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情報処理応用B第15回 /advancedB15

情報処理応用B第15回 /advancedB15

Kazuhisa Fujita

February 01, 2023
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  1. 情報処理応⽤B15回
    藤⽥ ⼀寿

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  2. 標準化

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  3. 標準とは
    • 判断の拠り所や⾏動の⽬安となるもの(デジタル⼤辞泉)
    • 標準とは、関連する⼈々の間で、利益⼜は利便が公正に得られるよう
    に、統⼀し、⼜は単純化する⽬的で、もの(⽣産活動の産物)及びも
    の以外(組織、責任権限、システム、⽅法など)について定めた取り
    決め。(ISO/IEC Guide2 標準化及び関連活動)
    • 規格
    • 与えられた状況において最適な秩序を達成することを⽬的に,共通的に繰り返し
    て使⽤するために,活動⼜はその結果に関する規則,指針⼜は特性を規定する⽂
    書であって,合意によって確⽴し,⼀般に認められている団体によって承認され
    ているもの。(ISO/IEC Guide2 標準化及び関連活動)
    • 英語では標準も規格もstandard

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  4. 標準の必要性
    • もし,単位の定義が異なっていたら
    • 1mmが指す⻑さが会社や国で異なっていたら,1mmの⼤きさでネジを作っても他の会社
    や他の国では使えない.
    • もし,乾電池をみんなが好き勝⼿に作ったら
    • ⼤きさが異なり機器に⼊らない.
    • 電圧が異なり機器が正常に動作しない.
    • ⼤富豪(トランプゲーム)
    • 地⽅ルールがたくさんある.
    • プレーヤが異なるルールでプレイするとゲームにならない.
    • コンセント
    • 国によって形状が異なるため,海外旅⾏に⾏くとき変換が必要
    • 共通のルール(標準)を決めておかないと不便

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  5. 標準化
    • 実在の問題⼜は起こる可能性がある問題に関して,与えられた
    状況において最適な秩序を得ることを⽬的として,共通に,か
    つ,繰り返して使⽤するための記述事項を確⽴する活動。
    (ISO/IEC Guide2 標準化及び関連活動)
    • 標準を策定するための過程や活動のこと

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  6. 標準化の役割
    ⽇本規格協会:知的財産と標準化によるビジネス戦略

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  7. 標準の決まり⽅による分類
    • デジュール標準
    • 公的な位置づけの標準化機関において明確に定められた透明かつ公正な⼿続きで
    関係者が合意の上,制定される標準
    • ITU,ISO,IEC,JIS,ANSI
    • フォーラム標準
    • 複数の企業などにより結成されるフォーラムとよばれる組織が,公的ではないが
    開かれた標準化⼿続きにより策定する標準
    • IEEE (The Institute of Electrical and Electronics Engineers, ⽶国電気電⼦技術者学会)
    • IETF (Internet Engineering Task Force) インターネット関連
    • RFC (Request for Comments)で技術仕様を公開
    • W3C (World Wide Web Consortium) ウェブ関連
    • デファクト標準(デファクトスタンダード)
    • 市場で多くの⼈に受け⼊れられることで事実上の(ラテン語でde facto)の標準と
    なったもの
    • Windows,Android,Microsoft Officeなど
    • VHS vs ベータ
    情報通信分野における標準化活動のための-標準テキスト-

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  8. 規格の作成組織による分類
    • 国際規格
    • ISO (International Organization for Standardization,国際標準化機構),IEC
    (International Electrotechnical Commission,国際電気標準会議)などの国際標準
    機関で制定される規格
    • 地域規格
    • 地域的な標準機関で制定される規格
    • CEN(欧州標準化委員会)
    • 国家規格
    • 国家標準化期間が制定する規格
    • ⽇本⼯業規格 (JIS),⽶国国家規格 (ANSI)など
    • 団体規格
    • 業界団体等が作成する規格,IEEEなど
    • 社内規格
    • 会社,⼯場などで,材料,部品,製品,組織,あるいは購買,製造,検査,管理
    などの仕事に適⽤することを⽬的として定めた規格.
    標準化実務⼊⾨

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  9. WTO政府調達協定
    • 政府及びその関連機関が調達する物品の性能に関する技術仕様
    については,すでにそれが存在する場合,国際標準に基づかな
    ければならない.
    • Suicaの例
    • 1988年ソニーがFelica⽅式⾮接触ICカードを開発
    • 1996年WTO政府調達協定が発⾏
    • JR東⽇本がソニーの Felica⽅式の⾮接触型ICカード(Suica)を調達する際,
    WTO政府調達違反であるとして,モトローラが異議申し⽴て
    • モトローラ⽅式は国際規格成⽴前であったため却下
    • 2001年5⽉JR東⽇本がFelica⽅式カードを採⽤決定
    • 2001年6⽉モトローラ⽅式のICカードが国際規格として成⽴
    • 2004年近距離無線通信規格としてFelica⽅式が国際規格として成⽴

