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UXへの投資と組織変革 ─ ビジネスに貢献するUXチームの飛躍 ─

UXへの投資と組織変革 ─ ビジネスに貢献するUXチームの飛躍 ─

Tomohisa Omagari

April 25, 2023
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  1. ©ADWAYS DEEE Inc. 2 自己紹介 大曲智久 - ADWAYS DEEE 取締役

    - エンジニアリングマネージャー - テクノロジー、プロダクト 2 最近書いた記事 ・エンジニアの事業貢献のために、開発生産性っぽいものを定量化した話 ・新たな組織改善にチームトポロジーを活用したいと思っているところ ・プロダクト開発のロードマップや優先度付けでプロダクトマネージャーが利用する図の話 ・PMと開発チーム(PL)との間のデリゲーションポーカーをやってみて
  2. ©ADWAYS DEEE Inc. 3 伝えたいこと - 組織に対してのUXの立ち位置の変化 - UXの役割、アプローチした行動 -

    UXの行動で組織・事業にどう還元されたのか - 開発チームにとっての存在 3 ※ 自分にUXデザイナーの知見は殆ど無い   組織責任者として、「組織設計の中でUXに求めたもの」や   「投資判断の中でのUXに求めたこと」を伝えたい
  3. ©ADWAYS DEEE Inc. 5 前提知識 - 認知メインの広告(ディスプレイ広告)ではなく 体験メインの広告(アフィリエイト、リワード)を 扱っている -

    広告主、メディア、生活者(広告を見るユーザー)の 3者を考える必要がある - UXチームは3名(少ない!!!!) 5
  4. ©ADWAYS DEEE Inc. 9 組織の変化(デザインプロセス活用) 9 開発プロセス - 四半期単位で開発案件の優先度を決めて仮説検証を進める(PdMを大曲が兼務) -

    開発案件の中でUXデザインプロセスを取り入れる ※ 安定した開発を求めてリリーストレインを導入してみた話
  5. ©ADWAYS DEEE Inc. 16 組織の変化(デザインプロセス活用) 16 UXの重要性に開発メンバーが気づき始める ・関係者(営業、開発)との共通認識が持ちやすい ・アイディア出しからMVPキャンバスをデザイナーが記載して  仮説検証実施もあった

    組織に対してのUXの立ち位置の変化 仮説検証の中で事業が向き合っているユーザーが遠い ・社内ヒアリング、開発メンバーが体験した声がメイン ・直接的な声を取得する手段がない ・事業貢献を高めるために社外へのアプローチが必要
  6. ©ADWAYS DEEE Inc. 17 組織の変化(デザインプロセス活用) 17 UXデザイナーをプロジェクトリーダーにしない方が良い 反省点 組織の責任者視点 当初の狙い: 組織としてもPdMが不足していた兼務しているためリソースが限られている。

    リニューアルプロジェクトだっため機能性よりもユーザービリティの比重が多いため、 UXデザイナーがユーザーを一番知っているからより裁量をあげた方が進めやすいと思った。 結果: プロジェクトマネジメントにリソースを取られてしまいUX活動が少なくなってしまった。 担当者の方の新しいインプットがプロジェクトマネジメントとなった。
  7. ©ADWAYS DEEE Inc. 19 組織の変化(UXリサーチへの投資) 19 営業側の変化 ビジョン: 価値と向き合う 短期的な利益よりも、

    中長期的な目線で顧客の利益に繋がる提案やサービス提 供をしていく 挑戦的な組織であるために。目先の利益を捨て、本質的 な価値を追求する組織改革をした、アドウェイズ国内広 告事業部の大きな決断とは
  8. ©ADWAYS DEEE Inc. 20 組織の変化(UXリサーチへの投資) 20 ビジョン: 価値と向き合う 短期的な利益よりも、 中長期的な目線で顧客の利益に繋がる提案やサービス提供をしていく

    広告サービスとして 広告主やメディアが向き合っている 生活者に我々が一番詳しくなり そこに向けたプロダクト開発を行おうと決断
  9. ©ADWAYS DEEE Inc. 25 組織の変化(UXリサーチへの投資) 25 UXの目標として事業貢献のレベル策定(生活者体験のみピックアップ) Lv. 種別 定性評価

