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高校数学で理解する画像検索(東大オープンキャンパス2020)

Yusuke Matsui
September 04, 2020

 高校数学で理解する画像検索(東大オープンキャンパス2020)

高校生のための東京大学オープンキャンパス2020: http://cdn.pr.u-tokyo.ac.jp/
9/22 13:00 - 14:00

スライド中の漫画画像:ARMS, (c) Kato Masaki, Manga109

配信URL:https://www.youtube.com/watch?v=fYqPxAPARR4

Yusuke Matsui

September 04, 2020
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Transcript

  1. 【スライドのURL】 https://bit.ly/3hUxgW8
    【工学部電子情報工学科】
    高校数学で理解する画像検索
    講師 松井勇佑
    東京大学 工学部電子情報工学科 / 大学院情報理工学系研究科電子情報学専攻
    http://yusukematsui.me
    2020/9/22, 東大オープンキャンパス2020
    1

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  2. 【スライドのURL】 https://bit.ly/3hUxgW8
    松井勇佑
    東京大学 講師
    ➢ 学部:工学部 電子情報工学科
    ➢ 大学院:情報理工学系研究科 電子情報学専攻
    研究:情報系。特に画像処理
    [email protected]
    http://yusukematsui.me
    @utokyo_bunny
    1
    , … ,

    argmin
    ∈ 1,2,…,
    − 2
    2
    画像検索の理論(今日の話題) 漫画画像処理 2

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  3. 【スライドのURL】 https://bit.ly/3hUxgW8
    電気系 / eeic
    “東京大学工学部 電子情報工学科・電気電子
    工学科は、現代技術の中枢を担う情報・電
    気・電子の技術を体系的に学び、最先端の応
    用へと展開していく力を養うことをめざして
    いきます。”
    ➢ 電子情報工学科
    ✓ 主に情報系の科学と技術に
    重点をおいて学び始めます。
    ➢ 電気電子工学科
    ✓ 主に物理系の科学と技術に
    重点をおいて学び始めます。
    3
    パンフレットはダウンロードできます
    http://www.ee.t.u-tokyo.ac.jp/j/education/pdf/guidance_book.pdf

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  4. 【スライドのURL】 https://bit.ly/3hUxgW8
    4

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  5. 【スライドのURL】 https://bit.ly/3hUxgW8
    5
    https://www.google.co.jp/imghp?hl=ja

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  6. 【スライドのURL】 https://bit.ly/3hUxgW8
    6
    https://www.google.co.jp/imghp?hl=ja

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  7. 【スライドのURL】 https://bit.ly/3hUxgW8
    7
    https://www.google.co.jp/imghp?hl=ja

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  8. 【スライドのURL】 https://bit.ly/3hUxgW8
    8
    https://www.google.co.jp/imghp?hl=ja
    画像
    検索

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  9. 【スライドのURL】 https://bit.ly/3hUxgW8
    9
    https://about.mercari.com/press/news/articles/20190318_image_search/

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  10. 【スライドのURL】 https://bit.ly/3hUxgW8
    似てるもの 発見!
    高校数学で理解する画像検索
    10

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  11. 【スライドのURL】 https://bit.ly/3hUxgW8
    どうやって?
    https://emojipedia.org/thinking-face/
    似てるもの 発見!
    高校数学で理解する画像検索
    今日の話題:
    ➢高校数学の知識を用いて、画像検索の仕組みを理解する
    ➢高校で習う数学が、現実の問題につながっていることを学ぶ
    11

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  12. 【スライドのURL】 https://bit.ly/3hUxgW8
    似てるもの 発見!
    高校数学で理解する画像検索
    12
    1. 数学の準備
    2. 画像の表現
    3. 真面目に探索(低速・高精度)
    4. ちょっとさぼって探索(高速・低精度)

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  13. 【スライドのURL】 https://bit.ly/3hUxgW8
    似てるもの 発見!
    高校数学で理解する画像検索
    13
    1. 数学の準備
    2. 画像の表現
    3. 真面目に探索(低速・高精度)
    4. ちょっとさぼって探索(高速・低精度)

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  14. 【スライドのURL】 https://bit.ly/3hUxgW8
    14
    数学の準備
    Ԧ

