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Scaling up Excellence

Scaling up Excellence

Yasunobu Kawaguchi
PRO

November 06, 2021
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  1. Scaling up Excellence
    川口恭伸
    株式会社ホロラボ
    アギレルゴコンサルティング株式会社
    シニアアジャイルコーチ
    よい文化を保ったまま拡大する方法
    スケールアップ

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  2. 川口 恭伸
    かわぐち やすのぶ
    Twitter: @kawaguti
    アギレルゴコンサルティング株式会社 シニアアジャイルコーチ
    株式会社ホロラボシニアアジャイルコーチ
    一般社団法人スクラムギャザリング東京実行委員会 代表理事
    一般社団法人 DevOpsDays Tokyo 代表理事

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  3. アジャイル
    マニフェスト
    20周年

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  4. どうして規模拡大したいのか?
    • 人類の夢だから
    • 敵が大きいから
    • ガンプラが売れるから
    • 多くの人を助けたい
    • 時期を逃したくない
    • 所属企業が大きいから
    • ビルぐらい建てたい

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  5. でも大きな組織って大変じゃない?
    • 丸投げされる
    • 客が見えない
    • ユーザーが遠い
    • 評価制度が無機質
    • 政治がはびこる
    • 上司ガチャ

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  6. よい文化を保ったまま大きくしたい
    • 機敏で品質がよい
    • サービスができる
    • 顧客のエンゲージ
    メントがよい
    • 従業員がハッピー
    • バグを出さない

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  7. 注意事項
    ここから進むときは
    スクラムのことを
    忘れてください。
    あと、金目のものは私にください。
    質屋に売っておこづかいにします。
    注文の多い料理店

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  8. Agile 2012
    基調講演
    https://kawaguti.hateblo.jp/
    entry/20120815/1344965025

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  9. https://en.wikipedia.org/wiki/Robert_I._Sutton
    Robert I. Sutton
    ロバート・サットン
    スタンフォード大学
    工学部教授(経営工学)
    ミシガン大学で組織心理学のPh.D
    Evidence Based Managementが専門

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  10. 共著者ハギー・ラオの課題認識
    • 企業が
    「卓越性の核」 CoE
    を持っている
    • それを失うことなく
    どうやって広げて
    いくか?
    Center of Excellence

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  11. コア・メッセージ
    • スケール成功≠従業員急増
    • 「マインドセット」が
    共有されていること
    • 何をすべきで、
    何をすべきでないか。
    なぜそうするのか。
    • スケーリングは
    毎日コツコツ行う(地上戦)

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  12. Facebookのブートキャンプ 1/2
    https://techcrunch.com/
    2019/03/14/
    chris-cox-leaves-facebook/
    • 従業員のオンボーディング
    • 洗脳して、Facebookで成功
    するために必要なマインド
    セットを身につけさせたい
    • 最初の6週間で12~13の
    様々な短期プロジェクトに
    取り組む
    Chris Cox

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  13. Facebookのブートキャンプ 2/2
    https://techcrunch.com/
    2019/03/14/
    chris-cox-leaves-facebook/
    • 成功基準:
    最初の週に、サイトに変更を
    加えて母親に見せられる
    • 伝えたい文化:
    Hg(コード管理)に触れ、
    コードベース全体を理解し、
    「素早く動いて物事を壊す」
    Chris Cox

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  14. スターバックス: Onwards
    https://stories.starbucks.com
    /stories/2018/howard-
    schultz-and-starbucks-25-
    moments-to-remember/
    • 創業者だが、途中で任せた
    CEOを退任させて戻った
    • 1000→1300店に拡大する
    際に必要な開発と規模の拡大
    について述べた
    • 体験を水増しするような決定
    をしてしまった後悔
    Howard Schultz

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  15. 選択のポイント1: More vs Better
    • 電圧低下問題
    • 卓越したCoEがあるのに
    ほかの場所に移転すると
    翻訳によって失われる
    • Google 「Don’t be evil」は
    どこまで広げらるか?

