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実践共同体論に基づく質問回答サイト理解の可能性

Tajima Itsuro
October 29, 2016

 実践共同体論に基づく質問回答サイト理解の可能性

The posibility of understanding Q&A sites via the theory of Communities of Practice
三田図書館・情報学会2016年度研究大会にて

Tajima Itsuro

October 29, 2016
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Transcript

  1. 質問回答サイト研究の問題点 質問回答サイト • 情報ニーズを自然言 語の形で提示 • 誰かの情報ニーズに 主な研究のトレンド • 質問や回答の質

    • 質問者、回答者の動 機 • 誰かの情報ニーズに 応答できる場所 • サービスを取り巻く参 加に基づく共同体 機 • 自然言語処理に基づ く質問回答の分析 • 行動の大域的な集 計
  2. 本研究の構成 Wengerの 実践共同体論 Wengerの実践共同体論の 独特な概念を検討 Rosenbaumらによる 質問回答サイトへの適用 Rosenbaumらの研究の 意義と問題点 実践の理解へ

    実践共同体論を質問回答サイトに 適用した数少ない先行研究を検討 実践共同体論によると、 実践の分析が重要である
  3. 実践共同体論における実践概念 • 実践は「意味の交渉」である • 意味の交渉は「参加」と「物象化」の二重性からなる – 参加:ある共同体の中で何かを経験すること – 物象化:経験が何か具体的なものになること –

    物象化:経験が何か具体的なものになること – 記録だけでなく、声に出すことなども物象化 • 二重性は、「2つが相互に関係している」ことを意味す ることも「2つが同時に起こり切り離せない」ことを意味 することもある
  4. 共同の企て • 相互関与の過程を集めた結果 • 相互関与の複雑性をそのまま反映する • 皆が同じことを信じているとは限らず、目的や規 範などは絶えず交渉される 範などは絶えず交渉される •

    外からの影響や、明文化されたガイドラインなども 実践の中で解釈される • つまり、文章などで共同体を定義することはでき ない
  5. 共有された資源群 • 意味の交渉のための資源を生み出す • 慣習、言葉、道具、方法、概念など • それらもまた実践の一部となる • 相互関与の複雑な歴史を反映して、あいまいさを •

    相互関与の複雑な歴史を反映して、あいまいさを 持つ • あいまいさのため、資源を使う際には意味の交渉が 行われ、誤解などもされながらその都度新たな意味 が作られる • つまり、ある資源の解釈は状況による
  6. まとめ:実践共同体論の特徴 • 参加と物象化が同時に起こり、相互に関わるのが 実践 • 実践共同体は以下のようなものである – 人や活動が固定された組織としてではなく、複雑 な実践が連なっていくものとして見る –

    人や活動が固定された組織としてではなく、複雑 な実践が連なっていくものとして見る – 明文化された目的などで定義することができない – 資源が生み出されるが、それも実践の中で解釈 される
  7. Rosenbaum and Shachafの研究 • 3つの質問回答サイトについてGiddensの構造化 理論とWengerの実践共同体論を適用 • 理論的な検討を行った数少ない研究 • 実践共同体論をどう捉え

    • 実践共同体論をどう捉え • それをどう質問回答サイトに適用し • その結果が質問回答サイト研究でどう使われ • どのような課題があるか
  8. 相互関与 Wenger • 共同体の中で互いに 何かを行い、意味の 交渉をすること Rosenbaum&Sha chaf • 質問と回答がされてい

    ることがまさに相互関 与 交渉をすること • 参加者は異なった関 心を持ち、互いに助け 合う 与 • 質問者も回答者も完 全な知識を持っておら ず、助け合う
  9. 共同の企て Wenger • 相互関与の過程を集 めたもの • 一つの確固たる目的 Rosenbaum&Sha chaf •

    共同体内でのルールや ガイドラインなどの交渉 が存在する • 一つの確固たる目的 などを共有していると は限らない • 明文化された目的な どは資源として使われ る が存在する • 参加者が実際にこれら を実行している • サイトによって様々な方 法がある
  10. 共有された資源群 Wenger • 意味の交渉の中で生 成され、使われる • あいまいさを持ち、実 Rosenbaum&Sha chaf •

    各参加者の参加の履 歴や、プロフィールが 存在する • あいまいさを持ち、実 践の中で意味が作ら れていく 存在する • 質問回答の記録が存 在する
  11. アイデンティティ Wenger • 共同体の中における 意味の交渉で成立す る、個人の位置 Rosenbaum&Sha chaf • 個々人が質問回答を

    してきた経歴がこれに あたる る、個人の位置 あたる • このサイトを使ってこっ ちは使わないなどの選 択もアイデンティティを 高める
  12. 実践共同体から実践の研究へ • 質問回答の記録は,質問回答の実践の複雑 さをそのまま反映している • 参加者と資源としての質問回答は分けられず, 参加の実際を理解する必要がある 参加の実際を理解する必要がある • それによって,質問回答サイトがどのような「共同

    体」で,どのように知識がやり取りされているかも わかるだろう • 実践共同体論はその側面を明らかにした • 実践の理解が,実践共同体論に基づく質問回 答サイト理解の可能性である.