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安全運航に役立つ整備知識 / JSA 2021 Safety Glider Maintenance

安全運航に役立つ整備知識 / JSA 2021 Safety Glider Maintenance

滑空スポーツ講習会2020 第7回 福岡
日時:2021年2月14日(日)10:30 – 12:00 / 13:00-17:00
場所:オンライン開催のみに変更
主催:公益社団法人日本滑空協会  
後援:国土交通省 航空局

「安全運航に役立つ整備知識」
(公社)日本グライダークラブ  山木 宏

JSA seminar

March 04, 2021
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Transcript

  1. 1975 19 H-23Cにてフライト開始 1977 21 Estrella遠征、Ka-8購入 自家用操縦士 1979 教育証明、三等航空整備士 1980

    Narromine遠征 航空級無線通信士 1985 29 ASW-20L 2001 45 Nimbus-4DM 2003 整備士(動滑)限定変更 2004 48 Duo Discus-T 2008 耐空検査員 2009 53 Super Dimona 2013 57 Arcus-T 2015 59 Arcus-M 年間のフライト 約 30回、100時間、5000km 私の経歴 Japan Soaring Club
  2. 機体の組立、点検と分解 1. 結合部の清掃、点検 2. 組立:自由度を減らす作業 Wing Stand、Riggerの活用 すきま、マーキングの活用 3. 組立後点検:操縦席、外部

    (ゆがみ、凹み) 動翼のガタと結合、たたき? 4. 分解:エンジン機は使用後の点検も重要 点検 ・いつも決めた方向(左回り)と手順 ・途切れたら、確実に確認したところから Japan Soaring Club 出典 Discus2 Flight Manual
  3. パーツ類の知識 -1 1. グリース ・適切な塗布量、混ぜない 基礎知識 www.kyodoyushi.co.jp/knowledge/grease/category/ ・ウレア系の活用 和光ケミカル www.wako-chemical.co.jp/

    など ・防錆油:別途準備がベター 2. 粘着テープ ・粘着剤に使用するゴム:ゴム系、アクリル系、シリコーン系・・ ・塩ビテープ:短期使用の翼根シール のみ ・長期使用:非塩ビ、アクリル粘着 (例:3M ビニール補修用) ・すべり用:テフロン ⇒ 超高分子量ポリエチレン ・粘着剤剥がし :リモネンなど (溶剤は粘着剤が溶けて剥がしにくい) *溶剤スプレー:速乾よりも中速乾の方が洗浄力が大きい Japan Soaring Club
  4. 3. バッテリ:リン酸鉄リチウムバッテリ (LiFePO4) www.chikuden-sys.com/ など 鉛との比較 ・軽い ・自己放電が少なく長寿命 ・使用時の電圧降下が少なく実質容量が大きい ・リチウム系の中では安全

    + 保護回路付き 4. 配線 www.aircraftspruce.com/ など ・配線:テフロン被服 AWG 18(1.0Φ):14-18A、22(0.65Φ):8-10A 各色あり 塩ビ被服配線:耐熱性低く、燃える ・ブレーカの活用 特に各バッテリ Japan Soaring Club パーツ類の知識 -2 出典 http://shop.fusion-boats.com/?pid=139302966 E-T-A社製483
  5. 5. 計器配管 軟質塩ビ配管:古くなると、動いただけでシールは? ・固定配管:硬質ナイロン、ウレタンチューブ (エア配管継ぎ手:Oリング付き、軟質はインナスリーブ) ・計器付近:シリコーンゴム配管 (5/9mmなど) シリコーンゴム:クリープが少ない ⇒ 漏れない、折れない

    ・再接続時は、半ピッチ切断 ・動圧系統は漏れると・・ *漏れテスト (サーキュラー 3-010) ⇒ 漏れない配管システム Japan Soaring Club パーツ類の知識 -3 出典 https://www.silicone.jp/catalog/pdf/rubber_j.pdf 出典 https://www.pisco.co.jp/media/book/book_a01
  6. 6. 高度計 ・Winter製は低精度の規格 機械式は摩擦による誤差大 ・参照予備計器:電気式高度計 (高精度、初期調整ミス防止)、GPS高度 Japan Soaring Club 試験高度

    Winter United エンコーダ 電気式 エンコーダ 実力 0 ±45 ±20 ±75 0 2000 ±45 ±30 ±75 0 4000 ±90 ±35 ±75 +5 8000 ±120 ±60 ±75 +10 10000 - ±80 ±75 +15 12000 ±180 ±90 ±75 - 20000 ±300 ±130 ±75 +30 パーツ類の知識 -4 Cambridge 302の校正実績
  7. 8. タイヤ圧力 ・規定圧 +0.3 -0.2 barを目安 ・高い方が耐荷重UP (許容圧内) ・古くなったら交換 (安い)、チューブも交換

