設計
吸収塔の設計 設定
吸収塔の設計 界面付近
吸収塔の設計 比表面積
吸収塔全体の物質収支
吸収塔の 0 から任意の z までの物質収支
吸収塔の操作線
気液平衡線と操作線
最小液ガス比
問題①
微小区間の物質収支
吸収塔の設計 比表面積
微小区間 (z~z+dz) における物質収支
今回の達成目標
二重境膜説 濃度・分圧の関係
ヒント①

Hiromasa Kaneko

January 27, 2019
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Transcript

  1. ガス吸収 気体を液体(吸収液)と接触させて、気体の中にある液体に溶ける 成分を、液中に溶かすことで分離 • sodastream 気体の混合物から • 有用な成分を回収 • 有害な成分を除去

    物理吸収︓物理的に溶かす、溶解度の差を利用 • アセトンを水で吸収 • アンモニアを水で吸収 • ナフタレンを炭化水素オイルで吸収 化学吸収︓溶かしてから反応させる、反応性の差を利用 • 硫化水素を水酸化ナトリウム水溶液で吸収 • 二酸化炭素をアミン類で吸収 2
  2. 二重境膜説 設定 4 気液界面 液体(液相) 気体(気相) ガス境膜 液境膜 ガス本体 液本体(バルク)

    pA , yA pAi , yAi cAi , xAi cA , xA δG δL pA [Pa]︓Aのガス本体の分圧 yA [-]︓Aのガス本体のモル分率 pAi [Pa]︓Aの気液界面での分圧 yAi [-]︓Aの気液界面でのモル分率 δG [m]︓ガス境膜の厚み cA [mol・m-3]︓Aの液本体の濃度 xA [-]︓Aの液本体のモル分率 cAi [mol・m-3]︓Aの気液界面の濃度 xAi [-]︓Aの気液界面のモル分率 δL [m]︓液境膜の厚み
  3. 二重境膜説 定常状態における(物質)流束 6 気液界面 液体(液相) 気体(気相) ガス境膜 液境膜 ガス本体 液本体(バルク)

    pA , yA pAi , yAi cAi , xAi cA , xA δG δL 定常状態において(物質)流束は⼀定 ( ) ( ) ( ) ( ) A G A A L A A y A A x A A i i i i N k p p k c c k y y k x x = − = − = − = − NA [mol・m-2・s-1]︓Aの(物質)流束 kG , kL , ky , kx ︓境膜物質移動係数
  4. 境膜物質移動係数の単位 7 NA [mol・m-2・s-1]︓Aの(物質)流束 pA [Pa]︓Aのガス本体の分圧 pAi [Pa]︓Aの気液界面での分圧 kG [mol・m-2・s-1・Pa-1]︓境膜物質移動係数

    cA [mol・m-3]︓Aの液本体の濃度 cAi [mol・m-3]︓Aの気液界面の濃度 kL [m・s-1]︓境膜物質移動係数 ( ) ( ) ( ) ( ) A G A A L A A y A A x A A i i i i N k p p k c c k y y k x x = − = − = − = −
  5. 境膜物質移動係数の単位 8 ( ) ( ) ( ) ( )

    A G A A L A A y A A x A A i i i i N k p p k c c k y y k x x = − = − = − = − NA [mol・m-2・s-1]︓Aの(物質)流束 yA [-]︓Aのガス本体のモル分率 yAi [-]︓Aの気液界面でのモル分率 ky [mol・m-2・s-1]︓境膜物質移動係数 xA [-]︓Aの液本体のモル分率 xAi [-]︓Aの気液界面のモル分率 kx [mol・m-2・s-1]︓境膜物質移動係数
  6. 二重境膜説 気液界面の特徴量 9 ( ) ( ) ( ) (

    ) A G A A L A A y A A x A A i i i i N k p p k c c k y y k x x = − = − = − = − 流束 NA を求めたいが、気液界面に関する特徴量 (pAi , cAi , yAi , xAi ) が わからない・・・
  7. 二重境膜説 総括物質移動係数の式 12 ( ) ( ) ( ) (

    ) A G A A L A A y A A x A A i i i i N k p p k c c k y y k x x = − = − = − = − ( ) ( ) A G A A L A A y A A x A A 1 1 N K p Hc K p c K y mx K y x H m     = − = − = − = −         ヘンリーの法則+式変形 どうして難しい式変形するの︖︖ 気液界面に関する特徴量 (pAi , cAi , yAi , xAi ) はよくわからないが、 pA , cA , yA , xA やヘンリー定数なら求められるから︕
  8. 二重境膜説 どうして*使うの︕︖ 14 ( ) ( ) ( ) (

