チームを機能させる「信頼」の築き方 / How To Build Trustful Team

# チームを機能させる「信頼」の築き方
* チームワークは理解と習得ができる技術である
* 良いチームワークのために重要な2つの概念

# 信頼について
* 日本語の信頼と英語の”Trust”はニュアンスが違う
* チームにおいてはTrustの概念が大切
* チームが機能不全を起こす5つの段階
* すべてのベースとなっているのがTrust
* Trustはチームの関係性をさす考え方
* Trustの欠如につながるアンチパターン
* 行動者のアンチパターン
* 1/ 他者を辱める・晒す・煽る
* 2/ 追求のために質問をする
* 3/ 質問のフリをした断言をする
* 本人同士がどう思うかだけでなく周囲にどう映るか
* 観察者・受け手のアンチパターン
* 1/ 相手の意図を勝手に憶測する
* 2/ 勝手に悪意を見出して決めつける
* 3/ 悪意がある=悪い人だと決めつける
* 色眼鏡を掛けそうになったら確認しよう

# 加担について
* 問題発生時、誰かを責めても何も生まれない
* 「犯人探し」はチームを防御的・反撃的にする
* 0:100でどちらか一方だけが悪いことなど存在しない
* 関係者それぞれが問題に加担している
* 責めを捨てて、お互いの加担を開示し解決に向かおう