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  16. 選択のポイント2: Alone vs Together
    • 一人でやるのか、他の人と一
    緒にやるのか
    • P&G傘下のag labsは競合
    と一緒に製品を作った
    • ピクサーはビル内全員従業
    員として直接雇用
    • これは設計上の選択

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  17. 選択のポイント3: カトリック vs 仏教
    • d.school 創立者のジョージ・
    ケンベルが言った言葉
    • カトリック: コピー・コンプ
    リート
    • うまくいかない例 : 中国の
    ホームデポ
    • 仏教 : 自由裁量権を与える

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  18. 95%は標準、5%はカスタマイズ
    • アトゥール・ガワンデ
    • チェックリストマニフェスト
    • Brigham and Women’s 病院
    • ジョン・ライト
    • 人工関節手術の標準化
    • 新製品は高価で故障も多いので、
    旧製品を使い続けるように

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  19. 1. ホットな原因とクールな解決策
    2. 口先だけでなく、マインドセット
    3. 迷ったら削れ。認知負荷を下げる
    4. 些細なことが大きな力になる:
    さりげない合図がマインドを動かす
    5. 人をつなぎ、卓越性を連鎖させる
    6. マインドセットは操舵輪、
    インセンティブはジュース
    7. 破壊的な信念や行動を許さない
    スケーリングの原則

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  20. 原則1 ホットな原因とクールな解決策
    • 人間は感情で動く: 論理的な理
    由よりも、怒りなどの感情的
    なポイントが説得要因に
    • 提案する解決方法は、
    論理的でスマートなものを
    • マイケル・デルの挑発を利用
    したスティーブ・ジョブズ

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  21. 「10万人の命キャンペーン」
    • 4000人の医療専門家を集め
    • エビデンスに基づく論理的な
    説明だけでなく、
    • 被害に遭った人の話、
    修道士の話を入れた
    • 具体的な対策を示した。
    • ベッドの45度傾斜を維持するため
    に壁にイラストを描いた
    http://www.ihi.org/communities/blogs/
    100000-lives-campaign-ten-years-later
    100k Lives Campaign

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  22. 「今、アップルにアドバイスするとしたら
    なんて言いますか?」
    「私なら『会社を清算して株主にお金を返
    せ』と言うね」
    「もし君がAppleを再び偉大なものに
    したいのなら、さっさと始めよう。」
    →敵ができたことで味方を作った
    最初の社内ミーティングでジョブズ
    https://blogs.itmedia.co.jp/kurikiyo/2008/05/post-1684.html
    Steve Jobs
    Michael Dell

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  23. 原則2 口先だけでなく、マインドセット
    • 強い信念は、行為によって伝
    わる
    • JetBlue の Bonny Simi はある
    施策についてスタッフに聞いた
    「これがうまく行くと思っている
    人は何人いる?」だれも手を上げ
    なかったので、とりやめた。

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  24. 大企業では優秀な人がバカになる?!
    • 「会社が大きくなればなるほど、
    中にいる賢い人たちがバカに
    なる確率が高くなるという
    仮説を立てています。」
    • 大企業では、
    沈黙こそが卓越性の真の敵。
    賢い人は気づいているけど、
    言わなくなる。
    https://youtu.be/R1WG_u0o9JM

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  25. ピクサー社長の心配事
    「昨日、Pixarに行って、何人かの上級
    社員に会ってきましたが、その理由のひ
    とつは、Pixarがある種の移行期にあり、
    成長してきたからです。Pixarの社長で
    あるエド・カトマルは、あまりにも多く
    の人が沈黙していることを心配していま
    した。Pixarが実際に映画を制作する際
    には、4人か5人のブレーン・トラスト
    (頭脳集団)がいます。」
    https://youtu.be/R1WG_u0o9JM

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  26. 原則3 迷ったら削れ
    • メッセージはシンプルに考え、
    伝え、認知的負荷を下げる
    • しかし本質的な複雑性は扱う
    • 米海軍の特殊部隊SEAL:
    チームの人数が増えれば問題
    も増える

