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体系を学び、プロセスを測る_一般公開版
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Akira Ikeda(池田 暁)
October 09, 2026
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体系を学び、プロセスを測る_一般公開版
某イベントでの講演資料を一般公開版にしたものです.
Akira Ikeda(池田 暁)
October 09, 2026
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Transcript
クオリティアーツ 体系を学び,プロセスを測る 改善プロジェクトの両輪 一般公開版 クオリティアーツ 池田 暁 第1部 第2部 2026年10月
© 2026 クオリティアーツ ※ 書影は書誌情報の紹介という目的の範囲で引用しています(著作権法第32条).
はじめに 自己紹介 本日お話しする池田について.ここはさっと飛ばします この部でお話しすること 0-1 池田 暁 について 0-2 経歴:技術ドメインの変遷
0-3 社外活動 0-4 主な著訳書 0-5 直近(2026年)にやったこと 0-6 クオリティアーツ 体系を学び,プロセスを測る:改善プロジェクトの両輪 © 2026 クオリティアーツ 2
0-1 池田 暁 について 開発とテスト,現場と経営:そのどちらも見てきました 両 池田 暁 作る側も,測る側も 組込みの開発・品質保証から,技術導入のコンサルティングまで.
開発とテストの両方を現場でやってきました いけだ あきら クオリティアーツ 代表 層 現場も,経営も SQE・CQO・CTO として,現場の改善と, 組織としての意思決定の両方に立ち会ってきました 専門 ソフトウェアの品質とテストを中心に,ソフトウェアエ ンジニアリング全般 いまの関わり NPO法人ASTER 理事 (2006年〜) 書 書く側として 本日お話しする「白い本」と SQuBOK は, どちらも訳者・著者として中に入ってきたものです 日科技連 SQiP SQuBOK V3 策定部会 テスト技術領域リーダー 日本品質管理学会 代議員(2023年〜) ソフトウェア・シンポジウム SS2024 実行委員長 ほかに AFFORDD 運営委員,JaSST東京・九州 実行委員,WACATE の立ち上げ,NaITE(長崎IT技術者会)代表 など(0-3) 外から紹介するのではなく,中に入ってきた立場からお話しします 体系を学び,プロセスを測る:改善プロジェクトの両輪 © 2026 クオリティアーツ 3
0-2 経歴:技術ドメインの変遷 業界は変わってきましたが,やってきたことは一貫しています(日立グループの3つは在籍中の担当変更) 情報通信系 ▶ 医用系 自動車系 ▶ HR系 ▶
▶ Fintech系 SIer系 ▶ 日立グループ 日立グループ 日立グループ HR系 SaaS Fintech系 SaaS 受託系(創業60年) 日立通信システム 日立ハイテク 日立Astemo ビズリーチ マネーフォワード NDKCOM 2021年〜 2023年12月〜 2022年〜 2002年〜 現・日立情報通信エンジニ 医用機器の開発プロジェク 全社を対象にしたテストプ アリング. 組込みシステムの設計・開 発と品質保証. 技術支援部門では,テスト 技術・アジャイル開発・ トに参画し,テスト管理と プロセス活動を担当. 規制のある分野での作り方 を経験 ロセス改善, 新技術の研究・導入, テスト自動化チームの運営 に従事,グローバル体制で の開発を経験 MBD・SPL の導入を支援 日立グループ横断の部会:ソフトウェアテスト分野の主査 一貫していること SQE CQO CTO Software Quality Enabler Chief Quality Officer Chief Technology Officer 品質イネーブラー 最高品質責任者 最高技術責任者 Webサービスの品質エンジ 全社のソフトウェア品質の 2022年に技術顧問,2024 ニアリング. 現場が自分で品質を上げら れる状態に 活動を管掌し, 経営の立場から品質をみる 年にCTOへ. 経営の立場から技術と品質 を担当 並行して クオリティアーツ(代表):2021年7月 開業 ドメインも立場も変わりましたが, 「ソフトウェアの品質を,作り方から良くする」という軸はずっと同じです ドメインが変わっても通じたもの:それが,本日お話しする体系です 体系を学び,プロセスを測る:改善プロジェクトの両輪 © 2026 クオリティアーツ 4
0-3 社外活動 テストと品質だけでなく,開発プロセスやソフトウェアエンジニアリング全般に関わってきました 委 委員・コミュニティ 会 団体と学会で カンファレンス 地 場をつくる側で
地域貢献 長崎を中心に • NPO法人ASTER 理事 (2006年〜) • • • AFFORDD(派生開発推進協議会) 運営委員(2010年〜) ソフトウェア・シンポジウム SS2024 実行委員長 NaITE(長崎IT技術者会)代表 (2015年〜) • 派生開発カンファレンス 実行委員長 (2010年〜) • 長崎QDG(NaITE主催のカンファレ ンス)の開催 • JaSST東京 実行委員(2004年〜) • • JaSST九州 実行委員・アドバイザ (2007年〜) Agile Japan 長崎サテライト 員長(2016年〜) • 長崎県産業振興財団 CO-DEJIMA ス タートアップメンター(2021年〜) • 日科技連SQiP SQuBOK V3策定部 会テスト技術領域リーダー (2017年 〜) • 日本品質管理学会 代議員(2023年 〜) • WACATE の立ち上げ(若手テストエ ンジニア向けの合宿型ワークショッ プ) 実行委 ※ ASTER では,本日の第2部で使う『テストプロセス改善技術 入門ガイド』(2-3)を出した,テストプロセス改善技術研究会の主査も務めています(2015年〜). テストと品質,そして開発そのもの:どちらの側にも立ってきました 体系を学び,プロセスを測る:改善プロジェクトの両輪 © 2026 クオリティアーツ 5
0-4 主な著訳書 共訳・共著したもののうち,代表的な3冊 第1部の「白い本」 実践ソフトウェア エンジニアリング(第9版) [改訂新版]マインドマップ から始めるソフトウェアテスト 池田 暁/鈴木
三紀夫 著(共著) R. S. Pressman / B. R. Maxim 著 SEPA翻訳プロジェクト 訳(共訳) 3大BOKの1つ ソフトウェア品質知識体系ガイド (第3版)SQuBOK Guide V3 飯泉紀子/鷲崎弘宜/誉田直美 監修 SQuBOK策定部会 編(共著) 技術評論社/2019年4月/224頁 オーム社/2021年12月/548頁 オーム社/2020年11月/400頁 ※ このほか『SQuBOK Guide V2』(2014・共著),『ソフトウェアテストの基礎 ISTQBシラバス準拠』(2008・共訳),『ソフトウェアテスト入門 押さえておき たい《要点・重点》』(2008・共著)など.書影は各出版社の著作物で,書誌情報の紹介という目的の範囲で引用しています(著作権法第32条・第48条). どれも,書きながら現場で使ってきた本です 体系を学び,プロセスを測る:改善プロジェクトの両輪 © 2026 クオリティアーツ 6
直近(2026年)にやったこと 0-5 いま力を入れているのは,若い技術者が最初につまずかないようにすることです ◎ 講演 ◇ 登壇したもの Docswell つくって,出したもの JaSST'26
Hokkaido(7月) 特別講演「AIとひとりで働く」: ひとりで働く技術者とAIの付き合い方 Docswell 公開した成果物 Web公開 地方中小企業が自前で新卒研修を 組めるように,無償で公開 第4回PSIC(8月) 「いかに伝えるか」: 新卒エンジニアの教育にライトノベルを使う 学会誌 NaITE勉強会 vol.38(8月) 日本品質管理学会「私の提言」 note等での発信 書いているもの note 「WBS再入門」 計画づくりの基本を, いまの現場に合わせて組み直す note 品質管理の立場から,いま伝えたいことを寄稿 「初めての ロードマップづくり」 何から決めるか,どこまで描くかを順に追う Docswell Docswell 新卒研修シラバスの公開(6月) ★ 登壇スライドの公開 講演資料はすべて公開.配布を前提に作っています note JaSST北海道の拡張版.参加者と論点を出し合う回 小説『新卒エンジニア, 観察ノートを開く』 教科書では伝わらないことを,物語の形で Docswell TOC/TOCfE北海道(7月) note 現場の取り組みから組織変革まで, 「変化」の起こし方を考える 「エンジニアの卵に贈る, 就活の書」 これから業界に入る人に,業界の見取り図を渡す 体系を,次の世代が使える形に置き直す.そこに時間を使っています 体系を学び,プロセスを測る:改善プロジェクトの両輪 © 2026 クオリティアーツ 7
0-6 クオリティアーツ 「前に進む意志に,伴走する」 業 / 2021年7月開業.ソフトウェア・システム開発の伴走支援(代表:池田 暁) かかわり方 やっていること コンサルタント/伴走者/技術顧問/
社外CxO・社外取締役 など ソフトウェアエンジニアリング技術の導入に伴走 新卒社員を含むエンジニア教育 組織づくり・プロセス改善 客 講演,寄稿,書籍執筆,コミュニティ活動 中小から大企業のメーカー・ソフトハウス/ 成長を望むエンジニア個人 伴走がメインのお仕事です! おもな相手 https://quality-arts.com/ ※ 伴走のゴールは,私がいなくなってもその組織が自分たちで走り続けられることだと考えています. 結論を渡すのではなく,考えを引き出し,整理し,抜けを問い返す 体系を学び,プロセスを測る:改善プロジェクトの両輪 © 2026 クオリティアーツ 8
はじめに 本日の講演について 何をお話しするのか,そして池田がなぜそれを話せるのか この部でお話しすること 0-7 アジェンダ:本講演の地図 0-8 池田と,体系・TPI NEXT の接点
0-9 その接点の,もとの発表資料 体系を学び,プロセスを測る:改善プロジェクトの両輪 © 2026 クオリティアーツ 9
0-7 アジェンダ:本講演の地図 2つのテーマは,改善活動の両輪:「体系で揃える」と「成熟度で測る」です ◇ 体系で揃える 第1部 ◎ 実践ソフトウェアエンジニアリングと3大BOK 成熟度で測る 第2部
TPI NEXT によるテストプロセス改善 1 なぜ体系知が要るのか 1 テストプロセス改善という分野と,代表的な3つのモデル 2 世の中のBOKと,3大BOK(SWEBOK・SQuBOK・ PMBOK) 2 なぜ TPI NEXT か 3 「白い本」:中身と,学生の教科書であること 3 先に絵を見る/世の中での使われ方/6つの構成要素 4 白い本を使うと,何が楽になるか 4 マトリクスを塗り,クラスタで着手順を決める 5 正典として使う/教育をつくる側にも効く 5 効果と,始めるための道具 ※ 第1部・第2部のあとに,2つをつなぐまとめを置いています.巻末には Appendix(参考文献・補足資料)を付けています. 第1部で揃え,第2部で測る.最後に2つをつなぎます 体系を学び,プロセスを測る:改善プロジェクトの両輪 © 2026 クオリティアーツ 10
0-8 池田と,体系・TPI NEXT の接点 本日お話しする2つには,どちらも書き手や主査として関わってきました 知 体系の側 訳す 第1部 「白い本」の共訳者
SQuBOK Guide の共著者 発信する ET&IoT2021 で発表 ASTER 研究会の主査 TPI NEXT の解説を公開 ブログ「Software Quality Topics」で「TPI NEXT ざっくり要約」 を連載.「ざっくり概要」のスライドも公開 実務で使う 「米国修士課程ベストセラーに学ぶ 体系的ソフトウェア・エンジニアリングの必要性」を発表 語る 第2部 テストプロセス改善技術研究会の主査(2015年〜). 本日使う『入門ガイド ver1.0.0』を出した研究会です 2007年の第1版から参加.V3(2020年)では策定部会のテスト技術 領域リーダーを担当 広める TPI NEXT の側 まとめる 『実践ソフトウェアエンジニアリング 第9版』を SEPA翻訳プロジェクトの一員として翻訳(オーム社) 編む 測 全社のテストプロセス改善 日立Astemo で全社を対象にした改善,研究による新技術導入, テスト自動化チームの運営に従事 JaSST で基調講演 事例に関わる JaSST'19 Hokkaido/'24 Kyushu の基調講演,'26 Hokkaido の特 別講演.SQiP・SS でも登壇 三菱電機様の取り組み SQiP2026 で発表された TPI NEXT の事例(2-13 で紹介).同社に は,ソフトウェアテスト分野で伴走支援をしています 訳した本と,主査を務めた研究会のテーマ.本日はこの2つの話です 体系を学び,プロセスを測る:改善プロジェクトの両輪 © 2026 クオリティアーツ 11
0-9 その接点の,もとの発表資料 前のスライドで挙げた2つは,いずれも公開しています.リンクから見られます 体系の側:第1部につながる TPI NEXT の側:第2部につながる 米国修士課程ベストセラーに学ぶ 体系的ソフトウェア・エンジニアリングの必要性 TPI
