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理科における学びの教材作りを中心としたプログラミング教育の実践 /sigce149

理科における学びの教材作りを中心としたプログラミング教育の実践 /sigce149

情報処理学会 コンピュータと教育研究会
第149回研究発表会

Naoki Kato

March 02, 2019
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Transcript

  1. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU 情報処理学会 コンピュータと教育研究会 第149回研究発表会 理科における学びの教材作りを中心とした

    プログラミング教育の実践 東京学芸大学 教育実践研究支援センター 加藤直樹 保浦良太 東京学芸大学・元小金井市立前原小学校 野沢朝輝 東京学芸大学・小金井市立前原小学校 松田孝 小金井市立前原小学校 上野朝大 株式会社 CA Tech Kids 濵田大地 株式会社 アーテック
  2. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU はじめに 次期学習指導要領告示までの流れ 小学校段階における論理的思考力や創 造性、問題解決能力等の育成とプログ

    ラミング教育に関する有識者会議「議 論の取りまとめ」(2016.6.16) 2017.2.14 学習指導要領 改定案 公表 中央教育審議会「幼稚園、小学校、中 学校、高等学校及び特別支援学校の学 習指導要領等の改善及び必要な方策等 について(答申)」(2016.12.21)
  3. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU はじめに そんな頃 企業C 大学

    小学校 プログラミング教育かぁ なにかしないとなぁ
  4. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU はじめに そんな頃 企業C 大学

    小学校 理科の非常勤講師いない? プログラミング教育に 取り組みたい
  5. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU はじめに そんな頃 企業C 大学

    小学校 企業A 教材開発 いっしょにしませんか
  6. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU はじめに 実践研究の目的(目標) l 実現可能性

    l カリキュラム・マネージメント のための知見 高学年・理科に プログラミング教育を組み込んだ授業 設計・実践 学校現場 教科教育の見地 新学習指導要領 情報教育の見地 教材開発の見地
  7. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU 授業デザインの方針 学習指導要領での記載 l 教科の学びにからめる必要

    各教科等の特質に応じて, 児童がプログラミングを体験しながら, コンピュータに意図した処理 を行わせるために必要な論理的思考力 を身に付けるための学習活動 を,計画的な実施
  8. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU 授業デザインの方針 理科の学びの目標 n 自然の事物・現象についての理解

    n 観察,実験などに関する基本的な技能 n 妥当な考えをつくりだす力 自然の 事物・現象 科学的に捉え (論理的・客観的・実証的) についての 問題 科学的に解決する力 観察・実験を通して
  9. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU 授業デザインの方針 理科におけるプログラミング教育の方策 Type1 l

    自然の事物・現象 をプログラミングで再現 Type2 l 自然の事物・現象を科学的に捉えたこと をプログラムで表現 Type3 l 自然の事物・現象を科学的に捉える ためにプログラミング
  10. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU 授業デザインの方針 理科におけるプログラミング教育の方策1 l 自然の事物・現象

    をプログラミングで再現 画像:YouTube 地球と月 by ラボエムエム 現象 そのものを プログラミング
  11. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU 授業デザインの方針 理科におけるプログラミング教育の方策2 l 自然の事物・現象を科学的に捉えたこと

    をプログラムで表現 図:板村地質研究所webサイトより 事物 現象 を科学的に捉えた結果 をプログラムで表現
  12. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU プログラミング活動 教科等の学び 授業デザインの方針 授業デザインの方針

    l 方策3と方策2 プログラムの活用 プログラム 導入 アンプラグド活動
  13. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU 授業デザインの方針 学習指導要領での記載 l きちんと

    コンピュータ・プログラミング活動を 各教科等の特質に応じて, 児童がプログラミングを体験しながら, コンピュータに意図した処理 を行わせるために必要な論理的思考力 を身に付けるための学習活動 を,計画的な実施
  14. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU 授業デザインの方針 学習指導要領での記載 l ここはけっこう難しいけど,はずせない

    各教科等の特質に応じて, 児童がプログラミングを体験しながら, コンピュータに意図した処理 を行わせるために必要な論理的思考力 を身に付けるための学習活動 を,計画的な実施
  15. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU 授業デザインの方針 学習指導要領解説での記載 プログラムの働きやよさ,情報社会がコンピュータをはじめと する情報技術によって支えられていることなどに気付き,身近

    な問題の解決に主体的に取り組む態度やコンピュータ等を上手 に活用してよりよい社会を築いていこうとする態度などを育む こと (小学校学習指導要領解説 p.85) すごい やってみる のような態度
  16. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU 授業実践 理科にもいろいろありますが 燃焼の仕組み 水溶液の性質

    てこの規則性 電気の性質や働き 生物の体のつくりと働き 植物の養分と水の通り道 生物と環境との関わり 土地のつくりと変化 月の形の見え方と太陽の位置関係 物の溶け方 振り子の運動 電流の働き 植物の発芽,成長,結実 動物の誕生 流水の働き 天気の変化 空気と水の性質 金属,水,空気と温度 電気の働き 人の体のつくりと運動 季節と生物 天気の様子 月と星 物と重さ 風やゴムの働き 光の性質 磁石の性質 電気の通り道 昆虫と植物 身近な自然の観察 太陽と地面の様子
  17. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU 授業実践 (研究授業として)実践した単元 l 6年

    n 生物の体のつくりと働き(1学期) n 電気の利用(2学期) n てこの規則性(3学期) l 5年 n 天気の変化(2学期) n 電流の働き(3学期)
  18. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU 授業実践 生物の体のつくりと働き(6年) l 体内に酸素が取り入れられること

    l 血液は心臓の働きで体内を巡ること l 呼吸,循環の働きに着目して 生命を維持する働きを 多面的に調べる活動を通して理解 科学的
  19. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU 授業実践 プログラミング活動のモデル 生体・環境情報 可視化(可聴化)

