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状態管理からの脱却:オープンエンド環境での実時間マルチタスクを実現するスケジューラ型AI

 状態管理からの脱却:オープンエンド環境での実時間マルチタスクを実現するスケジューラ型AI

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Naoki Hamada

June 15, 2026

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  1. Departing from State Management: Scheduler-based AI Enabling Real-time Multitasking in

    Open-ended Environments 状態管理からの脱却: オープンエンド環境での実時間マルチタス クを実現するスケジューラ型AI 濱田 直希 | (株)サイバーエージェント AI事業本部 Game AI Lab (本研究は KLab株式会社 在職時に行った)
  2. 8 [4L1-GS-5g-01] 状態管理からの脱却:オープンエンド環境での実時間マルチタスクを実現するスケジューラ型AI 入出力は非同期並列 どれに反応し、何をする? リアルタイム調停が必要 キャラ設定 会話履歴 イベント履歴 UI操作履歴 出発地/現在地/目的地 ニュース

    検出した物体 近隣施設 Web検索 日時 天気予報 記憶 などなど… 行動 認知 目的地が見えた シーンが変化 するたびに、 イベント到来 人を多数検出 ベンチがある 4時から雨が降る ©UTJ/UCL https://cedil.cesa.or.jp/cedil_sessions/view/3227 ユーザがタップ 笑顔 歩行 雑談 指さし
  3. 9 [4L1-GS-5g-01] 状態管理からの脱却:オープンエンド環境での実時間マルチタスクを実現するスケジューラ型AI ARエージェントのAIに求められる4つの要件 エージェントが直面しうる状況や、その状況 で可能な行動を事前に想定しきない。今どん な状況か。どんな行動が可能か。何をすべき か。いずれも、その場で判断しなければなら ない。 1.

    オープンエンド環境の理解 /反応 「歩く」「話す」「視線を向ける」「表情を変え る」といった行動は任意の組み合わせで並列 実行できる必要がある。一方で、「歩く」と「走 る」のように同時にできない行動もある。行動 が競合するときは、何を優先するかを決める 必要がある。 案内や会話を中断しても、後で自然に再開し たい。中断している間にも状況は変わる。案 内を再開するときは、最初に戻ってやり直す のではなく、中断した所から唐突に続けるの でもなく、現在の状況に合わせて再開した い。 これら3つの要件は、すべてリアルタイムに処 理しなければならない。 AIの長考が表に現れ てはいけない。 2. マルチモーダル並列実行 3. 割り込み後の継続性 4. 低遅延な実行調停
  4. 12 [4L1-GS-5g-01] 状態管理からの脱却:オープンエンド環境での実時間マルチタスクを実現するスケジューラ型AI 制御対象に以下の3つを付与する.※制御対象はキャラクターに限らない.グループやメタ AIなどに階層化も可能. キャラにできること ※ジョブは複数のジョブで構成可 ※ジョブ間アフィニティも指定可 座る 提案手法:スケジューラ型AIとは

    コンピュータ クラスタで実績のあるジョブ スケジューラの概念をゲームAIに応用 制御対象(キャラクターなど) ジョブの実行を調停 ※優先度に応じて開始 /中断を指示 スケジューラ ジョブが使用するもの ※複数の部位を指定可 ジョブ リソース 歩く 走る 跳ぶ 手を振る ポーズ 指さす 話す 見る 雑談 歩く 手を振る 見る 実行中 どれを 止める? 道案内 雑談 写真
  5. 21 [4L1-GS-5g-01] 状態管理からの脱却:オープンエンド環境での実時間マルチタスクを実現するスケジューラ型AI • リソース ◦ あらかじめ細分化し,網羅的に定義しておく(リソースは後から増えないので) ◦ 一時的に使わないリソースは無効化する ◦

    リソースには包含関係をもたせる ▪ ArmR = UpperArmR | LowerArmR | HandR • ラベル ◦ 最初から細分化しすぎない(ジョブは後から増えるので) ▪ 歩く・走る・スキップはMoveにまとめるくらいの抽象度で ◦ 新たなアフィニティが必要になったら細分化する ▪ 悲しみながらMoveできるけど,スキップはしてほしくない → Skipラベル追加 ◦ ラベルには包含関係をもたせない ▪ Move & (Walk | Run | Skip) == 0 • 優先度 ◦ ナンバリング規則にゆとりをもたせる(優先度はfloatなので追加不能になることは稀だが) ◦ 最優先は1000台,緊急は3000台,通常は6000台,アイドリングは9000台,… リソース・ラベル・優先度の設計が重要 これらを変更する場合,ジョブの全面改修が必要になる 実際のゲームでは最大で数百のスケジューラ が60fpsで稼働する。 リソースとラベルはビット演算で表現し、ジョブ キューがdirtyの時のみ判定する。 ポイント
  6. 23 [4L1-GS-5g-01] 状態管理からの脱却:オープンエンド環境での実時間マルチタスクを実現するスケジューラ型AI • LLMのみ(スケジューリングも LLMで行う) ◦ 応答にスケジューリング20秒+行動生成3秒 ◦ 誤認識により振る舞いに矛盾が起こりうる

