Upgrade to Pro — share decks privately, control downloads, hide ads and more …

数学的思考 × ベンチャーの起業 ~理系の経験 こうやって役立ちました~

数学的思考 × ベンチャーの起業 ~理系の経験 こうやって役立ちました~

関西学院大学の数理科学概説にて2025/06/12に講義で話をさせていただいた内容になります。

Avatar for Kazuhiro Tamiwa

Kazuhiro Tamiwa

June 14, 2025
Tweet

More Decks by Kazuhiro Tamiwa

Other Decks in Education

Transcript

  1. Company Overview 会社概要 会社名 設立 人数 事業コンセプト 様々な企業出身のプロフェッショナルが集まるコミュニティ型企業 3 2,000人/年の応募のうち

    厳選3%のみ採用 あらゆるところから innovation総数を増やす 191人 (2024年12月現在) 2017年12月13日 主な所属団体 神戸経済同友会 スタートアップ委員会 副委員長 K. S. ロジャース株式会社
  2. 沿革・メンバー 会社概要 4 M&A等 事業多角化に向けた VCとの業務提携 2017年創業 テレワーク先駆者 100選受賞 資金調達

    等 Tech Hiveの提供開始 メンバー数の推移 (業務委託者含む ) 京都大学在学中にスタートアップを 起業しCTOに就任。その後 M&Aで のExitを経験。様々なプロダクト立 ち上げに従事したのち KSRを創 業。 神戸在住。 代表取締役 民輪 一博 Tamiwa Kazuhiro 共同創業者 安本 賢司 Kenji Yasumoto 品質管理課 課長 田中 伸哉 Shinya Tanaka 新卒のリクルートにて、データ解析 の部署にて不動産関連のレコメン ド開発や分析を経験。その際、 データ分析を支えるインフラ構築や DevOpsの最適化を行う。 その後、民輪とともに KSRを共同創 業。 外資系ITコンサルティング企業での デリバリーに従事し、さまざまなプロ ジェクトのQCDを担う。 KSRでは会社全体のプロジェクト品質 管理を担う。 ナイル株式会社にて主に新規事 業のUXデザイン・プロジェクトマ ネジメントを経験。 その後フィンランドに移住。 KSR ではPdM業務などに従事後、人 材配置課を統括。 ソフトバンク株式会社 ビッグデー タ戦略室 課長 兼 Agoop株式会 社 本部長 としてビッグデータの 事業開発に従事後、 GovTech ス タートアップを経て現職。 スタートアップスタジオ事業責 任者 丸山 修平 Maruyama Shuhei 人材配置課 課長 岩崎優介 Yusuke Iwasaki
  3. IPO・M&Aをする企業だけが必ずしもすごいわけではない。しっかり儲けつつ、コングロマリットな企業になる。 5 ビジョン(中長期) 会社概要 神戸の隠れた超優良企業 を目指す 神戸・関西を「一番盛り上げ」「一番 のベンチャー」 と言われるような存在 事業が多角化され、

    成長を続けている 1→10、10→100、など KSRが強みをもっている領域 で展開されている 各事業が成長を継続している 知る人ぞ知る SS事業 M&A 新規事業 JV 複数の事業を通じて 社会寄与・貢献を考えていく。 今の強みを元にレバレッジをかける
  4. 7 自己紹介 経歴 趣味 2009年3月 甲陽学院高校卒業 2016年3月 京都大学大学院工学研究科電気工学専攻卒業 2016年4月 CTOをやっていた

    1社目のスタートアップ売却 2016年6月 AI系スタートアップ CTOに就任 2017年12月 K.S.ロジャース創業 Developers Boost(デブスト) 2019 基調講演 Developers Summit(デブサミ) 2020 講演 音楽、サウナ、ゲーム、阪神タイガース、プレミアリーグ 第1章 はじめに ~講演の目的と背景~ 2ヶ月新卒無職に 代表取締役 民輪 一博 (34) Tamiwa Kazuhiro
  5. 8 伝えたいこと 第1章 はじめに ~講演の目的と背景~ 数学的思考は必ずしも 直接的に役立つとは限らないが、 きっかけや環境として重要だった 理系であることがキャリア形成の「起 点」になったり、選択肢の幅が広くな

