Upgrade to Pro — share decks privately, control downloads, hide ads and more …

Google Cloud AI Agent Summit '25 Fall Recap

Google Cloud AI Agent Summit '25 Fall Recap

2025.11.07のチーム勉強会にて発表

Avatar for ツルオカ - Hideki Tsuruoka

ツルオカ - Hideki Tsuruoka

November 06, 2025
Tweet

Transcript

  1. Contents • AI Agent Summit '25 Fall Recapとは • 参加レポート

    ◦ Gemini CLIとGemini Enterprise ◦ Build the Foundational Layer for AI Agents ◦ AI エージェント時代のソフトウェア開発論 ◦ ZOZOのGemini CLIの全社利 用 ◦ DeNA のAI Workspace構想 • まとめ
  2. • Google Cloud主催のAIエージェントに特化したオンライン/ハイブリッドイベント。季節ごとに開催(SpringとかSummerも) • 1 日目 : ビジネスリーダーや意思決定者を対象とした、AIエージェントのビジネス活 用 に関するセッションが中

    心 。 • 2 日 目 : 開発者を対象に、独 自 のAIエージェント構築のTips、技術的なユースケース、動画 生 成AIや画像 生 成AIなどのテーマが中 心 AI Agent Summit ’ 25 Fallとは 3 基調講演や 一 部セッションはアーカイブから確認できます https://cloudonair.withgoogle.com/events/gcai-agent-summit-25-fall
  3. • 目 的: AI Agentの利 用 ケースや最新トレンドのキャッチアップなど。2 日目 のみ参加。 •

    所感: 全体的に 小 規模でAI Agentの活 用 事例やよく知っている技術紹介の話など。個 人 的にはZOZOの組織導 入 の裏側、DeNA事 業戦略の考え 方 、書籍エージェントの話が良かった(後述)。 参加 目 的と所感 4 ↑ 一 応ブース出展もあるが、 見 ての通り 小 規模で20個もな かったような規模感。クラウドエースやG-genなどの Googel Cloudの導 入支 援企業をはじめ、伊藤忠の開発機能 会社など規模も様々であった。どの企業も「GWSやAIエー ジェント導 入支 援」をウリにビジネスしているみたいで、困 りごとや導 入 可否について質問されるなど。 ←渋 谷 駅から徒歩10分とまあまあの距 離。 会場は1FとB1Fのツーフロアであまり 大 き くなく、年 一 回の 大 規模カンファレンスと 比 べるとかなり 小 規模。 しかも当 日 は 雨 +ハロウィン交通規制など で帰宅はかなりカオスな1 日 に、、。
  4. • GWSのエンプラ向けGeminiアドオン: 組織内に分散しているドキュメント、メール、チャット履歴などのデータを横断検索。AI エージェント機能により、カレンダーの登録やその他のタスクなどを 人 間の代わりに実施。 • 元々、Google Cloud上にあったAgnetspaceもGemini Enterpriseに統合されGWS管理でアドオンできるようになった

    Gemini Enterprise 5 https://cloud.google.com/gemini-enterprise?hl=ja ビジネスユーザー: ノーコードでエージェント作成できるAgent Designerで、 自 然 言 語 でエージェント開発。 エンジニア: 開発ツールキットのAgent Development Kit(ADK)で複雑な要件へ対応
  5. • Gemini CLI Extensionsの登場とJules統合による、Gemini CLIの進化とコーディング業務の委譲 Gemini CLI(Extensions, Jules統合) 6 Gemini

