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後進育成のしくじり〜任せるスキルとリーダーシップの両立〜

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October 04, 2025

 後進育成のしくじり〜任せるスキルとリーダーシップの両立〜

スクラム祭り2025 発表資料です https://confengine.com/conferences/scrummatsuri/schedule

p.5 [EMがマジ価値を届けきるために考え行動したこと
](https://speakerdeck.com/matsu0228/engineering-managers-thoughts-and-actions-to-deliver-outcome)

p.12 [エラスティックリーダーシップ](https://www.oreilly.co.jp/books/9784873118024/)
[Report of AgileTestingDays2018](https://speakerdeck.com/matsu0228/report-of-agiletestingdays2018?slide=15)

p.20 [新1分間リーダーシップ](https://www.diamond.co.jp/book/9784478029282.html)

p.22 [【資料公開】エンジニアリングマネージャーのしごと](https://www.ryuzee.com/contents/blog/14574)

p.23 [デリゲーションポーカーが権限の曖昧さを壊して行動力を生み出した](https://note.com/akira_real/n/n61c1ea0c2aa3)

p.35 [中途エンジニアのポジション一覧](https://hire.wantedly.com/careers/freee/career_page_all_jobs?lang=ja&includeCasualVisits=false&jobFunctionId=116&locationId=80&experienceLevel=MID_CAREER&contractType=REGULAR_EMPLOYEE)
[私の所属している「支出管理」のポジション
](https://hire.wantedly.com/careers/freee/career_page_all_jobs/1500?lang=ja)

p.36 [freee 技術の日 2025 参加申し込みはこちらから](https://freee.connpass.com/event/364367/)

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October 04, 2025
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Transcript

  1. 6 経歴タイムライン 
 • 現在は複数チームをマネジメントしていますが、これまで数々の“しくじり”から学んできました。
 2014 2017 2024 新卒⼊社 後輩育成

    (初めてのメンター経験) チームリーダー 兼プレイヤー プレイングマネージャー 複数チームの エンジニアリングマネージャー 2025 2016 2022 freeeでの経歴
  2. 11 当時の背景・起こったこと 
 背景
 • 自分は若手エンジニアで、初めて後輩育成を担うことになった
 • 後輩の成長を期待して、中規模プロジェクトのリードを任せた
 
 起こったこと


    • 「できること」を超えた難易度・ボリュームのアサインにより、混乱してしまった
 • 支援しようとして自分が細かく口を出すようになり、マイクロマネジメントに陥った
 
 挑戦的な
 課題アサイン
 (という名の無理難題)
 うまく進められな い
 自信の喪失
 細かく口出し/
 マイクロマネジ メント

  3. 12 課題にどのように気づいたか 
 • 自分が細かく口を出しすぎているなーと感じていた
 • 書籍やカンファレンスから、状況を見立てたり、そこに合わせたアプローチが重要だと学んだ
 • 外の世界に触れ、考え方を拡張することもまた大事 


    エラスティックリーダーシップ https://www.oreilly.co.jp/books/9784873118024/ Report of AgileTestingDays2018 カンファレンスから、余力を持つ重要性を学んだ
 チーム状況を見立てて、その状況に合わせたリーダーシップスタイ ルを発揮する重要性を学んだ

  4. 13 パニックゾーン
 
 
 
 
 
 
 
 原因分析①:見立てずにアサインしてしまった

    
 
 • 成長のために「とにかく場数を踏ませよう」と考えたが、余力がない状態では学習でない
 ◦ 初手の課題のアサインで、見極めることが重要 = ラーニングゾーン
 • 1つ1つの小さな成功なしには、自信を積み重ねられない
 ラーニングゾーン
 
 
 
 コンフォートゾー ン

  5. 15 しくじりからの学び 
 
 • 任せるときは、相手の能力と負荷のバランスを見極める
 ◦ 難易度:相手が今できることより、少しストレッチしたものにする
 ▪ 完全に任せる/方針を伝えつつ考えてもらう/最初は一緒にやるetc