NEXT ざっくり概要 水野 昇幸/池田 暁/金子 昌永:ET&IoT2021(2021年11月18日) 池田 暁:長崎IT技術者会(NaITE)第7回勉強会(2015年9月) ▶ ▶ Docswell:docswell.com → ET2021 Docswell:docswell.com → TPI NEXT ざっくり概要 資料は公開してあります.本日の話は,ここから先の実践の話です 体系を学び,プロセスを測る:改善プロジェクトの両輪 © 2026 クオリティアーツ 12
第1部 この部で土台にする本 実践の知:体系知 「白い本」と3大BOK:体系的知識の獲得 この部でお話しすること 1-1〜1-2 前提と,なぜ体系知が要るのか 1-3〜1-4 半世紀の歴史と,日本の組込みの現場 1-5〜1-6
世の中の xBOK と,土台となる3つ 1-7〜1-9 3大BOK:SWEBOK/SQuBOK/PMBOK 1-10〜1-12 「白い本」:実践の体系/教科書/5部30章 1-13 第1章:すべての土台 1-14〜1-18 白い本の5つの部 1-19〜1-20 学ぶのは考え方/約560件の参考文献 1-21〜1-22 何を助けるのか/更新される財産 1-23〜1-24 正典として使う/教育をつくる 1-25 第1部のまとめ:体系で揃える 実践ソフトウェアエンジニアリング 第9版 通称「白い本」:R.S. Pressman, B.R. Maxim 著/SEPA 翻訳 プロジェクト 訳/オーム社 ※ 書影は書誌情報の紹介という目的の範囲で引用しています. 体系を学び,プロセスを測る:改善プロジェクトの両輪 © 2026 クオリティアーツ 13
1-1 前提が揃っていないと,議論は決まらない 研修や勉強会の場で,こういう声をよく聞きます 現場でよく聞く声 • 「レビューで意見が割れて,結局いちばん経験のある人の意見で決まる」 • 「新人に何をどの順で教えればいいか,教える人によって答えが違う」 • 「規格や法規制の文書を渡されても,どこから読めばいいか分からない」
ソフトウェアエンジニアリングは,学者がつくった学問ではありません ◎ 現場で試され,うまくいったやり方が名前を与えられて積み上がったもの:実践のベストプラクティス集です.作ったのは,我々 の先輩たち. 腕の差ではなく,参照する物差しの問題.体系は,判断の前提を揃えるためにある 体系を学び,プロセスを測る:改善プロジェクトの両輪 © 2026 クオリティアーツ 14
1-2 なぜ体系知が要るのか 先輩たちが積み上げたものを,借りられる形にする.それが体系です “ 伝承を知識にまとめ,思考を体系にまとめることは,人間の能力を卑しめてマニュアルに置き換えること と誤解されがちである.もちろん,そのような試みは,ばかげている. しかし,体系的な知識は,きょうの医者に対し,一〇〇年前の最も有能な医師以上の能力を与え,今日の 優れた医師に,昨日の医学の天才が想像もしなかった能力を与える. いかなる体系も,人間の腕そのものを伸ばすことはできない. しかし,体系は,先人の力を借りて常人を助ける.常人に対し,成果を上げる能力を与える.有能な人間
に卓越性を与える. P.F.ドラッカー『創造する経営者』 ※ 属人の経験知は強い.ただし持ち主から離れられず,異動・退職・新人配属のたびに振り出しに戻ります.実践が先に走るこの分野では,うまくいったやり方が広ま り,名前が付いて整理される.その集積がBOKであり,教科書です. 先人の力を借りれば,同じ失敗を繰り返さずに済む 体系を学び,プロセスを測る:改善プロジェクトの両輪 © 2026 クオリティアーツ 15
1-3 ソフトウェアエンジニアリングの半世紀 この分野は,1968年に名前を得てから半世紀以上をかけて積み上がってきました 世界の動き 日本の動き 1968 1970年代 1982 ソフトウェアエン ジニアリングとい
う分野の登場 ソフトウェア危機 (software crisis)の認識 Pressman の教科 書 初版:白い本の 出発点 2001 2004 2005 e-Japan戦略.ソ フトウェア強化の 構想 組込みソフトウェ ア・クライシスの 指摘 ETEC試験の事業着 手 1996 2004 2014 → 2024 SWEBOK 2004年 版(IEEE CS) SWEBOK V3 → V4(18の知識領域 へ) 2006 → 2007 2007 2020 → 2021 ESxRプロジェクト 本格化/ESPR Ver2(以後,更新 なし) SQuBOK 初版/カ リキュラム標準 J07 SQuBOK V3/白 い本 第9版の日本 語版 PMBOK 初版 (PMI) ※ いま我々が手に取るのは,半世紀分の蓄積の最新版です. 出典:ET&IoT2021 発表資料「米国修士課程ベストセラーに学ぶ体系的ソフトウェア・エンジニアリングの必要性」(水野・池田・金子,2021年11月18日)/各団体の公式情報 ゼロから考えない.半世紀の蓄積の,続きから始める 体系を学び,プロセスを測る:改善プロジェクトの両輪 © 2026 クオリティアーツ 16
1-4 日本の組込みの現場で,ずっと言われてきたこと 業界は15年以上,同じことを言い続けてきました 15年以上,最優先の課題は変わっていない JEITA調査にみる,課題認識の移り変わり 「設計品質の向上」 2005 組込みソフトウェア開発力への問題提起 2006 大規模化・複雑化・短納期化の認識
2008-2010 開発スピードの阻害要因(要求分析, アーキテクチャ設計,PM) 2011-2013 アーキテクト育成 解決策として挙がるものも,変わっていない 「技術スキル向上」「開発手法・技術の向上」 ★ それでも,体系の参照は十分ではなかった • ESxR(ESPR)は2007年版で更新が止まっている • ETEC試験の構成比は,コンピュータエンジニアリング74%/ソ フトウェアエンジニアリング26% 2014-2016 モデリング技術 • 組込みの技術書は,要求と支援プロセスの記述が薄い 2017-2018 IoT対応へシフト ※ 「経験と勘への依存」「体系的教育の不足」は,業界が長く抱えてきた構造の話です.だからこそ,体系に手を付ける意味があります. 出典:ET&IoT2021 発表資料(水野・池田・金子,2021年11月18日).JEITA/IPAの各調査に基づく同資料の整理 15年言われ続けてきたことに,いま体系で手を付ける 体系を学び,プロセスを測る:改善プロジェクトの両輪 © 2026 クオリティアーツ 17
1-5 世の中には,たくさんの xBOK があります BOKは,規格でもマニュアルでも教科書でもありません.分野で合意された「何を知っておくべきか」の見取りです 「どう作るか」 「どんな品質か」 「どう進めるか」 「要求をどう定義するか」 SWEBOK
SQuBOK PMBOK REBOK ソフトウェアエンジニアリング ソフトウェア品質 プロジェクトマネジメント 要求工学 IEEE Computer Society V4.0(2024)18の知識領域 日科技連 V3(2020) PMI 第8版(2025年11月) JISA REBOK企画WG 第1版(2011)日本発 「データをどう扱うか」 「安全をどう守るか」 「システム全体をどう見るか」 「情報セキュリティの共通知識」 DMBOK CyBOK SEBoK (ISC)² CBK データマネジメント サイバーセキュリティ システムズエンジニアリング 情報セキュリティ DAMA International 第2版(2017) ブリストル大学 v1.2(2026年9月)21の知識領域 INCOSE・IEEE・Stevens wikiで継続更新 (ISC)² CISSP等の土台 ★ BOKではないが,並べて語られるもの ITIL CMMI ISO/IEC/IEEE の規格群 日本の取り組み ITサービスマネジメントのベストプラクティ ス集(ITIL 4,2019) 組織の能力成熟度モデル(V3.0,2023) 認証や取引条件になりうる.強制力はない ESxR,ETSS,ETEC,共通フレーム 出典:各団体の公式情報(IEEE CS/日科技連/PMI/IIBA/DAMA/SEBoK/(ISC)²/PeopleCert/ISACA).REBOKはJISA『要求工学知識体系 第1版』(2011年7月5日,近代科学社),CyBOKは cybok.org どの問いに答えたいかで,開く本が決まる 体系を学び,プロセスを測る:改善プロジェクトの両輪 © 2026 クオリティアーツ 18
1-6 土台となる3つ:私が3大BOKと呼んでいるもの 業界の定説ではなく,池田が「特に重要で,土台になる」と考えている3つです SWEBOK IEEE Computer Society V4.0(2024年) 作る技術の全域.18の知識領域.要求・アーキテクチャ・設計・構築・テスト・運 用・保守・マネジメント・品質・セキュリティ
ほか ? 困ったときの逆引き 見積もりが合わない,進め方が決まらない → PMBOK SQuBOK 日科技連 SQuBOK策定部会 V3(2020年) 品質を何で測ればいいか分からない 品質という切り口.V3で5カテゴリに拡大.参照する国際規格は181件 PMBOK PMI 第8版(2025年11月) プロジェクトの運び方.ソフトウェアに限らない.6つのコア原則と7つのパフォー マンスドメイン → SQuBOK 設計・テストの型と,全体像を知りたい → SWEBOK 出典:IEEE CS(SWEBOK V4.0公式目次)/日科技連・オーム社(SQuBOK V3)/PMI(PMBOK第8版) 3冊がどこを守るか分かれば,開く本が決まる 体系を学び,プロセスを測る:改善プロジェクトの両輪 © 2026 クオリティアーツ 19
1-7 SWEBOK:作る技術の全域 ソフトウェアエンジニアリングで「何を知っているべきか」を,18の知識領域に整理したもの SWEBOK Guide 流 開発の流れ 支 支える活動 基
基礎と素養 Software Engineering Body of Knowledge 要求 構成管理 発行 IEEE Computer Society アーキテクチャ エンジニアリングマ ネジメント 版 V4.0(2024年) 設計 エンジニアリングプ ロセス 構築 モデルと手法 プロフェッショナル としての実践 経済性 コンピューティング の基礎 テスト 品質 運用 セキュリティ 保守 数学的基礎 工学的基礎 引用:IEEE CS ※ 3つの束ね方(7+6+5)は説明のための整理で,公式の分類ではありません.V4で「アーキテクチャ」「運用」「セキュリティ」が独立した知識領域として新設さ れました. 出典:IEEE Computer Society『SWEBOK Guide V4.0』(2024年)公式目次.編集長は早稲田大学の鷲崎弘宜氏.前の版は V3(2014年)と2004年版 18の領域に照らすと,自分たちに何が無いかが見える 体系を学び,プロセスを測る:改善プロジェクトの両輪 © 2026 クオリティアーツ 20
1-8 SQuBOK:品質という切り口 日本でまとめられた,ソフトウェア品質の知識体系.第1版から池田も共著で参加しています SQuBOK Guide 章 章立て 広 V3で広がったところ ソフトウェア品質知識体系ガイド
発行 版 日科技連/オーム社 序章 SQuBOKガイド概略 第2章は,組織/プロジェクト共通/プ ロジェクト個別の3層で整理 第1章 品質の基本概念 第3章は,工程に共通な技術と,工程に 個別な技術に分けて整理 V3(2020年11月) 第2章 品質マネジメント 第3章 品質技術 第4章は,ユーザビリティ・セーフ ティ・セキュリティ・プライバシー 第4章 専門的な品質の概念と技術 第5章は,人工知能・IoT・アジャイル 開発・クラウド・OSS などの応用領域 第5章 品質の応用領域 2.3 はプロセス評価モデルと改善技法 (TPI NEXT・TMMi) 引用:オーム社 ※ 問いは「どんな品質か」.400頁,編はSQuBOK策定部会.池田は第1版(2007年)から参画し,V3では策定部会のテスト技術領域リーダーを担当. 出典:オーム社『ソフトウェア品質知識体系ガイド(第3版)― SQuBOK Guide V3 ―』書籍ページ 品質の考えを揃えるなら,ここを引く 体系を学び,プロセスを測る:改善プロジェクトの両輪 © 2026 クオリティアーツ 21
1-9 PMBOK:プロジェクトの運び方 ソフトウェアに限らない,プロジェクトマネジメントの体系.2025年11月に第8版が出ました PMBOK Guide Project Management Body of Knowledge
発行 PMI 版 第8版(2025年11月) 原 6つの原則 7つのパフォーマンスドメイン 全体を俯瞰して捉える(Adopt a Holistic View) ガバナンス(Governance) 価値に焦点を当てる(Focus on Value) スコープ(Scope) プロセスと成果物に品質を組み込む (Embed Quality) 説明責任あるリーダーであること (Be an Accountable Leader) 引用:PMI 領 スケジュール(Schedule) ファイナンス(Finance) ステークホルダー(Stakeholders) サステナビリティを全領域に織り込む (Integrate Sustainability) リソース(Resources) 権限が行き渡る文化をつくる (Build an Empowered Culture) リスク(Risk) ※ 問いは「どう進めるか」.初版は1996年,前の版は第7版(2021年).第7版で10の知識領域が原則ベースに置き換わり,第8版ではプロセスのガイダンスが「規 範的でない形」で戻りました.括弧内が原語で,日本語は読み下しです. 出典:PMI 公式サイト『A Guide to the Project Management Body of Knowledge (PMBOK Guide) Eighth Edition』 進め方で迷ったら,ここに型がある 体系を学び,プロセスを測る:改善プロジェクトの両輪 © 2026 クオリティアーツ 22