    4
    3
    ➢ 高校ではベクトル(空間中の点)をこう書きます
    Ԧ
    = (4, 3)
    ➢ その図形的な意味は右図です
    ➢ 大学以降の工学系では次のようにすることが多いです
    ✓ ベクトルを太字に
    ✓ カッコは角括弧に
    ✓ 横ではなく縦ベクトルを用いる
    =
    4
    3
    ➢ これは表記の違いなので、高校のベクトルと
    同じだと思ってください

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  15. 【スライドのURL】 https://bit.ly/3hUxgW8
    15
    数学の準備
    =
    9
    7
    三軸目
    軸目
    =
    3
    21
    12
    =
    73
    2
    16

    8
    二次元空間の点
    (高校で習うもの) 三次元空間の点
    (高校で習うもの)
    全く同様に、
    次元空間の点

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  16. 【スライドのURL】 https://bit.ly/3hUxgW8
    16
    数学の準備
    =
    9
    7
    二次元空間の点
    (高校で習うもの)
    =
    6
    5
    ➢ 二次元の場合、点 と点 の距離は、
    三平方の定理から求まる
    ➢ これを次のように表記する:
    − = 9 − 6 2 + 7 − 5 2
    = 13
    ➢ 意味:



    記号の定義:
    ベクトル = ベクトルの長さ
    なので、
    − = − の長さ

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  17. 【スライドのURL】 https://bit.ly/3hUxgW8
    17
    数学の準備
    =
    9
    10
    8
    ➢ 三次元の場合も、同様に、
    点と点の距離が求まる:

    = 3 − 9 2 + 21 − 10 2 + 12 − 8 2
    = 173
    三軸目
    三次元空間の点
    (高校で習うもの)
    =
    3
    21
    12

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  18. 【スライドのURL】 https://bit.ly/3hUxgW8
    18
    数学の準備
    ➢ 次元の場合も、同様に、
    点と点の距離が求まる:

    = 73 − 60 2 + 2 − 41 2 + ⋯ + 8 − 13 2
    = 102 7
    軸目
    全く同様に、
    次元空間の点
    =
    73
    2

    8
    =
    60
    41

    13
    ➢ 多次元ベクトルは、2次元や3次元の
    ベクトルと同様に扱える
    ➢ 距離も、同様に計算できる

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  19. 【スライドのURL】 https://bit.ly/3hUxgW8
    似てるもの 発見!
    高校数学で理解する画像検索
    19
    1. 数学の準備
    2. 画像の表現
    3. 真面目に探索(低速・高精度)
    4. ちょっとさぼって探索(高速・低精度)

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  20. 【スライドのURL】 https://bit.ly/3hUxgW8
    20
    画像の表現
    ?
    ➢ 画像をコンピュータが処理できるようにしたい
    ➢ 画像をなんらかの数値(ベクトル)として表現したい
    ➢ 似ている画像は、似ているベクトルになってほしい
    ➢ 紹介:色ヒストグラム、深層特徴量

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  21. 【スライドのURL】 https://bit.ly/3hUxgW8
    66 221 32 123 78 11
    46 32 52 32 99 93
    37 142 43 11 68 13
    11 23 54 3 23 22
    124 56 33 27 213 33
    232 28 4 32 111 45
    54 77 18 123 7 43
    46 32 52 32 99 98
    37 142 43 11 68 23
    11 23 54 3 23 11
    124 56 33 27 213 35
    232 28 4 32 111 11
    132 43 11 54 24 23
    46 32 52 32 99 13
    37 142 43 11 68 2
    11 23 54 3 23 131
    124 56 33 27 213 43
    232 28 4 32 111 22
    21
    画像の表現:色ヒストグラム
    出現回数
    画素の値
    100 200
    出現回数
    画素の値
    100 200
    出現回数
    画素の値
    100 200
    色に着目
    ➢ 画像の各画素は、赤・青・緑の3つの数値
    ➢ コンピュータ上では、単なる整数で表現
    ヒストグラム化
    ➢ 画素値の出現回数

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  22. 【スライドのURL】 https://bit.ly/3hUxgW8
    22
    画像の表現:色ヒストグラム
    出現回数
    画素の値
    100 200
    出現回数
    画素の値
    100 200
    出現回数
    画素の値
    100 200
    ➢ 合体させると、この場合12個の数値に
    ➢ 12次元のベクトルだと解釈
    ➢ 画像を表現する特徴ベクトルが出来た

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  23. 【スライドのURL】 https://bit.ly/3hUxgW8
    23
    画像の表現:色ヒストグラム
    =
    15
    17
    9