    ◦ ボリューム:任せて考える余地をつくるために(場合によっては)他の業務の調整をする
 • やり方よりも「目的やゴール」を伝え、考える余地を残して任せる
 ◦ なぜこのタスクが必要なのか・完了条件を伝える
 ◦ やり方を伝える場合でも「どうやって進める?」と一言聞いてみる・なぜそのやり方が良いと思うか伝える etc
 少しストレッチな課 題アサイン
 成功を重ねる
 自信をつける
 目的やゴールを伝 える
 自分で考えること が増える
 できること
 が増える

  6. 18 当時の背景・起こったこと 
 背景
 • チームリーダーとしてチームを牽引してきたが、メンバーは自分の指示待ちに感じるシーンが多かった  よりメンバーにも考えるシーンを増やしたくて、任せる姿勢を意識して意見を控えた
 • 
 


    起こったこと
 • メンバーから「もっと意見を言ってほしかった」「リーダーシップがない」と言われた 
 ◦ 任せることに意識を向けすぎて、必要なタイミングで自分の意見を出せなかった
 ◦ 期待値のズレが生まれ、リーダーシップ不足と受け取られた
 

  7. 19 課題にどのように気づいたか 
 • 複数チームのリーダーが集う場で、隣のチームリーダーが「チーム課題」を話題にあげていた
 • そのリーダーのチームに対するフィードバックを目にする機会がたまたまあった
 ◦ 会議とは異なって少し回りくどい伝え方をしていた
 •

    「なぜあのように伝えるか」とそのリーダーに聞くと、「だってストレートに伝えても成長に繋がりにくいで しょ」と言われ、ハッとした
 ◦ 「任せた上でも関与しつづける」ことや、関与の仕方を工夫することでより「メンバーの考えるスキル」を 伸ばすアプローチがあることを学んだ
 
 • 横のチームのやり方、その背景・理由を知ることもまた大事 

  8. 20 原因分析①:任せっきり (放置)になっていた 
 
 • 考えてもらうためと思い、発言を控えた。チームで考えていることに対するフィードバックもしなかった。
 ◦ しかし、前述のとおり期待が伝わっていなけらば単なる放置と捉えられかねない
 ◦

    任せたからといって、関心は持ち続け、感じたこと・メンバーの行動の変化などは伝えるべき
 
 • 相手の状態にあわせて、どの支援が成長に繋がりやすいかと考え、自分のスタイルを変える
 ◦ 参考:SL理論(Situational Leadership)
 ◦ コーチングが良いケースと、ティーチングが良いケースは異なる
 新1分間リーダーシップ p.70 より

  9. 22 しくじりからの学び 
 • 陥りがちな誤解:任せるだけではリーダーシップは発揮できない!!
 • 任せた後も関心を持ち、適切なアプローチで意見を伝える 
 ◦ 感じたこと・メンバーの行動の変化などを伝える

    
 ◦ 「ナッジング」議論に対して自分の観点を提供して、決定に影響を与える 
 • 狙いを共有して、リーダーとしてどのような関わり方にするのかを示す
 ◦ 狙い: 例)多角的に検討できると成功しやすいから、みんなで検討できるようにしたい
 ◦ 委譲度: 例)最終的な意思決定には関与したいけど、議論・方針案はみんなで進めてほしい
 
 
 【資料公開】エンジニアリングマネージャーのしごと
 https://www.ryuzee.com/contents/blog/14574 p17

  10. 23 しくじりからの学び 
 • 陥りがちな誤解:任せるだけではリーダーシップは発揮できない!!
 • 任せた後も関心を持ち、適切なアプローチで意見を伝える
 ◦ 感じたこと・メンバーの行動の変化などを伝える
 ◦

