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SaaSのマネタイズ探訪記 / SaaS Monetization Explorations

SaaSのマネタイズ探訪記 / SaaS Monetization Explorations

JP_Stripes 東京 Vol.20: SaaS / オンラインビジネスをマネタイズする方法
https://jpstripes.connpass.com/event/325424/

Yuki.Ozasa

August 08, 2024
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Transcript

  1. © 2024 Anti-Pattern Inc. All rights reserved. 自己紹介 ソフトウェアエンジニア 兼

    CEO 兼 VPoE 小笹 佑京(Ozasa Yuki) 株式会社アンチパターン 代表取締役 日本 CTO 協会 Contributor 立教大学卒業後、2014年に株式会社イノベーションに入社。 マーケティングオートメーション SaaS開発業務に従事。 2016年には同社でマザーズ上場を経験。 2018年より開発本部長を歴任。 2019年7月株式会社アンチパターンを創業。 ▪主な登壇暦 ・GitHub dockyardコミュニティ 竣工イベント ・Postman API Night Tokyo 2024 Spring ・Developer eXperience Day 2024
  2. © 2024 Anti-Pattern Inc. All rights reserved. 今回のテーマとアジェンダ SaaSのマネタイズ探訪記 •

    SaaSとは何か? • マネタイズ及びプライシングにおける考え方 • 当社でのStripe活用 • さいごに
  3. © 2024 Anti-Pattern Inc. All rights reserved. 解決すべき日本の課題 - 日本の現状

    「成果が出ている」の回答割合は確かに増加傾向にあるものの、 米国企業の「成果が出ている」の回答割合は89.0%であり、比べると依然として差がある状態 独立行政法人情報処理推進機構『DX動向2024』より抜粋 https://www.ipa.go.jp/digital/chousa/dx-trend/eid2eo0000002cs5-att/dx-trend-2024.pdf 6
  4. © 2024 Anti-Pattern Inc. All rights reserved. 解決すべき日本の課題 - 日本の現状

    「新製品・サービスの創出」や「顧客起点の価値創出によるビジネスモデルの根本的な変革」には 75%以上の企業が取り組むものの、成果が出ているのは 22.1%、17.7%と相対的に低い結果が出ている 独立行政法人情報処理推進機構『DX動向2024』より抜粋 https://www.ipa.go.jp/digital/chousa/dx-trend/eid2eo0000002cs5-att/dx-trend-2024.pdf 7
  5. © 2024 Anti-Pattern Inc. All rights reserved. 課題の解決方法 - SaaSの活用

    SaaSに合わせて業務プロセスを変革 することでDXを促進する。 ユーザー SaaS ベンダー ナレッジの提供 活用データの提供 活用データの分析 ナレッジを活かした機 能開発 最適な業務プロセスを 構築するために 必要なナレッジの集合。
  6. © 2024 Anti-Pattern Inc. All rights reserved. SaaS の活用メリット 営業管理ソフト

    会計ソフト 労務ソフト 営業管理 SaaS 会計 SaaS 労務 SaaS コスト & リスク コスト & リスク => 割り勘効果 を得ている 自社開発 & パッケージソフト SaaS 利用
  7. © 2024 Anti-Pattern Inc. All rights reserved. SaaS提供事業者 SaaSを提供する難易度 従来型パッケージと比較して、SaaSの提供はカバー範囲が広い。

    アプリケーション開発者 作成 従来型パッケージ提供事業者 顧客企業 システム 構築担当者 システム 運用担当者 利用者 利用者 利用者 アプリケーション開発者 カスタマーサクセス SRE 利用者 顧客企業 利用者 顧客企業 利用者 顧客企業 ・・・・・・・・ アプリ開発 システム 構築・運用 利用 SaaS事業者は契約企業分全て のシステム構築・運用の責務を持つ。 そのためマルチテナントの構成を検討し実装 /運用する必要がある。 従来型ソフトウェアは 各社でシステムを構築運用していた。 アプリ開発 システム 構築・運用 利用
  8. © 2024 Anti-Pattern Inc. All rights reserved. SaaS提供事業者 SaaSを提供する難易度 従来型パッケージと比較して、SaaSの提供はカバー範囲が広い。