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  27. Dunbar’s Number ダンバー数
    • 一人が対応できる人数の
    認知的限界は100-250人
    (150人くらい)
    https://ja.wikipedia.org/wiki/
    ダンバー数
    “ダンバー数を超えると、大抵の場合
    で、グループの団結と安定を維持する
    ためには、より拘束性のある規則や法
    規や強制的なノルマが必要になると考
    えられている。”(Wikipedia)

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  28. 「もし私が一つの教訓を選ぶとしたら」
    “他の何よりも多くの組織が失敗していると
    思うことは、グループサイズです。リチャー
    ド・ハックマンの言葉を借りれば、チームが
    5,6,7,8人よりも大きくなり、10人近くにな
    ると、物事が本当に悪くなるという証拠がた
    くさんあります。基本的には、10人、あるい
    は11人になると、調整のための雑務に費やす
    時間が増え、実際に仕事をする時間が減って
    いきます。もう1つは、人間関係の問題が発生
    することです。ディナーに行って10人、11人
    と会話をするのは不可能に近いですよね。”
    https://youtu.be/R1WG_u0o9JM

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  29. 原則4 さりげない合図がマインドを動かす
    • ワインショップでドイツの音楽
    をかけるとドイツワインがフラ
    ンスワインより売れる
    • スターバックス: コーヒーの香
    りがなくなることは、シグナル
    • 金銭的インセンティブには注意

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  30. 金銭インセンティブは利己性を高める
    “キャスリーン・ボスの9つの研究(サイエ
    ンス誌に掲載)では、… お金があると、人は
    より利己的になることがわかりました。お
    金があると、人は助けを求めることが少な
    くなり、譲ることも少なくなり、人から離
    れた場所に座るようになり、一人で何かを
    するか、他の人と協力して何かをするかと
    いう選択肢を与えられると、より頻繁に一
    人で作業することを選びます。”

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  31. 原則5 人をつなぎ、卓越性を連鎖させる
    • 働いている人が、
    次に他の人のメンターになる
    • よいフランチャイズ店と
    悪い店舗をペアにする
    • 米Zynga 「まず自分の代わりに
    なる人を育てる」
    • まず多様性の高いチームを作る。
    似た者同士になる力(power of
    similarity)を使って能力を高める

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  32. 小さなグループから始まる
    “しかし、優れたものが広まると
    きには必ず、スピーチやコンセプ
    トを人々に吹き込んで、ただ彼ら
    を放置し、彼らがやり方を理解す
    るというようなことはありません、
    ほとんどの場合、あなたが望むよ
    うな優れたものを持った小さなグ
    ループが1つか2つできます。”

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  33. 100k Lives: コネクテッド・カスケード
    “専門家であるというレッテルを貼る
    のです。そして、他の病院を探します。
    そして、その病院は専門家のグループ
    に入ります。そして、文字通り、1つ
    のグループが指導者になり、次のグ
    ループの指導者になるのです。このよ
    うにして、これらのプラクティスを広
    めていくのです。”
    http://www.ihi.org/communities/blogs/
    100000-lives-campaign-ten-years-later

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  34. JetBlue : 空港閉鎖に対応するチーム
    “彼女は、写真を見てわかるように、
    女性と男性の両方を集めるように気を
    つけていました。皮肉屋や信者は、あ
    る視点から見ると、バリエーション
    (多様性)が増えれば増えるほど、より
    多くのことを尋ねることができ、それ
    を展開することができます。それが真
    実であることがわかりました。”

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  35. 原則6 マインドセットは操舵輪、
    インセンティブはジュース
    • マインドセット(善し悪しの判
    断)が方向を決め、インセン
    ティブ(金銭/非金銭)が燃料と
    なる
    • インセンティブは金銭だけで
    はない

