Upgrade to Pro — share decks privately, control downloads, hide ads and more …

標準学生証、成績証明書のデジタル化(学術デジタル・クレデンシャル円卓会議2026)

 標準学生証、成績証明書のデジタル化(学術デジタル・クレデンシャル円卓会議2026)

2026/07/15 開催
学術デジタル・クレデンシャル円卓会議2026 発表資料

標準学生証、成績証明書のデジタル化

発表者:佐藤周行
所属: 国立情報学研究所

Avatar for OpenID Foundation Japan

OpenID Foundation Japan

July 15, 2026

More Decks by OpenID Foundation Japan

Other Decks in Technology

Transcript

  1. This Talk is NOT … • 話が発散しがちなので、スコープを決めます • ここで話題にするのは、社会制度的、技術的なトラストの話 •

    VCの技術については他の方に譲ります • VCの上に実現するCTDLをはじめとしたスキーマについても、 話をしません • 典型的な誤解 • 某国のフェデレーションが • eduCredentialを発行する • 技術はそろっている ⇦ セマンティクスを検討している側では異論があるでしょ う • edu-IDを使えば一気に実現 ⇦ edu-IDのスコープに「学生の奨学金の管理」は 最初から入っていたのですが、それにしても… 2
  2. This Talk is • おそらく、やったことを話せ、と。 • デジタル標準学生証への関与 • デジタル在学証明書の社会実装 •

    この二つに共通するもの:大学DXの視点からの話題 • 大学DXが大学内部のDXにとどまっているのならともかく • 社会とのつながりが大きなテーマになっている今、内部に閉じた議論は通用 しません • 学生証ならば、学内の活動に限定しても良いでしょう • 成績証明書となると、主となる消費者(検証者)は大学の外にいます • 成績証明書ならば、発行対象者が大学の中にいるとは限りません • 「学術クレデンシャル」のスコープ • 大学等が発行するクレデンシャル • 利用者が大学等に属していることは要請してはいけない ⇒トラストのカバレッジ 3
  3. Early Attempts (学生証) • 学生証は、大学が発行する身分証 • 学生証を持つのは学生に限定、ただし • サービス提供者(検証者)を同一学内に限定して発行するのが普通 •

    それだけでも十分役に立つ • 特に認証に使うというアイデアは昔からある(User Centricityの実現) • 学生証を提示すると学割等のサービスが受けられるようにしたい… • 結果はあまりうまくいかない(なんでおたくのところの学生証にだけ便宜を?) • 結局は、より広いスコープを持つような身分証に一気に拡大する必要 • 石川県 • 前橋市 4
  4. 学生証をデジタル化する? • 学認の立ち位置としては • 学生証は、コンシューマ系ビジネスの一部なので、学認の外ではあるが • 発行者が大学と言うことになると • 大学をオーソリティと認めることでは共通 •

    大学が学生証発行者として機能するような規格作りは学認のビジネスの一部と考え てよかろう • 属性プロバイダの要件定義 • GakuNin LDAP Schemaの拡張は定義しました • https://trustdigitalidcenter.jp/?page_id=63#toc1 • Suzuki, Shimizu, Sato: “zokusei,” AINA, 2026 Hikofumi Suzuki, Sayako Shimizu and Hiroyuki Sato: Building Trust in Digital Academia: Attribute Provisioning for Next-Generation Academic Certificates,The 22nd International Symposium on Frontiers of Information Systems and Network Applications (FINA-2026), (The 40th International Conference on Advanced Information Networking and Applications (AINA-2026))., 2026. 5
  5. • やるべきだったことはこれだけではなくて • 大学が行う署名に使う署名用証明書の発行枠組の定義 • 各所には少し無理をお願いしました。この場を借りて感謝いたします • 検証者の便宜を図るために • mdocの共通名前空間としてのgakuNinの定義

    • https://trustdigitalidcenter.jp/?page_id=63#toc1 • この後、デジタル庁がやっているmdocに関する名前空間への関与について質問( 順番が逆?) • Appleがここら辺を仕切りたがっているという話がありまして… • 上記をすべて実現した発行枠組を構築し、提供している企業が あることは、提案側としてうれしく思います 6
  6. 学認の仕事はここまで • 身分証(とそれに類する資格証明書)のデジタル化の一環 • mdocは有力な解(device binding, holder bindingをサポートしやす い) •

    デジタル認証アプリ、MDL • で、国はマイナカードに運転免許証を格納する解と同時にMDLの採用を狙ってい るわけですが… • ここらへんは、市場の技術動向にまかせる • mdoc, W3C VCに対してはあくまでも中立 • Walletについても、中立 • Device binding, Holder bindingについて適切な実装をしていればよい • Digital Credential API(対Issuer)とOpenID4VP(対Verifier)でまとまりつつ あるし • 規格は乱立していませんが、有力ベンダ間の競争があるようでして 7
  7. デジタル証明書一般 • 色々なところで繰り返し述べているのですが 「学生や教職員についていろいろ証明することは 大学の本来業務のひとつ」 • この本来業務をデジタル化⇨大学DXの加速 • これも昨年某所で述べたことですが「大学DX ≠

