Upgrade to Pro
— share decks privately, control downloads, hide ads and more …
Speaker Deck
Features
Speaker Deck
PRO
Sign in
Sign up for free
Search
Search
Go1.22のリリース予定の機能を見る
Search
matumoto
January 21, 2024
Technology
0
59
Go1.22のリリース予定の機能を見る
Zli 大LT 2023冬 in Aizuでの登壇資料です
イベントページはこちら
https://zli.connpass.com/event/306455/
matumoto
January 21, 2024
Tweet
Share
More Decks by matumoto
See All by matumoto
sync/v2 プロポーザルの 背景と sync.Pool について
matumoto
0
43
Goトランザクション処理
matumoto
0
34
いまいちどスライスの 挙動を見直してみる
matumoto
0
320
GoのUnderlying typeについて
matumoto
0
180
Typed-nilについて
matumoto
0
260
GoのType Setsという概念
matumoto
0
20
GoのRateLimit処理の実装
matumoto
0
300
Webプッシュ通知触ってみた
matumoto
0
31
拡張ユークリッドの互除法の紹介
matumoto
0
240
Other Decks in Technology
See All in Technology
AWS_MCP_Servers入門.pdf
naotoiso
0
200
AIエージェントのオブザーバビリティについて
yunosukey
1
410
ユーザーコミュニティが海外スタートアップのDevRelを補完する瞬間
nagauta
1
210
KubeCon + CloudNativeCon Europe 2025 Recap: The GPUs on the Bus Go 'Round and 'Round / Kubernetes Meetup Tokyo #70
pfn
PRO
0
160
インラインRBSコメントに鯛pe checkersもニッコリ
sansantech
PRO
2
210
Google CloudのAI Agent関連のサービス紹介
shukob
0
170
使えるデータ基盤を作る技術選定の秘訣 / selecting-the-right-data-technology
pei0804
10
1.7k
技術選定の審美眼(2025年版) / Understanding the Spiral of Technologies 2025 edition
twada
PRO
75
21k
エンジニアのための 法規制への取り組み方 #healthtechmeetup
77web
0
260
技術選定を突き詰める 懇親会LT
okaru
2
1.3k
OCI Full Stack Disaster Recovery サービス概要
oracle4engineer
PRO
1
140
本番環境への影響リスクが低い Real Application Testing (SQL Performance Analyzer) の実施方法の検討と実践
jri_narita
0
230
Featured
See All Featured
Dealing with People You Can't Stand - Big Design 2015
cassininazir
367
26k
Building Applications with DynamoDB
mza
94
6.4k
Side Projects
sachag
453
42k
Statistics for Hackers
jakevdp
799
220k
JavaScript: Past, Present, and Future - NDC Porto 2020
reverentgeek
48
5.4k
The Psychology of Web Performance [Beyond Tellerrand 2023]
tammyeverts
47
2.8k
Refactoring Trust on Your Teams (GOTO; Chicago 2020)
rmw
34
3k
Documentation Writing (for coders)
carmenintech
71
4.8k
The Pragmatic Product Professional
lauravandoore
33
6.6k
Fashionably flexible responsive web design (full day workshop)
malarkey
407
66k
Visualizing Your Data: Incorporating Mongo into Loggly Infrastructure
mongodb
45
9.5k
Being A Developer After 40
akosma
91
590k
Transcript
Go1.22の リリース予定の機能を見る 2024-01-20 Zli 大LT
• 学年:28期 • 所属:会津大学コンピュータ理工学部 • 今興味のある技術:Rust🦀 • 趣味: ◦ Splatoon3ᔦꙬᔨ
◦ モンハン ◦ VTuberを見る ▪ 最近は叶推し • X(Twitter):@matumoto_1234 matumoto 松本 響輝 自己紹介
Goのリリースサイクル • Goは6ヶ月ごとにリリースされる(2月と8月) • 実際にリリースされる前にRC(Release Candidate)が発表される 図の引用元:https://go.dev/wiki/Go-Release-Cycle
Go1.22を見てみよう
注意 • あくまで 追加予定 なので、絶対追加されるわけではない • 元々Acceptedされていた機能がDeclinedになることだってあった ◦ ゼロ値 zero
の導入はAcceptedだったが、開発スケジュール的に Declinedになった • 全ての機能を紹介するのではなく、 個人的に知っておきたい機能を紹介 • 細かな仕様変更や詳細はリリースノートを見てみてね
forループ変数のセマンティクスの変更 • forループは元々一つの変数を使いまわしていた • (rangeを使った場合もそうでない場合も) すべて同じアドレス!