    CLI Extension: 2025/10/8に発表された Gemini CLI 用 の拡張機能。MCPとかContextとか を 手 動追加ではなく、”拡張機能”としてワンラインで 追加でき、使いやすさUP、管理コスト減。 Jules: Googleが提供する 非 同期型AIコーディングエージェント。開発者の代わりにバグ修正、テストコードの 生 成、新機能の実装、依存関係の更新などのタスクを 自 律的に実 行 し、GitHubのプルリクエストとして提案でき る。クラウド上の仮想マシンで動作し、プロジェクト全体のコードベースを理解して作業計画を 立 てることがで きます。開発者はその計画を承認または修正する形で協業。このJulesがGemini CLIに統合され、コーディング 系タスクは、委譲し別プロセスで処理するような動きを 見 せる。
  6. • デモでは「Gemini CLI」でコーディングするのと変わらなくないか?と思うかもしれない • Julesを使うことで 非 同期で並列処理(バックグラウンド実 行 )できるようになる(クラウド上仮想マシンで実 行

    される) • が、Claude CodeのサブエージェントやCodexでも並列実装はできるので優位性とは 言 えず Gemini CLI + Julesでパラレル(並列)実装が可能に 9
  7. • AgentEngineの 生 みの親 Huanc Xia 氏 による、AI Agent実装と活 用

    の概略。 • AIエージェントを取り巻くインフラ層の理解とAgent EngineとADKでの開発 Build the Foundational Layer for AI Agents 1/2 10 https://www.linkedin.com/in/huangxia/ 週末に開発したとされるAIアシスタン トの「EMILY」と共同でプレゼン(発 表は英語だが”~ in Japanese”と依頼 して要所に 日 本語訳して聴衆者の理解 を助けていた) GoogleのAI Agent Builder: フレームワーク、デプロイ環境、インタフェー ス、プロトコル、LLMまですべて持っている
  8. • 1. 実 行 ループ ◦ 外部から「Event」が発 生 すると、「Session Service」が

    受け取り、「Memory Bank」に記憶が蓄積 ◦ この情報は「Context」として「ランタイム」のエージェン トに供給され、エージェントは「Plan, Execute, Observe」 のループを回す。 ◦ ユーザーがエージェントと対話し、タスクが実 行 される 「今、 目 の前で起こる」ループ • 2. 学習ループ ◦ 蓄積されたデータは「Autorater」や「Sandbox」で評価・ 分析され、「Example Store」に蓄積。これがエージェン トの継続的な学習に利 用 される。 ◦ →実 行 ループの結果(対話ログ)をシステムが 自 動で分析・ 評価し、エージェントを賢くする「裏側で回る」ループ • 3. 開発ループ ◦ エージェント全体のパフォーマンスを開発者が評価し、エー ジェントのロジック 自 体を修正・改善する「開発者の」ルー プ ◦ 「開発者」はエージェントを「Develop」し、「Deploy」 する。ランタイムでの実 行 結果が「Evaluate」としてフィー ドバックされ、次の改善サイクルにつながる。 ◦ →エージェント全体の性能を開発者が評価し、エージェント のロジック 自 体を修正・改善する「ローカル」のループ Build the Foundational Layer for AI Agents 2/2 11 PoC段階でここまで複雑な構成をとることは少ないと思うが、AIエージェント開発がどういうループで 全体像はどう構成されているのかを把握しておくのは 大 事。特に学習ループやEvalは 見 落とされがち。
  9. • 名著「エンジニアリング組織論の招待」の著者。新作も近々発売予定らしく、書籍執筆をAIエージェントでどう効率化したかの話 • 具体例は後半少しで、前半の話が 示 唆的で学びになる内容が多かった。いくつかピックアップ。 AI エージェント時代のソフトウェア開発論 12 "*ΤʔδΣϯτ࣌୅ͷιϑτ΢ΣΞ։ൃ࿦Šॻ੶ࣥචͰ࣮ূͨ͠ʮഒͷੜ࢈ੑʯΛ࣮ݱ͢Δڠಇ։ൃϓϩηεŠ