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  36. お金は動機付けに重要。どう使うか
    “行動科学の多くの分野で明らかに
    なってきたことの1つは、… お金が一
    般的な存在に対する動機付けとして機
    能する理由は、人間には強い誇りの感
    情があるからだということです。ある
    いは、恥ずかしい思いをしたくないと
    思うこともあります。どうなると相手
    が困り、どうなると喜ぶか、常に考え
    ていないといけません。”

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  37. 原則7 破壊的な行動を避ける
    • 悪い行動の印象は、
    よい行動の印象の5倍残る
    • Cost Plus Market 社のCEOの
    店舗観察のポイント
    1. 快くゲストを迎えてくれるか
    2. トイレは清潔か

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  38. 悪い行動は、より深く根付いている
    “悪い行動は、より深く根付いている
    傾向があり、より伝染しやすく、取り
    除くのが難しい傾向があるということ
    です。卓越したものを広めようとする
    ならば、あなたの仕事の多くは、存在
    する悪い行動を取り除き、その芽を少
    しでも摘むことであるという議論があ
    ります。”

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  39. スケーリングの罠
    1. 群生とスケーリングを混同
    2. 急ぎすぎ、遠くを目指しすぎ
    「本当にやるべきことをするには、
    時間が足りません」
    …という発言があったら危険信号!

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  40. “スケールについて考えるとき、より大きく、より良
    く......足して、足して、足して......のように思えるとい
    う考え方です。しかし、実際には、人が優れたスケール
    アップをする場面を見ると、ほとんどの場合、同じくら
    いの量の引き算をしています。”
    “つまり、認知的複雑性を下げるということです。私た
    ちが感じた教訓は、物事を広げていくことと、常に必要
    のないものを可能な限り排除する単純化との間で、どの
    ようにしてバランスを取るかを考えることでした。”
    スケールは足し算と引き算を行う

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  41. View Slide

  42. スクフェス
    じゃん

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  43. スクフェスの場合
    • まず、
    すごくやりたい人
    から始まる。
    • やり方の多くは、
    実績のあるものから
    パクれるし、
    教えてもらえる

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  44. スクフェスの場合
    • やりたい人が
    自分でやる。
    • その場で
    モブでやる。
    • 燃え尽きない、
    抱え込まない。
    • しんどいことや
    必須でないことは
    また考える。

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  45. スクフェスの場合
    • 手が回らないこと、
    やる人がいないこと
    は絶対やらない
    • やったらよさそうな
    ことも、
    だいたいやらない
    • 裏方の頑張りでは
    なく、受益者の
    よろこびを考える

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  46. スクフェスの場合
    • 参加できる、
    みんなで作れる
    入り口をたくさん
    作る。
    • 廊下やDiscordの
    わいわい感
    • 相談できる感
    • 地続き感

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  47. スクフェスの場合
    • ほかのスクフェス
    やった人が教える。
    • 一緒にモブで
    作業して、
    一緒に終わらせる。
    • お互いに教えあう、
    聞ける。
    • 多様性も高そう。

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  48. スクフェスの場合
    • ほかのスクフェス
    やった人が教える。
    • 一緒にモブで
    作業して、
    一緒に終わらせる。
    • お互いに教えあう、
    聞ける。
    • 多様性も高そう。

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  49. スクフェスの場合
    • 押し付けることは
    ないけど、
    やらないことは
    結構明確な気がする
    • スタッフが燃え
    尽きないとか
    • お金の使い方とか
    • 給料はでないけど

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  50. スクフェスの場合
    • 基本ボランティア
    だからか、
    自分勝手な人は
    あまりいない。
    • 想像と違ったら
    去ればいいからか?
    • 誰かが疲れたり
    イライラすることは
    次から減らしていく

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  51. スクフェスの場合
    • 参加者が急増する
    ことは望まない
    • 参加者もスタッフも
    コミュニティなので
    有機的な成長を
    したい
    • 急いで成長しても
    誰もうれしくない

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  52. RSGT2022 でお待ちしております!

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