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AI進化史:LLMからAIエージェントへ
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MIKIO KUBO
March 30, 2026
Education
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AI進化史:LLMからAIエージェントへ
授業用に,モダンなAgentic AIの最近までのサーベイを書きました.
MIKIO KUBO
March 30, 2026
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Transcript
AI進化史:LLMからAIエージェントへ 知能の階梯と技術的転換点に関する考察 1
はじめに 1950年代の黎明期から現代に至るAIの劇的な変遷を分析 単なる計算能力の向上から「意志」に近い計画性の獲得へ 本スライドでは、LLMの誕生から最新の「AIエージェント」への移行を解説 2
第1章:人工知能の黎明と限界 記号的アプローチの時代(1950s - 1980s) 3
知能の定義と初期の試み 1950年:チューリングテストの提唱 知能の基準を「言語的相互作用」に置く 1956年:ダートマス会議 「人工知能(AI) 」という用語が正式に誕生 1966年:ELIZAの登場 パターンマッチングによる初期のチャットボット 人間が機械に知性を投影する「ELIZA効果」を証明 4
エキスパートシステムの台頭と限界 1970-80年代:シンボリックAI 特定の専門知識を「If-Then」ルールで記述 例:感染症診断システム「MYCIN」 致命的な弱点 ルールの手動更新が困難 文脈の変化や未知のデータに柔軟に対応できない 結果として「AIの冬」を招く 5
第2章:トランスフォーマー革命 統計的アプローチへの転換 6
逐次処理から並列処理へ RNN / LSTM の限界 文章を端から順に処理するため、長い文の初期情報を忘れる(勾配消失問 題) 大規模な並列計算が困難 2017年:Transformerの登場 論文
"Attention Is All You Need" 逐次処理を排除し、自己注意機構(Self-Attention)を導入 7
自己注意機構(Self-Attention)の衝撃 全単語間の関連度を同時に計算 文中のどの単語が、他のどの単語に注目すべきかを動的に決定 数千単語離れた文脈も効率的に学習可能 現代AIの標準アーキテクチャ その後の全てのLLM(BERT, GPT等)の基盤となった 8
第3章:LLMの誕生とスケーリング則 「理解」のBERTと「生成」のGPT 9
BERTとGPT:二つの道 BERT(Google) エンコーダーを活用。文脈を「双方向」から理解 感情分析や質問回答に強み GPT(OpenAI) デコーダーを活用。 「自己回帰的」に次単語を予測 文章生成に特化し、高い汎用性を示す 10
知能の「スケーリング則」 パラメータ数とデータ量の増大 GPT-1(1.1億)→ GPT-2(15億)→ GPT-3(1750億) 創発的能力の出現 モデルを巨大化するだけで、予測精度がべき乗則に従い向上 明示的な学習なしにタスクをこなす「ゼロショット / フューショット学習」
が可能に 11
第4章:アライメントの時代 人間の意図に沿うAIへ 12
RLHFによる調整 課題:ハルシネーションとバイアス LLMは「もっともらしい嘘」をつくことがあった RLHF(人間からのフィードバックによる強化学習) i. 人間が回答例を作成(SFT) ii. 回答の良し悪しをランク付け(報酬モデル) iii. AIが報酬を最大化するように自己最適化(PPO)
13
ChatGPTと社会実装の爆発 2022年11月:ChatGPT公開 対話インターフェースとしてLLMの地位を確立 2023年3月:GPT-4リリース 画像も扱えるマルチモーダル化 司法試験やコーディングで人間レベルの性能を発揮 14
第5章:推論モデルへの進化 「直感」から「論理」へ 15
推論時間(Test-time)のスケーリング 従来のLLM:システム1(直感的) 入力に対して即座に応答を生成 推論モデル(o1, R1等) :システム2(論理的) 回答前に「思考の連鎖(Chain-of-Thought) 」を内部展開 考える時間を増やすほど精度が向上する 16
自己修正と検証 DeepSeek R1 等の革新 人間の手本なしで、強化学習のみで高度な思考プロセスを獲得 思考のトレース:手順を言語化 自己修正:途中の誤りに気づき、遡って直す 検証:結論の整合性を再確認 17
第6章:AIエージェントの定義 「対話」から「行動」へ 18
チャットボットとエージェントの違い チャットボット(受動的) ユーザーの問いに答えるだけ AIエージェント(能動的) 自ら計画を立て、目的達成まで自律的に実行 外部ツール(Web、API、ファイル操作)を使いこなす Observe-Think-Actのサイクルを回す 19
エージェントの3つの構成要素 1. プランニング(計画) 抽象的な目標を具体的な実行ステップに分解 2. メモリ(記憶) 短期:対話の文脈保持 長期:過去の知識やユーザーの好みを蓄積 3. ツール利用
外部検索、コード実行、企業内システムとの連携 20
第7章:自律型エージェントの歴史 2023年からのパラダイムシフト 21
先駆的プロジェクト:AutoGPTとBabyAGI 2023年のトレンド 「自己プロンプト(Self-Prompting) 」の導入 AIが自分自身に指示を出し続け、タスクを完遂するデモが世界に衝撃を与 えた 初期の課題 無限ループに陥りやすい トークン消費(コスト)が激しい 22
オーケストレーションの時代 単一のループから構造化されたワークフローへ 主要フレームワーク LangChain / LangGraph:複雑なプロセスをグラフ構造で制御 AutoGen / CrewAI:複数の専門エージェントを連携させる「マルチエージ ェント」体制の構築
23
第8章:ビジネス実装の現状(2025年) 実験から実用フェーズへ 24
産業へのインパクト カスタマーサービス 回答だけでなく、在庫確認や返金処理まで完遂 ソフトウェア開発 生成だけでなく、デバッグ・テスト・デプロイまで自律化 組織構造の変化 **最高AI責任者(CAIO)**の登場 AIを「個人ツール」ではなく「仮想労働力(ワークフォース) 」として管理 25
第9章:将来展望(2026-2030) エージェント経済の到来 26
テクノロジーの深化 世界モデル(World Models) 自分の行動が物理世界に与える影響を「想像」する能力 製造・物流・医療への展開を加速 恒久的メモリ ユーザーと共に成長し、数年単位のコンテキストを保持するパーソナルエ ージェント 27
社会・経済の変容 エージェント間取引(A2A) AI同士が交渉し、スマートコントラクトで決済するエコシステム ソロ企業(Solo Enterprise)の急増 1人の人間が数百のエージェントを操り、大規模な収益を上げるモデル 労働市場の再編 「定型作業」から「ゴール設定と監督(Human-in-the-loop) 」へ 28
第10章:リスクと課題 安全性とガバナンス 29
予見されるリスク 法的責任の所在 AIの自律的な判断による事故(AIによる死など)への対処 認知能力の低下 過度な依存による人間の批判的思考の衰え セキュリティ プロンプトインジェクションによる権限奪取やデータ漏洩 監視用「セキュリティ・エージェント」の重要性 30
まとめ AIは「知識の図書館(LLM) 」から「有能な社員(エージェント) 」へ変容した 2017年:Transformer(技術の種火) 2022年:アライメント(対話能力) 2024年:推論(論理的思考) 2025年以降:自律的行動(エージェント) 私たちに求められるのは、AIと競うことではなく、AIという強力な労働力を 「導き、共生する」オーケストレーション能力である
31