    ref. https://cloudonair.withgoogle.com/events/gcai-agent-summit-25-fall/watch?talk=25q4-d2t4-session1 AI使うと 生 産性10倍UP!のつもりが、実は3倍程度に 収まっているのが現実で、まとまった作業時間は必要 としないが、その分レビューや確認の時間がこまめに 訪れて脳が疲弊する頭脳労働に陥っている。 AIエージェントを使うと 自 分のマネジメント適性が 見 えてくるとう話。確かに、放任主義とかパ ワハラ気質とか、マイクロマネジメント派とか、いろいろ 自 分の傾向が 見 えてくるので、ある意 味での現場の中間管理職としての経験が詰めて、キャリアショートカットができる。 度肝を抜かれたのが、1on1とか 日 頃の会 話とか考えをすべてデータ化して残してい て、そこからインサイト抽出して NewsPicksの連載やブログ、SNS投稿な ど 自 動でやっているらしい。 日 頃の 生 活 や業務でにじみ出た 自 分の考えや思考法 がそのまま発信されるこのワークフロー 強い。
  10. • CTO瀬尾 氏 より、組織における 生 成AI利 用 のシステム 面 ・カルチャー

    面 での仕組みづくりに対するプラクティカルなノウハウ • ドコモではガバナンス整理含めてCCoEが 一 元管理しているが、「 自 分でこれから組織作るなら」の観点で参考になるはず • 要は世の中のテック企業は、ルールを作っている 人 も管理している 人 もエンジニア出 身 (または現役)なのでモダンかつ効率的な 運 用 が構築されている ZOZOのGemini CLIの全社利 用 13 (FNJOJ$-*ͷશࣾར༻Λࢧ͑Δٕज़ ref. https://techblog.zozo.com/entry/technologies-supporting-company-wide-use-of-gemini-cli ZOZOにおけるコーディングAIの導 入 変遷。登場と同 時に積極的に試験運 用 し、良いものがでてきたらすぐ に取り 入 れ、世の中から遅れを取らないような組織づ くりがなされていた。よく 見 ると分かるが、リリース とほぼ同時期にそれぞれ導 入 →展開されている。 利 用 申請はyamlファイルに 自 分のアドレスを 入 れ てPR投げるだけ。管理者の承認がされれば、トリ ガーでterraformが発 火 しVertex AIが利 用 できる ようになる。 非 常にシンプル!とにかくこういう トイル作業を減らしていく意識が組織を管理する 立 場の 人 間にあるのかという点も 大 事。 モニタリングのアーキテクチャ。試験導 入 のハー ドルは限りなく低い 一方 でモニタリングで予算超 過や不正利 用 を対策。とりあえず早期に利 用 さ せ、しっかりした運 用 でリスク管理。AIツールは コロコロ変わるので、これくらいフットワーク軽 いのが丁度よいのかも。
  11. • DeNA 統括部 長 加茂 氏 による、DeNAのAIオールインの実 行 のプラクティカルな話。5階建て垂直AI戦略の2階を指す。 •

    AI Workspaceの中 心 にはGoogleWorspsaceやGemini Advanced, Google Cloudがある DeNA のAI Workspace構想 1/4 14 ref. https://cloudonair.withgoogle.com/events/gcai-agent-summit-25-fall/watch?talk=25q4-d2t4-session4 %F/"ͷࣄۀઓུͱۀ຿վળΛେ෯ʹՃ଎͢Δ(FNJOJ "*"HFOU.$1ʹΑΔ"*8PSLTQBDFߏ૝ これ 自 体はポピュラーな構成で特筆する内容ではないが、 DeNA規模の組織でちゃんと既存システムと接合しながら運 用 できていることに価値がある(と思う)。オンプレ中 心 の 社内システムだとこの辺りのスピード感や臨機応変さについ ていけない(Kintoneが早期にMCPサーバー対応したこと で構成難易度が下がったという話も)。
  12. • 業務プロセス改善でのビルドトラップとして、 人 間の既存ワークフローを効率化して置換する枝葉の限定的な効果に注 目 しがち • AI活 用 はデータ主軸で考えればほとんどの問題は解消できる