    定量評価 5 改善 ・生活者や顧客の行動変容に直接的に影響している ・生活者のゲインクリエーター、ペインリリーバーを継続的に解 決している ・NSMやKPIに直接的に良い影響を与えた実績 5件 4 改善 ・生活者や顧客の行動変容に間接的に影響している ・生活者のゲインクリエーター、ペインリリーバーを解決した実 績を出せた ・NSMやKPIに直接的に良い影響を与えた実績 1件 ・提案・定例資料の掲載率が 70% ・生活者体験の考え方が顧客の判断材料となった実績 3件 3 計画 ・提案/定例資料を営業と一緒に考えるようになっている  ・生活者や顧客に対して直接的に向き合っている ・生活者の優良体験パターンを定義できている 2 可視化 ・生活者の満足度を計測する指標が定義され、  定期的に計測されている ・生活者のペイン ,ゲインが指標を根拠に明らかになっている 1 可視化 ・ペルソナが定義されている ・価値観や感情をベースに生活者の現状の課題をマッピングで きている(CJM、USM) ・ペルソナを軸にした仮説検証数 1件
  10. ©ADWAYS DEEE Inc. 26 組織の変化(UXリサーチへの投資) 26 UXの目標として事業貢献のレベル策定(生活者体験のみピックアップ) サービスA Lv. 種別 定性評価

    定量評価 5 改善 ・生活者や顧客の行動変容に直接的に影響している ・生活者のゲインクリエーター、ペインリリーバーを継続的に解 決している ・NSMやKPIに直接的に良い影響を与えた実績 5件 4 改善 ・生活者や顧客の行動変容に間接的に影響している ・生活者のゲインクリエーター、ペインリリーバーを解決した実 績を出せた ・NSMやKPIに直接的に良い影響を与えた実績 1件 ・提案・定例資料の掲載率が 70% ・生活者体験の考え方が顧客の判断材料となった実績 3件 3 計画 ・提案/定例資料を営業と一緒に考えるようになっている  ・生活者や顧客に対して直接的に向き合っている ・生活者の優良体験パターンを定義できている 2 可視化 ・生活者の満足度を計測する指標が定義され、  定期的に計測されている ・生活者のペイン ,ゲインが指標を根拠に明らかになっている 1 可視化 ・ペルソナが定義されている ・価値観や感情をベースに生活者の現状の課題をマッピングで きている(CJM、USM) ・ペルソナを軸にした仮説検証数 1件
  11. ©ADWAYS DEEE Inc. 27 組織の変化(UXリサーチへの投資) 27 UXの目標として事業貢献のレベル策定(生活者体験のみピックアップ) サービスB Lv. 種別 定性評価

    定量評価 5 改善 ・生活者や顧客の行動変容に直接的に影響している ・生活者のゲインクリエーター、ペインリリーバーを継続的に解 決している ・NSMやKPIに直接的に良い影響を与えた実績 5件 4 改善 ・生活者や顧客の行動変容に間接的に影響している ・生活者のゲインクリエーター、ペインリリーバーを解決した実 績を出せた ・NSMやKPIに直接的に良い影響を与えた実績 1件 ・提案・定例資料の掲載率が 70% ・生活者体験の考え方が顧客の判断材料となった実績 3件 3 計画 ・提案/定例資料を営業と一緒に考えるようになっている  ・生活者や顧客に対して直接的に向き合っている ・生活者の優良体験パターンを定義できている 2 可視化 ・生活者の満足度を計測する指標が定義され、  定期的に計測されている ・生活者のペイン ,ゲインが指標を根拠に明らかになっている 1 可視化 ・ペルソナが定義されている ・価値観や感情をベースに生活者の現状の課題をマッピングで きている(CJM、USM) ・ペルソナを軸にした仮説検証数 1件
  12. ©ADWAYS DEEE Inc. 28 組織の変化(UXリサーチへの投資) 28 デザイナーチームOKR(2022/07~12) Objectives 生活者を軸にサービス関係者が動ける状態を築き、 顧客満足度向上につながる行動を通して、システム利用料をアップ

    Key Results 1. 生活者体験の設計(更新含む)の中間成果物 12件 2. 状態を明らかにする動き 8件 3. 仮説検証に関する思考・ノウハウを活用した件数 4~7件 4. 生活者体験設計を元に、顧客提案に貢献する動き 1~3件
  13. ©ADWAYS DEEE Inc. 29 組織の変化(UXリサーチへの投資) 29 UXでの投資行動 重要視したこと - 社内メンバーで再現性のある仕組みを目指す