    アプリケーション開発者 作成 従来型パッケージ提供事業者 顧客企業 システム 構築担当者 システム 運用担当者 利用者 利用者 利用者 アプリケーション開発者 カスタマーサクセス SRE 利用者 顧客企業 利用者 顧客企業 利用者 顧客企業 ・・・・・・・・ アプリ開発 システム 構築・運用 利用 SaaS事業者は契約企業分全て のシステム構築・運用の責務を持つ。 そのためマルチテナントの構成を検討し実装 /運用する必要がある。 従来型ソフトウェアは 各社でシステムを構築運用していた。 アプリ開発 システム 構築・運用 利用 如何に効率的に スケールさせられるか が 事業成長の鍵を握る
  9. © 2024 Anti-Pattern Inc. All rights reserved. SaaSアプリケーションのスプリットプレーンアーキテクチャ DevOps Silo

    Model Architecture Pool Model Architecture Bridge Model Architecture Hybrid Model Architecture SaaS提供事業者向け管理画面 オンボーディング 認証 テナント管理 ユーザー管理 請求 分析 料金プラン管理 モニタリング アプリケーションプレーン (コア機能 ) コントロールプレーン (SaaS特有機能 ) 14
  10. © 2024 Anti-Pattern Inc. All rights reserved. テクノロジー活用方針 一般にプロダクト開発において何を自前で作るべきか について検討が必要

    技術的競争領域 技術的非競争領域 事業的 競争領域 事業的 非競争領域 経済産業省「DX 実践手引書」より https://www.ipa.go.jp/files/000094497.pdf 名刺管理など紙を扱うプロダクトであれば、 OCRのような特許を申請できるような領域
  11. © 2024 Anti-Pattern Inc. All rights reserved. テクノロジー活用方針 一般にプロダクト開発において何を自前で作るべきか について検討が必要

    全領域をカバーするのは難しい 技術的競争領域 技術的非競争領域 事業的 競争領域 事業的 非競争領域 経済産業省「DX 実践手引書」より https://www.ipa.go.jp/files/000094497.pdf
  12. © 2024 Anti-Pattern Inc. All rights reserved. テクノロジー活用方針 一般にプロダクト開発において何を自前で作るべきか について検討が必要

    フォーカスする領域を定めた技術戦略が重要 技術的競争領域 技術的非競争領域 事業的 競争領域 事業的 非競争領域 ここを自前で作ることに フォーカスすべき 技術コンポーネントの導入 共通プラットフォーム化 場合によってはサービス化 SaaS 利用で最適化 経済産業省「DX 実践手引書」より https://www.ipa.go.jp/files/000094497.pdf
  13. © 2024 Anti-Pattern Inc. All rights reserved. SaaS を取り巻く環境 -

    SaaS ジャーニー 立ち上げを中心に見た SaaS ジャーニー例
  14. © 2024 Anti-Pattern Inc. All rights reserved. SaaS を取り巻く環境 -

    SaaS ジャーニー 立ち上げを中心に見た SaaS ジャーニー例 お客様
  15. © 2024 Anti-Pattern Inc. All rights reserved. SaaS を取り巻く環境 -

    SaaS ジャーニー 立ち上げを中心に見た SaaS ジャーニー例 お客様 法律 エコシステム 好むと好まざるとに関わらず変化を求められるので 将来の「運用」まで考慮する
  16. © 2024 Anti-Pattern Inc. All rights reserved. SaaS を取り巻く環境 -

    SaaS ジャーニー 開発時点での要求を満たせれば良いというものではないので注意が必要 認証 請求 生成AI 変化を求められる例 • 新しいデバイスの登場 • 新しいセキュリティポリシーと認証機構の登場 • 税制の改訂 ◦ 各国や州ごとで違うものを追随 • 新しいモデルの登場 • AI規制の法案の登場
  17. © 2024 Anti-Pattern Inc. All rights reserved. SaaSの社会的意義 SaaSはインターネット経由でサービスを提供するだけではない 業界の

