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ソフトウェアテストにおける 発想支援ツールの活用

Akira Ikeda
September 09, 2010

ソフトウェアテストにおける 発想支援ツールの活用

日本IE協会での講演資料。

Akira Ikeda

September 09, 2010
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Transcript

  1. 2 自己紹介 • 名前:池田 暁(いけだ あきら) • 所属:某製造業 ソフトウェア開発技術導入支援部門 •

    職歴:入社後、組込みシステムの設計、ソフトウェア品質保証業務を経て、 現在は設計/テストツールの導入や、プロセス改善に関する業務に 従事。最近は変更・構成管理ツールの社内普及を担当。 • 社外活動 − 委員等 • 筑波大学 大学院 高度IT技術者育成コース 非常勤講師 • NPO法人ASTER(ソフトウェアテスト技術振興協会) 理事 • JaSST(ソフトウェアテストシンポジウム) 実行委員 • WACATE(ソフトウェアテストワークショップ) 実行委員長 • 日科技連・日本品質管理学会共同部会 SQuBOK策定部会 策定メンバ • 日本品質管理学会・ACM 正会員 − 執筆活動(単行本) • ISTQBシラバス準拠 ソフトウェアテストの基礎、センゲージラーニング、2008 • ソフトウェアテスト入門 押さえておきたい<<要点・重点>>、技術評論社、2008 • ソフトウェア品質知識体系ガイド―SQuBOK Guide、オーム社、2007 • マインドマップから始めるソフトウェアテスト、技術評論社、2007
  2. • 書籍 − 「マインドマップから始めるソフトウェアテスト」,池田暁,鈴木三紀夫 ,技術評論社,2007 − 「ソフトウェアテスト入門」,秋山浩一,池田暁ら,技術評論社,2008 • 関連記事等 −

    ソフトウェア・テストPRESS •vol.3 マインドマップから始めるテスト設計 •vol.4 マインドマップから始めるテストケース設計 •vol.5 紙上体験企画「マインドマップから始める テストケース設計」実況セミナー − Gihyo.jp •ソフトウェアテストとマインドマップのちょっとイイ関係 ( http://gihyo.jp/book/pickup/2007/0065 ) − 書評・書籍紹介 •浅海智晴様(マイコミジャーナルに掲載) − マインドマップでテスト仕様の理解を深めろ ( http://journal.mycom.co.jp/articles/2007/07/26/mindmap/ ) •生井俊様(@ITに掲載) − テスト工程の全体を知り、その勘所を理解するマインドマップの活用法 ( http://www.atmarkit.co.jp/im/news/books/ ) •日経SYSTEMS 2007年9月号 新刊紹介 マインドマップの活用法の研究と実践について 3
  3. はじめに •本日お話しすること − ここ数年IT業界で導入がすすむ発想支援ツール「マインドマップ」 を紹介します − マインドマップをソフトウェアテストへの活用手法を紹介します •皆様には手を動かしていただきます − マインドマップで議事録を作成してみよう

    − マインドマップを使ってディスカッションしてみよう •本日の目標 − マインドマップがどういったツールか理解する − マインドマップを使った作業のイメージを持つ − マインドマップを使ったコミュニケーションのイメージを持つ 以上を気楽な雰囲気ですすめていきます どうぞ,肩の力を抜いてゆったりとしてください 4
  4. •企業での導入 − ルイ・ヴィトン,ディズニー,マイクロソフト,コカコーラ・IBM ,国内大手… − ボーイング社 •飛行機のマニュアルを7mのマインドマップ化 •研修期間を2年から2週間に短縮,年間1000万ドルの削減 •教育・医療 −

    フィンランドの小学校で基礎教育,国内でも教育活動 − 精神病の治療に活用 •スポーツ − 日本サッカー協会の研修にて活用,元日本代表岡田監督も愛用 •他の応用 − フォト・リーディング •発案者のポール・シーリィはマインドマップ愛用 マインドマップ界隈の動き 7
  5. •品質保証部門に移ったとき − あるソフトウェア製品の検査時 − どのような観点から検査すべきか検討を行っていた •最初はツリー図のようなもの − トップレベルが出てこない,また,上位レベルに引きずられる − ツリー図は整理するものとの刷り込み

