みんなで同じ言葉を使って、同じことを考えようという話。
s-dev talks #2 「チームビルディング」で話しました。 https://s-dev-talks.connpass.com/event/90750/
チームの語彙を育ててコミュニケーションできるチームをつくる2018-07-06 s-dev talks #2OSA Shunsuke
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自己紹介• OSA Shunsuke / 長 俊祐• @s_osa_• クックパッド料理教室 → 技術部ユーザー・決済基盤グループ• Web アプリケーションエンジニア• 趣味:読書(主に漫画)、料理など
今日話すこと• 少し前までいたクックパッド料理教室であったことを話します• チームワークを阻害するコミュニケーションの問題• 効果的にコミュニケーションできるチームをつくるために• 言葉と概念を整理してチームの語彙をつくっていく• チームの語彙を育てていく方法とちょっとしたコツ
実際にあったこと
その1
この教室の空席率なんですけど……空席率?「まだ空いている席の数/全席数」ですなるほど?私たちは「もう予約が入った席の数/全席数」を「埋まり率」って呼んでるなるほど?
起こっていたこと• ほぼ同じ概念に対して2つの名前があった• 空席率:まだ空いている席の数/全席数• 埋まり率:もう埋まっている席の数/全席数• 2つ足すと常に100%になる
その2
いつのレッスンですか?なるほど、そっちの話なんですねこのレッスンなんだけど……いつの、とかじゃなくてレッスン内容の説明文について話したい
起こっていたこと• 「レッスン」というひとつの言葉に対して2つの意味があった• レッスン内容や料金などを含む「そのレッスンはどういうものなのか」というもの• そのレッスンが具体的に行われる日時
何が問題なのか
同じことを話しているのに……• 違うことを話しているように聞こえる• 読み替えが発生する• 検索するときに2通りの単語で検索しないといけない• チーム内に壁ができる• 「私たち」と「あの人たち」みたいになりがち
A B
違うことを話しているのに……• 同じことを話しているつもりになってしまう• しばらく話してから「あれ、なんか噛み合ってない……?」• 気づけば良いが、もし気づかないと……!
A
どうするか
チーム全員で同じものを思い描けるようにしたい
頭の中を覗くことはできない
喋っていることは聞こえる
言葉を大切にする
言葉と概念を1:1対応させる
言葉 概念
具体的に
大きく分けると2ステップ1. 問題意識をチームで共有する2. 個々の言葉と概念を整理する
問題意識を共有する
協力してもらうために問題意識を共有する• チームで使う言葉を変えていくので他の人の協力が必要不可欠• 自分の問題意識とやろうと思っていることを共有する• 言葉と概念が対応していなくて困るので整理していきたい• 穏やかに同意してくれることが多い(気がする)• 始めるときには必ずしも全員の意識が高くなくても大丈夫
不便では?たしかに
概念と言葉を整理する
パターンごとに整理していく• 言葉:概念=n:1• ひとつの概念を表す言葉が複数ある状態• 言葉:概念=1:n• ひとつの言葉が複数の概念を表している状態
言葉:概念=n:1ひとつの概念を表す言葉が複数ある状態
使う言葉をひとつに揃える
A = B =
‼
A =
言葉:概念=1:nひとつの言葉が複数の概念を表している状態
概念を区別して名前をつける
A = A =
A1 = A2 =
A1
A2
語彙を育てる上でのコツ
既に使われている言葉を大切にする• 複数ある言葉をひとつに絞るパターンでは既に使われている言葉の中からひとつ選ぶことが多い• 今使われている言葉はそれなりの意味があって使われている• みんなが使い慣れているというメリットもある
言葉を使う人を大切にする• ある言葉をよく使っている人は(たとえ無意識でも)良い言葉を選んでいることが結構ある• 例:「埋まり率」と「空席率」• ほぼ同じ意味の数字だけど「埋まっている」のほうがポジティブ• 教室とコミュニケーションするときに無意識にポジティブな表現を選んでいた?
考えた言葉は試しに使ってみる• 頭の中や画面上だけで決めない• 実際に使ってみて違和感がないかどうか確かめてみる• チームメンバーと声に出して会話してみる• メール文面を考えてみる• UI に当てはめてみる
少しずつ進める• やりたいことはスムーズなコミュニケーションのための整理• 一気に変えてしまうと逆に混乱する• 気になるところが複数ある場合、特に気になるところから少しずつ変えていく
チームの外にも広げていく• UI やユーザーサポートなどの場面で、ユーザーに対しても同じ言葉を使っていく• ユーザーの頭の中にも少しずつ言葉と概念が染み込んでいく• チームで使っている言葉と同じ言葉でお問い合わせが来る• ユーザーにとってもわかりやすくなる
まとめ
まとめ• 頭の中にあるものは目に見えないし手に取れない• 見えも触れもしないものをチーム全員で同じように思い描くために言葉を大切にする• コミュニケーションできるチームをつくるために、自分たちのチームの語彙を少しずつ育てていこう
Thank you!!