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滑空スポーツ講習会2021 航空安全講習会 第1回 グライダー事故を読み解く(1) / jsa safety seminar 2021 accidentreview part1

JSA seminar
December 12, 2021

滑空スポーツ講習会2021 航空安全講習会 第1回 グライダー事故を読み解く(1) / jsa safety seminar 2021 accidentreview part1

公益社団法人日本滑空協会
2021/12/11
講師 (公社)滝川スカイスポーツ振興協会 日口裕二

JSA seminar

December 12, 2021
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Transcript

  1. (公社)滝川スカイスポーツ振興協会
    チーフインストラクター 日口 裕二
    JSA航空安全講習会 2021年12月11日(土) 14:10~15:25

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  2. 自己紹介
    • 1980年 北大航空部でグライダーを始める
    • 1985年 教証取得
    • 1987年 滝川で飛び始める
    • 1989年 北海道滝川西高等学校に赴任
    • 1993年 滝川市スカイスポーツ課に配属 以降、スカイスポーツのま
    ちづくりに邁進 運航主任、主任教官を歴任
    • 2021年 滝川市役所を定年退職 現職に至る
    JSA常務理事として、クラブ間連携や講習会事業を担当
    ※著書に、『雲と風』、ソアリングエンジンシリーズなど
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  3. 多くの仲間を失った・・・
    • 低空スピン
    • ウィンチ曳航中のストール/スピン
    • ハイポキシア&空中分解
    • 空中衝突
    • その他、友人知人は数知れず(洋の東西を問わず)
    ※自動車事故で亡くなった友人は一人もいない・・・Bruno Gantenbrink
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  4. 2回にわたってお話しすること
    ・なぜ、どのようにグライダー事故は起こるのか
    ・どのようにグライダー事故を防ぐのか
    <本日の聴講のルール>
    質問があるようでしたら、チャットに書き込んで
    ください。
    私が話している最中でも、進行役が適時紹介し、
    それにお答えさせていただきます。
    双方向にディスカッションできればと思っていま
    すので、よろしくお願いいたします。
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  5. 事故解析の目的
    結論を一つにまとめることではなく、そこから派生され
    る要因のえぐり出しと、そこから導き出される教訓を得、
    自分たちの行動(再発防止のために何をしなければな
    らないのか)につなげること
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  6. 一つの事故を振り返ると・・・
    • Errorの繰り返しが事故につながっている
    (Errorを誘因するThreat)
    • 事故の連鎖に巻き込まれている
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  7. 何が悪いのでしょう?
    https://www.youtube.com/watch?v=9SoUmWYRLhE
    (解説)
    https://www.youtube.com/watch?v=NpyqiAp2TFY
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  8. 航空事故調査報告書等の解読
    運輸安全委員会HP
    https://www.mlit.go.jp/jtsb/airmenu.html
    BGA Accident Summary
    https://members.gliding.co.uk/library/accident-and-incident-
    summaries/
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  9. 原因の背後にある『何か』を探る
    • 飛行経験(飛行時間、経験機種、エマージェンシートレーニング、など)
    • カレンシー
    • 飛行環境(ウェザー、不慣れな場所、初めてのO/Lなど)
    • パイロットのタイプ(慌てやすい、反射的、など)
    ※直接原因と間接原因
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  10. 事例1. 2015年5月 北海道樺戸郡浦臼町
    Discus bT墜落事故
    <事故の概要> 個人所属シェンプ・ヒルト式ディスカスbT型JA20TDは、平成27年5
    月 30日(土)、航法訓練のため、たきかわスカイパークから飛行機曳航により発航し、
    西南西約13kmの高度約5,300ftで曳航機から離脱した。12時36分、同機は、 たき
    かわスカイパークの南西約11km、標高約85mの牧草地に墜落した。 同機には、機長
    のみが搭乗していたが、死亡した。 同機は大破したが、火災は発生しなかった。
    <原因> 本事故は、機長が牧草地に場外着陸を試みた際、直線の最終進入経路を確
    保できな いまま、低高度において左旋回中に高度が大きく低下したため、墜落したもの
    と考えられる。 低高度において左旋回中に高度が大きく低下したのは、高度に余裕が
    なくなっていたため、機長が左旋回しつつ機首上げを行い対気速度が減少したこと、又
    は、旋回中に操舵の調和が取れず左に滑り落ちたことによる可能性が考えられる。
    https://www.mlit.go.jp/jtsb/aircraft/rep-acci/AA2016-5-4-JA20TD.pdf
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  13. <背景>
    • 「Takikawa Glider Competition Meeting」開催中
    • 当該パイロットはAUSでの経験は豊富だったが、ウェーブを
    初め山岳エリアの飛行に不慣れだった
    • オーストラリアでSL機に慣れていたが、Turbo機は今回が初
    めての運用だった
    • 期間中、リーダー機やスタッフに比べて必ずしもうまく飛べ
    ていなかった
    • 当日は難しいウェーブ・ローカル・デーだった(当日、指定外
    の場所にO/Lした機体もあった)
    • いわゆる、優柔不断なパイロットではない
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  14. 事故が起こったら・・・情報の収集と解析
    <報道から>
    ・状況写真
    ・基本情報
    <関係者から>
    ・目撃者情報
    • ウェザー
    • 機材
    • 飛行概要
    • パイロット(飛行キャリア、ほか)
    (北海道新聞社ヘリから)
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  15. 正しく恐れる・・・ベテラン/アマチュアは無関係
    心の萎縮(漠然とした不安)をどのように抑えるか?
    →できるだけ早期にフライトする(”自信”の再積み上げ)
    →基本に立ち返る
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  16. 外国における事故解析と対応
    <NZで垣間見た事例>
    NZ Grand Prix中にGERの国内チャンピオンが墜落
    ・CAA(NZの航空局)がGNZ(NZ滑空協会)の協力を得て事故調査
    ・現地にいたGERの世界チャンピオンが事故の翌日、ヘリで現場に急行
    ・その日のうちに、事故原因を究明
    「山岳地帯の地面近く、数mの高さの凸地に水平状態で激突。おそらく
    スピンに入ったのだろう。かろうじて回復したものの、高度が足りなかっ
    た…。」
    ウェザーは競技向き、2機に追尾されていた。
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    最近20年間のグライダー事故
    事故件数 死亡者数 17

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  18. 事故対策(どのように事故を防ぐのか)
    <パイロットとして>
    TEMの実践
    Threatの認識
    Errorの連鎖を止める
    <組織として>
    FMS (Flight Management System)の構築、実践
    (続く)
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