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これから始まるプログラミング教育とは

Naoki Kato
December 03, 2018

 これから始まるプログラミング教育とは

東京学芸大学同窓会 青梅支部 研修会
2018年12月03日

Naoki Kato

December 03, 2018
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Transcript

  1. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU 東京学芸大学同窓会 青梅支部 研修会 20181107

    これから始まる プログラミング教育とは 東京学芸大学 教育実践研究支援センター 加藤直樹 背景写真は環境省Instagramより
  2. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU 自己紹介 加藤直樹 東京学芸大学 教育実践研究支援センター

    専門:情報工学 Human Computer Interaction 特にペン入力 ペン入力I/Fの教育への利用 文科省:ICT活用教育アドバイザー派遣事業 ・アドバイザー(小金井市) :デジタル教科書の効果的な活用の在り方等に 関する専門的検討会議 ・協力者 総務省:スマートスクール・プラットフォーム実証事業 「次世代学校ICT環境」の整備に向けた実証 ・有識者(町田市,小金井市) 経産省:学びと社会の連携促進事業 「未来の教室」実証事業WG ・有識者
  3. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU プログラミング教育の背景 産業(工業)革命:社会の確実な変化 画像引用:SCF2015webサイト http://scf.jp/ja/essay/a005.php

    →石炭→石油・電気 農業→軽工業→重工業 労働力:人→コンピュータ 判断:人→コンピュータ
  4. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU プログラミング教育の背景 そして第四次産業革命 画像: Industry

    4.0(第4次産業革命)とは? ReadWrite Japan https://thinkit.co.jp/article/9597 AI,IoT →ビッグデータ 情報通信技術の高度化
  5. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU プログラミング教育の背景 イスラエル l 2000年,高校で「Computer

    Science」 ハンガリー l 2003年 「Informatica」6~10歳で必修 イングランド(英国) l 2014年 「Computing」5~13歳で必修 フィンランド,オーストラリアなど l 2016年から順次 必修化
  6. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU プログラミング教育の背景 国家戦略(IT総合戦略本部) (H26~H28/2016.4) l

    一定数の突出した能力を有するIT人材育成 l 新たな産業をリードする高度なIT人材育成 + l あらゆる国民層に対して ITに係る能力を醸成するための取組 l 特に若年層に対するプログラミング教育 (参考)人材育成におけるプログラミング教育の位置付け等に係る調査報告書 現社会 Industry4.0 (第四次産業革命) 高度なIT利活用社会 (超スマート社会)
  7. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU プログラミング教育の背景 情報活用能力の位置付け 創造 協働

    自立 生きる力 人間性 学びに向 かう力 思考力 判断力 表現力 知識 技能 言語能力・情報活用能力 問題発見・解決能力 学習の基盤 情報及び情報技術を適切か つ効果的に活用して、問題 を発見・解決したり自分の 考えを形成したりしていく ために必要な資質・能力 (小学校学習指導要領解説 p.51) 加速度的に進展 し続ける社会 Industry4.0 (第四次産業革命) 情報技術の発展・浸透 情報化・グローバル化
  8. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU プログラミング教育の背景 情報活用能力育成方向性の舵きり 創造 協働

    自立 加速度的に進展 し続ける社会 Industry4.0 (第四次産業革命) 生きる力 情報技術の発展・浸透 情報化・グローバル化 人間性 学びに向 かう力 思考力 判断力 表現力 知識 技能 言語能力・情報活用能力 問題発見・解決能力 学習の基盤 情報の科学的な理解に 裏打ちされた情報活用能力を 育むことが重要
  9. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU 小中高連携を意識したプログラミング教育 小中高一貫の視点からの位置付け 情報Ⅰ(必修) 技術分野

    情報に関する技術 情報Ⅱ 発展 発展 情報技術の発展・浸透 情報の科学的な理解に 裏打ちされた 情報活用能力 を育むことが重要 プログラミング教育 基本的な操作 情報モラル 情報化と社会・産業 2021- 2022- 2020-
  10. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU プログラミング教育で育む力 学習指導要領では 各教科等の特質に応じて, を,計画的に実施

    第3 1 (3) イ 児童がプログラミングを体験しながら, コンピュータに意図した処理 を行わせるために必要な論理的思考力 を身に付けるための学習活動 (小学校学習指導要領 p.8)
  11. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU プログラミング教育で育む力 学習指導要領解説では プログラミング的思考 を育む

    自分が意図する一連の活動を実現するために、ど のような動きの組合せが必要であり、一つ一つの 動きに対応した記号を、どのように組み合わせた らいいのか、記号の組合せをどのように改善して いけば、より意図した活動に近づくのか、といっ たことを論理的に考えていく力 (小学校学習指導要領 p.8)
  12. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU プログラミング教育で育む力 プログラミング教育で育むべき力 抽 象

    化 モ デ ル 化 一 般 化 分解 構造化 手順化 評価 順序 分岐 反復 並列 演繹・帰納(類推,仮説) 問題 Computer 大きく複雑な 高速化・自動化 高度情報化社会における 高度情報化社会における 大きな武器である 論理的思考 パタン認識 パ ラ メ タ ラ イ ズ
  13. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU プログラミング教育で育む力 プログラミング教育で育むべき態度 プログラムの働きやよさ,情報社会がコンピュータをはじめと する情報技術によって支えられていることなどに気付き,身近

    な問題の解決に主体的に取り組む態度やコンピュータ等を上手 に活用してよりよい社会を築いていこうとする態度などを育む こと (小学校学習指導要領解説 p.85) すごい やってみる のような態度
  14. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU 教科教育とプログラミング教育 教科教育とプログラミング教育 l 教科等の中で実施する

    l プログラミング活動を通して 教科等の学びを深める 教科等で学ぶ知識及び技能等をより確実に身に 付けさせることにある。 (小学校学習指導要領解説 p.85) 各教科等の特質に応じて,次の学習活動を計画 的に実施すること。 (小学校学習指導要領 p.8)
  15. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU 教科教育とプログラミング教育 多角形(5年算数) 三 三角

