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コーポレートミッションを「絵に描いた餅」にしないために

mercari
September 05, 2022

 コーポレートミッションを「絵に描いた餅」にしないために

「新たな価値を生みだす世界的なマーケットプレイスを創る」をミッションに掲げるメルカリ。このミッションを「絵に描いた餅」にしないために、メルカリでは経営ツールの一つとして「ロードマップ」を導入しています。なぜミッション実現のためにロードマップが必要なのか?運用にあたって、どんな困難や課題と向き合ってきたのか?今後の展望は?リアルなエピソードを交え、明日から実践できるロードマップ経営についてお話しします。

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September 05, 2022
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Transcript

  1. 1

  2. 6 登壇者紹介 河野 秀治 / Shuji Kawano
 ライブドアの投資銀行部門、ゴールドマン・サックス証券とSBI ホールディングスによる合弁の投資ファンドを経て、戦略コンサ ルティング会社である経営共創基盤(IGPI)に入社。その後、起

    業を経験。さらにGunosyの経営戦略室長として上場を経験した のち、2018年7月メルカリ入社。上級執行役員、 経営戦略室長。
 @shuji
 株式会社メルカリ 上級執行役員
 #メルカリロードマップ .
  3. 22

  4. 24    Long term Growth Image of Mercari Group 24

    主要事業の中期目標と投資領域 ビジネス領域 主な事業 中期的なありたい姿 今後の主な投資領域 全社共通 ◼ 外部パートナーと組み、循環型社会を牽引する  エコシステムを実現している ◼ グローバル人材が活躍できるボーダレスな組織  が構築されている ◼ 更なるグローバル展開を推進している ・AI、データ基盤の強化 ・安心、安全な利用環境の強化 ・情報セキュリティの堅持 ・D&I、Well-beingの推進 ・グローバルでの事業構築 ・AIを通じたマッチング精度の向上 ・CtoC、BtoC、Fintech、オフラインを 融合した最適なUXの実現 ◼ グループシナジーを活かした金融サービスにより、   新たな金融文化の構築に向けた「循環型金融2 」が  促進されている ・Marketplaceへ還流するUXの実現 ・Creditのさらなる強化(AI与信等) ・ブロックチェーンを活用した  暗号資産やNFTへの体験拡張 ◼ USにおいて”the easiest and safest selling app” としての知名度と評価が確立されている ・ユーザ基盤の拡大 ・出品簡便化 ・AIを通じたマッチング精度の向上 ・配送オプションの拡充 ◼ 循環型社会のリーダー  ・循環型社会の実現に欠かせない存在として   マーケットを牽引。さらに外部パートナーとの連携   を加速させている  ・GMV 3年 CAGR +15%、調整後営業利益率40%以上   を想定1 1. GMVはCtoCとBtoCのGMVを合算した数値、調整後営業利益率は全社費用を含めずBtoCのソウゾウやメルロジの費用を含めたMarketplaceとしての数値を指す 2.「モノ」「お金」に加え、これまでの属性情報に囚われない多様な「信用」をより活用・循環させることを表した造語 Market place Fintech US Payment・Credit Crypto・NFT BtoC CtoC CtoC * FY2022.4Q 決算説明会資料より一部抜粋
  5.    25 Marketplace 2023.6 事業方針 新規ユーザの 獲得による MAU増加 既存ユーザの 活性化による

    ARPU1 増加 成果が着実に 積みあがる 投資 優先順位を 意識した 規律ある投資 CtoCとBtoCの連携強化を通じた出品増によって、 通期GMVはYoY₊10-15%、調整後営業利益率30-35%を想定 循環型社会の実現にとって欠かせない存在としてマーケットを牽引 外部パートナーとの連携を加速させている FY2023.6の事業方針 中期的なありたい姿 成長性 収益性/投資方針 1. ARPU:ユーザ一人当たりの平均購入金額 * FY2022.4Q 決算説明会資料より一部抜粋
  6.    Crypto・NFT1 Payment・Credit Fintech FY2023.6 事業方針 • グループシナジーを活かす金融サービスの提供 • Pay,

    Buy, Sell連携強化による「メルペイ」利用機会の増加 • Credit事業の拡大による収益基盤のさらなる強化 • メルカリグループの特徴を活かした、暗号資産を活用した利便性の  高いサービスの提供 • ブロックチェーン技術を活かしたサービスの開発、提供 26 グループシナジー強化による循環型金融の促進 1. 株式会社メルコインにおける事業内容「暗号資産」「NFT」を指す グループシナジーを活かした金融サービスにより、 新たな金融文化の構築に向けた「循環型金融」が促進されている FY2023.6の事業方針 中期的なありたい姿 * FY2022.4Q 決算説明会資料より一部抜粋
  7.    マーケティング 27 US FY2023.6 事業方針 • 主にcasual sellers獲得のための効果的かつ  中長期目線でのプロモーション