    ・N2は? O2のガス透過性は少し大きい ・ホイールは分割式:エア抜き後に分解 ホイールとタイヤにスリップマーク ・エクステンションは機体に搭載 9. ブレーキ ・DOT4などのブレーキオイル(吸水性)は定期的に交換 ・TOSTのレトロフィット部品で最新モデルに変更 Japan Soaring Club パーツ類の知識 -6 TOST油圧ブレーキ
  8. 基本整備知識 -2 1. ボルト締結 ・強度区分表示 8.8以上が必須 ・適切なトルク ⇒ ゆるみ止め 代表的なトルク

    M6:10 Nm、M8:20 Nm ・セルフロックナット:繰り返し使用可能 (要確認) ・ロックタイト:金属+酸素なし で硬化 呼び 1回目ねじ込みmax. 金属 / 非金属 1回目戻しmin. 5回目戻しmin. M5-0.8 1.6 / 0.8 0.29 0.2 M6-1.0 3.0 / 1.5 0.45 0.3 M8-1.25 6.0 / 3.0 0.85 0.6 M10-1.5 10.5 / 5.3 1.5 1.0 M12-1.75 15.5 / 7.8 2.3 1.6 セルフロックナットの規格 強度区分8.8 JIS B1056:2011 トルク Nm M6 セルフロックナットの繰り返し性能 Japan Soaring Club 出典 東日トルクハンドブック 出典 西精工 NEWナイロンナット
  9. 基本整備作業 -3 2. 外装 (キャノピ含む) いつもきれいに ・こまめに削って磨く: ポリッシャのパッドと研磨剤の組み合わせ 低反発ウレタン+目消し、ソフトスポンジ+艶出し ・ゲルコートクラック:削り

    ⇒ PU塗料 で長持ち ・塗料:自動車用ウレタン塗料 例:関ペ レタンPGエコ、日ペ マイティラック ・サンドペーパー:一流品を惜しげなく使う Kovax、Sia、3M 塗料とサンドペーパーはいつも最新モデル Japan Soaring Club 400番にてサンディング後
  10. 軽微な保守 有資格整備士の確認を必要としない作業 サーキュラー3-001 特別な知識・経験を必要とせずに実施できる作業 = 軽微な保守作業 原則:相当の経験、知識及び技能を有する作業者、 操縦技能証明を有し、かつ、整備に係る教育訓練を受けたパイロット or 有資格整備士の指導の下にある作業者により行われること

    a. 簡単な保守予防作業であって緊度、間げき、隙の調整及び複雑な結合作用を伴わない 正規部品の交換、給排油等 (正規部品:パーツカタログに記載) 無資格でできる整備 サーキュラー、TCDの入手:https://www.asims.mlit.go.jp/ 保守 耐空性等を維持するために必要な作業。原則として、運用限界の範囲内で航空機を使用 した場合に、通常必要となる作業(必要な点検及び検査を含む。) Japan Soaring Club
  11. 定期耐空検査前に必要な整備 サーキュラー 3-024 サーキュラー 1-001 附録Ⅰ-3 3-1 年次点検 *動力関係、対象なし部分は削除 1.

    準備作業:必要な点検口、フェアリングを取外し、全般にわたって必要な清掃 2. 胴体 a. 羽布及び外板:劣化、ゆがみ、損傷、取付部のゆるみ等 b. 系統及び装備品:装着、損傷、作動等 3. 操縦室 a. 清掃状態、また操縦系統に悪影響を及ぼすような装置のゆるみ b. 座席及び安全ベルト:状態(ほつれ等) c. 風防:劣化、損傷 d. 計器:状態、取付け、マーキング、作動 e. 操縦系統:取付け、作動、ケーブルの状態、安全線 f. バッテリー:取付け、充電状態 5. 着陸装置 a. すべての部品:状態、取付け 緩衝装置 d. 脚引込み及びロック機構:作動 g. 車輪:亀裂、損傷、ベアリングの状態 h. タイヤ:摩耗 i. ブレーキ:調整 6.7. 翼、胴体中央部、尾部の構成部品のについて、外板の劣化、ねじれ、ゆがみ、破損の徴候、 取付けのゆるみ、構成部品の作動を点検 9. 無線機器 a. 機器:取付け、ゆるみ b. 配線:経路、取付け、損傷 d. アンテナ:取付け、状態、作動 実際の点検項目は メンテナンスマニュアル参照 Japan Soaring Club