1-10 実践のベストプラクティスの体系:「白い本」 『実践ソフトウェアエンジニアリング』第9版(Pressman & Maxim,オーム社,2021年12月) ★ 本講演では,この本を「白い本」と呼びます ◇ BOKとの関係 ◎
▪ 5部30章 BOKがアカデミアも含めて合議 原著は1982年の初版から約5年 第1部 プロセス/第2部 モデリ でまとめた体系なら,こちらは ごとに改訂.米国の修士課程の ング/第3部 品質とセキュリ 実務者:我々の先輩たちが積み 教科書として使われてきた.学 ティ/第4部 マネジメント/第5 上げてきた実践を,一貫した筋 生のうちにこの体系に触れ,現 部 先端的な話題. で1冊にまとめたもの 場に出てくる.向こうではそれ が前提になっている 引用:オーム社 読み方 40年の改訂 目次が地図になる 5部30章のどこに何があるか / 章末に参考文献 その先へ辿っていける ※ 訳者はSEPA翻訳プロジェクト.池田も訳者の一人です.正誤表がオーム社のサイトで公開されています(A-2). 品質とセキュリティは教科書の中心.やろうとしていることは本筋だと言える 体系を学び,プロセスを測る:改善プロジェクトの両輪 © 2026 クオリティアーツ 23
1-11 これは,学生が学ぶ「教科書」です 読み手として想定されているのは学生です ★ 米国の修士課程 40年 5部30章 の教科書として使われてきた ・約5年ごとの改訂 順に読めば一周する作り
あちらでは,学生のうちにこの体系に触れて 現場に出てくる 1982年の初版から第9版まで,実践の変化 を取り込み続けてきた わかりやすさを重視して構成された,学習の ための本 新卒が最初に手に取る本にできる 読む順番が決まっている 我々が学び直すときも,同じ1冊 学生向けに書かれているので,いきなり規 格を読ませるより入りやすい.新卒中心の 育成や,OJT との組み合わせにそのまま 使える 章立てがカリキュラムになっている.輪講 の割り当てを,目次のまま作れる 新人と先輩が同じ本を読めば,同じ言葉で 話せる 教科書であることの,実務上の意味 ※ 「学生の教科書だから初歩的」ではありません.米国の修士課程で使われてきた水準の本を,新人から先輩まで同じ1冊として共有できる,ということです. 出典:ET&IoT2021 発表資料「米国修士課程ベストセラーに学ぶ体系的ソフトウェア・エンジニアリングの必要性」(水野・池田・金子,2021年11月18日)/オーム社の書籍ページ 学生が学ぶ本だから,新人から始められる 体系を学び,プロセスを測る:改善プロジェクトの両輪 © 2026 クオリティアーツ 24
1-12 「白い本」の中身:5部30章 何が書いてある本なのか.目次をそのままお見せします 第1部 ソフトウェアプ ロセス 第2部 2 プロセスモデル 6
プラクティスの指針となる原則 15 品質の概念 3 アジャイルとプロセス 7 要求エンジニアリング 8 要求モデリングの推奨手法 9 設計の概念 10 アーキテクチャ設計の推奨手法 16 レビューの推奨手法 17 ソフトウェア品質保証 18 ソフトウェアセキュリティエンジニ アリング 19 ソフトウェアテスト―コンポーネン トレベル 20 ソフトウェアテスト―統合レベル 21 ソフトウェアテスト―移動体端末と 特定ドメイン 22 ソフトウェア構成マネジメント 23 ソフトウェアメトリクスと分析 4 推奨のプロセスモデル 5 ソフトウェアエンジニアリングの 人間的側面 モデリング 11 コンポーネント設計 12 ユーザエクスペリエンス設計 13 移動体端末におけるソフトウェアの設 計 14 パターンに基づく設計 ▲ 第1章 第3部 ティ ▲ 品質とセキュリ 第4部 マネジメント 24 プロジェクトマネジメントの概 念 25 実行可能で役立つソフトウェア 計画 26 リスクマネジメント 第5部 先端的な話題 28 ソフトウェアプロセス改善 29 ソフトウェアエンジニアリング の新興トレンド 30 おわりに 27 ソフトウェアサポート戦略 ▲ ▲ ▲ ▼ ▼ ソフトウェアとソフトウェアエンジニアリング:部に属さない導入章.5つの部すべての土台になる 工程で見ると:迷ったときに立ち戻れる章が,工程ごとにあります 要求・設計・実装・テスト・品質管理:どの工程にも,対応する章があります ▼ ▼ ▼ 要求・仕様 設計 実装・構成管理 テスト 品質管理 6章 原則/7〜8章 要求 9〜14章 設計/18章 セキュリティ 22章 構成マネジメント/27章 サポート 19〜21章 テスト/28章 プロセス改善 15〜17章 品質とレビュー/23章 メトリ クス ※ 白い本は社内標準の準拠先ではありません.工程ごとに「立ち戻る場所のひとつ」として使えます.工程の区切りと章の割り当ては池田による整理です./出典:オーム社の書籍ページ(『実践ソフトウェアエン ジニアリング 第9版』) どこに何が書いてあるかが分かれば,明日から開ける 体系を学び,プロセスを測る:改善プロジェクトの両輪 © 2026 クオリティアーツ 25
1-13 第1章:どの部にも属さない,すべての土台 5つの部のどれにも入らず,本全体の前提を決める章です.ここだけは,全員が読む価値があります ◎ ソフトウェアとは何か ◇ 扱っているものの性質 この分野の定義 ソフトウェアエンジニアリング とは
• 製造ではなく開発.摩耗はしないが, 変更を重ねると劣化する • 体系的で,規律があり,定量的なア プローチ(IEEEの定義) • 適用領域ごとに性質が違う(組込 み・Web・システムソフトウェア など) • • いま動いているものを引き継ぐ.レ ガシーとの付き合い方 キーワード ★ • 実践の原則と神話 現場にいちばん効く部分 • プロセス・方法・ツール,そしてそ の土台にある品質への姿勢 実践のための原則:価値を生むこと, 簡潔であること,変化を前提にする こと • 「作り方」そのものを工学として扱 う,という宣言 ソフトウェア神話を名指しして退け る(「人を足せば間に合う」など) • ここが揃っていないと,2章以降の 話が噛み合わない ソフトウェアの性質 / ソフトウェアの定義 / 適用領域 / レガシーソフトウェア / ソフトウェアエンジニアリングの定義 アプロセス / プロセスフレームワーク / 枠組み活動 / 包括的活動 / 実践のための一般原則 / ソフトウェア神話 / / 顧客の神話 / 実務者の神話 / etc... / ソフトウェ 管理者の神話 ※ 白い本の第1章は,第1部〜第5部のどこにも属していません.だからこそ,どの立場の人が読んでも関係のある章です.まず一度,ここだけでも読んでみると発見が 多いと思います. 出典:『実践ソフトウェアエンジニアリング 第9版』第1章 ソフトウェアとソフトウェアエンジニアリング ここを揃えてから,5つの部に入る 体系を学び,プロセスを測る:改善プロジェクトの両輪 © 2026 クオリティアーツ 26
1-14 白い本 第1部 ソフトウェアプロセス どう進めるか.開発の進め方そのものを扱う部(2〜5章) ? この部の章 2章 ・どんな進め方の型があり,何を基準に選ぶのか プロセスモデル
代表的な型と,それぞれが前提にしている状況 3章 ・アジャイルは何を変え,何を変えないのか ・チームと人を,どう扱うのか アジャイルとプロセス 何を変え,何を変えないのか.原則と,よくある誤解 4章 この部が答える問い ・プロセスは,誰のために決めるのか 推奨のプロセスモデル 規範的なモデルと,現場の制約に合わせた組み立て方 ★ この部が効くところ 3〜4章:進め方を選ぶときの判断材料 5章 ソフトウェアエンジニアリングの人間的側面 チーム,心理,コミュニケーション.動かすのは人である キーワード 第5章 人間的側面:勉強会やQCサークルが効く理由も,ここで説明されている プロセスフロー / ウォーターフォール / インクリメンタル / プロトタイピング / スパイラル / 並行モデル / アジャイル宣言 / アジャイルの原則 / スクラム / XP / カンバン / DevOps / プロセスパターン / 規範的プロセスモデル / プロセスの評価と 改善 / プロセス改善の枠組み / 技術者の特性 / チーム構造 / チームの立ち上げ / グローバルチーム / コラボレーション / etc... 出典:オーム社の書籍ページ(『実践ソフトウェアエンジニアリング 第9版』2021年12月1日発行) 進め方には型がある.選ぶ基準が決まる 体系を学び,プロセスを測る:改善プロジェクトの両輪 © 2026 クオリティアーツ 27
1-15 白い本 第2部 モデリング 何を作るかを決めて,形にする.要求から設計までの9章(6〜14章) ? この部の章 6章 この部が答える問い プラクティスの指針となる原則
・「何を作るべきか」を,どう引き出して確かめるのか この部全体を貫く,実践の指針 ・設計の良し悪しを,何を基準に判断するのか ・組込み・モバイルという制約のもとで,どう設計するのか 7〜8章 要求 ・設計の意図を,どう残して次の人に渡すのか 「何を作るべきか」を引き出し,確かめ,形にする 要求エンジニアリング/要求モデリングの推奨手法 ★ この部が効くところ 9〜14章 設計 7〜8章 要求エンジニアリング:「何を作るべきか」を決める根拠 良し悪しの基準から,構造・部品・使われ方の設計まで 設計の概念/アーキテクチャ設計/コンポーネント設計/UX設計/移動体端末の 設計/パターンに基づく設計 キーワード 9〜11章 設計:「レビューで意見が割れる」の判断基準がここにある 12〜13章 UXと移動体端末:使われ方まで含めて設計する 実践の原則 / コミュニケーション / 計画 / モデリング / 構築 / デプロイ / 要求の獲得 / 要求の抽出 / ユースケース / 要求 の検証 / ネゴシエーション / シナリオベースモデリング / クラスベースモデリング / CRCモデリング / 振る舞いモデリング / 抽象化 / 関心の分離 / モジュール性 / 情報隠蔽 / 機能独立 / 凝集度 / 結合度 / リファクタリング / アーキテクチャスタイル / アー キテクチャ設計 / コンポーネント設計 / ユーザビリティ / UXデザイン / モバイル設計 / デザインパターン / etc... 出典:オーム社の書籍ページ(『実践ソフトウェアエンジニアリング 第9版』2021年12月1日発行) 設計レビューで使う言葉は,この部から借りられる 体系を学び,プロセスを測る:改善プロジェクトの両輪 © 2026 クオリティアーツ 28
1-16 白い本 第3部 品質とセキュリティ 30章のうち9章がここ:品質を良くしたい組織の関心に,そのまま重なる部(15〜23章) ? この部の章 15〜17章 ・品質とは何を指すのか.誰が,何をもって保証するのか 品質
品質とは何か.レビューと品質保証で,どう確かめるか 品質の概念/レビューの推奨手法/ソフトウェア品質保証 18章 ソフトウェアセキュリティエンジニアリング 設計の段階から安全を作り込む 19〜21章 ・テストを,レベルごとにどう組み立てるのか テスト コンポーネントレベル/統合レベル/移動体端末と特定ドメイン 構成管理と測定 ★ この部が効くところ 18章 セキュリティ:セキュリティ規制や認証への対応の土台 19〜21章 テスト/23章 メトリクス:テストと品質の改善活動の土台 版と部品を管理し,品質を数字で扱う ソフトウェア構成マネジメント/ソフトウェアメトリクスと分析 キーワード ・セキュリティを,設計の段階でどう担保するのか ・作り込むことと,測ることは,どうつながるのか レベルごとに組み立てる.組込み固有の話もここ 22〜23章 この部が答える問い 16〜17章 レビューと品質保証:品質保証を誰が担うかを考える材料 ソフトウェア品質 / 品質特性 / 品質コスト / 技術的負債 / レビュー / ウォークスルー / インスペクション / 欠陥の増幅 / 品質 保証(SQA) / 統計的品質保証 / 信頼性 / ISO 9001 / セキュリティ・バイ・デザイン / 脅威の洗い出し / 攻撃面 / セキュア設計 の原則 / ホワイトボックス / 制御構造テスト / ブラックボックス / 同値分割 / 境界値分析 / 統合テスト / 回帰テスト / スモー クテスト / 妥当性確認 / システムテスト / モバイルテスト / 性能テスト / 構成管理(SCM) / ベースライン / バージョン管理 / 変更管理 / 構成監査 / 製品メトリクス / プロセスメトリクス / 測定と分析 / etc... 出典:オーム社の書籍ページ(『実践ソフトウェアエンジニアリング 第9版』2021年12月1日発行) やろうとしていることは,教科書の中心にある 体系を学び,プロセスを測る:改善プロジェクトの両輪 © 2026 クオリティアーツ 29
1-17 白い本 第4部 ソフトウェアプロジェクトのマネジメント 計画し,見積もり,リスクを扱う.進める側の章(24〜27章) ? この部の章 24章 ・実行できる計画とは,どういう計画なのか プロジェクトマネジメントの概念