    る 閉じた思考ではなく、広い選択肢を意識して欲しい。 すなわち、スキルや専攻に縛られすぎず、柔軟に考えてほしい。 とにかく20代こそチャレンジしまくろう
  6. 16 再掲:伝えたいこと 第1章 はじめに ~講演の目的と背景~ 数学的思考は必ずしも 直接的に役立つとは限らないが、 きっかけや環境として重要だった 理系であることがキャリア形成の「起 点」になったり、選択肢の幅が広くな

    る 閉じた思考ではなく、広い選択肢を意識して欲しい。 すなわち、スキルや専攻に縛られすぎず、柔軟に考えてほしい。 とにかく20代こそチャレンジしまくろう
  7. CONFIDENTIAL 27 PJ例:神戸市様・生成 AIを活用した収税課業務改善 神戸市収税課様の市民対話記録を生成AIを活用した自動要約す ることによる業務改善をゴールとする。 LLMとしてElyzaを利用してRAGを開発し、時系列の対話記録を 参照しつつ、最新のステータスとネクストアクションを自動でキー ワードに沿ってまとめるAIを開発中。 自治体向けシステムのため

    LGWAN内での構築を目指してシステム構成などを設計。 リテラシーの低い担当者の方々にもわかるような資料作成及びプロジェクト進行を実 施。できるだけわかりやすい単語を利用し、根気強く説明などを実施。 LGWAN内での構築 自治体担当者への説明 LLMとしてElyzaを利用しつつ、RAGを活用して時系列データや納税金額および市民の 財産の最新状況管理を開発。 LLM + RAG 第3章 理系スキルの限界と可能性
  8. 28 PJ例:神戸市様・生成 AIを活用した収税課業務改善 神戸市収税課様の市民対話記録を生成AIを活用した自動要約す ることによる業務改善をゴールとする。 LLMとしてElyzaを利用してRAGを開発し、時系列の対話記録を 参照しつつ、最新のステータスとネクストアクションを自動でキー ワードに沿ってまとめるAIを開発中。 自治体向けシステムのため LGWAN内での構築を目指してシステム構成などを設計。

    リテラシーの低い担当者の方々にもわかるような資料作成及びプロジェクト進行を実 施。できるだけわかりやすい単語を利用し、根気強く説明などを実施。 LGWAN内での構築 自治体担当者への説明 LLMとしてElyzaを利用しつつ、RAGを活用して時系列データや納税金額および市民の 財産の最新状況管理を開発。 LLM + RAG 最も重要だったのは 「論理力」と「対人能力」 第3章 理系スキルの限界と可能性 理系スキル ソフトスキル
  9. あまり役立たなかったこと ① 大学レベルの高度な数学や物理学(解析学・線形代数・位 相・電磁気学・論理回路など) →AI/機械学習・信号処理などの専門領域でない限り出番が 少ない ② ゼロから全て自作する姿勢・完璧主義 → 「とりあえず動かす」▶「小さく直す」がとにかく重要

    ③ (理系とは関係ないかもだが...)「担当外だからやらない」と いう縦割り思考 →とにかくなんでもやる 役に立ったこと ① エラーやバグを構造的に分解して考える力(数学的思考・ 論理力) ② 作るものが変更になった際に柔軟に対応する設計の考え 方(抽象化・再利用性) ③ エラー文や技術仕様書を英語で読める基礎読解力 →論文・ペーパーなどを読んでいたことで専門用語の英語に 対する拒否反応が薄かった ④ 「わからないことを調べるクセ」がついていること →分からないことがあっても諦めない。新技術やトラブル対応 時に「自走力」 30 実感した理系スキルの必要性とは 第3章 理系スキルの限界と可能性 エンジニアリング実務で役に立ったこと、あまり役立たなかったこと
  10. 33 実感した理系スキルが陥りやすい落とし穴 第3章 理系スキルの限界と可能性 実務で重要だったスキル 「思考の硬直」 や、「専門にこだわるデメリット」 ・前提条件を疑わず、既存のフレームの中 で考えがち ・完璧な理論や答えを求めすぎて、動き出せ