    14
    画像:
    12次元の
    特徴ベクトル:
    特徴
    抽出
    12軸目
    ➢ 画像をから抽出した特徴ベクトルをとする
    ➢ は、の本質的な性質を表すと期待する
    ➢ はベクトルなので、様々な計算が可能

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  24. 【スライドのURL】 https://bit.ly/3hUxgW8
    24
    画像の表現:色ヒストグラム
    ①データベース中の画像から
    特徴ベクトルを抽出し、保存しておく

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  25. 【スライドのURL】 https://bit.ly/3hUxgW8
    25
    画像の表現:色ヒストグラム
    ②クエリ画像からも
    特徴量を抽出する
    ①データベース中の画像から
    特徴ベクトルを抽出し、保存しておく

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  26. 【スライドのURL】 https://bit.ly/3hUxgW8
    26
    画像の表現:色ヒストグラム
    ②クエリ画像からも
    特徴量を抽出する
    ③各ベクトルとの距離を求める
    ①データベース中の画像から
    特徴ベクトルを抽出し、保存しておく

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  27. 【スライドのURL】 https://bit.ly/3hUxgW8
    27
    画像の表現:色ヒストグラム
    ②クエリ画像からも
    特徴量を抽出する
    ③各ベクトルとの距離を求める
    ④一番近いものが、一番色が似ている画像
    色ヒストグラムによる画像検索の実現
    https://emojipedia.org/grinning-face-with-smiling-eyes/
    ①データベース中の画像から
    特徴ベクトルを抽出し、保存しておく

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  28. 【スライドのURL】 https://bit.ly/3hUxgW8
    28
    画像の表現:色ヒストグラム
    しかし、色だけだと、うまくいかないかも
    猫ではないが、色が似てる
    猫だが、色は似ていない

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  29. 【スライドのURL】 https://bit.ly/3hUxgW8
    29
    画像の表現:深層特徴量
    =
    61
    12
    39

    14
    画像:
    例:128次元の
    深層特徴量
    128軸目
    ➢ 実際は、機械学習という技術を用いる
    ➢ 猫画像同士が近くなってくれるような、
    深層特徴量をデザインする
    機械
    学習

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  30. 【スライドのURL】 https://bit.ly/3hUxgW8
    30
    画像の表現:深層特徴量
    ➢ 猫なら近く
    ➢ 猫以外は遠く

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  31. 【スライドのURL】 https://bit.ly/3hUxgW8
    31
    画像の表現
    ➢ 画像をコンピュータが処理できるようにしたい
    ➢ 画像をなんらかの数値(ベクトル)として表現
    ➢ 似ている画像は、似ているベクトルに
    ➢ 例:色ヒストグラム、深層特徴量
    =
    61
    12
    39

    14

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  32. 【スライドのURL】 https://bit.ly/3hUxgW8
    似てるもの 発見!
    高校数学で理解する画像検索
    32
    1. 数学の準備
    2. 画像の表現
    3. 真面目に探索(低速・高精度)
    4. ちょっとさぼって探索(高速・低精度)

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  33. 【スライドのURL】 https://bit.ly/3hUxgW8
    33
    真面目に探索(低速・高精度)

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  34. 【スライドのURL】 https://bit.ly/3hUxgW8
    34
    真面目に探索(低速・高精度)

    8
    13
    25

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  35. 【スライドのURL】 https://bit.ly/3hUxgW8
    35
    真面目に探索(低速・高精度)

    8
    13
    25
    探索:
    クエリベクトルと、
    データベースベクトル1
    , 2
    , … を比べる

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  36. 【スライドのURL】 https://bit.ly/3hUxgW8
    36
    真面目に探索(低速・高精度)
    探索問題の定義
    =
    61
    39

    14
    1
    =
    3
    26

    7
    2
    =
    11
    32

    99

    =
    5
    4

    72

    比べる
    ➢ 次元のクエリベクトル、および本のデータベースベクトル1
    , … ,
    がある
    ➢ と各
    を比べ、一番近いものを選ぶ
    ➢ 現実の探索問題を考える上で重要な点はなんだろう?
    ➢ 速度と精度
    ➢ まずは厳密に探索する方法を紹介(高精度だが低速)
    ➢ 計算の速度とは何だろう? ➡計算の量で見積もる

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  37. 【スライドのURL】 https://bit.ly/3hUxgW8
    37
    真面目に探索(低速・高精度)
    探索問題の定義
    =
    61
    39