    •もっと一人ブレストに使えるツールが欲しい − そんなときマインドマップと出会った •マインドマップは紙とペンがあればできる − ルールも最低限,自由度が高い •すぐに取り組め,以来使い続けている − 実際はマンダラートなどと併用 私のマインドマップとの出会い 8
  6. •発想[名](スル) ① 物事を考え出すこと。新しい考えや思いつきを得ること。 また、その方法や、内容。 ② 芸術作品など、表現のもとになる考えを得ること。 ③ 音楽で、楽曲のもつ気分や情緒を緩急・強弱などによって表現すること。 •発想[名](スル) ①

    あることを思いつくこと。また、その思いついた考え。思いつき。 ② 考えを展開させたり、まとめたりして形をとらせること。 ③ 音楽で、楽曲の曲想・緩急・強弱などを表現すること。 マインドマップに入る前に…… 辞書を引いてみよう 10 発想 = 思いつき(発散) + まとめ(収束) + 表現 マインドマップで支援
  7. 11 マインドマップとは? •トニー・ブザンにより考え出された図解技法 − 脳の仕組みを取り入れたもの − 思考に沿って描いていく − イメージ(図)を重要視する −

    発想力を生かす − 自分の深層意識にアクセスする Wikipediaによる解説 表現したい概念の中心となるキーワードやイメージを図の中央に置き、そこから放 射状にキーワードやイメージを繋げていくことで、発想を延ばしていく図解表現技法。 この方法によって複雑な概念もコンパクトに表現でき、非常に早く理解できるとさ れ、注目され始めている。 人間の脳の意味ネットワークと呼ばれる意味記憶の構造によく適合しているので、 理解や記憶がしやすい。 また本来は紙とペンで描くものだが、コンピュータ上で描くための専用ソフトウェア もいくつか存在する。
  8. 12 マインドマップの特徴 •マインドマップには以下のような特徴がある − バードビュー •全体を俯瞰し易い − 学習が容易 •基本的なルールは単純で、紙とペンがあれば始められる −

    半構造 •フリーなルールであるために、柔軟に構造を変更可能 − プレイバック効果 •あとで、「なぜそう考えたか」「何を描いたか」などを思い出しやす い − 発想力が刺激される •描いているうちに他の項目との関連などから新たな発想が生まれやす い •自分の深層意識にアクセスし、情報を引き出す − 思考の流れが絵として表現される(見える化) •中心から外に対して思考が放射的に広がる
  9. 13 マインドマップは発散思考のツール •マインドマップは発散思考のツールである − 日本国内では、ノート術として広まってしまったため、議事録の ためのツールと理解している人も多い(!)が、実際はブレーン ストーミングのような発散思考ツールの性格が強い •すでにあるものを整理するツールではない! − 思いつきを得る

    − 自分にとってモヤモヤとした、つかみ所のないものをイメージ・ 具象化する •抽象度の高いものやまだ形のないものを検討する ことに大きな効果 − 収束するには別のツールを使うことをおすすめ − マインドマップはブレストツールと割り切ったほうが,作業上は 使いやすい
  10. マインドマップの12のルール 1. 無地の紙を使う 2. 横長で使う 3. 中心から描く 4. テーマはイメージで描く •

    枠なし • 縦横3~5センチ× 3~5センチ • 3色以上で 5. 1ブランチ=1ワード • ブランチの上にワードを描く • ブランチとワードは長さを揃える 6. ワードは単語で描く • フレーズで書かない • ワードの階層付け 7. ブランチは曲線で • メイン・ブランチは… • テーマイメージにつなげる • サブ・ブランチをつなげる • サブ・ブランチの太さを変化(太い→細い)させ る • 分岐は45度ほどの角度をつける 7. 強調する • シンボルイメージを描く • 3Dで描く(立体的に) • 飾り文字をつける • カラフルに描く 8. 関連付ける • 矢印を使う • 記号を使う • アウトラインで囲む 9. 独自のスタイルで • ブランチの強調の仕方,イメージの書 き方など自分のスタイルを発見しよう 10. 創造的に • ユーモラスなイメージを使う • 記憶をうながすように 11. 楽しむ! William Reed著「記憶力・発想力は驚くほど高まるマ インドマップ・ノート術」,フォレスト出版,から引用 14
  11. •マインドマップには二つのスタイルがある − 自由記述型 •ルール無しに自由に描いていく •ひたすら思考を発散させながら思いつくままに描いていく − ブレーンストーミング向き •抽象レベルを特に意識しなくても良い(いくらでも詳細化できる) •発散した思考は,別プロセスで収束させる必要がある −