人・プロダクト・プロセス・プロジェクトという4つの見方 25章 ・リスクを,どう見つけて,どう扱うのか ・出したあとのサポートを,どう設計するのか 実行可能で役立つソフトウェア計画 見積もりとスケジュール.守れる計画の条件はどこにあるか 26章 この部が答える問い ・見積りの根拠を,どう人に説明するのか リスクマネジメント ★ この部が効くところ 洗い出し,評価し,起きる前に手を打つ 25章 計画:実行できる計画の立て方 27章 ソフトウェアサポート戦略 出したあとをどう支えるか.保守までを設計の射程に キーワード 27章 サポート戦略:出荷後の脆弱性対応や保守の考え方とつながる 4つのP(人・プロダクト・プロセス・プロジェクト) / W5HH原則 / スコープの定義 / 実行可能な計画 / 見積り / LOC / ファンク ションポイント / COCOMO / 見積りのリスク / スケジューリング / WBS / タスクネットワーク / クリティカルパス / 進捗の追跡 / アーンドバリュー / リスクの識別 / リスクの予測 / RMMM / リスクの緩和・監視・管理 / 保守 / 再構築(リエンジニアリング) / 保守性 / サポート戦略 / etc... 出典:オーム社の書籍ページ(『実践ソフトウェアエンジニアリング 第9版』2021年12月1日発行) 実行できる計画の条件が,書いてある 体系を学び,プロセスを測る:改善プロジェクトの両輪 © 2026 クオリティアーツ 30
1-18 白い本 第5部 先端的な話題 そして最終部に,本日の第2部のテーマが置かれています(28〜30章) ? この部の章 28章 この部が答える問い ・プロセス改善とは何をすることなのか
ソフトウェアプロセス改善 いまのやり方を測り,順番を決めて良くしていく ・この分野は,これからどこへ向かうのか ・一度学んだ体系と,どう付き合い続けるのか 29章 ソフトウェアエンジニアリングの新興トレンド 技術と働き方の変化を,この分野がどう取り込むか ★ この部が効くところ 28章 ソフトウェアプロセス改善:本日の第2部(TPI NEXT)がここに当たる 30章 おわりに 体系を一周すると,最後は「改善し続けること」に行き着く 一周したあとに,何を持ち帰るのか キーワード プロセス改善(SPI) / SPIの枠組み / 成熟度モデル / CMMI / アセスメント / 評価と改善のサイクル / 改善のロードマップ / 教育 と定着 / 投資対効果 / 継続的改善 / 改善の落とし穴 / 新興トレンド / 技術の進化 / ソフトウェア工学の将来 / モデル駆動 / 自 動化の進展 / オープンワールド / 要求の新潮流 / 人とソフトウェアの関係 / これからの展望 / 学び続けること / etc... 出典:オーム社の書籍ページ(『実践ソフトウェアエンジニアリング 第9版』2021年12月1日発行) 体系を一周した先にあるのが,プロセス改善 体系を学び,プロセスを測る:改善プロジェクトの両輪 © 2026 クオリティアーツ 31
1-19 学ぶのは「手順」ではなく「考え方」 手順は,状況が変われば使えなくなります.考え方は,状況が変わっても判断を支えます ◎ 考え方で持っていると,ここが変わる 手順だけでは,応用が効かない ★ 金づちとのこぎりがあれば,小屋は建つ.では,ビルは建つか. 道具と手順だけで戦える範囲には限界がある 新しい技術が来たとき
→ 手順書は書き直しになる.原則は,その技術をどこに使う かを判断する物差しになる 白い本は,原則から書いてある ◇ ▪ プラクティスの前に「なぜそうするのか」が置かれている.計画 の原則,モデリングの原則が,それぞれ10項目 社内標準を書く・直すとき → 手順だけ書くと「なぜ」が落ちる.考え方があれば,守る 理由を説明できる標準になる だから,技術が変わっても残る 人に教えるとき プラクティスの本質は問題解決:理解する/計画する/実行する /確かめる.手段が変わっても,この筋道は変わらない → 手順を覚えた人は例外で止まる.考え方を渡せば,自分で 組み立てられる ※ 体系は,個人の腕そのものを伸ばす道具ではありません.ふつうに仕事をする人が成果を出せるようにし,できる人をさらに伸ばすためのものです.だから,覚える のではなく使う. 手順は変わっても,考え方は残る.学ぶのは残るほう 体系を学び,プロセスを測る:改善プロジェクトの両輪 © 2026 クオリティアーツ 32
1-20 白い本の先へ:約560件の参考文献 手順や分野ごとの詳細は,章末の参考文献からたどれます ◎ どれだけ載っているか ◇ 引用文献は約560件 何のためにあるのか どう使うか ★
考え方の,その先へ 2段でたどる • 本文が引用する書籍・論文は,第9 版で約560件 • 白い本は,分野の全体を一貫した筋 でまとめた地図 • ①この話はどの章か ②その章末の どの文献か • 章ごとに,その分野の代表的な文献 が並んでいる • 手順の詳細や,分野ごとの深い実践 知はその先にある • 教材や社内標準を書くとき,出典を ここから引ける • 邦訳のあるものも多い.次の1冊を 選びやすい • 「どれを読めばよいか」を,ゼロか ら探さなくていい • 読んだ文献をチームで共有すれば, 組織の蔵書リストになる • 「もっと詳しく」の行き先が,本の 中に用意されている • 原典にあたると,なぜその原則なの かまで分かる • 出どころが明確なので,社内文書に も引用を書ける ★ 章末の参考文献を見る ★ 原典で深掘りする たどり方は,この3段 ★ 目次から章を引く ※ 件数は,池田が ET&IoT 2021 の発表で数えたものです.考え方を白い本で押さえ,手順や詳細は参考文献で深める.この2段構えが,体系を実務で使うときの型に なります. 出典:水野昇幸・池田暁・金子昌永「米国修士課程ベストセラーに学ぶ体系的ソフトウェア・エンジニアリングの必要性」ET&IoT 2021(2021年11月18日) 白い本の先に,約560件の原典がある.入口はもう手の中にある 体系を学び,プロセスを測る:改善プロジェクトの両輪 © 2026 クオリティアーツ 33
1-21 白い本は,我々の何を助けるのか 開くのは,たとえばこんな場面です こんな場面で 白い本のどこを開くか 何が変わるか レビューで意見が割れて決まらない 第9章 設計の概念/第16章 レビューの推奨手法
「良い設計」を本の言葉で議 論できる 決まる 社内の技術標準を書く・直す 第1部 プロセス/第3部 品質とセキュリティ 「なぜこの手順があるのか」 を説明できる標準になる 言える 新人に何をどの順で教えるか 目次がそのままカリキュラム 教える人によって内容が変わ らない 揃う 規格や法規制の文書に向き合う 第18章 セキュリティ/第22章 構成管理 規格の要求が,何の話なのか 分かる 減る 社外・他社の人と話す 分野で合意された語彙 説明し直す手間が要らない 減る 改善を続ける 第28章 ソフトウェアプロセス改善 本日の第2部(TPI NEXT)に つながる 続く ◎ そして,一番大きいのはこれです.困ったときに開く先が1冊決まっていること.判断のたびに個人の経験に戻 らずに済みます 開く先が決まっていれば,迷う時間が減る 体系を学び,プロセスを測る:改善プロジェクトの両輪 © 2026 クオリティアーツ 34
1-22 体系は,更新される財産 情勢と技術の変化に合わせて,改訂が続いています 白い本 1982 Pressman & Maxim SWEBOK IEEE
Computer Society PMBOK → 2000 第4版(日本語版) オブジェクト 指向 2004 2004年版 SQuBOK → 2005 第6版(日本語版) Webを追加 → 2014 → 2024 → 2021 → 2025 → 2014 → 2020 V3 1996 初版 PMI 日科技連 原著 初版 第7版 原則ベースへ 2007 初版 V2 → 2021 第9版(日本語版) DevOps・UX V4 18の知識領域へ 第8版 プロセスのガイダンス再導入 V3 AI・IoT・アジャイル等を拡充 自分が学んだ体系が過去の版であれば,それは世の中の標準から遅れているということ ! だから学びは「一度やって終わり」になりません.版が変われば読み直す. 新人教育コストの削減,立ち上がり期間の短縮,最新ノウハウの社内インプット:それが,財産を維持するということです 出典:ET&IoT2021 発表資料(水野・池田・金子,2021年11月18日)/各団体の公式情報 版が変わったら,差分を読み直す 体系を学び,プロセスを測る:改善プロジェクトの両輪 © 2026 クオリティアーツ 35
1-23 「白い本」を正典として使う 白い本を「困ったときに立ち戻る正典(Canon)のひとつ」に置く,という使い方です ★ 同じ地図を見られる ◎ いま,どこの話をしているかが分かる 使う場面 レビューで揉めたとき →
第2部 モデリング/第3部 品質とセキュリティ 共通の尺度を借りられる ◇ ▪ 良し悪しを語る言葉の,出どころがそろう(第2部の「測る」に つながる) 社内標準を見直すとき → 参考にできる章がある(第1部 プロセス/第3部 品質とセ キュリティ) 土台に乗れる 新人に教えるとき 実務者が積み上げてきたものの上に立つ.ゼロから考えない → 目次を,学ぶ順の下敷きにできる 立ち戻れる場所がひとつ決まっていれば,議論は戻ってこられる 体系を学び,プロセスを測る:改善プロジェクトの両輪 © 2026 クオリティアーツ 36
1-24 体系があると,教育を「つくる」のが楽になる ここまでは学ぶ側の話でした.教育をつくる側にも,同じだけ効きます ◎ ゼロから作らない ◇ 設計の工数が下がる 誰が教えても揃う ★ 教える側の属人化が減る
変わった章だけ直す つくったあとの保守が軽い • 目次が,学ぶ順の骨子になる • • • 章末の参考文献が,教材を探すとき の当たりになる 内容が,教える人の経験ではなく章 に紐づく 改訂のたびに,教育プログラムを作 り直さない • • 「何を・どの順で・どこまで」を, 毎回議論しなくて済む 担当が替わっても,同じ章・同じ言 葉で引き継げる 差分が章単位で見える(1-22「更 新される財産」) • 受けた人同士の前提も揃う.配属先 で話が通じる • 教育そのものが,最新のノウハウの 入口になる • 教材のレビューも,章を基準にでき る • 増えた章が,そのまま次に教える題 材になる ★ いまの教材と章を突き合わせる ★ 空いた章は,来期の候補に • • 演習や課題も,章に合わせて選べる つくる側の,最初の一歩 ★ 目次に,扱う章の印を付ける ※ これは自分でも試しています.クオリティアーツでは,体系を下敷きにした新卒研修シラバスを無償公開しています.専任の教育担当がいない組織でも,体系があれ ば自前で組める.そういう趣旨です. 学ぶ側だけでなく,つくる側も楽になる 体系を学び,プロセスを測る:改善プロジェクトの両輪 © 2026 クオリティアーツ 37
1-25 第1部のまとめ:体系で揃える ここまでを,持ち帰れる形にすると 先に歩いた人たちの実践知を,土台にする 何を 3大BOK(SWEBOK・SQuBOK・PMBOK)が分野の地図.白い本は,実務者が積み上げた実践を一貫した筋で1冊に まとめたもの.学ぶのは手順ではなく考え方です(1-19) 困ったときに開く先を,1冊に決めておく どう使う →
目次から章を引き,章末の約560件の参考文献で先へ辿る(1-20).レビュー・社内標準の改訂・新人教育・規格対 応:どの場面でも同じ出典に戻れる(1-21) 体系は更新される財産.改訂のたびに差分だけ追えばよく,教育をつくる側の負担も下がる(1-22〜1-24) すぐできること チームでできること つくる側でできること 目次に,扱う章の印を付ける 1章ずつ輪講し,社内標準の該当箇所と突き合 わせる いまの教材と章を対応づけ,空いた章を来期の 候補に 前提が揃う 判断が決まる 教えやすくなる 外と話せる 更新できる まずは目次に,扱う章の印を付けるところから 体系を学び,プロセスを測る:改善プロジェクトの両輪 © 2026 クオリティアーツ 38
第2部 この部で土台にする本 TPI NEXT 成熟度で測る.テストプロセス改善 この部でお話しすること 2-1〜2-2 測ることの意味と,テストプロセス改善という分野 2-3〜2-7 3つのモデルと,なぜ
TPI NEXT か 2-8〜2-11 書籍『TPI NEXT®』の4部を1部ずつ 2-12〜2-14 先に絵を見る/世の中での使われ方/6つの構成要素 2-15〜2-17 チェックポイント/16キーエリアと成熟度/早見表 2-18〜2-19 マトリクスを塗り,クラスタで着手順を決める 2-20〜2-21 キーエリア達成のコツと,得られる効果 2-22 始めるための道具 2-23 第2部のまとめ:成熟度で測る TPI NEXT® ビジネス主導のテストプロセス改善 Sogeti 著(日本語版):本日の第2部は,このモデルの話です ※ 書影は書誌情報の紹介という目的の範囲で引用しています. 体系を学び,プロセスを測る:改善プロジェクトの両輪 © 2026 クオリティアーツ 39
2-1 形だけになるのを防ぐには,測ること テストプロセスの改善でも,こういう声をよく聞きます 現場でよく聞く声 • 「改善したいが,何から手を付けるかで議論が止まる」 • 「去年より良くなったのか,数字でも言葉でも説明できない」 • 「良いテストをしている人はいるが,それが組織の力になっていない」
