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高性能計算機クラスタを用いた大規模点群処理による森林の単木抽出と構造解析

 高性能計算機クラスタを用いた大規模点群処理による森林の単木抽出と構造解析

第137回日本森林学会大会にて、森林の大規模点群処理に関する発表を行いました。

今年の全国大会では、「フォレストデジタルツインの可能性を探る:ポテンシャルと課題」というオーガナイズドセッションが設けられており、その中で、伊豆半島全体を含む6.2TBの点群データから樹木解析を行った事例について紹介しました。本取り組みは、産業技術総合研究所様、森林総合研究所様との共同研究です。

大会ページ:
https://www.forestry.jp/meeting/

公募セッションに関するページ:
https://www.forestry.jp/meeting/meeting-135/session/#T4

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Kenta Itakura

June 22, 2026

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Transcript

  1. 高性能計算機クラスタを用いた 大規模点群処理による森林の単木抽出と構造解析 〇板倉 健太¹, 瀧 誠志郎², 松下 浩之³, 池田 陽佑³,

    堤 千明³, 小畑 悠¹, 中村 良介4 ¹ImVisionLabs株式会社, ²国立研究開発法人森林研究・整備機構 森林総合研究所 ³産業技術総合研究所インテリジェントプラットフォーム研究部門, 4産業技術総合研究所 人工知能研究センター
  2. All rights reserved. Copyright © 2026 ImVisionLabs 森林デジタルツインの実現に向けて  日本では国土交通省の主導するPLATEAUにより全国56都市の3D都市モデルが

    オープンデータ化  現実世界をサイバー空間に 再現し 、 解 析 結 果 を 現 実 へ フ ィ ー ド バ ッ ク す る 「デジタルツイン」技術が急速に広まっている 1/16 図は、総務省HP デジタルツインって何?をもとに作成 (https://www.soumu.go.jp/hakusho-kids/use/economy/economy_11.html) 都市に限らず、森林のような広域・複雑環境への適用が求められている
  3. All rights reserved. Copyright © 2026 ImVisionLabs 森林デジタルツインのイメージ 3/16 ScanX2.0

    Physical(現実)空間 Cyber(仮想)空間 ①センシング 最適化・最適解 例:林業機械の自動化 ③高度なデータ分析 (例:伐採作業,搬出,樹木の成長等) 円滑なデジタル情報の共有 継続的なデジタル情報の更新 ②統合・蓄積 ④現実世界での活用 デジタルツインの構築 (例:UAV,LiDAR) 建設機械・林業機械と連携することで、作業支援や自動化への展開可能性を有する
  4. All rights reserved. Copyright © 2026 ImVisionLabs 単木抽出の位置づけと重要性  一方、森林資源量の把握や施業計画の立案には、樹木本数や樹高といった個体

    (単木)単位の情報も重要  森林における点群解析では、地形把握や樹冠高モデル(CHM)などの面・領域単位の 解析が広く用いられてきた 4/16  単木抽出は、点群データから個々の樹木を識別・分離する処理 図出典:北海道森林管理局 令和5年度航空レーザを活用した森林資源調査実証業務 (https://www.rinya.maff.go.jp/hokkaido/keikaku/other/20240327.html)
  5. All rights reserved. Copyright © 2026 ImVisionLabs 大規模森林点群処理と本研究の位置づけ  森林を解析するために十分高速なアルゴリズムやその計算を支える高性能計算基盤

    (High-Performance Computing)が必要  点群データのファイルサイズは大きく、特定の市町村のみの範囲でも数TBに達する 5/16  先行研究では約7400 ha、40億点(320GB)の航空機レーザ点群を処理(Hamraz et al., 2017) 森林デジタルツインのためにさらに大規模計算や高頻度な更新を実現する手法が必要
  6. All rights reserved. Copyright © 2026 ImVisionLabs 目的  数TB規模の大規模点群に対し高性能計算環境を活用した解析手法を検討する

     広域な森林の点群を対象として、単木抽出に基づき,森林における樹木本数や樹高 などの森林資源情報を算出する 6/16  大規模・高頻度更新を前提とした森林デジタルツインの実現に資する 解析基盤の確立を目指す 大規模データ 高速処理 高精度
  7. All rights reserved. Copyright © 2026 ImVisionLabs 手法:研究全体の流れ 7/16 Step1:

    地上データ解析 Step2: 航空データ解析 / 精度検証 Step3: 高性能サーバー による大規模処理  現地調査:樹木位置・本数把握  手 持 ち ( ハ ン ド ヘ ル ド ) 型 LiDARデータ取得・解析  現地調査データとの比較  同一エリアの航空 / UAV 点群データ取得・解析  地上データ(正解データ) との比較  伊豆半島全域の大規模点群 データをストレージに格納  単木抽出アルゴリズムを サーバーに実装  点群データを自動解析 航空機 UAV 360度RGBカメラ レーザセンサー バッテリー LS300 (ComNav Technology Ltd., China)
  8. All rights reserved. Copyright © 2026 ImVisionLabs Step1:ハンドヘルド型LiDARによる単木抽出  ハンドヘルド型LiDARにて計測された高密度点群を対象に単木抽出を実施