    14
    1
    =
    3
    26

    7
    2
    =
    11
    32

    99

    =
    5
    4

    72

    比べる
    ➢ 次元のクエリベクトル、および本のデータベースベクトル1
    , … ,
    がある
    ➢ と各
    を比べ、一番近いものを選ぶ
    と1
    の距離の二乗
    = − 1
    2
    = 61 − 3 2 + 39 − 26 2 + ⋯ + 14 − 7 2
    値の大小だけが重要なので、二乗して考える。
    すると、ルートをとらなくていい

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  38. 【スライドのURL】 https://bit.ly/3hUxgW8
    38
    真面目に探索(低速・高精度)
    と1
    の距離の二乗
    = − 1
    2
    = 61 − 3 2 + 39 − 26 2 + ⋯ + 14 − 7 2
    値の大小だけが重要なので、二乗して考える。
    すると、ルートをとらなくていい
    引き算一回
    掛け算一回
    足し算一回
    回の引き算 + 回の掛け算 + − 1 回の足し算
    = 3 − 1回の計算
    ≃ 3回の計算
    四則演算は同程度の速度と
    仮定し、「計算」とまとめる
    たとえば計算は1ナノ秒
    は十分に大きいとし、1は無視
    探索問題の定義
    =
    61
    39

    14
    1
    =
    3
    26

    7
    2
    =
    11
    32

    99

    =
    5
    4

    72

    比べる
    ➢ 次元のクエリベクトル、および本のデータベースベクトル1
    , … ,
    がある
    ➢ と各
    を比べ、一番近いものを選ぶ

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  39. 【スライドのURL】 https://bit.ly/3hUxgW8
    39
    真面目に探索(低速・高精度)
    − 1
    2を求める ➡ 3回の計算
    ➢ これを1
    , … ,
    に対し回行う ➡ 合計で3回の計算
    ➢ 「一番近いものを選ぶ」は、個の「距離の値」を
    一つ一つ眺めていけばいい。これも「回の計算」とする
    ➢ 合計で3 + = 3 + 1 ≃ 3回の計算
    は十分に大きいとし、
    1は無視
    探索問題の定義
    =
    61
    39

    14
    1
    =
    3
    26

    7
    2
    =
    11
    32

    99

    =
    5
    4

    72

    比べる
    ➢ 次元のクエリベクトル、および本のデータベースベクトル1
    , … ,
    がある
    ➢ と各
    を比べ、一番近いものを選ぶ

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  40. 【スライドのURL】 https://bit.ly/3hUxgW8
    40
    真面目に探索(低速・高精度)
    探索問題の計算コスト ➡ 3回の計算
    ➢ 3も2もと大して変わらないとして、
    定数倍は無視するという大胆な近似を行う
    ➢ 最終的に、次元本のベクトルたちに対する探索の計算のコスト
    ➡ 回の計算
    探索問題の定義
    =
    61
    39

    14
    1
    =
    3
    26

    7
    2
    =
    11
    32

    99

    =
    5
    4

    72

    比べる
    ➢ 次元のクエリベクトル、および本のデータベースベクトル1
    , … ,
    がある
    ➢ と各
    を比べ、一番近いものを選ぶ

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  41. 【スライドのURL】 https://bit.ly/3hUxgW8
    41
    真面目に探索(低速・高精度)
    真面目に探索のまとめ:
    ➢ 精度:厳密
    ➢ 速度:回の計算
    例:
    ➢ 計算に1ナノ秒(10−9秒)かかるなら、
    ざっくりナノ秒(10−9秒)
    ➢ = 1000, = 104の場合、10ミリ秒
    探索問題の定義
    =
    61
    39

    14
    1
    =
    3
    26

    7
    2
    =
    11
    32

    99

    =
    5
    4

    72

    比べる
    ➢ 次元のクエリベクトル、および本のデータベースベクトル1
    , … ,
    がある
    ➢ と各
    を比べ、一番近いものを選ぶ
    速いの?遅いの?
    ➢ が10倍になると、速度も10倍
    ➢ あまりうれしくない

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  42. 【スライドのURL】 https://bit.ly/3hUxgW8
    似てるもの 発見!
    高校数学で理解する画像検索
    42
    1. 数学の準備
    2. 画像の表現
    3. 真面目に探索(低速・高精度)
    4. ちょっとさぼって探索(高速・低精度)

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  43. 【スライドのURL】 https://bit.ly/3hUxgW8
    43
    ちょっとさぼって探索(高速・低精度)

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  44. 【スライドのURL】 https://bit.ly/3hUxgW8
    44
    ちょっとさぼって探索(高速・低精度)
    本全てのベクトルと比べると大変
    ➢ そもそも遠いベクトルは外れ
    ➢ これらとの距離計算は無駄
    ➢ 計算をサボれないか?