    ない ・論理が破綻しないことを最優先にしすぎ て、人の感情や直感を軽視する ・自分の専門領域以外のアイデアや視点を 受け入れにくくなる ・現実的な実装や運用よりも、理想的なモ デルを優先してしまう ・専門性が高いゆえに、周囲にうまく伝えら れないことが起きる
  11. 36 AIへの関わり方 第4章 これからの時代に求められる力 文脈理解 力 共感力 説明力 ChatGPT等のAIツールの台頭により、実務の現 場は確実に変化し続けています。

    AIはあくまで「道具」であり、使い手の意図や価 値観・能力が結果を大きく左右します。 AIを「使える側」になるために求められる力
  12. 37 AIへの関わり方 第4章 これからの時代に求められる力 AIは自分の認知以上に使いこなせない 理解の範囲が 
 AI活用の限界を 決める
 基本原則

    ×評価できない ×誤った活用 ×問題を生む 初心者の場合 ★正確な評価・修正 ★出力の判断・調整 ★高度な活用 専門家の場合 なぜこうなのか?なぜこれで解けるのか? 「なぜ」を常に問う だからこそ、しっかり基礎から学ぶ 本当に価値があることを 見極めて学ぶ 価値を見極める 自分で実装してみること で理解を深める 実装体験 アルゴリズムとデータ構 造を本質的に理解 本質的理解 基礎を身につける 基礎科目習得 動作原理を理解 低レベル理解
  13. 40 ソフトスキル 第4章 これからの時代に求められる力 他者から頼られる「ええやつ」になろうぜ 異なる専門性を持つ人々との協働を積極的に求める デザイナー プロダクト 
 マネージャー

    
 マーケター ビジネス ええやつになる 技術力 + 人間性 ✓ 知識・スキルの共有 惜しみなく共有し、他者の成長を支援 ✓ 建設的フィードバック 批判ではなく改善につながる助言 ✓ 倫理的な視点 技術的決断における倫理面も考慮 技術的な成長 ✓ 信頼される人間性 チーム内で信頼される関係を構築 ✓ 素直さと謙虚さ 間違いを認め、修正できる謙虚さ ✓ 長期的視点 一時的効率より関係構築を重視 人間関係の成長 実践のポイント 多様な背景を持つ人々とのプロジェクト 参加を求める 積極的な協働 他者の成長を自分の成長と同じように 重視する 成長支援マインド 自分の行動を振り返り、常に改善し続 ける姿勢 継続的改善 セールス → 多角的な視点 → 技術に寄り添う視野
  14. 41 技術を使いこなす時代へ 第4章 これからの時代に求められる力 AIに置き換えられないスキルとは、 「人との関係性を築く力」 「抽象と具体 をつなぐ力」「不確実性への適応力」 です。そのうえで今後は、技術を 「ど

    う使うか」 こそがより問われる時代へと突入していきます。 理系学生の皆さんだからこそ、この 変化に対応する準備が必要 です。 未来に必要なのは「技術」ではなく、「使いこなし方」
  15. 52 伝えたいこと 第5章 理系学生へのメッセージ ~遊ぶように挑戦せよ~ • 興味があること、面白そうと思ったことに素直に飛び込むべき • 自己否定ではなく、小さな興味に対して肯定的でいること、行動し よう

    • 常にどうありたいか?本質を考え続けよう • たとえ失敗に終わったとしても、やりきって次に行こう キャリアは寄り道と偶然の連続からなる 「曲線」でできている 曲線の「太さ」と「長さ」で 30代以降が決まる