    • ローカル配送の強化を通じた新たなカテゴ  リーの掘り起こし • 写真を撮るだけで基本情報が自動で入力さ  れる新機能”Omakase”のカテゴリー拡大 購入の促進 出品の強化 FY2023.6の事業方針 主に出品と購入両方の促進に向けたプロダクトの磨き込みに注力 通期GMVはYoY ₊0-10%成長を想定 USにおいて”the easiest and safest selling app”としての認知度と評価が確立されている 中期的なありたい姿 プロダクト • パーソナライゼーションによるおすすめ  商品の精度向上 • BNPL1の強化による購入機会の創出 配送 • 継続的な購入を促進するインセンティブの  導入 • 購入者の配送料負担を軽減する一括配送オ  プションの追加 1. 「Buy Now Pay Later」と呼ばれる後払い方式の決済サービス * FY2022.4Q 決算説明会資料より一部抜粋
  8. 28 登壇者紹介 浅井 宗裕 / Munehiro Asai
 メルカリで、ロードマップを軸とした全社戦略の策定と運用をリー ド。副業として、数百人のエグゼクティブ、ミドルマネージャー向 けにコーチングサービスを提供(国際コーチング連盟

    プロフェッ ショナル認定コーチ)。前職のヤフー・Zホールディングスで12年 間、プロダクトマネジメントと経営企画、エグゼクティブコーチング に従事。
 @mune
 株式会社メルカリ 経営戦略室
 #メルカリロードマップ .
  9. 36 事業戦略編 • メルカリの目指すべき姿って、GMV XX円?
 • 世界のC2CマーケットプレイスシェアNo.1?
 • 短期KPIと競合との比較に陥ったらすり減るだけでは?
 •

    ところで横のカンパニーの投資、あれは健全なんですか?
 表面的に言われがちなこと #メルカリロードマップ .
  10. 43 策定のプロセス 基本的には同じ問いかけの繰り返し What do you think?
 Why so?
 So

    what?
 Really?
 まずはドキュメント文化に のっとって言語化してもら う。 それぞれの言葉の背景に ある「信念」「本当に成し遂 げたいこと」を想像する。問 いかける。 経営チームとして共通する 「信念」「本当に成し遂げた いこと」に昇華させる。 もう一回問いかける。「違和 感はないか」「あるとしたら どこか」これもドキュメント文 化で言葉にしてもらう。 #メルカリロードマップ .
  11.    外部パートナーと連携し、 循環型社会のエコシステムを創り出す Global expansion Payment Crypto City BtoC NFT

    Credit ミッション達成にむけた中期的なマイルストーン モノだけでなくあらゆる価値がテクノロジーの力に よってなめらかに循環する社会を創る。そのために 不可欠な外部の様々なパートナーとの連携を推進 USの更なる強化を最優先としつつ、US以外のグローバル 進出も進める。世界中のタレントが活躍出来るボーダレ スな組織を作るため、D&IやWell-beingを一層推進 46 CtoC US Security AI Blockchain Marketplace Fintech Logistics >>>
 >>>
 * FY2022.4Q 決算説明会資料より一部抜粋
  12. 47 策定のプロセス コンテンツの縦横展開 • 財務計画に落とし込んでいくと、どうなりますか? • 事業ごとのロードマップに落とし込んでいくと、どうなりますか? • プロダクトのアニュアルプランに落とし込んでいくと、どうなりますか? •

    それはあなたのOKRと、どう紐づいていますか? • メディア向けには、どういうストーリーになりますか? • 投資家向けには、どういうストーリーになりますか? • メルカリのWillは、あなたのWillと、どう擦り合っていますか? #メルカリロードマップ .
  13.    49 FY2023.6 の事業方針 重点ポイント • 筋肉質な事業基盤の構築 • 優先順位を明確にした規  律ある投資

    成長と収益の バランスの取れた 経営 • CtoC・ BtoCの  連携による出品強化 • Pay, Buy, Sellの連携強化 グループ間の シナジー創出 • 技術基盤の継続強化 • ESGの強化、推進 グローバル基準 の組織へ * FY2022.4Q 決算説明会資料より一部抜粋
  14.    50 連結 Marketplace Fintech US その他 (鹿島アントラーズ/インド開発拠点) •筋肉質でグローバルな事業基盤を構築し、成長と収益のバランスがとれた経営を行う •CtoCとBtoC、更に、MarketplaceとFintechの連携強化によるシナジー創出によって更なる成長を促進