forループ変数のセマンティクスの変更 • Go1.22からは別々の変数として作られるようになる 同じコードでも、異なるアドレス
forループ変数のセマンティクスの変更 • こういうコードは想定した挙動と変わってしまうのでは ...? 偶数だけ出力してほしい
forループ変数のセマンティクスの変更 • 3節の形式のforループ(for i := 0;i<10;i:+ {})はループ本体の最後で次の変数にコ ピーされるような効果をもっている
forループ変数のセマンティクスの変更 • 後方互換性が崩れてない? ◦ Goは完全に後方互換性を保証しているわけではない ◦ Go1.22以降を宣言するモジュールにのみ適用される ▪ 新しいツールチェインを採用するだけで挙動が変わるとかはない ◦
ツールが公式から提供されている ▪ 変更によって影響を受ける箇所を表示 ▪ テストの失敗を引き起こすループを特定
forループ変数のセマンティクスの変更 • なんでこの変更が入ったか? ◦ ループ変数のアドレスや、ループ変数をクロージャでキャプチャする際に意図していない 動作をさせてしまうことが多くあった クイズ. 何が出力される? ※Go1.21で実行した場合
forループ変数のセマンティクスの変更 • なんでこの変更が入ったか? ◦ ループ変数のアドレスや、ループ変数をクロージャでキャプチャする際に意図していない 動作をさせてしまうことが多くあった 正解
forループ変数のセマンティクスの変更 • Go1.22からは想定通りに動作する ちゃんと0になってる!
range over int • forループのrangeで整数が取れるようになった
range over int • カウンタ変数に関心がないときなどに便利
ルーティングパターンの強化 • 標準ライブラリのHTTPルーティングが強化された ◦ ハンドラーにメソッドを登録可能 ▪ GET /items のようにすると、ハンドラーの呼び出しはそのメソッドを持つリクエス トに制限される
◦ ワイルドカードをパターンで使用可能 ▪ items/{id} のように使用できる ▪ files/{path::.} のように ::. で終わるワイルドカードは残りのすべてのセグ メントにマッチする
ルーティングパターンの強化 • 標準ライブラリのルーティングがかなり使いやすくなった! ◦ 今までワイルドカードを使用したかった場合は 自力でパース or GinやechoなどのWebフ レームワークに頼る などをしていた
• 既に net/http だけを使ったライブラリも出てきている ◦ https://github.com/sonatard/michi
ルーティングパターンの強化 • 後方互換性は大丈夫なの? ◦ パスに {} を使用したパターンなどは壊れてしまう ▪ (使ってるケースは少ないだろうけど...) ◦
GODEBUG 環境変数へ httpmuxgo121 を設定すると以前の動作に戻る ◦ 例. GODEBUG=httpmuxgo121=1
Goのイテレータ処理について • イテレータを標準機能だけで表現させるために導入される • 現状、標準ライブラリでも統一的な書き方が定まっていない sql.Rows.Next() と sql.Rows.Scan() database/sql tar.Reader.Next()
archive/tar
Goのイテレータ処理について • 例えばこんなかんじに書けたら嬉しいよね! スライスの要素を後ろから出力する
できるの?
GOEXPERIMENT でできます
GOEXPERIMENTとは? • ツールチェインの実験をGOEXPERIMENTという環境変数で制御している ◦ 値はカンマ区切りのリスト ◦ 例. GOEXPERIMENT=loopvar,rangefunc • 未来のバージョンで実装予定のものを実験的に
GOEXPERIMENTとして導入したりする ◦ 今から話すrange over funcもGo1.22でGOEXPERIMENT下に導入される
range over func • Go1.22からGOEXPERIMENT下で導入された機能 • さっきの Backward() はどう実装するか見ていく
range over func • Backward() は Sequence 関数を返す関数として実装する
range over func • さっきの Backward() はどう実装するか見ていく
range over func • yield() って誰よ! ◦ たしかに呼び出し側からもそんな関数を渡している様子はない ◦ 実は、コンパイラが生成する関数
(厳密には違う)
range over func • 呼び出し側のプログラムは、コンパイラ内ではこんな風に変換される
range over func • forループ内での制御処理は色んな形に変換される ◦ ループ終了時の暗黙的な continue は return
true ◦ continue は return true ◦ break は return false ◦ etc..
range over func • range over funcによって嬉しいこと ◦ イテレータの処理が統一的に書ける ▪
順方向連結リストのイテレータ ▪ 順序付き二分探索木のイテレータ • 例. for node := range bTree.all { … } ◦ それぞれの実装のデザインパターンに依存する必要がない ▪ 標準機能としてあることがうれしい
まとめ
まとめ • forループの挙動が変わるよ! ◦ ループごとの変数が新しく作り直されるよ ◦ rangeに整数を渡せるようになるよ • HTTPルーティングが強化されるよ! ◦
メソッドをハンドラーに登録できるようになるよ ◦ パスにワイルドカードが使えるよ • GOEXPERIMENT下にrange over funcが導入されるよ!
ありがとうございました