    「ナッジング」議論に対して自分の観点を提供して、決定に影響を与える
 • 狙いを共有して、リーダーとしてどのような関わり方にするのかを示す 
 ◦ 狙い: 例)多角的に検討できると成功しやすいから、みんなで検討できるようにしたい 
 ◦ 委譲度: 例)最終的な意思決定には関与したいけど、議論・方針案はみんなで進めてほしい 
 
 
 デリゲーションポーカーが権限の曖昧さを壊して行動力を生み出した
 https://note.com/akira_real/n/n61c1ea0c2aa3 

  11. 26 作法1. 任せる前
 • 関係性をつくる・相手を知る New
 • その人なりの動機づけ・意味づけをする New
 •

    相手の可能性・伸びしろを信じる、しかし計画には折り込まない New
 • 背景や目的・ゴール状態を渡す、やり方は考えてもらう
 • 相手の能力・負荷のバランスを見極め、難易度・ボリュームを調整する
 • 「狙い」や「委譲度」を伝える
 • やり方よりもゴールを伝えて、考える余地を持たせる

  12. 27 作法1. 任せる前  〜補足〜
 相手の可能性・伸びしろを信じる、しかし計画には折り込まない 
 その人なりの動機づけ・意味づけをする 
 • 「自分がやるのが早い」「任せられる人がいない」と思い込んでしまいがち


    ◦ 「長期」「チーム全体の成果」を考えて、本当にそのやり方が最適なのか考える 
 ◦ 志向性・継続的に成果をあげやすい状態を考えて「積極的に任せる」 
 
 • そのうえで注意すべきこと:自分・チーム視点ではなく「その人の視点」でメッセージングする
 ◦ その人のキャリア・志向に対してどんな意味合いとなるのかを伝える 
 ▪ 例:長期的にテックリードを担ううえでも、ピープルマネジメントは重要
 ◦ 「成長前提での開発計画」とはしない 
 ▪ 例:あくまで現時点のスキル度合いで計画する、新しいチャレンジの場合には不確実系数を積む
 ▪ 「自分・チーム視点」となりすぎない意味でも重要

  13. 28 作法2. 行動・伴走 
 • 任せきるために、ワーストケースを考える New
 • 関心を持ち続ける、感想・意見を伝える New


    • 観測したことを鏡のように伝え、気づきを増やしてもらう New
 • チェックポイントを設け、状況を確認しあう
 • フィードバックをして、小さな自信を持ってもらう

  14. 30 作法2. 行動・伴走  〜補足〜
 関心を持ち続ける、感想・意見を伝える 
 観測したことを鏡のように伝え、気づきを増やしてもらう 
 • 相手に「考えることを委ねる」としても、そのスキルを伸ばすためにもフィードバックは有用


    ◦ 感想・意見を伝える例:
 ▪ 〜の観点で考えているのはいいですね
 ▪ 「別の観点B」で考慮するのは重要ではないですか?
 
 • フィードバックの例:観測したことを鏡のように伝える
 ◦ Aさんが方針を考えてくれましたが、他メンバーから質問などがなかったり表情から困っていそう感じたのですが、もしか したらメンバーの理解が追いついていなかったりしませんか?
 ◦ 複数方針が列挙されていますが、みんなの発言が少ないことから論点が明確になっていなかったりしませんか?方針ご とにxxの観点で整理するとより議論が進めやすくなりますか?

  15. 32 作法3. 振り返り  〜補足〜
 成果だけでなく、変化に注目してフィードバックする 
 行動目標・結果・成果で考える 
 結果
 (行動の有無)


    障壁の特定/排除
 (例:行動の具体化)
 成果への寄与
 行動目標
 (NextAction)
 成果につながる行 動の特定/実験
 Yes
 No
 No
 • 行動と成果を分けて考えるということ
 ◦ まず行動できていたか・変化があるかをみる 行動できればいつかは成功できる
 ◦ なぜそうなったか(行動できなかったか・成果につながらなかったか)を対話により一緒に考える