    DeNA のAI Workspace構想 2/4 15 ref. https://cloudonair.withgoogle.com/events/gcai-agent-summit-25-fall/watch?talk=25q4-d2t4-session4 %F/"ͷࣄۀઓུͱۀ຿վળΛେ෯ʹՃ଎͢Δ(FNJOJ "*"HFOU.$1ʹΑΔ"*8PSLTQBDFߏ૝ 業務A 業務C 業務D 業務B 業務A 業務E( 人 間ではできなかったこと) 業務A 業務C 業務D 業務B 効果は限定的 従来の業務 業務プロセス そのものを 見 直す 例)あるプロジェクトの失敗要因を直近の週次定例1年分の議事録を全部読んで整理 従来のサイロ化された業務プロセスを 一 元管理することで「ア ドホック事業分析」というAIドリブンな業務プロセスが誕 生
  13. • DeNAの申請ワークフローはkintone中 心 にすべて法務確認以外はほぼすべて 自 動化。 • 例えば、「AIツールの〇〇が使いたい」といった申請も、即 日 から試

    用 できるような体制になっている DeNA のAI Workspace構想 3/4 16 ref. https://cloudonair.withgoogle.com/events/gcai-agent-summit-25-fall/watch?talk=25q4-d2t4-session4 %F/"ͷࣄۀઓུͱۀ຿վળΛେ෯ʹՃ଎͢Δ(FNJOJ "*"HFOU.$1ʹΑΔ"*8PSLTQBDFߏ૝ BD室でも最近導 入 された「契約書のテンプレート選択 支 援」のような 小 さな成功体験を詰んでいくのももち ろん 大 事だが、それだけだとふとしたタイミングで「それって費 用 対効果あるの?」という 人 が現れる。業務 にかかった稼働削減を定量的に報告するのも1案だが、より包括的な業務フロー全体を改善できるとAIのケイ パビリティのフル活 用 に近づく。例えば、過去の似た申請から内容コピーして持ってくるとか?
  14. • 業務プロセスとデータ活 用 は分離して考え、データをコンテキストに変換する接合するデータマネジメントがAI活 用 には最重要 DeNA のAI Workspace構想 4/4

    17 ドコモサービスでいうとLLM基盤を持つSI部とデータ基盤を持つDP部が協 力 してコンテキスト整理する動きが理想的(?) (すでに実 行 されているのかも知れないが) 「AI時代におけるデータマネジメントの重要性」はhandsのデータ分析 支 援の 方 向性を拡張するヒントになるかも(?) (もちろんイニシアチブ持って 自 由に扱えるデータであることが重要) 非 公開
  15. • CTOや統括部 長 などメガベンチャー規模の組織でAIがどう浸透されていて活 用 されているのか基準が知れた ◦ 弊社も導 入 はできているものの、まだまだ改善の余地はありそう(DREAMSにあるデータをコンテキストに

    入 れられれば可能性 広がりそうだが実現ハードルは 高 そう) • Gemini CLIやADKなどは、 日 頃情報追っていることもあって 目 新しい発 見 はあまり得られず ◦ 8 月 にGoogle I/O2 日 間や+AI Prism参加したりで、最近Google Cloudのイベント頻繁に参加していることも影響してそう • Geminiも頑張っているが、ことコーディングに関してはClaude Code, Codexにはまだ届いていない感はある ◦ 「Googleの新規コードの30%はAIで書かれている」とかもよく聞く話だが、「本当にGemini使っている?(≒裏でClaude Code使ってるよね)」みたいな冗談交じりな会話もSNSで 見 受けられた。 ◦ Julesは今でもとにかく遅い • Gemini 3.0が年内にリリースされるみたいなので期待して待機。 まとめ 18 出るぞ出るぞを 言 われ続けて数ヶ 月 、今 月 あたりには 来そうな予感。Vertex AIのコードに埋め込まれている のを 見 つけた 人 も↓。