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高齢者における向精神薬および抗認知症薬について

 高齢者における向精神薬および抗認知症薬について

2023年2月12日に開催された「薬剤師のための精神科セミナー」でお話ししたスライドです。

内田直樹(Naoki Uchida)

February 12, 2023
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Transcript

  1. 非定型抗精神病薬 • SDA(セロトニン・ドパミン拮抗薬) リスペリドン・パリペリドン・ペロスピロン・ブロナンセリン・ルラシドン -抗幻覚妄想効果が強いがパーキンソン症状を認める • MARTA(多元受容体標的化抗精神病薬) オランザピン・クエチアピン・アセナピン -鎮静作用が強いが体重増加や眠気の副作用 •

    DSS(ドパミン受容体部分作動薬) アリピプラゾール -副作用が少ないがアカシジアは認め、鎮静作用が弱い • SDAM(セロトニン・ドパミン・アクティビティ・モジュレーター) ブレクスピプラゾール -副作用が少ないがアカシジアは認め、鎮静作用が弱い
  2. その他の抗うつ薬 • トラゾドン 抗うつ効果は弱いが睡眠を深くする効果があり、不眠や せん妄に用いられる • ミルタザピン(ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン 作動性) 不眠や食欲不振に効果 •

    アリピプラゾール 抗うつ剤で効果が不十分なうつに適応 • ボルチオキセチン(セロトニン再取り込み阻害・セロトニン 受容体調整) 2019年11月発売
  3. 認知症発症の修正可能な危険因⼦の割合 Livingston G, et al. Lancet. 2020;396:413-446. 危険因⼦ 集団寄与危険割合(%) 若年期

    低学歴 7 中年期 難聴 8 外傷性脳損傷 3 ⾼⾎圧 2 過度の飲酒(週にアルコール21単位以上) 1 肥満 1 ⾼齢期 喫煙 5 抑うつ 4 社会的孤⽴ 4 ⾝体不活動 2 ⼤気汚染 2 糖尿病 1 合計 40 %
  4. 自殺のリスク • SAD PERSONS Scale • Sex 男性 • Age

    年齢 高齢者と思春期 • Depression うつ病 • Previous attempt 自殺企図歴 • Ethanol abuse アルコール、薬物の乱用
  5. 自殺のリスク • SAD PERSONS Scale • Rational thinking loss 合理的思考の欠如

    • Social support deficit 社会的援助の欠如 • Organized plan 練られた計画 • No spouse 配偶者の欠如 • Sickness 慢性の病気
  6. 抗不安薬の作用時間 分類 一般名 商品名 短時間作用型 (半減期6時間以内) エチゾラム デパス クロチアゼパム リーゼ

    中時間作用型 (半減期12-24時間) ロラゼパム ワイパックス アルプラゾラム ソラナックス・コンスタン ブロマゼパム レキソタン 長時間作用型 (半減期24時間以上) ジアゼパム セルシン・ホリゾン クロキサゾラム セパゾン クロナゼパム リボトリール・ランドセン 超長時間作用型 (半減期90時間以上) フルトプラゼパム レスタス ロフラゼブ酸エチル メイラックス 演者による作成
  7. 作用時間 一般名 商品名 超短時間型 トリアゾラム ハルシオン ゾルピデム マイスリー ゾピクロン アモバン

    エスゾピクロン ルネスタ 短時間作用型 エチゾラム デパス ブロチゾラム レンドルミン ロルメタゼパム エバミール・ロラメット 塩酸リルマザホン リスミー 中間型 フルニトラゼパム サイレース・ロヒプノール エスタゾラム ユーロジン ニトラゼパム ベンザリン・ネルボン 長時間型 クアゼパム ドラール ベンゾジアゼピン系と非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬 演者による作成
  8. 抗認知症薬 • アルツハイマー型認知症もしくはレビー小体型認知症と診断 できる場合に使用を検討 • NNTは10、NNHも12 • 使用する場合はMMSEで認知機能の評価を • 効果を感じなければ中止する

    • 前医から処方されていた場合は中止を検討 • 副作用として嘔吐、めまい、不眠、徐脈、下痢 ©みんなの認知症情報学会 79 効果がなければ中⽌、が基本