※ 共通する原因は,物差しがないこと.だから形だけになり,力量も管理できません.個々のテスト技術の巧拙より先に,それを続けられる形があるかが結果を決めま す. 測れば,できていないことを人のせいにせずに言える 体系を学び,プロセスを測る:改善プロジェクトの両輪 © 2026 クオリティアーツ 40
2-2 テストプロセス改善という分野 資格のシラバスにも知識体系にも載っていて,代表的なモデルも決まっています 出どころ ISTQB CTAL-TM SQuBOK V3 の 2.3
ASTER 入門ガイド シラバスに章立てで入っている.現行v3.0は「改善プロセス(IDEAL)/モデルベース/分析ベース/ふりかえ り」 評価モデル(CMMI/ISO/IEC 33000/Automotive SPICE/TMMi)と改善技法(シックスシグマ/IDEAL/ PSP・TSP ほか) 代表的な5つを無償で解説:TMMi/ISO/IEC 33063/TPI NEXT/CTP/STEP.うち前の3つが,改善の道筋 と評価の指標を持つ(2-3) → 第1部で見た体系が,そのまま道具の一覧になっています.本日は,指標まで持つ3つを見ます TMMi ISO/IEC 33063 TPI NEXT モデルの種別 段階モデル:下のレベルを満たして次の段へ 連続モデル:プロセスごとに能力を評価 混合モデル:全キーエリアが対象.順はクラスタ 進め方の向き トップダウン.組織で目標レベルを決めて展開 規格に合わせる.29119を採るなら対で使う ボトムアップ.現場やチームが自律的に回す 測る単位 成熟度レベル 1〜5(プロセスエリア単位) プロセスごとの能力水準 0〜5 16キーエリア 確かめ方 公式認定は認定アセッサーのアセスメント 日本に公式提供組織は見当たらず,自前で実施 自己評価で回せる.ツールも公開されている 日本語 日本語版なし 日本語版なし(規格はJSA等で購入) 解説書もマトリクスツールも日本語あり 4段階の成熟度 ※ 2-3 で,この3つが日本語でまとまった無償のガイドを紹介し,2-4〜2-6 で1つずつ見ます.そのうえで 2-7 で「なぜ TPI NEXT か」を整理します. 出典:ASTER『テストプロセス改善技術 入門ガイド ver1.0.0』/ISTQB CTAL-TMシラバス/SQuBOK Guide V3 詳細目次/TMMi Foundation どの物差しを使うかは立場で決まる.決めれば,現在地が言える 体系を学び,プロセスを測る:改善プロジェクトの両輪 © 2026 クオリティアーツ 41
2-3 3つのモデルは,日本語で1冊にまとまっています ASTER『テストプロセス改善技術 入門ガイド ver1.0.0』:無償,全40ページ,30分で概観できます 表紙を引用 © ASTER ◎ 何が書いてあるか
◇ 同じ型で読める ★ チームでの使い道 • 1章 テストプロセス改 善技術の概要と,モデル の種別(段階/連続) • • 最初に全員で読む1冊に できる.前提と用語がそ ろう • 2.1〜2.3 改善の道筋と 評価の指標を持つ3つ: TMMi/ISO/IEC 33063/TPI NEXT 各技術が「概要/モデル の種別/構造/各要素/ 使い方/注意点/参考文 献」の順 • TMMi と ISO/IEC 33063 には日本語版が ない.その入口になる • 本日の第2部の説明も, このガイドの整理を下敷 きにしています • 2.4〜2.5 その他の技術 として CTP と STEP • だから3つを,同じ土俵 で読み比べられる • 章末の参考文献が,次に 読む本への入口になる https://www.aster.or.jp/business/testprocess̲sg.html 入手先 発行 NPO法人ソフトウェアテスト技術振興協会(ASTER) / 版 ver1.0.0(2020年12月15日)・全40ページ / 価格 無償 出典:NPO法人ソフトウェアテスト技術振興協会(ASTER)『テストプロセス改善技術 入門ガイド ver1.0.0』2020年12月15日発行(表紙画像を引用) まず1冊,全員で同じものを読む.共通言語への,いちばん短い道 体系を学び,プロセスを測る:改善プロジェクトの両輪 © 2026 クオリティアーツ 42
2-4 TMMi:段で上げる,トップダウンのモデル 組織として目標レベルを決め,全体に展開していく型.対外的に水準を示したいときに効きます レベル5 最適化 欠陥の予防/品質コントロール/テストプロセスの最適化 レベル4 測定された テストの測定/プロダクト品質の評価 レベル3
定義された テスト組織/テスト教育プログラム/テストプロセスと統合/非機能 テスト/ピアレビュー トップダウン レベル2 管理された テストの方針と戦略/テスト計画/テストの監視とコントロール/テ ストの設計と実行/テスト環境/実装と習慣 確かめ方 プロセスエリアなし(ここが出発点) 注意点 レベル1 初期 比 このモデルの性格 段階モデル レベル単位で段を上げる.何を次にやるか が一本道で決まる 組織として目標レベルを決め,全体へ降ろ していく進め方に向く 公式認定は認定アセッサーのアセスメント. 不要なら独自でもよい 日本語版がない.一度に多くは狙わず,自 分たちの問題に近いところから レベルは下から順に上げる.下のレベルのプロセスエリアを満たしてから,次の段へ ※ CMMIを補完する位置づけで,CMMI導入済みの組織には入りやすい.最新は V2.0(2026年6月/A-3). 出典:ASTER『テストプロセス改善技術 入門ガイド ver1.0.0』2.1節/TMMi Foundation『TMMi Framework Model V2.0』『TMMi Release Notes V2.0』(2026年6月) 全社の水準を決めて降ろすなら,TMMi 体系を学び,プロセスを測る:改善プロジェクトの両輪 © 2026 クオリティアーツ 43
2-5 ISO/IEC 33063:29119と対になる,規格側のものさし ISO/IEC/IEEE 29119 を全面的に採用しているなら,測る側も規格でそろえられます ◎ 何を測るのか ◇ 対象は
29119-2 のプロセス • テストプロセスの目的と成果は ISO/IEC/IEEE 29119-2 が定めて いる(プロセス参照モデル) • 29119-2 の3つのプロセスグルー プ・計8プロセスが,そのまま評価 の単位になる • 29119を採っている組織なら,測 る対象と作っている形が一致する どう測るのか ★ プロセスごとに能力水準 • ISO/IEC 33004 の要求を満たすア セスメントモデル(PAM) • • 使うときの前提 入手と実施のハードル • 測り方は ISO/IEC 33020 の能力水 準 0〜5 日本に公式アセスメントの提供組織 は見当たらず,自前で実施すること になる • 連続モデル.どのプロセスから上げ るかは自分たちで決める 日本語版がない.規格はJSAなどか ら購入する • 初版は ISO/IEC 33063:2015,第 2版は FDIS(最終国際規格案)段 階 ★ 現場から進めるなら TPI NEXT • 全体の水準は,一番低いプロセスの 水準になる ★ 29119と対で測るなら 33063 ここまでの3つを,ひと言で ★ 段で上げるなら TMMi ※ 29119を全面採用している組織には自然な選択です.ただし連続モデルなので,着手の順序は自分たちで設計する必要があります. 出典:ASTER『テストプロセス改善技術 入門ガイド ver1.0.0』2.2節/ISO 公式サイト ISO/IEC 33063『Process assessment model for software testing』(初版2015年,第2版は FDIS 段階)/ISO/IEC 33004・33020/ISO/IEC/IEEE 29119-2 規格でそろえたいなら,29119と対になるこのモデル 体系を学び,プロセスを測る:改善プロジェクトの両輪 © 2026 クオリティアーツ 44
2-6 TPI NEXT:現場から始める,ボトムアップのモデル Sogeti社が作成し,TPIをアップデートしたモデル.BDTPI とも呼ばれます.本書では同じもの(2-8) ▲ 連続モデルの特徴 ▪ 段階モデルの特徴 TPI
NEXT ← 最初の成熟度レベルから,す TPI NEXT® 混合モデル → べてのキーエリアが改善対象 着手の順序は,クラスタが案 内する Business Driven Test Process Improvement(Sogeti) 書影はSogetiの著作物(引用) 全部を一度に整えなくてよく,かつ順番に迷わない ◎ 最初のレベルから全キーエリアが対象.ただし着手順はクラスタが示すので,「どこから手を付けるか」で止まらない ※ 評価も改善も,チームの中で回せます.日本語の解説書『TPI NEXT® ビジネス主導のテストプロセス改善』があり,評価を記録するマトリクスツールも日本語訳つ きで公開されています(2-22). 出典:ASTER『テストプロセス改善技術 入門ガイド ver1.0.0』2.3節 全部を一度に整えなくていい.最初の一歩はクラスタが示す 体系を学び,プロセスを測る:改善プロジェクトの両輪 © 2026 クオリティアーツ 45
2-7 なぜ,TPI NEXT から始めるのか 3つとも良いモデルです.選ぶ基準は「誰が,どの単位で改善を回すか」 ◎ TMMi・33063 は,どう使うか 回すのは,現場のチーム自身 ★
現場の各チームが自分たちで改善を進めるなら,自己評価で回せ るボトムアップのモデルが噛み合う 併用してよい → 現場はTPI NEXTで自律的に.全社の水準や対外説明が要 る段になったらTMMiを重ねる 「何から」で止まらない ◇ ▪ 最初から全キーエリアが対象.そのうえでクラスタが着手順を示 すので,議論が入口で止まらない 33063を使う場面 → 社内標準が29119を全面採用する段になったら,測る側 も規格でそろえる選択肢になる 日本語で,道具まで揃う 優劣の話ではない 解説書もマトリクスツールも日本語.外部の認定を待たずに,自 分たちで始められる → 誰が,どの単位で回すか.現場主導の形に合うのがTPI NEXTというだけ ※ どれを選んでも「測ってから手を付ける」という順番は変わりません.ここから,TPI NEXT の中身に入ります. 測るのも決めるのも,自分たち 体系を学び,プロセスを測る:改善プロジェクトの両輪 © 2026 クオリティアーツ 46
2-8 書籍『TPI NEXT®』第1部 TPI NEXTとは 第1〜2章.TPI から何が変わり,テスト作業をどう位置づけているか 目 要 この部の章立て
第1章 テストプロセス改善は次のステップへ 第2章 テスト作業とTPI NEXTの位置付け ざっくり概要 • 第1章は,TPI から強化した点を述べる.段階的改善/独立性/改善提案/クラスタ/ キーエリア達成のコツ 2.1 テスト作業のスコープと価値 • 成熟度レベルの呼び名が「A〜D」から「初期/コントロール/効率化/最適化」へ 2.2 テストプロセス改善のスコープと価値 • 独立性:特定の手法(TMap)を前提にしなくても適用できる記述になった 2.3 テストプロセス改善の支援に必要なリファ • クラスタの導入で,段階的・継続的な改善の戦略を立てやすくなった • 第2章は,テスト作業が開発ライフサイクルの一部であり,ビジネスゴールに沿う必要 レンスモデル があると述べる ◎ 本書では TPI NEXT と BDTPI は,同じものと捉えて差し支えありません 手法の呼び名が TPI NEXT,中核のモデルの呼び名が BDTPI.部や章のタイトルでは両方が使われます ※ 第2章は,テスト作業を「品質とリスクの実体を把握して,助言を提供するプロセス」と定義しています. 出典:『TPI NEXT® ビジネス主導のテストプロセス改善』(トリフォリオ,2015年9月20日発行,全316ページ)第1〜2章/池田暁「TPI NEXT ざっくり概要」NaITE 第7回勉強会(2015年9月28日) TPIの素直な進化:名前が分かりやすくなり,順番の案内が付いた 体系を学び,プロセスを測る:改善プロジェクトの両輪 © 2026 クオリティアーツ 47
2-9 書籍『TPI NEXT®』第2部 BDTPIモデル 第3〜4章.本日このあと出てくる用語は,ほとんどこの部にあります 目 この部の章立て 要 第3章 BDTPIモデル
• 第3章がモデルの全体像.キーエリア/成熟度レベル/チェックポイント/テスト 成熟度マトリクス/クラスタ/改善提案/キーエリア達成のコツが順に出てくる • TPI から新しく入った要素は「キーエリア達成のコツ」と「クラスタ」.成熟度 レベルも,TPI では単に「レベル」という名前だった • 第4章は16キーエリアの詳細.通して読むより,評価のときに引くリファレンス • 本日の 2-15〜2-22 は,この部が出どころです 3.1〜3.2 モデルの考え方と,テストプロセスを分 けるキーエリア 3.3〜3.4 クポイント 初期〜最適化の成熟度レベルと,チェッ 3.5〜3.8 テスト成熟度マトリクスと,クラスタ 3.9〜3.10 改善提案と,キーエリア達成のコツ 第4章 ◇ ざっくり概要 キーエリア(16キーエリアの詳細) BDTPIモデルの要素は6つ キーエリア/成熟度レベル/チェックポイント/改善提案/キーエリア達成のコツ/クラスタ:本日は 2-14 で1つずつ見ます 出典:『TPI NEXT® ビジネス主導のテストプロセス改善』第3〜4章/池田暁「TPI NEXT ざっくり概要」NaITE 第7回勉強会(2015年9月28日) 用語はここに全部ある.迷ったら第3章に戻る 体系を学び,プロセスを測る:改善プロジェクトの両輪 © 2026 クオリティアーツ 48