    ) A G A A L A A y A A x A A i i i i N k p p k c c k y y k x x = − = − = − = − ( ) ( ) A G A A L A A y A A x A A 1 1 N K p Hc K p c K y mx K y x H m     = − = − = − = −         ヘンリーの法則+式変形 実用上は、これでOK︕ ただ、上の式のように圧⼒差とか濃度差とで下の式も表すことで、 同じ “⾒た目” になる︕(⾒た目⼤事)
  9. 二重境膜説 気液平衡 15 気液界面 液体(液相) 気体(気相) ガス境膜 液境膜 ガス本体 液本体(バルク)

    pA , yA pAi , yAi cAi , xAi cA , xA A A i i p Hc = A A i i y mx = ヘンリーの法則 A A * p Hc = A A * p Hc = A A * y mx = A A * y mx = ヘンリーの法則 ヘンリーの法則 ガス本体にも気液界面が あるとすると・・・ 液本体にも気液界面が あるとすると・・・
  10. 二重境膜説 式変形 16 ( ) ( ) ( ) (

    ) A G A A L A A y A A x A A i i i i N k p p k c c k y y k x x = − = − = − = − ( ) ( ) A G A A L A A y A A x A A 1 1 N K p Hc K p c K y mx K y x H m     = − = − = − = −         ヘンリーの法則+式変形 ⾒た目もOK♪ ( ) ( ) ( ) ( ) A G A A L A A y A A x A A * * * * N K p p K c c K y y K x x = − = − = − = − ヘンリーの法則
  11. 二重境膜説 総括物質移動係数の式 17 G G L L G L y

    y x x y x 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 H K k k K Hk k m K k k K mk k = + = + = + = + ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) A G A A L A A y A A x A A G A A L A A y A A x A A * * * * i i i i N k p p k c c k y y k x x K p p K c c K y y K x x = − = − = − = − = − = − = − = − NA [mol・m-2・s-1]︓Aの(物質)流束 kG , kL , ky , kx ︓境膜物質移動係数 KG , KL , Ky , Kx ︓総括物質移動係数
  12. 二重境膜説 物質移動抵抗 物質移動係数の逆数・・・・物質移動抵抗 • ガス側の抵抗 + 液側の抵抗 19 G G

    L L G L y y x x y x 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 H K k k K Hk k m K k k K mk k = + = + = + = + 全体の抵抗 ガス側の 抵抗 液側の 抵抗
  13. 前回の問題① 21 25℃, 1 気圧で空気中のNH3 を水で吸収させるとき、気相(ガス)の 総括物質移動係数 Ky が0.18 mol・m-2・s-1であった。また

    NH3 の液相の物質移動係数 kx は 1.5 mol・m-2・s-1であった。 ky はいくつか︖また、NH3 が水に溶けるときの気相の抵抗の割合は いくつか。 次に、この操作条件で O2 と NH3 の kx と ky の値が変わらないと 仮定すれば、O2 が溶解するときの気相の抵抗の割合はいくらか。 ただし、NH3 -水系で m = 0.90, O2 -水系で m = 4.4×104 とする。 オーム社『新体系化学⼯学 分離⼯学』p.98【例題4.8】にもとづいて作成
  14. 解説① 22 y y x 1 1 m K k

    k = + より、 y y x 1 1 1 0.90 4.95 0.18 1.5 m k K k = − = − = ⋯ よって、 y 1 0.202 4.95 k = = ⋯ 気相の抵抗の割合は、 y y y y 1 0.18 0.891 0.89 1 0.202 k K k K = = = = ⋯
  15. 解説① 23 O2 -水系では、 4 4 y y x 1

    1 1 4.4 10 2.93 10 0.202 1.5 m K k k × = + = + = × ⋯ 5 y 4 1 3.41 10 2.93 10 K − = = × × ⋯ よって、 気相の抵抗の割合は、 5 y y 4 4 y y 1 3.41 10 1.68 10 1.7 10 1 0.202 k K k K − − − × = = = × = × ⋯
  16. 解説② 25 y y x x y x 1 1

    1 1 1 m K k k K mk k = + = + 全体の抵抗 ガス側の 抵抗 液側の 抵抗 液体の溶解度が⼩さいということは、ヘンリーの法則 より m が大きいことを意味する。 よって、液側の抵抗が大きく、支配的になる A A i i y mx =
  17. 吸収塔の設計 設定 30 全体 NA GT , yT LT ,

    xT GB , yB LB , xB x y x+dx y+dy 0 [m] z [m] z+dz [m] Z [m] 微⼩区間 x y x+dx y+dy dz [m] 断面積 A [m2] 比表面積 a [m2・m-3] (単位体積 あたりの 気液が接触 する面積) y xi x yi NA 界面近く 界面 NA
  18. 吸収塔の設計 設定 31 GT [mol・m-1]︓塔頂のガス流量 yT [-]︓塔頂ガスの成分Aのモル分率 LT [mol・m-1]︓塔頂の吸収液の流量 xT