     毎木調査にて樹木の本数を記録し、LiDAR点群から本数を数える 8/16  幹の位置を初期点とし上下方向に領域を成長させ、単木抽出する手法(Itakura et al., 2021) を利用 画像出典: 山下淳子, 木村沙智, & 川村日成. (2019). 3 次元点群データを 活用したインフラ構造物の維持管理. 精密工学会誌, 85(3), 228-231. 毎木調査 ハンドヘルド型LiDAR点群 本数を記録 ・本数を数える ・単木抽出
  9. All rights reserved. Copyright © 2026 ImVisionLabs Step1:単木抽出結果の精度検証  樹木本数と位置の一致度から抽出精度を評価

     抽出結果を現地調査による幹位置データと比較 9/16 画像出典: 山下淳子, 木村沙智, & 川村日成. (2019). 3 次元点群データを 活用したインフラ構造物の維持管理. 精密工学会誌, 85(3), 228-231. 比較 樹木の本数の一致度を評価 ハンドヘルドLiDAR結果 現地調査の結果
  10. All rights reserved. Copyright © 2026 ImVisionLabs Step2:航空・UAV LiDARへの適用と比較 

    CHM (Canopy Height Model) を作成し、局所最大値とWatershed法で樹冠分割  北海道下川町にて航空・UAV LiDARを利用して点群を取得 10/16  樹木本数・樹高の誤差を指標として精度を評価 画像出典: 山下淳子, 木村沙智, & 川村日成. (2019). 3 次元点群データを 活用したインフラ構造物の維持管理. 精密工学会誌, 85(3), 228-231.  本手法と既往の手法である lidRライブラリのLi et al., 2012の手法との比較を行った [d] 数値樹冠高モデル(CHM)の作成 [e] 樹頂点の検出 [f] 樹冠のセグメンテーション [a] 地表面抽出 [b] 各点の地表面からの高さを計算 [c] 高さの標準化
  11. All rights reserved. Copyright © 2026 ImVisionLabs Step3:高性能サーバーを利用した大規模点群処理 • 21,503ファイルの点群データ(合計6.2TB)を処理

     静岡県より公開されている伊豆半島全体の点群データから森林を解析 11/16  ファイルの読み込みや解析、結果出力までを全自動で実行  Intel Xeon Gold CPU、約100GBメモリ、Lustre並列ファイルシステム(PB級ストレー ジ)を用いた単一ノード解析環境(産業技術総合研究所北陸サーバー) 東京都デジタルツイン3Dビューア(https://3dview.tokyo-digitaltwin.metro.tokyo.lg.jp/#share=s-gju1p6ppJJ2Z6jea) 伊豆半島のデータ
  12. All rights reserved. Copyright © 2026 ImVisionLabs 結果①:毎木調査と地上で計測したLiDARデータとの比較  下図はハンドヘルド型LiDARの点群から自動的に樹木の単木抽出を行った様子

    12/16  毎木調査にて得られた62本の樹木をすべて正確に抽出することができた  異なる樹木をそれぞれ異なる色で示している [a] 入力点群データ [b] 単木抽出の結果
  13. All rights reserved. Copyright © 2026 ImVisionLabs 結果②:航空・UAV LiDARへの適用と比較 

    評価指標:正解データに対する樹木本数の平均絶対誤差(MAE)と処理時間 13/16 データ 手法 MAE(本) 処理時間(秒) UAV lidR 27.0 0.7 提案手法 20.5 0.2 航空機 lidR 22.0 ~5700 提案手法 17.5 ~5.8  手法:既存手法(lidR)/提案手法(本研究で利用した手法)  考察 • 精度:本手法はlidRより本数推定の精度が高い(全体MAE:19.0 vs 24.25) • 速度:特に航空機データにおいて、大幅な高速化を達成
  14. All rights reserved. Copyright © 2026 ImVisionLabs 結果③:大規模処理結果(伊豆半島における単木セグメンテーション)  合計約3100万本の樹木を検出した

    14/16  約6.2 TBの航空LiDAR点群に対し、全域で単木抽出を実現  約1週間で全ての解析を完了した [a] 入力点群データ [b] 単木抽出の結果
  15. All rights reserved. Copyright © 2026 ImVisionLabs 結果④:伊豆半島での樹木本数の分布の可視化 • 各メッシュ内で検出された樹木本数を集計し

    密度を可視化 15/16 • 解析エリアを 400 m × 300 m のメッシュに分割  概要  示唆 • 赤色(高密度):樹木が過密なエリアを示唆し間伐が 遅れている可能性のある地域の抽出に活用可能 • 空間的な優先順位付け: 樹高情報と組み合わせることで 間伐や主伐といった施業の計画立案を支援 • 収穫したいサイズの樹木の位置の検索に利用でき る可能性 密 疎
  16. All rights reserved. Copyright © 2026 ImVisionLabs まとめ 16/16 

    ハンドヘルド型LiDARにより取得した点群からカウントした樹木の本数と現地調査 による結果が一致することを確認した  高性能計算環境を用いて伊豆半島全域約6TBの点群データを自動処理し、森林 管理に資する樹木密度分布の可視化を実現することで、森林デジタルツイン構築 の実現可能性を示した  航空・UAV LiDARから取得した点群に対して単木抽出を実施し、既存手法より高 精度かつ高速な処理が可能であることを示した 謝辞:ハンドヘルド型LiDARを利用した点群計測において,ジオサーフ株式会社にご協力を賜りました。 また,本研究の解析にあたり,上脇優人博士には解析作業の補助および有益なご議論を賜りました。 ここに記して深く感謝申し上げます。