2-10 書籍『TPI NEXT®』第3部 テストプロセス成熟度の改善 第5章.改善を回す手順:「変更プロセス」.活動の設計図はここにあります 目 この部の章立て 要 ざっくり概要 第5章
BDTPIの一般的な変更プロセス • 「変更プロセス」はモデルを変更するという意味ではなく,一連の改善プ ロセスのことを指す • 改善は,現状を測るところから始めて,決めて,やって,また測る.この 一周を回し続ける • 本日お話しする進め方(1プロジェクトを塗る → クラスタAの未達から1 つ)は,5.3〜5.5 に当たる ▶ 改善を定義する 5.1 気付きを与える(意識付け) 5.2 ゴール,スコープ,取り組み方を決定する 5.3 現状をアセスメントする 5.4 改善を定義する 5.5 行動計画を立案する 5.6 行動計画を実施する 5.7 評価して再方向付けを行う 変更プロセスの7ステップ 気付きを与える ▶ ゴール・スコープ・ 取り組み方を決める ▶ 現状をアセスメント ▶ 行動計画を立案する ▶ 行動計画を実施する ▶ 評価して再方向付け ※ 改善チームの進め方も,この7ステップに対応づけられます.どこをいまやっているのかを,同じ言葉で確認できます. 出典:『TPI NEXT® ビジネス主導のテストプロセス改善』第5章/池田暁「TPI NEXT ざっくり概要」NaITE 第7回勉強会(2015年9月28日) 測る → 決める → やる → また測る.この一周が「変更プロセス」 体系を学び,プロセスを測る:改善プロジェクトの両輪 © 2026 クオリティアーツ 49
2-11 書籍『TPI NEXT®』第4部 ビジネス主導の改善 第6〜8章.使うときのテーラリング:必要になったときに参照する部です 目 第6章 要 この部の章立て ビジネス主導のテストプロセス改善
• (BDTPI) 6.1〜6.4 ざっくり概要 第6章は,BDTPI 自体に取り組むときのステップ:①ビジネス主導要因を特定す る ②ビジネスゴールを IT ゴールに置き換える ③ITゴールにとって重要なキーエ リアを特定する ④チェックポイントのクラスタ配置を再調整する 目指す結果/使うモデル/ビジネスド ライバの影響/コストと利点 • つまりクラスタは,自分たちのビジネスに合わせて組み替えてよい 第7章 • 第7章は11の適用例.反復開発/アジャイル/複数のテストプロセス/一から策 定/保守/プロセス改善/アウトソースとオフショア/マネージドテストサービ さまざまな状況へのBDTPIモデルの適用 7.1〜7.11 反復開発・アジャイル・保守・アウ トソース ほか11の例 第8章 ★ ス/開発テスト/評価/統合 実践で価値を証明するBDTPIモデル • 第8章は大手国際銀行の事例.第3部を読み終えてから読むと,理解が進む ここは最初から読み込まなくてよい.実際に使う段になってから参照する まずは第1〜2部と,進め方の第5章.クラスタの並べ替えやアジャイル・保守への当てはめが要るときに開けば足ります 出典:『TPI NEXT® ビジネス主導のテストプロセス改善』第6〜8章/池田暁「TPI NEXT ざっくり概要」NaITE 第7回勉強会(2015年9月28日) モデルは,自分たちのビジネスに合わせて組み替えてよい 体系を学び,プロセスを測る:改善プロジェクトの両輪 © 2026 クオリティアーツ 50
2-12 ツールが描くもの:マトリクスとベンチマーク 言葉の説明に入る前に,最後に出てくる絵を見ておきます 図 比 テスト成熟度マトリクス 図21 テスト成熟度マトリクス(公式マニュアルより引用) ベンチマーク概観 図8
ベンチマーク概観(同上) • 縦が16のキーエリア,横が成熟度の段階.満たしたチェックポイントのマスが埋 まっていく • 白=コントロール,黄=効率化,緑=最適化.どの段階にいるかが色で分かる • 1枚で,組織の現在地と,手つかずのところが同時に見える • 16のキーエリアを放射状に並べた図(スパイ ダーダイアグラム) • 緑が自分たちの得点,赤が他組織の平均.外 と比べられる ※ これから説明する用語は,すべてこの2枚のどこかに現れます. 出典:Sogeti Nederland B.V.『ユーザーマニュアル TPI NEXT テスト成熟度マトリクスツール』version 1.2.1(2013年1月10日)図21・図8 より引用 © Sogeti Nederland B.V. 行き先はこの2枚.ここに向かって,用語を1つずつ押さえていきます 体系を学び,プロセスを測る:改善プロジェクトの両輪 © 2026 クオリティアーツ 51
2-13 世の中でどう使われているか 公開されている発表と記事が複数あり,商用のサービスと研修も成立しています ◆ JaSST・SQiPでの発表 ▪ JaSST'16 Tokai テストチームの健康診断してますか? JaSST'17
Tokyo TPI NEXT導入の実際(ASTER・メル カリ様) JaSST'18 Tokyo はじめてみようテストプロセス改善 JaSST'18 Tokyo ボトムアップによるテストプロセス改善 JaSST'18 Tokyo メンバーの問題意識から始める改善(事 例発表) SQiP2026 TPI NEXTに基づいた「動物診断」 (三菱電機様) 企業の公開記事と,商用のサービス メルカリ様(2016) QA9名.自己アセスメントから始め,クラスタAを評価して欠陥管理 から着手 ウイングアーク1st様(2020) 研究会のメンバーで実施.1人90〜180分.「質問が抽象的」という 率直な記述も テクバン様(2018) チェックポイントの判断に迷わないよう,自社の言葉の「解釈文」を 194本つくった サービス・研修 診断サービス(ベリサーブ様),1日研修(トレノケート様,提供: SHIFT様)が商品として成立 ※ 9名のQAチームでも,研究会の混成グループでも,大手メーカーでも使われています.規模を選びません. 出典:JaSST各回の公開プログラム(jasst.jp)/mercan/Medium ウイングアーク1st/テクバン ブログ/ベリサーブ・トレノケートの各サービスページ 先に試した人の記録は公開されている.読んでから始めればいい 体系を学び,プロセスを測る:改善プロジェクトの両輪 © 2026 クオリティアーツ 52
2-14 6つの構成要素 BDTPIモデルは,次の6つの要素でできています ▪ ▪ キーエリア 成熟度レベル ◇ チェックポイント テストプロセスのさまざまな側面を16
個に整理したもの 各キーエリアが持つ4段階 何を達成すべきかの要求事項.各レベ ルに2〜4個程度.初期レベルにはない ◇ ★ ★ 改善提案 満たせなかったチェックポイントをど う満たすかの説明.ヒントや助言とし キーエリア達成のコツ 開発ライフサイクルと協調して成熟度 を高める対策(2-20) クラスタ どのチェックポイントから改善するか の順番の案内(2-19) て使う ※ 使い方の全体像:現状評価 → クラスタで順番を決める → 改善提案とコツを見ながら改善計画を立てる. 出典:ASTER『テストプロセス改善技術 入門ガイド ver1.0.0』2.3節 要素の名前が分かれば,何を議論しているかが揃う 体系を学び,プロセスを測る:改善プロジェクトの両輪 © 2026 クオリティアーツ 53
2-15 チェックポイントと改善提案:1つのキーエリアを縦に切る マトリクスの1マスの中身は,こういう構造になっています K09 メトリクス 例 品質の測定と,そのまま重なるキーエリア チェックポイントの実物:コントロールされたレベル このレベルには3つ.番号は「キーエリア番号.レベル.連番」 初期レベル
チェックポイントはない(ここが出発点) コントロールされたレベル チェックポイント 3つ 効率化されたレベル チェックポイント 4つ 最適化したレベル → 09.c.1 テストプロセスでは,テストプロジェクトの見積もりや管理のためにメトリ クスを定義して,利用している. 09.c.2 メトリクスに必要なインプットは統一した形式で記録され,定義されたメト リクスは体系的に保管されている. 09.c.3 メトリクスに対するインプット(データ)は,正確であり,かつ確認可能で ある. 満たしている 次のチェックポイントへ.マトリクスを塗る 満たしていない 改善提案を読む.「どうすれば満たせるか」 開発側と噛み合わせる キーエリア達成のコツを読む(2-20 で扱います) チェックポイント 2つ 満たしていないときに読む「改善提案」(原文より) 「メトリクスの定義や収集について責任を持つべき人物,グループ,あるい は部署を,(テスト)組織内から選ぶこと.」 ※ チェックポイントは全部で157個.日本語版は公式サイトから無料で入手できます(アセスメント用のExcelツール).「改善提案」と「キーエリア達成のコツ」は 書籍の側にあります. チェックポイントの引用:Sogeti『TPI NEXT® tool v2.1.2(Nippon one list)』All Checkpoints シート(© Sogeti Nederland B.V.)/www.tmap.net.改善提案の引用:Sogeti『TPI NEXT® ビジネス主導の テストプロセス改善』4.9節 p90 「〜している」と言い切ってあるから,できている/いないが決められる 体系を学び,プロセスを測る:改善プロジェクトの両輪 © 2026 クオリティアーツ 54
2-16 16キーエリアと3グループ,4つの成熟度 16のキーエリアは3つのグループに分かれ,それぞれが4段階の成熟度を持ちます 利害関係者との関係 SR テスト管理 TM テスト業務の専門性 K01 利害関係者のコミットメント
K07 テストプロセス管理 K12 手法の実践 K02 関与の度合い K08 見積もりと計画 K13 テスト担当者のプロ意識 K03 テスト戦略 K09 メトリクス K14 テストケース設計 K04 テスト組織 K10 欠陥管理 K15 テストツール K05 コミュニケーション K11 テストウェア管理 K16 テスト環境 TP K06 報告 4つの成熟度レベル:成熟度は,キーエリアごとに付きます 1 初期レベル 2 コントロールされたレベル 3 効率化されたレベル 4 最適化したレベル ? ご自身の現場なら,3つのグループのうちどれが薄いと思いますか ※ TPI NEXT は,全体でひとつのレベルが出るモデルではありません(A-8).ただし遅れたキーエリアは実力の上限になるので,得意なところを伸ばすより,遅れて いるところを引き上げるほうが効きます. 出典:ASTER『テストプロセス改善技術 入門ガイド ver1.0.0』2.3節/Sogeti『TPI NEXT® tool v2.1.2(Nippon one list)』(© Sogeti Nederland B.V.) 遅れているキーエリアが,実力の上限を決める 体系を学び,プロセスを測る:改善プロジェクトの両輪 © 2026 クオリティアーツ 55
2-17 16キーエリア早見表:何を見て,いくつあるか 16のキーエリアを,1枚で見渡します. キーエリア 見るところ C/E/O 計 キーエリア 見るところ C/E/O
計 K01 利害関係者のコミッ トメント 関係者が,人と予算を実際に出しているか 4/3/3 10 K09 メトリクス 数字で,客観的に見ているか 3/4/2 9 K02 関与の度合い テストが,早い段階から関わっているか 4/3/2 9 K10 欠陥管理 欠陥を,根本原因まで遡って扱えているか 4/4/3 11 K03 テスト戦略 どこにどれだけ力をかけるか,方針があるか 4/3/2 9 K11 テストウェア管理 成果物どうしの一貫性が,保てているか 4/3/3 10 K04 テスト組織 人・成果物・サービスを用意する仕組みがあるか 4/4/3 11 K12 手法の実践 明文化したテスト手法が,あるか 3/4/2 9 K05 コミュニケーション 期待が,関係者のあいだで共通になっているか 4/3/2 9 K13 テスト担当者のプロ 意識 必要なスキル・力量と,自律があるか 4/4/3 11 K06 報告 判断に使える情報が,出てきているか 3/3/2 8 K14 テストケース設計 戦略に沿って,欠陥を見つける設計になっている か 3/4/3 10 K07 テストプロセス管理 時間・コスト・人の中で,任務を回せているか 4/3/2 9 K15 テストツール 活動を速める道具を,使えているか 3/4/3 10 K08 見積もりと計画 見積もりと計画が,予測できる形になっているか 4/4/3 11 K16 テスト環境 各テストレベルの狙いに沿って,設計・保守して いるか 4/4/3 11 C=コントロールされたレベル E=効率化されたレベル O=最適化したレベル / チェックポイントは全部で157個 ※ 「見るところ」は,公式ツールに載っているキーエリアの定義を,本講演向けに短く言い直したものです.チェックポイントの個数は,テスト成熟度マトリクスの構 造から数えています.原文は公式ツールの「All Checkpoints」シートにあります. 出典:Sogeti『TPI NEXT® tool v2.1.2(Nippon one list)』/キーエリア名は書籍『TPI NEXT® ビジネス主導のテストプロセス改善』の訳に合わせています © Sogeti Nederland B.V. 自分のチームに関係の深いキーエリアは,たぶんこの表の中にあります 体系を学び,プロセスを測る:改善プロジェクトの両輪 © 2026 クオリティアーツ 56
