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統計学に必要な数学(線形代数含む)

Koji E. Kosugi
February 23, 2025

 統計学に必要な数学(線形代数含む)

ベイズ統計学勉強回春'24 で発表した資料です。

Koji E. Kosugi

February 23, 2025
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  1. 微積分は万能のパズルピース 最適化( 極値を求める) ,面積= 確率を求めるのに使う あちこちで出てくるし,テキストは公式をつかってヒョイと変えたりするから,とに かく慣れていくしかない。 微積分を学ぶステップ 高校の教科書を読むのが一番いいかも 「大学新入生のためのリメディアル数学(

    第2 版) 」には定義・定理がサラッと書いて あるので,まさに復習・再入門にもってこい。 * 「 統計学のための数学入門30 講」は少し腕に覚えができてから? 統計学に必要な数学 微積分を学ぶステップ 6 / 55
  2. 理解度の目標 1. ベルヌーイ分布など1 パラメタの最尤推定をやってみる 2. 最小二乗法で回帰係数を求めてみる( 偏微分) + 「 統計学が最強の学問である[数学編]―

    データ分析と機械学習のための新しい教 科書」は偏微分せずに求めているから,ここから入るのもいい。 3. 正規分布の式の形を理解する;ガウス積分 + 「 統計学が最強の学問である[数学編]― データ分析と機械学習のための新しい教 科書」にはこれも書いている。すごい。 統計学に必要な数学 微積分を学ぶステップ 7 / 55
  3. 理解度の目標 1. 尤度がわかる 確率分布関数/ 尤度関数がわかる( 確率分布とデータの関係がわかる) 回帰分析の尤度関数がわかる( パラメータに数式を入れる) 尤度を確率にするための,ベイズの定理がわかる 2.

    しっかりと理解する;定理の証明をフォローする。 + 「 スッキリわかる確率統計: ― 定理のくわしい証明つき― 」はスッキリわかる良い テキスト 「数値シミュレーションで読み解く統計のしくみ」にはR を使って体感するとい うねらいがあります。プログラミングの勉強にも,ぜひ。 3. 深淵を覗き込む;測度論という世界が待っています。 統計学に必要な数学 確率論を学ぶステップ 9 / 55
  4. 集合論は・・・全体像がつかめない? 確率の基礎,なんなら数学の基礎を与える学問であり,どこからどこまで化,と言わ れると難しい。 基礎概念( 集合の定義,表記法) ,基本演算( 和,差,補集合,ド・モルガンの法則) な どを理解するところから 果ては有限・無限集合,濃度の話などが出てくるので面白いです。

    「無限論の教室 ( 講談社現代新書) 」は読み物としても秀逸 正直,心理統計を学ぶ上で,集合論から始めようってことはないと思うので, 「そういう 世界もあるんだなあ」ぐらいでいいかも。 統計学に必要な数学 集合論を学ぶステップ 10 / 55
  5. 1. 第1 行の 倍を第2 行に加える: 2. 各行を基準化(第1 行を 倍、第2 行を

    倍) : 統計学に必要な数学 掃き出し法のステップ 28 / 55
  6. 1. 拡大係数行列を作る 左側:係数行列 右側:定数項 2. 基本行操作 行の入れ替え 行の定数倍 ある行の定数倍を他の行に加える 3.

    目標 左側を単位行列にする 右側に現れる数値が解 統計学に必要な数学 掃き出し法のポイント 30 / 55
  7. 2. Step 2 :各行を基準化 3. Step 3 :第2 行の 倍を第1

    行に加える 統計学に必要な数学 掃き出し法を行列で 36 / 55
  8. 逆行列の定義 行列 に対して、 となる行列 を の逆行列という 逆行列の存在条件 正方行列のみが逆行列を持つ可能性がある 行列式が0 でない(

    )場合のみ逆行列が存在する( 後述) このような行列を正則(non-singular )という 統計学に必要な数学 逆行列 38 / 55
  9. 一般線形モデル 回帰分析は説明変数が作る空間に,目的変数を当てはめる( 射影する) こと データベクトル を,説明変数 が作る空間に射影 垂線の高さが「当てはまりの悪さ」であり,残差( ) 実験計画は計画行列が作る空間にデータを当てはめる(

    射影する) こと 潜在変数モデル 因子分析などは目的変数があるわけではない。 データの背後にある因子を探すともいわれるし, 「性格は5 次元」(Big Five) などとい うように,データの相関行列の基底を探し,それの貼る空間にデータを押し込む( 射 影する) イメージ 統計学に必要な数学 統計モデルの空間的イメージ 51 / 55
  10. 統計モデルの展開にはパターンがある 連続からカテゴリカルへの展開 2 値,順序,名義モデルへの展開を考えるだけでも一つのモデル 2 値から多値にするだけでも一つのモデル的展開 データのどの相(way), 元(mode) に注目するか,表現するか 相;データの種類,元;データ種の組み合わせ回数

    一般的な被験者 変数は2 相2 元データ 個人差・時系列の要素を入れると3 相データに 行列を立方体に拡張するモデルへ 時間を連続から順序にすると微分方程式から差分方程式へ 統計学に必要な数学 モデリングに当たっっての数学的センス 54 / 55