    ◦ 割り込みがLLMコンテキストを圧迫 ◦ 割り込み後の再開に失敗しやすい • LLM+ジョブスケジューラ ◦ 応答に行動生成3秒 ◦ ジョブ間の競合解消を記号的に保証 ◦ 割り込みによるLLMコンテキスト圧迫なし ◦ ただしLLMによるジョブの誤設定はたまに起こる • LLM+ジョブスケジューラ+スキルライブラリ ◦ 検索ヒット時は1秒未満で応答 ◦ スキルライブラリの更新は非同期で行うため顕在化しない LLMよりも低遅延で矛盾のない行動ができる https://voyager.minedojo.org/ Voyagerでは、LLMの推論を行うたびにゲー ム時間を停止していた。 LLMのみでリアルタイムなタスクに対処するこ とは難しい。 ポイント
  7. 24 [4L1-GS-5g-01] 状態管理からの脱却:オープンエンド環境での実時間マルチタスクを実現するスケジューラ型AI • ビヘイビアツリー ◦ シングルタスクが基本 ◦ 割り込み前の状態への復帰が困難 ◦

    タスク部を変更する度にスケジューラ部も要修正 • ジョブスケジューラ ◦ マルチタスクが基本 ◦ 状態復帰は自動 ◦ ジョブの変更はジョブ内に閉じている • シンボリックAIと競合ではない ◦ 記号的プランナー(GOAPなど)と組み合わせ可 ◦ 既存の行動で足りない場合LLMにフォールバック ビヘイビアツリーよりも割り込みに強く,拡張性が高い https://gdcvault.com/play/1035576/Game-AI-Summit-Combining-GOAP KCDでは、これだけ複雑なツリーを作っても、 「村人が座っているときに攻撃を受けても座り 続ける」という問題が発生した。 O(n2) の状態遷移は考慮漏れしやすい。 ポイント
  8. 26 [4L1-GS-5g-01] 状態管理からの脱却:オープンエンド環境での実時間マルチタスクを実現するスケジューラ型AI スケジューラのオーバーヘッド 合計 Jobs 個のジョブを毎フレーム Submits / Frame

    ずつ Schedulers にラウンドロビンで投入する Jobs Submits / Frame Schedulers 提案手法 UniTask 処理負荷 100 1 1 0.51 ms 0.42 ms 1.20x 100 0.48 ms 0.39 ms 1.21x 10 1 0.48 ms 0.42 ms 1.14x 100 0.48 ms 0.40 ms 1.21x 1000 1 1 1.70 ms 0.96 ms 1.77x 100 1.72 ms 0.92 ms 1.88x 10 1 2.09 ms 0.93 ms 2.25x 100 2.04 ms 0.93 ms 2.19x
  9. 28 [4L1-GS-5g-01] 状態管理からの脱却:オープンエンド環境での実時間マルチタスクを実現するスケジューラ型AI • 背景と目的 ◦ オープンエンドAR環境でのリアルタイム行動調停を可能にするAI • 提案 ◦

    スケジューラ型AI:ジョブスケジューラの概念をゲームAIに応用 ◦ ジョブの並列実行をスケジューラが調停する ◦ 優先度・リソース・アフィニティによってジョブの実行条件を指定する • 考察 ◦ LLM単独よりも低遅延で矛盾のない振る舞いができる ◦ ビヘイビアツリーよりも割込みに強く拡張性が高い ◦ 1000ジョブ・100スケジューラの並行処理を僅かなオーバーヘッドで計算可能 • 今後の課題 ◦ シミュレータの整備:現地に行かなくてもテストできるように ◦ AIの振る舞いの評価:応答時間,行動の一貫性,タスク完了率,ユーザーアンケートなど ◦ AI制作コストの評価:機能追加のコスト,ソースコードの複雑度,開発者の作業時間など まとめ