    ベストプラクティスを 共有効果の高い アーキテクチャを 継続的に顧客価値を高 められる体制を アプリケーション アーキテクチャ 体制 モダンなアーキテクチャを活用したSaaS化を目指すことで 顧客への価値が最大化される
  18. © 2024 Anti-Pattern Inc. All rights reserved. 自社で作るスコープを絞る モダンアプリケーション開発の潮流 SaaS提供に必要な機能群は多岐に渡るため

    API Firstでなるべくすでにある機能は外部サービスを活用し コア機能に集中 する 各SaaS固有のコア機能群 (顧客提供価値の中心) テナント管理 インフラ 認証/認可 管理画面 監視 分析 請求/計測 デプロイ SaaSで必要な機能群 自社エンジニアは コア機能にフォーカス ※ここに記載した外部 APIサービスはあくまでも一例となります
  19. © 2024 Anti-Pattern Inc. All rights reserved. SaaS開発意識実態調査 SaaS開発において「コア機能開発に専念できている」と回答した方の割合は、 成長基調にある企業が70.4%、そうでない企業が28.4%と判明

    24 コア機能開発に専念できている企業の方が売上が成長基調である ※回答結果(%)は小数点第2位を四捨五入し、小数点第1位までを表示しているため、合計数値が100%にならない場合があります。
  20. © 2024 Anti-Pattern Inc. All rights reserved. SaaSにおけるTierごとの収益構造の実際 Tierの考え方 ▪

    Costs:費用 ▪ Revenue:収益 ▪ Catlog size:顧客数 プランなど Tier を 考えることは ビジネスを考えること に直結する。
  21. © 2024 Anti-Pattern Inc. All rights reserved. SaaSにおけるTierごとの収益構造の実際 Tierの考え方 ▪

    Costs:費用 ▪ Revenue:収益 ▪ Catlog size:顧客数 プランなど Tier を 考えることは ビジネスを考えること に直結する。 「SlackやUnityといった企業では、 Top 1%の顧客が40%以上を占めるケースも存在」 引用元: https://price-hack.com/articles/1212
  22. © 2024 Anti-Pattern Inc. All rights reserved. プライシングの考え方 おおよそ3種類のアプローチが存在 自社視点

    競合視点 顧客視点 • 「Cost-plus方式」 ◦ コスト(原価+販管費)に対して、適切なマージンを 設定し販売 • 「Competitor-based方式」 ◦ 競合企業群の価格水準 • 「Value-based方式」(バリューベースプライシング ) ◦ 顧客が製品に対し感じる価値に基づき価格を決 める方法
  23. © 2024 Anti-Pattern Inc. All rights reserved. コスト種別 コストといっても様々な種類に分かれる。 目に見えやすいコスト

    • トータルのインフラコスト ◦ AWSサービスごとのコスト • Dev要員のコスト ◦ アプリ開発費 見逃しがちなコスト • SaaSとしてのインフラコスト ◦ テナントごとのインフラコスト ◦ テナントティアごとのインフラコスト • Ops要員のコスト ◦ 環境のメンテナンス ◦ テナントオンボーディング ◦ テナントオフボーディング • 請求とか事務手続きコスト Total Cost of Ownershipを意識しましょう。
  24. © 2024 Anti-Pattern Inc. All rights reserved. SaaSus Platformのご紹介 弊社がもつ

    SaaS 開発のナレッジを集約し、 SaaS 開発 / 運用 / 販売を支援する SaaS を開発 / 提供
  25. © 2024 Anti-Pattern Inc. All rights reserved. SaaSを利用 顧客に直接価値提供する機能群 競争力高い

    SaaSであるために 必要な機能群 SaaS特有の ナレッジ テナント管理 認証・認可 稼働状況分析 請求・利用料 開発計画 プランニング 事業 モニタリング 外部サービス 連携 BizDevOps 関連ツール 内製開発 業務ナレッジ 請求書作成 送信 入金消し込み 見積書作成 ※機能名は一例 SaaS 提供事業者 ※機能名は一例 SaaSus Platformを活用することで、業務ナレッジにフォーカスした機能開発を実現 SaaSus Platformのご紹介
  26. © 2024 Anti-Pattern Inc. All rights reserved. SaaSアプリケーションのスプリットプレーンアーキテクチャ DevOps Silo