    [-]︓塔頂吸収液の成分Aのモル分率 GB [mol・m-1]︓塔底のガス流量 yB [-]︓塔底ガスの成分Aのモル分率 LB [mol・m-1]︓塔底の吸収液の流量 xB [-]︓塔底吸収液の成分Aのモル分率 y [-]︓成分Aのガスのモル分率 x [-]︓成分Aの液のモル分率 NA [mol・m-2 ・s-1]︓成分Aの物質流束 *比表面積 ・・・単位体積あたりの、 気液が接触する面積 T : Top B : Bottom
  19. 吸収塔全体の物質収⽀ 吸収塔全体の全物質 吸収塔全体の成分A 35 B T T B G L

    G L + = + B B T T T T B B G y L x G y L x + = + 成分Aの濃度が希薄であり、空気などの⼀緒のガスが吸収液に 溶ける量を無視できるとすると、 GB = GT = G (⼀定)、 LB = LT = L (⼀定) として、 ( ) ( ) B T B T G y y L x x − = − (参考) Aの濃度が希薄でないときは、x, y の代わりに X, Y を用いる , 1 1 x y X Y x y = = − −
  20. 吸収塔の 0 から任意の z までの物質収⽀ 吸収塔の z = 0 から

    z = z までの物質収⽀式を⽴ててみよう ただし、 GB = GT = G (⼀定)、 LB = LT = L (⼀定) とする ただし、ガスの成分Aのモル分率を y、液のAのモル分率を x とする 36
  21. 吸収塔の操作線 37 ( ) ( ) T T T T

    G y y L x x L L y x y x G G − = − = + − 任意の位置 z におけるガス組成 y と液組成 x の関係を表す式 ・・・操作線 操作線が、(xT , yT ) と (xB , yB ) を通ることを示してみよう
  22. 吸収塔の操作線 38 T T L L y x y x

    G G = + − に、x = xT を代入すると、 T T T T L L y x y x y G G = + − =
  23. 吸収塔の操作線 39 T T L L y x y x

    G G = + − に、x = xB を代入すると、 B T T L L y x y x G G = + − ( ) ( ) B T B T G y y L x x − = − 吸収塔全体のAの物質収⽀より、 よって、 B T T B L L y x y x y G G = + − =
  24. 気液平衡線と操作線 40 yB xT x yT y 気液平衡線 y =

    mx 塔頂 B 塔底 塔底 xB 塔頂 T 操作線 傾き: L / G P ピンチ ポイント 操作線の 傾き最⼩ xB * =yB /m
  25. 最⼩液ガス比 操作線の傾きは L/G であり、液とガスの比 (液ガス比) 液ガス比 L/G を⼩さくすると、操作線の傾きが⼩さくなり、 ピンチポイント P(

    xB *, yB )=( yB /m, yB ) で交わる このときの液ガス比が最⼩液ガス比であり、以下の式で表される このときの液量が最⼩液流量 41 min T * B T B y y L G x x −   =   −   最⼩液ガス比︓
  26. 微⼩区間の物質収⽀ 微⼩区間 ( z 〜 z + dz ) における

    • 気相 • 液相 における物質Aの物質収⽀式を⽴ててみよう ただし、 GB = GT = G (⼀定)、 LB = LT = L (⼀定) とする 43
  27. 微⼩区間 (z〜z+dz) における物質収⽀ 気相 45 ( ) A d d

    G y y Gy N aA z + = + Adz・・・微⼩区間の体積 上から出る量 液に吸収される量 z [m] z+dz [m] x y x+dx y+dy dz [m] 断面積 A [m2] NA 下から入る量 界面の比表面積 a [m2・m-3] aAdz・・・微⼩区間の界面の面積 NA aAdz・・・液に吸収される量
  28. 微⼩区間 (z〜z+dz) における物質収⽀ 液相 46 Adz・・・微⼩区間の体積 上から入る量 液が吸収する量 z [m]

    z+dz [m] x y x+dx y+dy dz [m] 断面積 A [m2] NA 下から出る量 界面の比表面積 a [m2・m-3] aAdz・・・微⼩区間の界面の面積 NA aAdz・・・液が吸収する量 ( ) A d d Lx N aA z L x x + = +
  29. 二重境膜説 濃度・分圧の関係 48 pA , yA pAi , yAi cAi

    , xAi cA , xA c, x cA *, xA * pA *, yA * p, y 液相駆動⼒ (液相基準) 総括駆動⼒ (気相基準) 総括駆動⼒ 気相駆動⼒ 液本体 界面 (ガス本体) ガス 本体 界面 (液 本体) 気液平衡線 y = mx