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  45. 【スライドのURL】 https://bit.ly/3hUxgW8
    45
    ちょっとさぼって探索(高速・低精度)

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  46. 【スライドのURL】 https://bit.ly/3hUxgW8
    46
    ちょっとさぼって探索(高速・低精度)
    代表
    代表
    代表

    ①ベクトルを事前に個のグループに分けておく
    ここでは = 3

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  47. 【スライドのURL】 https://bit.ly/3hUxgW8
    47
    ちょっとさぼって探索(高速・低精度)
    代表
    代表
    代表

    ②クエリと本の代表ベクトルを比較し、
    一番近いグループを選ぶ
    ①ベクトルを事前に個のグループに分けておく
    ここでは = 3

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  48. 【スライドのURL】 https://bit.ly/3hUxgW8
    48
    ちょっとさぼって探索(高速・低精度)
    代表
    代表
    代表

    ①ベクトルを事前に個のグループに分けておく
    ②クエリと本の代表ベクトルを比較し、
    一番近いグループを選ぶ
    ③選ばれたグループ内
    のみ探索する
    ここでは = 3

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  49. 【スライドのURL】 https://bit.ly/3hUxgW8
    49
    ちょっとさぼって探索(高速・低精度)
    代表
    代表
    代表

    ①ベクトルを事前に個のグループに分けておく
    ➢ 事前処理なので、気にしない
    ③選ばれたグループ内
    のみ探索する ②クエリと本の代表ベクトルを比較し、
    一番近いグループを選ぶ
    ここでは = 3

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  50. 【スライドのURL】 https://bit.ly/3hUxgW8
    50
    ちょっとさぼって探索(高速・低精度)
    代表
    代表
    代表

    ①ベクトルを事前に個のグループに分けておく
    ➢ 事前処理なので、気にしない
    ②クエリと本の代表ベクトルを比較し、一番近いグループを選ぶ
    ➢ 本のベクトルとの探索のコストは「回の計算」だった
    ➢ ←とすることで、「回の計算」だと算出できる
    ③選ばれたグループ内
    のみ探索する
    ここでは = 3

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  51. 【スライドのURL】 https://bit.ly/3hUxgW8
    51
    ちょっとさぼって探索(高速・低精度)
    代表
    代表
    代表

    ①ベクトルを事前に個のグループに分けておく
    ➢ 事前処理なので、気にしない
    ②クエリと本の代表ベクトルを比較し、一番近いグループを選ぶ
    ➢ 本のベクトルとの探索のコストは「回の計算」だった
    ➢ ←とすることで、「回の計算」だと算出できる
    ③選ばれたグループ内のみ探索する
    ➢ 一つのグループ内の
    ベクトル本数の平均は/
    ➢ ←/とすることで
    「 / 回の計算」だと算出できる
    ここでは = 3

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  52. 【スライドのURL】 https://bit.ly/3hUxgW8
    52
    ちょっとさぼって探索(高速・低精度)
    代表
    代表
    代表

    ①ベクトルを事前に個のグループに分けておく
    ➢ 事前処理なので、気にしない
    ②クエリと本の代表ベクトルを比較し、一番近いグループを選ぶ
    ➢ 本のベクトルとの探索のコストは「回の計算」だった
    ➢ ←とすることで、「回の計算」だと算出できる
    ③選ばれたグループ内のみ探索する
    ➢ 一つのグループ内の
    ベクトル本数の平均は/
    ➢ ←/とすることで
    「 / 回の計算」だと算出できる
    結論: +

    回の計算
    ここでは = 3

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  53. 【スライドのURL】 https://bit.ly/3hUxgW8
    53
    ちょっとさぼって探索(高速・低精度)
    +

    回の計算
    +

    = 2 回の計算
    回の計算
    は自由に決められるパラメータ
    = としてみると
    「定数倍は無視」ルール
    なぜ = ?
    ➢ = +

    とすると、 を
    最小にするなので
    ➢ すなわち、

    = 0を解くと、 =

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  54. 【スライドのURL】 https://bit.ly/3hUxgW8
    54
    ちょっとさぼって探索(高速・低精度)
    代表
    代表
    代表