# まとめ
* Trustfulなチームの考え方と行動指針

Transcript

1. チームを機能させる「信頼」の築き方 @kyosu_ke（株式会社ドクターズプライム） 1 Trustfulなチームの実践的な構築
2. 2 • 良いチームワークとは ◦ 正しい理解 ◦ 実践を通じた訓練 によって身につけられる技術である • 今回はそのために必要な考え方について話をします チームワークは理解と習得ができる技術である
3. 3 良いチームワークのために重要な2つの概念 信頼 加担
4. 信頼について 4
5. 5 日本語の信頼と英語の”Trust”はニュアンスが違う
6. 6 チームにおいてはTrustの概念が大切 • 相手が善であること、誠実さ、傷つける意思がないことを信じられること • メンバー同士が ◦ 悪意がないことを信じられ ◦ 刺される不安がなく ◦ 身を守る必要がない と信じられている、”Trust”がある状態が大切
7. 7 チームが機能不全を起こす5つの段階 信頼の欠如 衝突への恐怖 責任感の不足 説明責任の回避 結果への無関心 チームの機能不全 5つの段階 到達を示すマーカー 完全無欠 表面的な調和 あいまいな態度 基準の低さ 地位と自尊心
8. 8 すべてのベースとなっているのがTrust 信頼の欠如 衝突への恐怖 責任感の不足 説明責任の回避 結果への無関心 チームの機能不全 5つの段階 到達を示すマーカー 完全無欠 表面的な調和 あいまいな態度 基準の低さ 地位と自尊心
9. 9 Trustはチームの関係性をさす考え方 • Trustは相互の関係性であるため、「信頼する」「信頼される」 といった、一方通行の概念ではない • 二者以上の複数の人間の間に「信頼がある」かないかで考 える • Trustはチームの資産であり、Trustfulなチームを目指す
10. 10 Trustの欠如につながるアンチパターン • そのためアンチパターンの行動は二種類に分かれる ◦ 行動者のアンチパターン ◦ 観測者(=受け手)のアンチパターン
11. 11 行動者のアンチパターン 1/　相手を辱める・晒す・煽る 2/　追求のために質問をする 3/　質問のフリをした断定をする
12. 12 1/ 相手を辱める・晒す・煽る • 相手のことを、他の人の面前で ◦ 恥をかかせる ◦ 晒し上げる ◦ 煽る といった行為は、攻撃的な人間に映り、相手を防御的にさせる
13. 13 2/ 追求のために質問をする • 質問のフリをした追求をしてはいけない ◦ Ex. 目標達成しなくていいと思ってるんだ？ （「いいわけないよな？じゃあどうするんだ？」が隠れてる） • 「正しいのはこちらだ、間違っているのはあなただ」というスタンス • 受け手は攻撃性を感じ、身を守らなければならないと感じる
14. 14 3/ 質問のフリをした断言をする • 質問の形を装って、自分の言いたいことをぶつけてはいけない ◦ Ex. 一回教えたこと覚えられないの？何回言わせるつもり？ （本当に残りの教える回数が聞きたいわけではないはず） • 質問がないのであれば、質問をしてはいけない • 皮肉っぽく聞こえ、悪意がこもっているように受け取られる
15. 15 本人同士がどう思うかだけでなく周囲にどう映るか • 当事者同士が良ければそれでよいわけではない • その言動を見ていた第三者からTrustの欠如につながってしまう 第三者は身構える 仮に、当事者間で問題がなかったとしても …
16. 16 観察者・受け手のアンチパターン 1/　相手の意図を勝手に憶測する 2/　勝手に悪意を見出して決めつける 3/　悪意がある=悪い人だと決めつける
17. 17 1/ 相手の意図を勝手に憶測しない • 相手のふるまいの背景にある意図を知っていると思い込む ◦ Ex. あんなことを言ったのは、きっとこういう意図があったからだ （そこにファクトはなく、ただの憶測） • さらにやっかいなことに、その憶測は大抵が間違っている
18. 18 2/ 勝手に悪意を見出して決めつける • そして往々にして、相手の意図は悪いものだと決めつける ◦ Ex. あんな事を言ったのは、私を陥れようとしたからだ （自分がそう思えてしまうだけで、決めつけになっている） • 無能で十分説明されることに悪意を見出すな（ハンロンの剃刀） Never attribute to malice that which is adequately explained by stupidity.
19. 19 3/ 悪意がある=悪い人だと決めつける • 相手の性格を決めつけることで、相手を色眼鏡で見るようになる • 一度、本性を見抜いたと思うと、全ての言動を色眼鏡で見てしまう • 確証バイアスにより「やはり悪い人だ」と色眼鏡を濃くしていく ※確証バイアス : 心理学における用語で、仮説や信念を検証する際にそれを支持する情報ばかりを集め、反証する情報を無視または集 めようとしない傾向のこと。
20. 20 色眼鏡を掛けそうになったら確認しよう • 誰でも色眼鏡を掛けそうになるときはある • 意図を憶測し、決めつけてしまう前に、相手の意図を確認しよう • 一度、色眼鏡を掛けると外すのは大変なので、掛けない努力を
21. 加担について 21
22. 22 問題発生時、誰かを責めても何も生まれない • このような状況に陥ったのは誰のせいなのか？と考えがち • 「犯人探し」をしたところで、認識の違いで堂々巡りになる
23. 23 「犯人探し」はチームを防御的・反撃的にする • 「犯人探し」によって、制裁への恐れが掻き立てられる • 不当な責めを負わされるのを避け、チームは防御的になる • 自分のことを守ることにエネルギーがついやされる
24. 24 0:100でどちらか一方だけが悪いことなど存在しない • そのような状況は、ほぼ間違いなく ◦ 両方の側（全員）がやったこと ◦ 両方の側（全員）がやらなかったこと によって引き起こされている
25. 25 関係者それぞれが問題に加担している 問題の片棒を担ぐ「加担」度合いはそれぞれ違えど、全員が加担している 問題 加担 20% 加担 70% 加担 10%
26. 26 責めを捨てて、お互いの加担を開示し解決に向かおう • それぞれが問題に対しての自分の加担内容を開示しあう • 加担度合いの少なそうな人から積極的に開示する • 「この結末を知ったまま当時に戻るなら何をする？」を共有する
27. まとめ 27
28. 28 Trustfulなチームの考え方と行動指針 信頼（=Trust）とはチームの間の関係性である 信頼の欠如は、行動者・観測者(=受け手)の両方の問題から発する 問題が発生した場合は「加担」の考え方で各自の加担を開示する
29. appendix 29
30. 30 参考文献 • パトリック・レンシオーニ. あなたのチームは、機能 していますか？, 伊豆原弓訳, 東京, 翔泳社, 2003, 243p. • ダグラス・ストーン、ブルース・パットン、シーラ・ヒー ン. 言いにくいことをうまく伝える会話術, 松本剛史 訳, 第1版, 東京, 草思社, 1999, 333p.