2-18 テスト成熟度マトリクスを塗る ? 何が読み取れますか 満たしたチェックポイントを塗ると,進んでいるところと遅れているところの差が一枚で見えます コントロールされたレベル 初期レベル 効率化されたレベル 最適化したレベル K01
利害関係者のコミットメント SR 1 2 3 4 1 2 3 K02 関与の度合い SR 1 2 3 4 1 2 3 K03 テスト戦略 SR 1 2 3 4 K04 テスト組織 SR 1 2 3 4 K05 コミュニケーション SR 1 2 3 4 K06 報告 SR K07 テストプロセス管理 TM 1 2 3 4 K08 見積もりと計画 TM 1 2 3 4 K09 メトリクス TM K10 欠陥管理 TM 1 2 3 4 K11 テストウェア管理 TM 1 2 3 4 K12 手法の実践 TP K13 テスト担当者のプロ意識 TP K14 テストケース設計 TP 1 2 3 K15 テストツール TP 1 2 3 K16 テスト環境 TP 満たしているチェックポイント 1 2 1 1 1 3 2 1 3 2 2 3 2 2 4 1 4 1 3 2 2 2 3 2 3 1 2 1 2 3 1 2 1 2 3 1 1 2 3 4 1 2 3 4 2 1 4 3 3 2 1 1 1 3 3 2 1 1 1 3 2 4 3 1 2 2 1 3 2 1 2 1 2 1 3 3 1 2 3 4 2 1 2 3 4 1 2 3 1 2 3 4 1 2 3 1 2 3 4 1 2 3 1 2 3 4 1 2 3 数字は,その成熟度レベルの中のチェックポイント番号 未達のチェックポイント ★ テスト環境やテストツールは進んでいるが,メトリクスと報 告は初期レベルのまま ★ る 利害関係者のコミットメントが薄く,現場だけが頑張ってい 出典:ASTER『テストプロセス改善技術 入門ガイド ver1.0.0』2.3節(現状評価).図の列構成は,Sogeti『TPI NEXT® tool v2.1.2』の Test maturity matrix シート(© Sogeti Nederland B.V.)と一致するこ とを確認.塗りは例示 一枚あれば,現在地を上司にも他チームにも言える 体系を学び,プロセスを測る:改善プロジェクトの両輪 © 2026 クオリティアーツ 57
2-19 クラスタ:どこから着手するか.相互関連に基づき上げる さきほど塗ったマトリクスに,クラスタの記号を重ねます.塗りはそのままです コントロールされたレベル 初期レベル 効率化されたレベル 最適化したレベル K01 利害関係者のコミットメント SR
A B B C F H H K02 関与の度合い SR A B C E H H J K03 テスト戦略 SR A A B E K04 テスト組織 SR A D D E K05 コミュニケーション SR B C C D F B K06 報告 SR K07 テストプロセス管理 TM A K08 見積もりと計画 TM B K09 メトリクス TM K10 欠陥管理 TM A A B D K11 テストウェア管理 TM B B D E K12 手法の実践 TP K13 テスト担当者のプロ意識 TP K14 テストケース設計 TP A A E K15 テストツール TP E E E K16 テスト環境 TP 2-18と同じ:満たしているところ A C A C C C C D C B B C D C D D D F I E E D E E 太枠=クラスタA F I K H J M L K J K M L L L L F J M F G G K K G H J K M G H I I G H H I F F I H I J J K M L K K L K L J L K M L L F H J M G G I I K K M F I I J K K M F G G I L M M G H J J L M M クラスタAで未達:ここから着手 この例なら,次に手を付けるのは K06 報告 のクラスタA 2-13で触れたメルカリ様も,同じ「クラスタAから」という決め方でした.クラスタAのチェックポイントを評価し「まだ全然できていない」 と判断.同社の場合は欠陥管理が最初でした(QA9名,2016年) 出典:ASTER『テストプロセス改善技術 入門ガイド ver1.0.0』2.3節(改善活動)/mercan(メルカリ,2016-08-26).クラスタ記号の配置は Sogeti『TPI NEXT® tool v2.1.2』の Test maturity matrix シー トに基づく 順番が用意されているから,議論が止まらず次の1つが決まる 体系を学び,プロセスを測る:改善プロジェクトの両輪 © 2026 クオリティアーツ 58
2-20 キーエリア達成のコツ テスト単独では改善しない.テストだけを見て改善すると,部分最適に陥ります テストプロセス キーエリアの成熟度を上げる ↑↓ キーエリア達成のコツ 開発プロセス 対応する開発の進め方を考慮する.工程と標準を見直す人/メトリクスを扱う人と一緒に K09
メトリクスの「キーエリア達成のコツ」:原文より 「測定と分析は,SDLC内で公式なプロセスとして定められている.……組織固有の情報ニーズや目的に沿うように,測定と分析の目的を定める.……詳細な 情報に基づく決断と適切な是正措置のために,事実に基づいた結果を提供する.」 ※ ソフトウェアテストはそれ単独では語れません.必ず対応する開発プロセスを考慮する必要があります. 引用:Sogeti『TPI NEXT® ビジネス主導のテストプロセス改善』4.9節 p90(キーエリア達成のコツ,一部省略)/ASTER『テストプロセス改善技術 入門ガイド ver1.0.0』2.3節 開発側と一緒に見るから,部分最適が減る 体系を学び,プロセスを測る:改善プロジェクトの両輪 © 2026 クオリティアーツ 59
2-21 効果:使うと何が楽になるか 現場の人にとって何が変わるか,で並べます 現状が可視化される → できていないことを,人のせいにせずに言える.マトリクスが言ってくれる 共通言語ができる → 他のチームや上司と,同じ言葉で状況を言える 段階的で合意しやすい
→ 全部やらなくていい.次の1つが決まる 自己評価で回せる → 外部の審査を待たずに,自分たちで続けられる 上位層に説明できる → 成熟度レベルは経営層にも伝わりやすい メンバーの励みになる → 目標が目に見え,自分の成長が可視化される 測ることで,判断が決まり,説明が言え,活動が続く 体系を学び,プロセスを測る:改善プロジェクトの両輪 © 2026 クオリティアーツ 60
2-22 始めるための道具は,無償で揃っています 特別なソフトは要りません.Excel が1つあれば回せます ◎ 入手する ◇ 費用はかからない 中身を見る 出てくるもの
★ 157個のチェックポイント 塗れば,2-12の絵になる • tmap.net の TPI のページから配布 されている • 「All Checkpoints」シートに,日 本語で全157個 • テスト成熟度マトリクス(2-12 の 左) • 日本語版は『TPI NEXT® tool v2.1.2』の Nippon one list • 16のキーエリアのシートを,ツー ルが自動でつくる • スパイダーダイアグラム(2-12 の 右) • 英語版はキーエリア別・クラスタ別 など4種類 • クラスタごとのシートも作れる • • • 利用条件は,配布元の表示に従う 判定した日やレビューアを,シート に残しておける グループ別・優先度別の達成度グラ フ • 未達成チェックポイントのレポート 順に判定していく ★ クラスタAの未達から1つ 最初の1回は,この順でいけます ★ 1プロジェクトに絞る ★ ※ Excel のマクロを使うので,開くときに有効化が必要です.日本語版マニュアルは version 1.2.1(2013年1月10日).手順と,つまずきやすいところは巻末 A-7 にまとめています. 道具はもう揃っている.あとは,1プロジェクト塗るだけ 体系を学び,プロセスを測る:改善プロジェクトの両輪 © 2026 クオリティアーツ 61
2-23 第2部のまとめ:成熟度で測る 第2部も,持ち帰れる形にすると 測ってから,手を付ける 何を テストプロセス改善には体系があり,代表的なモデルは TMMi/ISO/IEC 33063/TPI NEXT(2-2〜2-6).現場の チームが自分たちで回せる
TPI NEXT から始めるのが近道です(2-7) 16キーエリア どう使う → 4段階を,1枚に塗る 157個のチェックポイントで現在地を評価し,クラスタAの未達から1つ着手する.達成のコツは,テスト単独で閉じず 開発ライフサイクルと協調すること(2-12〜2-20) 道具は無償で揃っている.1プロジェクトを1枚塗れば,現在地と次の一手が同時に出る(2-21〜2-22) すぐできること チームでできること 続けるために 公式ツールを入手し,All Checkpoints を眺め る 1プロジェクトに絞って判定.迷ったら話し 合って決める 半年後にもう一度塗る.その差分が,活動の成 果になる 現在地が言える 次の1つが決まる 説明できる 比べられる 続けられる 塗った1枚が,来年の自分たちと比べるための基準になる 体系を学び,プロセスを測る:改善プロジェクトの両輪 © 2026 クオリティアーツ 62
まとめ 2つを,ひとつにつなぐ 体系で揃え,成熟度で測る.両輪がかみ合うということ この部でお話しすること 9-1 知識と実践の循環:両輪がかみ合うとは,どういうことか 9-2 体系で揃え,成熟度で測る.持ち帰れる形にすると 9-3 あらためて,なぜ,この2つなのか.他の本・他のモデルではなく
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9-1 知識と実践の循環 両輪がかみ合うとは,どういうことか 実践知識 第1部 何を知っているか.「白い本」=実践ソフトウェアエンジニアリングと3大BOK.現場で積み上げられた実践のベスト プラクティス 実践の型 第2部 →
どう進めているか.TPI NEXT=テスト成熟度マトリクス.キーエリア・チェックポイント・クラスタ.Sogetiが整理 した改善の型で,自己評価で回せる 知識と実践は,一方通行ではなく循環する.学んだ語彙と型が評価の精度を上げ,測って見えた弱点が次に読む章を決める 知識 → 実践 実践 → 知識 どちらにも共通 読んだから,できている/いないを 言葉にできる 塗れないマスが,次に学ぶ順番を教えてくれる 先に歩いた人たちの知識と型を借りるから,同 じ時間で遠くまで行ける 揃える 使う 測る 決める 直す 続ける 知識が実践の精度を上げ,実践が次に学ぶところを決める 体系を学び,プロセスを測る:改善プロジェクトの両輪 © 2026 クオリティアーツ 64
9-2 体系で揃え,成熟度で測る 本日お話しした2つを,持ち帰れる形にすると 体系で揃える 第1部 3大BOK(SWEBOK・SQuBOK・PMBOK)と,正典としての白い本.これを土台にすれば,前提が揃い,判断が決ま る 成熟度で測る 第2部 TPI
NEXTで現在地を一枚のマトリクスにし,クラスタで次に着手する1つを決める.自己評価で,自分たちのペースで 回せる → 学ぶ活動の成果は,随時,改善の活動に返す 白い本で学んだ語彙がキーエリアの評価の精度を上げ,マトリクスで見えた弱点が次に読む章を決める 白い本から持ち帰れるもの TPI NEXTから持ち帰れるもの 両方に共通すること どこから読むかが決まる.輪講・OJT・新卒育 成にそのまま載せられる 無料の公式ツールで自己評価できる.次に着手 する1つが決まる できていないことを,人のせいにせず事実で言 える.上位層にも説明できる 判断が決まる 前提が揃う 回り道が減る 現在地が言える 活動が続く 体系で揃え,成熟度で測る.両輪がかみ合えば,改善は続く 体系を学び,プロセスを測る:改善プロジェクトの両輪 © 2026 クオリティアーツ 65
9-3 あらためて,なぜ,この2つなのか.他の本・他のモデルではなく 選んだ基準は1つ.現場が自分たちで改善を回せるかどうか ◎ ★ 白い本 他の本ではなく,これを正典に置く理由 TPI NEXT 他のモデルではなく,これで始める理由
• 分野の全体を,1冊で一貫した筋でつないであ る(BOKは地図,専門書は点) • 改善を回すのは現場のチーム自身.自己評価で 回せるボトムアップのモデル • 書いたのは実務者.条件とセットで「どんなと きに効くか」が書いてある • 混合モデル.全キーエリアが対象でありながら, クラスタが着手順を示す • 米国の修士課程の教科書.学生のうちにこれで • 日本語の解説書と,日本語訳つきの無償ツール 学んだ人が現場に出てくる 実践ソフトウェア エンジニアリング 第9版 引用:オーム社 • • がある 1982年から約5年ごとに改訂.古びた章は入 れ替わる(1-22) TPI NEXT® • TMMi は公式アセッサー,33063 は自前実施. どちらも日本語版なし(2-4/2-5) • 外部の認定を待たずに,来週から始められる ビジネス主導のテスト プロセス改善/引用: Sogeti 日本語で読める.約560件の参考文献で先へ辿 れる(1-20) 他の本・他のモデルを否定してはいません.入口をひとつに決めているだけです ◎ BOKは索引として引き,専門書は章末の参考文献から辿る.TMMi は全社の水準を示す段になったら重ねられるし,29119を全 面採用するなら 33063 が対になる(2-7).入口が1つ決まっていないと,議論のたびに出典が変わります. 唯一の正解だからではなく,いまの条件に合うから.条件が変われば,選び直せばいい 体系を学び,プロセスを測る:改善プロジェクトの両輪 © 2026 クオリティアーツ 66
