Upgrade to Pro
— share decks privately, control downloads, hide ads and more …
Speaker Deck
Features
Speaker Deck
PRO
Sign in
Sign up for free
Search
Search
モデル図の難しさについて
Search
kawakawa
December 22, 2023
Programming
1
260
モデル図の難しさについて
モデル図を道具として、現実(業務など)をみるときに生じる難しさとはなにか。
何をすれば現実を見る手助けとなるのかを考えてみました。
kawakawa
December 22, 2023
Tweet
Share
More Decks by kawakawa
See All by kawakawa
キーワードで振り返る暗黙知の次元
kawakawa
0
410
オブジェクト指向の「語る」と「示す」
kawakawa
9
22k
心理的安全性ゲームをやってみよう
kawakawa
2
2.9k
ドメインオブジェクトとユースケースの関係について
kawakawa
10
3.8k
Other Decks in Programming
See All in Programming
Amazon Qを使ってIaCを触ろう!
maruto
0
400
詳細解説! ArrayListの仕組みと実装
yujisoftware
0
580
レガシーシステムにどう立ち向かうか 複雑さと理想と現実/vs-legacy
suzukihoge
14
2.2k
役立つログに取り組もう
irof
28
9.6k
LLM生成文章の精度評価自動化とプロンプトチューニングの効率化について
layerx
PRO
2
190
3 Effective Rules for Using Signals in Angular
manfredsteyer
PRO
0
100
距離関数を極める! / SESSIONS 2024
gam0022
0
280
よくできたテンプレート言語として TypeScript + JSX を利用する試み / Using TypeScript + JSX outside of Web Frontend #TSKaigiKansai
izumin5210
6
1.7k
What’s New in Compose Multiplatform - A Live Tour (droidcon London 2024)
zsmb
1
470
Less waste, more joy, and a lot more green: How Quarkus makes Java better
hollycummins
0
100
Macとオーディオ再生 2024/11/02
yusukeito
0
370
3 Effective Rules for Using Signals in Angular
manfredsteyer
PRO
1
100
Featured
See All Featured
For a Future-Friendly Web
brad_frost
175
9.4k
The Invisible Side of Design
smashingmag
298
50k
[RailsConf 2023] Rails as a piece of cake
palkan
52
4.9k
Performance Is Good for Brains [We Love Speed 2024]
tammyeverts
6
410
ReactJS: Keep Simple. Everything can be a component!
pedronauck
665
120k
Code Reviewing Like a Champion
maltzj
520
39k
Principles of Awesome APIs and How to Build Them.
keavy
126
17k
"I'm Feeling Lucky" - Building Great Search Experiences for Today's Users (#IAC19)
danielanewman
226
22k
A better future with KSS
kneath
238
17k
Raft: Consensus for Rubyists
vanstee
136
6.6k
ピンチをチャンスに:未来をつくるプロダクトロードマップ #pmconf2020
aki_iinuma
109
49k
Being A Developer After 40
akosma
86
590k
Transcript
モデル図の難しさに ついて IT勉強会宴会 <年忘れLT宴会in新大阪> @kawakawa
モデル図と現実の関係性 2 現実世界 (業務やら) モデル図 抽象化 解釈化 理解 活用
モデル図と現実の関係性 3 現実世界 (業務やら) モデル図 抽象化 解釈化 理解 活用 目的ごとに、現実
を理解するために 抜きだしたものだ から理解はラク。
モデル図と現実の関係性 4 現実世界 (業務やら) モデル図 抽象化 解釈化 理解 活用 こっちが
大変!
モデル図➔現実の難しさ 5 ここで例を1つ。 皆さん、 野球のルールは知っていますか?
モデル図➔現実の難しさ 6 では、 野球のルールだけで、野球を語れますか?
モデル図➔現実の難しさ 7 では、 野球のルールだけで、野球を語れますか? WBC世界一をルールだけで説明できます?
モデル図➔現実の難しさ 8 野球はルールに従って成り立っています。 しかし、ルールだけでは野球を説明できま せん。 これはモデルにも同じことが言えます。 モデルに記載された内容だけでは、 現実を理解できません。 解釈の❝糸口❞になるだけです。
モデルが示しているのも 9 では、 モデルがすべてを記していなくても、 現実の解釈の糸口になる例を考えてみま しょう。
ひとつ問題を出してみたいと思います。 将棋に新しい「銅(どう)」というコマを 追加したいと思います。 「銅」はどのように動きますか? 10 銅
おそらく、動けるマスの多さが、 金・銀 > 銅 > 桂馬 となるように 考えた方は多かったのではないでしょうか。 例えば、こんな感じに。 11
銅 縦横 斜め 銅 銅 縦横&斜め
逆に、次のような振る舞いを考えた人は 少なかったと思います。 (1)他の種類の駒とまったく同じ動き (2)金や銀より多くのマスに動ける (3)好きなマスにワープできる!! 新しい駒の動きを自由に考えてよいのに、 なにかの制約を受けてしまったようです。 その制約の正体とは何でしょうか。 12
今回の場合、 (1)駒ごとに動きが異なることを知っている (2)金、銀、銅の貴金属価値、オリンピック などに見られる上下関係を、動けるマス数 にも当てはめている (3)将棋が破綻するような能力は、そもそも 想定から除外している などが考えられます。 13
(2)の金銀銅のメタファーが、動けるマス数に 金銀 > 銅 と制約を与えているこれが、 示すの良い例となります。 直接、動けるマス数を金銀より少なくしたい と指定しているわけではないのに、 金銀銅のメタファーを使うことで、 直接は記していない規則を示すことができるの
です。 14
(2)の金銀銅のメタファーが、動けるマス数に 金銀 > 銅 と制約を与えているこれが、 示すの良い例となります。 直接、動けるマス数を金銀より少なくしたい と指定しているわけではないのに、 金銀銅のメタファーを使うことで、 直接は記していない規則を示すことができるの
です。 15 これがモデル➔現実の難しさ となります。
良きメタファーを活用できるかが、 モデル➔現実世界を理解するうえの、 難しさにつながっているのです。 メタファー例 ・赤黒処理(情報は常に追記) ・色味(青=安全、黄=注意、赤=エラー) ・新幹線(のぞみ、ひかり、こだま) などなど 16
17 まとめ
モデル図は2段構成で出来ています。 記載している個所と、 記載していない箇所です。 モデル図が成り立つ前提は、 記載している箇所だけでなく、 記載していない箇所にも多く存在します。 「メタファ」をうまく活用することで、 記載していない箇所の概念を認知して もらうことができます。 18
「理解できるモデル図」から 「理解できてしまうモデル図」へ より良きモデル図への探求は まだまだ続きます。 19