    業務のIT化」 • たとえば成績証明書のデジタル化として、ヨーロッパの大学では「 PDF証明書に電子署名」を求めていますが、これがDXと認められる には「偽造防止」「自炊の追放」といったValueが必要です • ある人から「各種証明書の発行kioskの運用負担が大きくて、この部分を改革 する必要がある」(紙詰まり対応、機械の保守、人員の張付け等)と聞きま したが、このValueは境界領域でしょうか 8
  8. 大学発行の証明書の種類 • 大学は発行された証明書と本人の結合度合いを昔から気にします • デジタルの世界になって「本人との結合度合い」にDevice BindingとHolder Bindingという二つの言葉が与えられました • コピーが厳しく制限されるものがDevice Binding⇨不正共有、貸し借り

    への対応 • 証明書と所持者の結合を証明できるのがHolder Binding⇨盗難、なりす ましへの対応 証明書の種類 発行例 Device Binding Holder Binding 身分証 学生証、職員証 ✓ ✓ 身分に関する事 項証明 在学証明、卒業 証明 一般の事項証明 マクロ 成績証明 マイクロ バッジ ✓ コピーされるこ とが前提ではあ る ✓(運用とは 別) 本来はしたいの だろうけど… 9
  9. こちらの方がしっくりくる向きもいる • マクロクレデンシャル • 在学証明 • 卒業証明 • 成績証明 •

    マイクロクレデンシャル • 学修履歴 • スキル証明 • 単位証明 • 身分証 • 学生証 • 身分証 • セマンティクスを考えている 人はこう考えるだろう。バッ ジの頭になっている人はたい ていこう 2024, 2025年度、デジタル庁の委託事業 (JR西日本)で、大学発行の在学証明 (authorized)とマイナカードを用いた 本人確認を結合して、学割サービスを社会 実装 2024年度からEU-Japan Partnershipの 重要なテーマとして採用(国主導) 2025年度からAsia Pacific Digital ID プ ロジェクト(民間主導) 1EdTech準拠のオープンバッジ等の運用 今まで(相互運用性のない)キャンパスア プリが多くの大学で運用される 2025年、NIIがmdocでデジタル学生証を 運用する場合の標準属性セットを策定 10
  10. デジタル庁、JR西からの業務委託では 交通系のパイロットプロジェクト • デジタル庁の業務委託を受けて、JR西(メジャ ーな交通系企業)と実証実験 • 学生⇨大学発行の在学証明書を取得。 学生⇨JR西のアカウント基盤上で在学証明書を 提示+マイナンバーカードで本人確認 JR西⇨在学証明(属性提供)+マイナンバーカ

    ードの認証で資格確認 JR西⇨学割サービスを提供(強い保証付き) • 学生は、大学でのアイデンティティ+JR西のア カウント基盤上でのアイデンティティ+マイナ ンバーカードで、サービスを受けることができ た Interop 2026 12
  11. 見え隠れするアイデンティティ基盤 • JR西の件では、複数のアイデンティティ基盤が関与 • 大学の組織ID • MS Authenticatorのアイデンティティ基盤(Entra Verified ID)

    • JR西のサービス用のアイデンティ基盤(MAB) • マイナンバーカード • (推測ですが)在学証明書を確認してサービスを提供するだけ ならばMABだけで十分なわけで • そこには、身元確認の質向上、サービス提供時の当人確認の質向上が必 要なシナリオがすでにあったわけでマイナンバーカードはそれらを解決 するピースとして働いていた • もうひとつ、発行された在学証明書の証明書としての質保証には、発行 側の認証のレベルの強化も必要だった(学認の次世代認証基盤) 13
  12. 話が分裂する起点 ー VDR • で、Entra Verified IDって何? • Walletを作ると、アイデンティティ基盤(SSIを含む)の構築を自分で 行い、保守する必要があります

    • 実際は、インフラとAPIの提供だけにしても • このアイデンティティ基盤を正しく制御できないと、Walletそのものが 沈没する • より広い層へアイデンティティ基盤を提供することが必要 • バックアップを含めた、運用上の堅牢さが必要 • Entra Verified IDは、MSの提供するSSIですが、同じことはGでもAで も言えます • どれを採用するか、独自で行くか、…がとりあえずの分裂の起点 • われわれは「学内のみで通用するデジタル学生証」という例を みてきた… 15
  13. • 佐藤は某所の回し者では特にないのですが、この意味でマイナンバ ーカードを運用に使うことはより積極的に評価されてよい • 国が保証する基盤 • マイナポータルとその裏にいるクラウドバックアップ • 社会基盤としてのID基盤を民間企業に任せることはやっても良いし 、ブロックチェインでもかまわないが、やるとしたら納得づくです

    る必要がある • 現状をあきらめながら受容するという感じでしょうか • 日本ではマイナンバーカードと言う社会基盤を国が用意しているの に、同種の基盤を再発明する必要があるかどうかは立ち止まって考 える必要がある • もちろん、運用の柔軟性を求める立場からは、別に基盤を構築することに価 値があることは認めます 16
  14. Walletを含めたトラスト • Walletを含めたトラストはさまざまな形で提案されています • EU ARF • NIST SP800-63C •

    EU ARFは、意図はともかくとして実装がコスト高 • アカデミア内での(制限されたトラストフレームワーク)運用 に必要なのは • 発行側としての大学がトラストアンカーになれること • 暗号学的な保証が必要 • 検証者側が、発行側としての大学を信頼すること • ここで最初のメンションに立ち戻ると「結局は話が拡大する。 社会基盤としてのID基盤が見え隠れするのは必然」 17