    - 過去にアプローチしてこなかったデータと向き合う - UXリサーチでの限界を把握したい 項目 アンケート兼コンサル ポップインサイト 目的 サービスの生活者の定量化し 盲目的なUXではなく理性的なUXアプローチの 確立 自社の知見がないUXプロセスにおいて、スキルやプロ ジェクト遂行において最適なやり方の模索 導入効果 ・生活者の定量化・分析 ・ジャンルごとの特性把握 ・アンケートに基づく改善策模索 ・自社にはないUXプロセスのお手本 ・インタビュー結果の分析力向上 ・社外ユーザー集め 利用開始 2021/07~2022/05 2022/05~
  14. ©ADWAYS DEEE Inc. 30 組織の変化(UXリサーチへの投資) 30 デザイナーチームOKR(2022/07~12) Objectives 生活者を軸にサービス関係者が動ける状態を築き、 顧客満足度向上につながる行動を通して、システム利用料をアップ

    Key Results 1. 生活者体験の設計(更新含む)の中間成果物 12件 2. 状態を明らかにする動き 8件 3. 仮説検証に関する思考・ノウハウを活用した件数 4~7件 4. 生活者体験設計を元に、顧客提案に貢献する動き 1~3件
  15. ©ADWAYS DEEE Inc. 32 組織の変化(UXリサーチへの投資) 32 デザイナーチームOKR(2022/07~12) Objectives 生活者を軸にサービス関係者が動ける状態を築き、 顧客満足度向上につながる行動を通して、システム利用料をアップ

    Key Results 1. 生活者体験の設計(更新含む)の中間成果物 12件 2. 状態を明らかにする動き 8件 3. 仮説検証に関する思考・ノウハウを活用した件数 4~7件 4. 生活者体験設計を元に、顧客提案に貢献する動き 1~3件
  16. ©ADWAYS DEEE Inc. 33 組織の変化(UXリサーチへの投資) 33 ペルソナがどれくらいいるのかを定量的な面からもアプローチし、 Mixed Methodsに挑戦 -

    追加アンケートでタイプ分け - サービスの行動データと紐付けする(データ分析チームと連携) ※ぼかし画像
  17. ©ADWAYS DEEE Inc. 34 組織の変化(UXリサーチへの投資) 34 デザイナーチームOKR(2022/07~12) Objectives 生活者を軸にサービス関係者が動ける状態を築き、 顧客満足度向上につながる行動を通して、システム利用料をアップ

    Key Results 1. 生活者体験の設計(更新含む)の中間成果物 12件 2. 状態を明らかにする動き 8件 3. 仮説検証に関する思考・ノウハウを活用した件数 4~7件 4. 生活者体験設計を元に、顧客提案に貢献する動き 1~3件
  18. ©ADWAYS DEEE Inc. 35 組織の変化(UXリサーチへの投資) 35 社内メンバー(営業、開発)へ我々が アプローチしている生活者(広告を見ている人)の声を共有 共有後のアンケート結果の声 Q:実際の声の重要性をどう感じたか?

    - 推測や想像ではなく、実際に声を聴く事が大事だと思った - 生の声を聴くことで、ネットで検索されている内容との突合ができるため - 実際に選んだ人がどのようなストーリーで申し込んだのか、それぞれ選択 の場面でどのような感情の動きがあってその選択をしたのかを知ることが 実際のニーズ(訴求軸)につながると感じたため Q:業務への活用はあるか? - 生活者の声を想像しながらユーザーが触れる訴求面を作成していくこと - 「ニーズ・ゴール」に合わせた企画提案やコンテンツ作りが可能 ※ぼかし画像
  19. ©ADWAYS DEEE Inc. 36 組織の変化(UXリサーチへの投資) 36 デザイナーチームOKR(2022/07~12) Objectives 生活者を軸にサービス関係者が動ける状態を築き、 顧客満足度向上につながる行動を通して、システム利用料をアップ

    Key Results 1. 生活者体験の設計(更新含む)の中間成果物 12件 2. 状態を明らかにする動き 8件 3. 仮説検証に関する思考・ノウハウを活用した件数 4~7件 4. 生活者体験設計を元に、顧客提案に貢献する動き 1~3件
  20. ©ADWAYS DEEE Inc. 38 組織の変化(UXリサーチへの投資) 38 デザイナーチームOKR(2022/07~12) 結果 Objectives 生活者を軸にサービス関係者が動ける状態を築き、 →◯

    顧客満足度向上につながる行動を通して、   →◯ システム利用料をアップ →▲ (事業の数値アップまでの影響は出せなかった) Key Results 1. 生活者体験の設計(更新含む)の中間成果物 12件  →12件 2. 状態を明らかにする動き 8件 →9件 3. 仮説検証に関する思考・ノウハウを活用した件数 4~7件 →7件 4. 生活者体験設計を元に、顧客提案に貢献する動き 1~3件 →1件 目標     結果
  21. ©ADWAYS DEEE Inc. 39 組織の変化(UXリサーチへの投資) 39 社外へのアプローチが増え、デザイナーの貢献の幅が広がった ・社外へのアンケートやユーザーインタビューなどの実施の敷居が下がった ・過去に無い生の声は開発・営業ともに良い影響を与えられた(組織文化にも影響) ・デザイナーが顧客との定例に参加しユーザーテストの結果を報告