ありがとうございました 体系を学び,プロセスを測る:改善プロジェクトの両輪 クオリティアーツ(Quality Arts) 代表 池田 暁 https://quality-arts.com/ © 2026
クオリティアーツ
Appendix A-1 参考文献・出典 テストプロセス改善 体系・BOK 事例 • • IEEE Computer
Society 『SWEBOK Guide V4.0』(2024 年) • ソフトウェア品質シンポジウム 2026 経験発表 B2-3(三菱電機, 2026年9月10日) • 日本科学技術連盟『SQuBOK Guide V3』(2020年) • • PMI『PMBOK Guide 第8版』 (2025年11月) JaSST 各回の公開プログラム (JaSST'16 Tokai/JaSST'17 Tokyo/JaSST'18 Tokyo) • メルカリ mercan(2016年8月26 日) • ウイングアーク1st Medium (2020年12月10日) • テクバン ブログ(2018年11月19 日) • ベリサーブ/トレノケートの各サー ビスページ • • • ASTER テストプロセス改善技術研 究会『テストプロセス改善技術 入 門ガイド ver1.0.0』(2020年12 月15日公開) Sogeti『TPI NEXT® ビジネス主導 のテストプロセス改善』(日本語 版)/『TPI NEXT® tool v2.1.2』 日本語版チェックポイント一覧・日 本語マニュアル TMMi Foundation『TMMi Framework Model V2.0』および Release Notes(2026年6月) • • R.S. Pressman, B.R. Maxim『実 践ソフトウェアエンジニアリング 第9版』(SEPA翻訳プロジェクト 訳,オーム社,2021年12月) P.F.ドラッカー『創造する経営者』 ISTQB CTAL-TM シラバス(現行 v3.0) ※ TPI NEXTの公式ツールは https://www.tmap.net/building-blocks/test-process-improvement-tpi/ から入手できます. 体系を学び,プロセスを測る:改善プロジェクトの両輪 © 2026 クオリティアーツ 68
Appendix A-2 補足:白い本の正誤表(オーム社) 本文の訂正 ①(4〜269頁) 本文の訂正 ②(294〜383頁) 使うときに • 4頁
図1.2 に参考を追記 ソフトウェアの 故障については17.7節を参照[1刷] • • オーム社の書籍ページで公開(2022年9 月20日版,全12件) • 78頁 右段9行 技術敵な知識が → 技術的 な知識が[1刷] 294頁 右段下から4行目 変更したフト ウェアコンポーネント → 変更したソフト ウェアコンポーネント[1・2刷] • • 306頁 図21.2 左上 コンフィグレーショ ンテスト → コンテンツテスト[1・2刷] https://www.ohmsha.co.jp/book/9784 274227943.html#errata • • 309頁 右段最下行 のの不正アクセス → の不正アクセス[1・2刷] 各項目に「対象 刷数」がある.手元の本 の刷は奥付で確認する • • 323頁 図22.2 右下 刷] 多くは誤字だが,262頁と269頁は文の意 味が変わる.引用するときは要注意 • • 325頁 図22.4 上 ユースケー → ユース ケース[1・2刷] 教材や社内標準に本文を引く前に,一度当 てておく • • 383頁 図25.5 下部 3c 術的リスクアセ スメント → 3c 技術的リスクアセスメン ト[1刷] 白い本を正典として使う以上,正典の側の 訂正も追う(1-23) • • • • 227頁・目次xix頁 15.2.2/15.2.3 の見 出しが逆(正:定性的な品質評価/定量的 な品質評価)[1刷] 232頁 右段5行目 ソフトウェアエンジニ アリグ → ソフトウェアエンジニアリング [1刷] 262頁 左段下から11行目 そうは言って も要求を定義は → そうは言っても要求を 獲得する段階では[1・2刷] 269頁 左段4行目 セキュリティ対策を適 切に行う → セキュリティを適切に測定す る[1・2刷] 図の差し替え[1・2 ※ 出典:オーム社『実践ソフトウェアエンジニアリング(第9版)』書籍ページの正誤表PDF(2022年9月20日,ISBN 978-4-274-22794-3).2026年10月10日時点の掲 載内容です. 体系を学び,プロセスを測る:改善プロジェクトの両輪 © 2026 クオリティアーツ 69
Appendix A-3 補足:TMMi V2.0(2026年6月)の主な変更 構成の変更 内容の変更 移行の期限 • • レベル3の「Test
Lifecycle and Integration」を「Test Process and Integration」に改名 • R1.3に基づくアセスメント・認証 は,2027年7月31日まで(8月1日 以降は受けられない) • レベル4の「Advanced Reviews」 を削除(アジャイル・DevOpsで文 書中心でなくなったため) • これから始めるなら V2.0 を見る スペシフィック/ジェネリックの ゴール・プラクティスから「ゴール (G)」「プラクティス(P)」 「サブプラクティス」へ簡素化 • レベル2に「2.6 Implementation and Habit」を新設(R1.3のジェネ リックゴールの内容を吸収) • • マスターテスト計画は独立したゴー ルを置かず,レベル2に統合 「intake test」を「smoke test」 に変更 • 全体の分量を約30%削減.AIと Quality Engineeringは付属書で扱 う ※ 出典:TMMi Foundation『TMMi Framework Model V2.0』Release Notes(2026年6月) 体系を学び,プロセスを測る:改善プロジェクトの両輪 © 2026 クオリティアーツ 70
Appendix A-4 補足:SQuBOK Guide V3 2.3 の位置づけ 2.3.1 プロセス評価モデル 2.3.2
プロセス改善技法 読み取れること • 2.3.1.1 CMMI(能力成熟度モデル 統合) • 2.3.2.1 シックスシグマ • • 2.3.2.2 IDEAL テスト向けの評価モデルとして置か れているのは TMMi 2.3.1.2 プロセスアセスメントに関 する規格(ISO/IEC 33000シリー ズ) • 2.3.2.3 PSP(パーソナル)と TSP(チーム) • TPI NEXT は ASTER の入門ガイ ドが扱う • 2.3.2.4 企業などで考案された改善 技法 • 評価(測る)と改善(直す)が,体 系の中で分けて整理されている • • 2.3.1.3 Automotive SPICE • 2.3.1.4 TMMi(テスト成熟度モデ ル統合) ※ 出典:SQuBOK Guide V3 詳細目次(オーム社) 体系を学び,プロセスを測る:改善プロジェクトの両輪 © 2026 クオリティアーツ 71
Appendix 補足:ISTQB・JSTQBの資格体系の現状(2026年9月時点) A-5 Core 変化 Expert Level • Foundation:CTFL(v4.0/正誤 表反映版
v4.0.1) • テスト自動化(TAE)が Core Advanced へ • • Advanced:CTAL-TA(v4.0)/ CTAL-TM(v3.0)/CTAL-TTA (v4.0) • アジャイルテスト(AT)も Core Advanced へ CTEL-TM(STM/OTM/ MTT):テストマネジメントの系 列 • CTEL-ITP:テストプロセスの系列 • ATP:テストプロセスのアセスメン ト • ITPI:テストプロセス改善の実施 • テストプロセス改善は,独立した系 列として置かれている • • Advanced:CTAL-TAE(v2.0) /CTAL-AT(v2.0,2026年新 設) 自動化とアジャイルは,テスト技術 者の素養という位置づけ ※ 出典:ISTQB Webサイト(certifications)および各シラバス 体系を学び,プロセスを測る:改善プロジェクトの両輪 © 2026 クオリティアーツ 72
Appendix A-6 補足:本日の用語ミニ辞典 TPI NEXT の用語 体系の用語 本日出てきた,そのほか • キーエリア:テストプロセスの16の側面.
3グループ(利害関係者との関係/テスト 管理/テスト業務の専門性)に分かれる • BOK:分野で合意された「何を知ってお くべきか」の地図 • TMMi:テストプロセス成熟度モデル.5 レベルの段階表現 • 成熟度レベル:4段階(初期/コントロー ルされた/効率化された/最適化した) SWEBOK:IEEE CS.作る技術の全域を 18の知識領域に(V4.0・2024年) • • ISTQB/JSTQB:テスト技術者の資格体 系(FL/AL/EL) • • ISO/IEC/IEEE 29119:テストの国際規格 • チェックポイント:レベルを満たしたかを 判定する問い.全157個 SQuBOK:日科技連.品質という切り口 (V3・2020年11月) • • クラスタ:次に手を付ける塊を示す記号 (A〜M) PMBOK:PMI.プロジェクトの運び方 (第8版・2025年11月) • • 改善提案/キーエリア達成のコツ:満たし ていないときに読む具体策(書籍側) 「白い本」:『実践ソフトウェアエンジニ アリング 第9版』オーム社・2021年12月. 5部30章 • テスト成熟度マトリクス:塗ると現在地が 見える表 • 正典:困ったときに立ち戻る場所のひとつ ※ 本編で使った言い方に揃えています.正式な定義は,各出典(A-1)に当たってください. 体系を学び,プロセスを測る:改善プロジェクトの両輪 © 2026 クオリティアーツ 73
Appendix A-7 補足:TPI NEXT 公式ツールの使い方 入手する 1回目のアセスメント つまずきやすいところ • 入手先は
www.tmap.net の TPI の ページ • 対象は1プロジェクトに絞る.全社 でなく,まず1つ • • ファイルは『TPI NEXT® tool v2.1.2(Nippon one list)』. Excel 形式で,費用はかからない • チェックポイントを順に「満たして いる/いない」で判定する 「部分的にできている」は,満たし ていない側に倒す.甘く付けると現 在地がぼやける • 用語の解釈がメンバーで割れる. チェックポイントごとに自社の言葉 で言い換えた公開事例がある(テク バン様,194本) • • • 「All Checkpoints」シートに,日 本語のチェックポイント全157個が 入っている 「Test maturity matrix」シートに, キーエリア レベル クラスタ記 号の配置がある • 迷うものは,チーム内の話し合いで 決めてよい.決めた理由を残す • 満たしているところを塗る.塗り終 われば現在地が一枚になる • • クラスタAの未達から,次に手を付 ける1つを決める 一人で付けない.複数人で付けて, ズレたところが議論の材料になる • 時間をかけすぎない.1回目は粗く てよい.3か月後にやり直せる • レベル達成を目的にしない.必ず現 場の効果と接続する 利用の条件は配布元の表示に従う ※ 所要時間の目安として,公開事例では「1人90〜180分」という記録があります(ウイングアーク1st様,2020年).池田の伴走では,1回目は半日で粗く塗り切ることを勧 めています. 体系を学び,プロセスを測る:改善プロジェクトの両輪 © 2026 クオリティアーツ 74
Appendix A-8 補足:プロセス改善モデルの比較 TPI NEXT TMMi CMMI Automotive SPICE •
対象:テストプロセス • 対象:テストプロセス • • • 評価の単位:16のキーエ リア • 評価の単位:プロセスエ リア 対象:開発プロセス全般 (テストに限らない) 対象:車載ソフトウェア の開発プロセス • • 評価の単位:プロセス 進め方:自己評価で回せ る.公式ツール(Excel) が無料で手に入る • 評価の単位:プロセスエ リア • 進め方:有資格者による アセスメント • レベルの出方:プロセス ごとに能力レベルで表す • 向いている場面:車載の 取引で求められるとき • • • レベルの出方:キーエリ アごとに4段階.全体で1 つのレベルにはならない (混合モデル) 進め方:TMMi Foundation の仕組みに 沿ったアセスメントがあ る • レベルの出方:組織とし て1〜5の段階で表す • 向いている場面:到達度 を外部に示す必要がある とき 向いている場面:いまの 現在地を自分たちで知り, 次の1つを決めたいとき • • • 進め方:有資格者による アセスメント レベルの出方:組織とし て1〜5の段階で表す 向いている場面:組織全 体の能力を示すとき ※ 費用やアセッサの要件は,公開情報が十分でないため記載していません.導入を検討する段階で,各団体に直接ご確認ください.本日 TPI NEXT から始めるのは,自己評価 で回せて,全体を一度に整えなくてよいからです. 体系を学び,プロセスを測る:改善プロジェクトの両輪 © 2026 クオリティアーツ 75
クオリティアーツ 前に進む意志に,伴走する https://quality-arts.com/ ©2026 クオリティアーツ