    テンプレート型 •メイン・ブランチ,ブランチのひな形を使う •ゆるやかなルールが存在していることが多い − 情報の分析や整理に使われることが多い(系統図っぽく使われる) •抽象レベルが固定されることが多い •思考がテンプレートに縛られるため,自由記述型に比べて発想力は落 ちる 自由記述かテンプレートか 16 何をどう検討するかで,スタイルを選択する
  12. 自己紹介を書いてみましょう •テーマをしっかりと考える − イメージを頭の中に作ることを意識し,それを神に転写する •メインブランチをまず考える − いきなり深堀をしない(ひとつのブランチを伸ばさない) − 全体のバランスを考えながら描いていく −

    バランスが悪いところは,もう少し考えてみる − 考えすぎずに描いていく •思いついたらとりあえず描く •ブランチに紐づかないことでも,余白に描いておく − あとでつなげればよい − 発想が出なくなったら俯瞰してみる •関係やグループを意識してみる •他のブランチから発想する − イメージを入れる 17
  13. 二人で使う場合(上司と部下の場合) •若手(特に新人)は自分の考えを説明できない − 自分の考えをまとめられない − 人への説明自体になれていない(補助輪が必要) •上司は若手の考えを理解出来ない − 脈絡のない説明 −

    どこでつまづいているのか聞かないとわからない − 思考タイプが把握出来ていない •自分・相手の思考が見えることで… − 相手に自分の思考を順を追って説明できる − 相手の意図を理解しやすい 22
  14. 多人数で使う場合 •多人数の会議ではなかなかまとまらない − 空中戦が多発 − 質問が質問を呼び,元の話題に戻れない •全員の思考が見える,合わせることで… − 相手の発言の根拠や背景が理解できる −

    思考の流れが見えるので脱線しにくい,元に戻りやすい − 完成したマインドマップは,思考の合意でもあるため,チームが 意思レベルで合意しやすい •ホワイトボードや模造紙を利用 − 概ね4人くらいから。 − 一般的なブレーンストーミングの手法も 適用する 23
  15. 27 参考文献 • マインドマップ − トニーブザン:『ザ・マインドマップ』、ダイヤモンド社、2005 • 3色ボールペン − 斎藤孝:『3色ボールペンで読む日本語』、角川書店、2002

    • ソフトウェアテスト with マインドマップ − Akira Ikeda:『Using MindMap for Software Testing Activities」、2008 The 1st Tianjin International Conference on Software Testing(Tianjin、China)、 2008 − Micky Suzuki、Akira Ikeda、:『Using MindMap for Software Testing Activities」、2007 ASTA International Software testing conference(Seoul、 Korea)、2008 − 池田暁、鈴木三紀夫:『マインドマップから始めるソフトウェアテスト』、技術評 論社、2007 − 池田暁、鈴木三紀夫:『マインドマップから始めるテスト設計 実況セミナー』、ソ フトウェアテストPRESS vol.5、技術評論社、2007 − 池田暁、鈴木三紀夫:『マインドマップから始めるテストケース設計』、ソフト ウェアテストPRESS vol.4、技術評論社、2007 − 池田暁、鈴木三紀夫:『マインドマップから始めるテスト設計』、ソフトウェアテ ストPRESS vol.3、技術評論社、2006 − 池田暁、鈴木三紀夫:『3色ボールペンとマインドマップの活用』講演資料、 JaSST’06 Osaka、2006 #本資料に登場する会社名、製品名などは、一般に各社の登録商標または商標です.