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  10. 標準化と競争⼒
    • 標準化により技術仕様を公開
    • 様々な企業の参加
    • 市場の創出
    • その結果,市場の拡⼤
    • しかし,標準化するということは,他社も同じ仕様のものを作るとい
    うこと
    • 差別化が難しくなり,標準化が競争⼒につながらない.
    • 何を標準にし,どこで差別化するかが重要
    • インテルはCPUの技術は知財で保護する⼀⽅,それ以外の部分では徹底的に標準
    化し,様々なメーカーの参加を促進した.
    • Blu-ray Discは光ディスクとして最低限の仕様を標準化.標準化された内容では
    ディスクとして流通できない形を徹底.規格ロゴの商標化.
    • デンソーはQRコードを標準化しライセンス料無償で提供.読み取り機などを有償
    で販売.
    • ⼤成プラスは評価⽅法を標準化し,⾃社製品の品質保証に⽤いる.

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  11. 医療情報と標準化

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  12. 医療情報
    • 医療情報とは医療に関わる情報のことである
    医療情報学⼊⾨
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  13. 医療情報の特性
    • マルチメディア性
    • 様々なデータを取り扱う.
    • 数値データ,テキストデータ,波形データ,画像データ
    • 時系列性
    • データの時間的推移に注意する必要がある.
    • 時間推移を⾒る期間も様々(年単位から秒単位まで)
    • 秘匿性
    • 要配慮個⼈情報(前回資料参照)
    • 多様性
    • 診断情報,処⽅データ,検査結果,医⽤画像,医療費データなど様々な種類があ
    る.
    • 利⽤者も様々.
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  14. 医療情報の形態
    • ⽂字情報
    • ⽒名,⽣年⽉⽇,性別
    • 数値情報
    • ⾝⻑,体重,体温,⾎圧,検査データ
    • 画像情報
    • X線写真,CT画像,超⾳波画像,内視鏡,⽪膚画像,眼底画像など
    • 波形情報
    • ⼼電図,脳波,脈波
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  15. 病院情報システム(HIS: Hospital Information System)
    • 病院の業務を⽀援するコンピュータシステム
    • 電⼦カルテシステム
    • 診療⾏為記録などの情報を電⼦化した電⼦カルテを実現するシステム
    • オーダーエントリーシステム
    • 端末から投薬,検査,X線などの依頼情報を伝達するシステム
    • PACS (Picture Archiving and Communication Systems)
    • 医療画像管理システム
    • CT,レントゲン装置,MRI,超⾳波診断装置,内視鏡,眼底カメラなどの
    複数の検査装置から得られた医療画像情報を電⼦データとして⼀元管理し,
    電⼦カルテシステムやビューワーから検索,閲覧できるようにして臨床診
    断を⽀援する.

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  16. 病院情報システムの歴史
    • 1960年代:⼤型コンピュータを利⽤した医事会計システム
    (外来患者への請求処理)の導⼊が始まる.
    • 1970年代:検査部⾨で⾃動分析装置が使⽤されるようにな

    • 1980年代:⼤規模病院を中⼼にオーダエントリシステム
    (処⽅箋や検査の依頼)の導⼊が始まる.
    • 1990年代:パソコンの普及にともないオーダエントリシス
    テムの急速な普及が進む.
    • 2000年代:電⼦カルテシステムが開発されるようになった.
    放射線画像がデジタル画像としてサーバで管理し,モニタで閲
    覧するPACSが普及するようになった.

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  17. 医療情報の標準化しないと
    • 機器間の接続が難しい.
    • ⾃由な機器の選択ができない.
    • 機器を⼊れ替えたらデータが読めなくなるかもしれない.
    • 部⾨間,医療機関間での電⼦カルテや診療情報システムの相互
    運⽤ができない.
    • 標準化することで
    • 地域連携による効率的な医療資源の利⽤が可能
    • 複数の現場で,複数の⼈々の連携が可能に

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  18. HL7 (Health Level 7)
    • 1987年⽶国で規定された,施設間・システム間での臨床情報や
    管理情報を交換するための標準規約
    • 患者管理(診療受付,⼊退転院,紹介,予約など),オーダー
    管理,会計情報,検査結果などを扱う
    • ⽂字情報
    • Level 7はOSI参照モデル第7層を意味する
    • 1998年⽇本HL7境界が設⽴

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  19. DICOM (Digital Imaging and Communications in Madicine)
    • ACR(⽶国放射線学会)とNEMA(⽶国電気機器⼯業会)が制
    定した医療情報交換のための規格
    • 医⽤画像のフォーマット,医⽤画像機器間の通信プロトコル,
    保管媒体フォーマットの規格
    • DICOMにより機器の⾃由な組み合わせでPACSを構築できる⽤
    になった.
    • A社の機器で撮影した画像をB社のサーバに保管するということが可能に
    なった.

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