    • CtoCとBtoCの連携強化による出品増によって、持続的な   成長を進める • 成長と収益のバランスを図りながら、通期GMV YoY+10-15%、 調整後営業利益率30-35%1を想定   (FY2022.6におけるMarketplaceのGMVは8,933億円、   売上高は857億円、調整後営業利益は263億円、調整後営業利益率31%) • フットボール事業の収益力の強化と、更なる成長への  土台作りに加えて、 ノンフットボール事業の拡大を目指す •インド開発拠点では50-60名程度のソフトウエアエンジニア  を採用予定 • 中長期での成長に向けて、継続的な出品簡便化や  パーソナライゼーションなどの機能改善に注力 •不透明な外部環境の影響を見極めながら、GMV YoY成長率   +0-10%を想定 • グループシナジーを活かした金融サービスの提供による  利便性の強化・利用促進 • ブロックチェーン技術の活用 1. なお本数値は監査前の値であり、今後変更になる可能性有 * FY2022.4Q 決算説明会資料より一部抜粋 FY2023.6 の事業方針 重点ポイント
  15. 53 浸透のプロセス 事後コミュニケーション • 事後アンケート、フィードバックの取得、咀嚼 ◦ 事業部ごとに、フォローコミュニケーション • 四半期ごとのふりかえり、年次でのロードマップ更新 ◦

    ミッション達成から逆算して、我々は充分に仕掛けられているのか? ◦ 仕掛けられていないとしたら、どこの領域で、誰が仕掛けるのか? • 研修プログラム化(ビジョンメイキング、OKR設計、キャリア設計など) #メルカリロードマップ .
  16. 62 みなさんから寄せられたご質問 コンテンツの粒度・仕上がり • メンバーがロードマップを自分ごととしてとらえ、日々の業務をロードマップに紐づけるためには、 ロードマップにはある程度の具体性が求められると思いますが、具体と抽象のバランスは、実際に どのように落とし込まれているのでしょうか • ロードマップに記載される具体的な粒度。余白を残す、は共感でき、その上で、事業戦略、人材戦 略、財務戦略など、どのカテゴリをどこの粒度まで落としこむかに興味があります。

    • 抽象度の高く、大きなミッションに対して、どのようなステップで段階的に解像度を上げたロードマッ プにしていったのでしょうか。上手く設定できた論点・問いや逆にうまくいかなかった問いなどあれば 教えていただけるとありがたいです。 • ミクロとマクロのロードマップの作り方を知りたい • ロードマップの内容を公開できる範囲でお伺いしたい #メルカリロードマップ .
  17. 63 みなさんから寄せられたご質問 浸透のプロセス、振り返りや見直し • インターンやアルバイトに出すものと経営者や役員等、視野が違う人にどうロードマップを伝え実行 していくのかを知りたい • 浸透フェーズでは社内外へどのような発信や施策をおこないましたか? • 実践フェーズではどのようにブレイクダウンしていったのでしょうか?時間軸や組織軸など様々観点

    があると思うのですが、本気で達成するためのポイントなどあれば伺いたいです。 • ロードマップを現場のアクションに繋げるための創意工夫、ロードマップを起動修正・変更するため の基準の有無やその策定根拠について • ロードマップがワークしているかどうかの具体的なモニタリングやピボット判断の運用なども詳しく伺 いたいです。 • ロードマップを振り返る際のフレームワークや評価設定があれば聞きたいです #メルカリロードマップ .
  18. 64 みなさんから寄せられたご質問 • チーム体制を教えていただきたいです • 検討にあたっての外部パートナーの活用について • ロードマップの策定は完全内製で行いましたか?それとも外部コンサルなど依頼されたのでしょう か? •

    事前準備のPEST分析の進め方。外部コンサル等をつかったのか?自分たちだけで実施したの か? • 今後のロードマップに関する展望について、「将来的にはメンバー自身がその役割を担い、主体的 に運用できる環境を整えたいと思っています」とございますが、もし具体的な構想がございました ら、可能な範囲でお尋ねさせて頂けますと幸いです。 • 今後ロードマップの策定オーナーをミドル層、メンバー層に落としていくと推察します。どのようなマ イルストンで進め、場を設計し、支援していくのかお伺いしたいです。 チーム体制、ロードマップ策定の主体をメンバーに移譲していくアイディア #メルカリロードマップ .
  19. 65 みなさんから寄せられたご質問 ミッション経営ついて • 成長フェーズ(5人→拡大)の組織においてのミッション浸透についてアドバイスがあればお聞きした いです。 • ミッション・ビジョンを社内に浸透させる効果的な方法が知りたいです。 • 自律・自走してミッションを読み解いて動けるというものが一つの競争力になるという考え方もあると

    思いますが、どのようにミッションを具体化していく方向に舵を切る意思決定ができたのでしょうか。 • 「ミッションを本気で達成するぞ」を決める前段となる、そもそものミッションの作り方。メルカリでは今 のミッションを、誰がどのように言語化したのか?("世界平和" 的な、抽象度の高いものになりが ち) 経営企画スキル • 経営企画メンバーが身につけているスキルと基本的な考え方 その他 #メルカリロードマップ .