    Model Architecture Pool Model Architecture Bridge Model Architecture Hybrid Model Architecture SaaS提供事業者向け管理画面 オンボーディング 認証 テナント管理 ユーザー管理 請求 分析 料金プラン管理 モニタリング アプリケーションプレーン (コア機能 ) コントロールプレーン (SaaS特有機能 ) 36
  27. © 2024 Anti-Pattern Inc. All rights reserved. SaaSus Platform活用イメージ SaaSの開発において、SaaSで共通的に必要な機能は

    SaaSus Platform側と連携 企業A 企業B 企業C 自社SaaS環境 SaaS基本 情報管理 役割管理 ユーザー管理 連携機能 料金プラン 管理 請求金額 管理 認証機能 ログイン画面 管理 SaaSus Platform SDK 運用担当者 機能1 機能2 機能3 機能4 事業責任者 エンジニア 1. コア機能は自社環境に開発 2. SDKやAPIで連携部分を実装 3. 画面から必要な情報は設定 1. 料金プランを設定 2. セキュリティレベルを定義 3. 必要な役割を定義 契約企業 管理 1. ユーザーの管理 2. 契約企業の管理 SaaS開発コンソール SaaS運用コンソール SaaSログイン画面 • Amazon EventBridge連携 • AWS Marketplace連携 • Amazon App Stream2.0連携(予定)
  28. © 2024 Anti-Pattern Inc. All rights reserved. SaaSus Platform機能一覧 マルチテナント

    SaaS の認証 ユーザ管理 テナント管理 役割(ロール)管理 料金プラン管理機能 請求処理 (Stripe 連携機能) PHP、 TypeScript、Go、Python の SDKを公開 Amazon EventBridge 連携機能 AWS Marketplace 連携機能
  29. © 2024 Anti-Pattern Inc. All rights reserved. Stripe連携機能 Stripeから顧客に 自動で請求書が発行される

    ベーシックプラン ベーシックプラン ライトプラン 企 業 A [email protected] ライトプラン APIで自動連携 SaaSus Platform自体で決済代行機能は持たず、Stripeと連携できる機能を提供
  30. © 2024 Anti-Pattern Inc. All rights reserved. なぜ自社開発せずにStripeを使うのか? サービス開発において、コア以外の機能が必要な部分はとても多い APIで外部サービスを活用することで、全てのエンジニアが強みにフォーカスした開発ができる

    SaaS SaaS提供事業者 株式会社アンチパターン Stripe, inc. 例えば、人事系、会計系、マーケ ティング系などSaaSが カバーする領域こそが強み BtoB SaaSの共通機能を 一元管理できることが強み 金融サービス全般が強み 活用 活用
  31. © 2024 Anti-Pattern Inc. All rights reserved. 利用者(SaaS提供事業者 )の視点 SaaSの恩恵を受けてベ

    ストプラクティスを活用し たい 使っているSaaS自体が 勝手に成長してくれるとい い 自前では専門知識レベル、開発スピード、既存アセットの観点で到底 Stripeよりいいものは作れない。 Stripe の劣化版を提供するのではなく、自分達の価値提供領域にフォーカスした。 なぜ自社開発せずにStripeを使うのか? 作り手(弊社)の視点 開発すべき機能が 山盛り・・・ 国の制度などの変更に追 随し続けなきゃ 決済領域は 考慮点が多いなぁ
  32. © 2024 Anti-Pattern Inc. All rights reserved. Stripeと連携すること自体をある種の強みにする テクノロジー活用方針 自社でも「何を自前で作るべきか」

    について検討した結果、Stripeとの連携を採択 技術的競争領域 技術的非競争領域 事業的 競争領域 事業的 非競争領域 BtoB SaaS特有の ナレッジの SaaS化に フォーカス 技術コンポーネントの導入 共通プラットフォーム化 場合によってはサービス化 SaaS 利用で最適化 経済産業省「DX 実践手引書」より https://www.ipa.go.jp/files/000094497.pdf
  33. © 2024 Anti-Pattern Inc. All rights reserved. SaaS開発ガイド -テナント編- のご紹介

     SaaS開発ガイドダウンロードページ URL: https://saasus.io/resource/e-book/saas-dev-guide-tenant