    角形 形 四 四角 角形 形 六 六角 角形 形 角の数 3 4 6 内角 60 90 120 回転 120 90 60
  16. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU 教科教育とプログラミング教育 学習指導要領的には の関係を導かせる感じ? 三

    三角 角形 形 四 四角 角形 形 六 六角 角形 形 角の数 3 4 6 内角 60 90 120 回転 120 90 60 内角の和(◦-2)×180 内角の数 180 ー
  17. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU 教科教育とプログラミング教育 でも,児童の思考や,本質は 三 三角

    角形 形 四 四角 角形 形 六 六角 角形 形 角の数 3 4 6 内角 60 90 120 回転 120 90 60 かけると360だ!! 一回転(360度)を角の数で回りきる 360÷角の数だ!!
  18. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU 教科教育とプログラミング教育 教科教育とプログラミング教育 l プログラミングが手段となると

    必要な知識・技能が変わる! l 教科教育の見直しへ? 教科等で学ぶ知識及び技能等をより確実に身に 付けさせることにある。 (小学校学習指導要領解説 p.85)
  19. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU 教科教育とプログラミング教育 教科教育とプログラミング教育 l コンピュータが手段となると

    できることがが変わる! l 教科教育の見直しへ? 教科等で学ぶ知識及び技能等をより確実に身に 付けさせることにある。 (小学校学習指導要領解説 p.85)
  20. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU 教科教育とプログラミング教育 教科でのプログラミング教育の考え方 l 教科等の中で実施するところを見つけて

    プログラミング教育の目標を達成 l プログラミング活動を通して 教科等の学びを深める 教科等で学ぶ知識及び技能等をより確実に身に 付けさせることにある。 (小学校学習指導要領解説 p.85) 各教科等の特質に応じて,次の学習活動を計画 的に実施すること。 (小学校学習指導要領 p.8)
  21. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU アンプラグド活動 アンプラグド? n アンプラグド・コンピュータサイエンス

    l コンピュータを使わない プログラミング活動 電気なし 電気楽器なし
  22. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU アンプラグド活動 国語科におけるアンプラグド活動 l 手順を説明する

    n 他人に説明するために「手順」の生成 手順 手順の順番に説明する (国語)
  23. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU アンプラグド活動 アンプラグド活動を成立させるポイント l プログラミング的思考

    (特に論理的な思考)をさせる 条件分岐 繰り返し 並列 なぜその順序にしたか 等を振り返る 考える手順に論理性(論理的制約)がある課題
  24. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU アンプラグド活動 アンプラグド活動を成立させるポイント l 言語を意識させる

    手順 評 価 手 順 化 分 解 相手にわかる 言葉(記号) 用意された 言葉(記号) だけで 表現するように 抽象化・分解
  25. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU 正方形を描くとき なぜ言語を意識することが重要? 線分を1本描く 90度の方向に,

    同じ長さの 線分を描く 90度の方向を 調べる 人の手順 Scratchの手順 50歩進む 90度左に回る 50歩進む
  26. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU 正方形を描くとき l 言語によって「手順」も変わる なぜ言語を意識することが重要?

    一般的なプログラミング言語だと (x1,y1)から(x2,y2)まで線を引く (x1,y1) <= (x2,y2) x2 <= x2+cos(π/2)*length y2 <= y2-sin(π/2)*length
  27. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU なぜ言語を意識することが重要? 加えてプログラミング言語学習の件 l ある程度はできる必要がある!

    学習活動としてプログラミングに取り組むねら いは,プログラミング言語を覚えたり,プログ ラミングの技能を習得したりといったことでは なく (小学校学習指導要領解説 p.85) 日本語知らずに 説明文を書く ボールが 投げれないのに 野球をする リコーダが 使えないのに 楽しむ こんなことありえないですね
  28. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU 芸術とプログラミング教育 芸術とプログラミング教育 左上:ベネッセのプログラミング教育情報 プログラミングを通じた音楽の授業実践例~小2音楽「村まつり」

    右上:Watc Headline体育のマット運動にプログラミング的思考を導入する取り組み――八王子市立浅川小学校 左下:東村山私立富士見小学校 右下:町田市立第五小学校 音楽・リズム作り 体育・演技作り 家庭科・料理 図工・イルミパレード
  29. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU 芸術とプログラミング教育 表現の試行錯誤とプログラミング的思考 l 目的に向かってコーディングの改善

    論理的な思考 こういう曲を作りたいから 「こうしたい」から 「こうする」 論理的観点からの振り返り
  30. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU プログラミング教育で育む力 プログラミング教育で育むべき力 Computer が解決

    10 INPUT A 20 INPUT B 30 PRINT A+B cording 人が解決 選択 問題 プログラミング言語 何 が で き る の か 凄 さ ・ 便 利 さ プログラミング的思考 やってみたい 気持ち コンピュータ プログラミング 体験 + 必要な 論理的思考力 トレーニング
  31. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU おわりに とっても重要なこと l 先生たちのICT活用も

    l 児童によるICT活用も l 情報活用能力育成も (プログラミング教育) たまにやると失敗します 日常的な活動の中に入れることが重要です もう避けられない 避けて困るのは子ども
  32. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU 東京学芸大学同窓会 青梅支部 研修会 20181107

    これから始まる プログラミング教育とは 東京学芸大学 教育実践研究支援センター 加藤直樹 背景写真は環境省Instagramより