    失敗する場合もある
    別のグループの
    ベクトルのほうが近い

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  55. 【スライドのURL】 https://bit.ly/3hUxgW8
    55
    探索のまとめ
    コストの実例 ( = 128)
    探索方式 精度 計算コスト = 100 = 10000 = 1000000
    まじめに探索 高い 回 12800 1280000 128000000
    さぼって探索 低い 回 1280 12800 128000
    ➢ 回は回よりだいぶ少ない 例: lim
    →∞


    = 0
    ➢ つまり、だいぶ速い
    ➢ 探索問題は数学を使ってモデリング出来る。高校数学はその基礎になっている
    ➢ 実際の画像検索システムでは、上のように、各方式のメリットデメリットを
    考慮にいれて、方式を選択する

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  56. 【スライドのURL】 https://bit.ly/3hUxgW8
    似てるもの 発見!
    高校数学で理解する画像検索
    56
    1. 数学の準備
    2. 画像の表現
    3. 真面目に探索(低速・高精度)
    4. ちょっとさぼって探索(高速・低精度)

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  57. 【スライドのURL】 https://bit.ly/3hUxgW8
    57
    話さなかった重要トピック
    ➢ 精度が高い、低い、とはどういうことか?
    [email protected]といった指標で数値的に計測する
    ➢ メモリ消費量
    ✓ 探索は、本当は、「精度・速度・メモリ消費量」のトレードオフ
    ✓ 「精度100%かつ爆速。ただしメモリを無限に使う」という手法が作れてしまう
    ➢ 深層特徴量って結局何?
    ✓ 「ネコ1.jpgとネコ2.jpg」は似てます、といった情報をコンピュータにたくさん与えると、
    コンピュータが自動で学習。「距離学習」という機械学習理論
    ✓ 参考:内田祐介、「モダンな深層距離学習 (deep metric learning) 手法: SphereFace, CosFace,
    ArcFace」、Qiita、2019
    https://qiita.com/yu4u/items/078054dfb5592cbb80cc
    ➢ グループ分けってどうするの?
    ✓ よく使われるのはk-meansクラスタリングという古典的な手法
    ✓ 高校数学で理解できる
    ✓ 調べてみよう!

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  58. 【スライドのURL】 https://bit.ly/3hUxgW8
    58
    大学で学ぶ学問との接続
    半加算器
    ➢ 計算量理論
    「回の計算」といった考察は、計算量の理論として学ぶ
    アルゴリズムの性能を数式で記述・比較
    ➢ データ構造
    ✓ 実際の問題では、ハッシュテーブルやツリーといった高度なデータ構造を扱う
    ✓ 今日の「さぼって探索」は、実は転置インデクスというデータ構造
    ➢ アーキテクチャ
    ✓ 「足し算」と「引き算」は大体同じ時間がかかる、
    とあったが、そもそも「足し算」とは?
    ✓ 突き詰めると、コンピュータ上の足し算は回路で実現
    https://ja.wikipedia.org/wiki/データ構造
    https://ja.wikipedia.org/wiki/加算器
    バイナリツリー
    工学部電子情報・電気電子では、このような
    様々なレイヤーを幅広く学びます!

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  59. 【スライドのURL】 https://bit.ly/3hUxgW8
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    参考資料
    ➢ 画像処理に興味を持ったら
    ✓ 次の教科書が参考になります「ディジタル画像処理[改訂第二版]」、画像情報教育振興協会、2020
    https://www.amazon.co.jp/dp/490347464X/
    ➢ 今日発表した手法のコード (c++/python)
    ✓ Faissライブラリ中の転置インデックスフラットというアルゴリズム
    https://github.com/facebookresearch/faiss/wiki/Faster-search
    ➢ 企業における画像検索システムの紹介
    ✓ 山際康貴、「ひとりで作る画像検索システム」 、PyCon JP 2020:
    https://docs.google.com/presentation/d/1M4O9lQrrYpuA_daT3uUzoUBnJLg4wcJuaIeq-XhgSSk/
    ✓ shikajiro、「近似最近傍探索Indexを作るワークフロー」、ZOZO Tech Blog 2020:
    https://techblog.zozo.com/entry/ann-workflow
    ✓ shibui.yusuke、「メルカリ写真検索 1年の歩み」、[email protected] #11, 2020:
    https://www.slideshare.net/yusukeshibui/mercari-image-search-1st-anniversary

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