    組織に対してのUXの立ち位置の変化 リサーチ結果をプロダクトへの反映が出来なかった ・生活者をそのまま全て仮説検証にピッタリ利用できるわけではない  ビジネス思考?の強い案件では活用しづらい ・実施中の開発案件でリサーチ結果を元にプロセスに取り込み活用する部分はできた
  22. ©ADWAYS DEEE Inc. 40 組織の変化(UXリサーチへの投資) 40 反省点 組織の責任者視点 リサーチ単体PJでの推進しない方が良い 「単体=UXデザイナーのみでの行動」 当初の狙い:

    リサーチで発見できた課題やアイディアを仮説検証として遂行する 結果: すぐに開発へ移行できなかった。差し込みタイミングが検討していたが、 遅延や優先度変更で結果的に動けなかった。UXデザイナーさんのつらみが増した 技術面での新規開発と既存改善と似た進め方をしたが良くなかった 巡り巡る関係性だなと感じた
  23. ©ADWAYS DEEE Inc. 41 組織の変化(UXリサーチへの投資) 41 反省点 組織の責任者視点 営業提案での成果を出すまでの道のりが想定上に長かった 当初の狙い: UXリサーチでの結果を元に定例や提案時の資料に追加する

    自社での独自調査などがあれば営業活動も楽になるだろうと考えていた 結果: 営業主体のプロセスに入り込むための関係性構築がそもそも出来ていなかった (活用できそうという前向きな意見は多かった) UXリサーチで営業が求める確実性を担保できなかったり、 提案内容の方向性やストーリーまで全て考える必要があっため想定上の負担だった
  24. ©ADWAYS DEEE Inc. 44 組織の変化(プロダクトチーム発足) 44 データドリブンでユーザーを幸せにする ミッション ビジョン 開発組織からプロダクト組織へ

    圧倒的にセールスしやすいプロダクトを作るチーム 組織目標 データ・・広告データだけでなくユーザーの感情データも含まれる ユーザー・・生活者、広告主、メディア
  25. ©ADWAYS DEEE Inc. 46 組織の変化(プロダクトチーム発足) 46 PdMの相棒して並走し、WHY・WHAT・HOWの裏付けを推進 例:CS対応 デザイナーのアウトプット(体験と向き合う) EXM、ジャベリンボード..etc PdMのアウトプット(データと向き合う)

    CS対応状況、競合分析..etc 理想的なCS体験の設計(事業価値とユーザー価値のバランス) KPI決めとユーザー体験を設計 ※ぼかし画像 ※ぼかし画像 ※ぼかし画像
  26. ©ADWAYS DEEE Inc. 48 組織の変化(プロダクトチーム発足) 48 PdMの相棒として無くてはならない存在となっている ・PdM単体よりもUXデザイナーと並走しているところがスピード感が早い ・仮説検証としての進め方=PdM、ユーザーのことを知るべき必要なステップ=UX  プロジェクトマネジメントに意見を言える(プロセス計画)状態で

     時にはPdMがリードしたり、時にはデザイナーがリードする 組織に対してのUXの立ち位置の変化 UXリサーチとプロダクト開発におけるUXが共存できていない ・リソースがなくて定点観測としてUXリサーチができていない(ブランドヘルス..etc) ・仮説検証なかで得たものからUXリサーチ結果に近いものをピックアップして全体のペ ルソナに反映をしている
  27. ©ADWAYS DEEE Inc. 50 まとめ 50 デザインプロセス活用 UXリサーチへの投資 プロダクトチーム発足 UXの行動

    ・社内PJでの  UXプロセス活用 ・社外の情報収集実施  (アンケート、インタビュー) ・事業が向き合っている生活者を  可視化 ・仮説検証に合わせて  デザインプロセスの取捨選択 ・リサーチのスピードアップ推進 組織にとっ ての存在 ・アイディア出しや共通認識を 整理を推進してくれる ・自社には無いデータにアプローチを行 い、組織が向き合えていない声を拾い上 げてくれる ・PdMの相棒として  仮説検証の推進を行ってくれる ・リサーチやプロトタイプを通じて  仮説検証のスピードアップをしてくれる