    プログラミング活動 呼吸,循環の働きに着目 して多面的に調べる活動
  20. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU 授業実践 てこの規則性(6年) l てこがつり合うときには

    それらの間に規則性があること l てこの規則性を利用した道具があること l てこの規則性について 力を加える位置や力の大きさに着目して てこの働きを多面的に調べる 活動を通して理解
  21. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU 授業実践 プログラミング活動のモデル 入力センサ 入力デバイス

    プログラミング活動 ロボット系 てこの規則性について,力を 加える位置や力の大きさに着 目して,多面的に調べる活動
  22. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU 授業実践 天気の変化(5年) l 天気の変化は

    n雲の量や動きと関係があること n気象情報を用いて予想できること l 気象情報を活用したりする中で, 雲の量や動きに着目して それらと天気の変化とを関係付けて 調べる活動を通して理解
  23. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU 授業実践 天気の変化(5年) l 天気の変化は

    n雲の量や動きと関係があること n気象情報を用いて予想できること l 気象情報を活用したりする中で, 雲の量や動きに着目して それらと天気の変化とを関係付けて 調べる活動を通して理解 気圧
  24. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU 授業実践 プログラミング活動のモデル 環境情報 判断

    プログラミング活動 気象情報と天気の 変化との関係
  25. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU 授業実践 電気の利用(6年) l 電気は,光,音,熱,運動などに変換す

    ることができること l 身の回りには,電気の性質や働きを利用 した道具があること l 電気の変換について,電気の量や働きに 着目して,それらを多面的に調べる活動 を通して理解する l 電気の量と働きとの関係,電気の変換に ついて,より妥当な考えをつくりだし, 表現すること
  26. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU 授業実践 プログラミング教育のモデル 入力センサ 入力デバイス

    創作活動&プログラミング活動 出力デバイス 電気を有効に利用する機器 電気の量と働きとの関係,電気の 変換について,より妥当な考え
  27. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU 実践からの考察 プログラミング体験の初期段階でも可能 創造的・発展的プログラミング ア

    ン プ ラ グ ド 情報化社会に関する 探究的課題の中での プログラミング プログラミング 導入 操作練習 教科の学びに絡めた プログラミング 課程外 各教科 総合
  28. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU 実践からの考察 プログラミング体験の初期段階でも可能 創造的・発展的プログラミング ア

    ン プ ラ グ ド 情報化社会に関する 探究的課題の中での プログラミング プログラミング 導入 操作練習 教科の学びに絡めた プログラミング 課程外 各教科 総合 高学年でこれは ・・・つまらない
  29. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU 実践からの考察 プログラミング体験のレベルアップ プログラミング的思考w力 コーディング

    が不足 時数が足りない 教科横断 系統的な学び 他教科との関連性 解決 解決 必然 レベルアップ
  30. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU 実践からの考察 教科横断の視点 算数の内容 2つの量の関係

    電気の利用(6年) <自然の明るさに応じて 明るさの変わる照明>
  31. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU 実践からの考察 教科横断の視点 電気を効果的に利用する機器作り 児童に十分な力

    十分な環境 動力 (回転) 音 電気 光 熱 冷却 温度 音 気圧 磁気 紫外線 ガス 人感 明るさ : : コ ン ト ロ ー ル
  32. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU 実践からの考察 教科横断の視点 日常生活の中から問題を見いだし て課題を設定し,様々な解決方法

    を考え,実践を評価・改善し,考 えたことを表現するなど,課題を 解決する力を養う。 つくりだす喜びを味わうとともに, 感性を育み,楽しく豊かな生活を 創造しようとする態度を養い,豊 かな情操を培う。 ・我が国では様々な工業生産が行 われていること・・・及び工業製 品は国民生活の向上に重要な役割 を果たしていることを理解するこ と。 ・工業生産に関わる人々は,消費 者の需要や社会の変化に対応し, 優れた製品を生産するよう様々な 工夫や努力をして,工業生産を支 えていることを理解すること。 家庭科 図工 社会 電気を効果的に利用する機器作り 児童に十分な力 十分な環境
  33. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU 実践からの考察 創造的・発展的な学びへ 創造的・発展的プログラミング ア

    ン プ ラ グ ド 情報化社会に関する 探究的課題の中での プログラミング プログラミング 導入 操作練習 教科の学びに絡めた プログラミング 課程外 各教科 総合 基礎を固めておけば
  34. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU 実践からの考察 論理的な思考のトレーニングには 理科 で

    プログラミング で 論理的思考 プログラミング の試行錯誤 プログラミング の基礎力 自分で 科学的に捉える 試行錯誤
  35. ©2016- Naoki Kato, IML at TGU おわりに 目的 高学年理科にプログラミング教育を 組み込んだ授業設計と実践を通し,

    その実現可能性,カリキュラム・マ ネージメントのための知見を明らか にする 実践 5つの単元での授業設計と実践 得られた 事項 • プログラミング体験の初期に 位置づけ可能 系統的な学びをすることで • 教科横断の学びが可能(不可欠) • 時数の問題を解消 • 創造的・発展的な学びへ • 論理的思考を育む学びも 課題 カリキュラムデザイン