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EMの仕事、あるいは顧客価値創出のアーキテクト

radiocat
March 19, 2025

 EMの仕事、あるいは顧客価値創出のアーキテクト

EMのお仕事LT~現役EMのリアルをご紹介~
2025.3.19

radiocat

March 19, 2025
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Transcript

  1. About me 大塚 正道 / 株式会社ラクス 配配メール EM • SIer等を経て2011年に株式会社ラクスへ入社

    • BtoCサービスや北米向けサービスなどの新規事業の開発を経験 • 2015年から楽楽精算の開発リーダーとしてスマホアプリなどを開発 • 2019年から配配メールの開発チームの EM • コロナ禍に始めたトレイルランニングが最近の趣味 X: @radiocatz / GitHub: radiocat /Qiita: radiocat ※3/2に生駒縦走トレイル(45km / 1,900mD+)を 5時間46分で完走しました
  2. • マネージャーのアウトプット = 自組織のアウトプット + 影響力が及ぶ隣接組織のアウトプット • 組織をブラックボックスと捉え、インプットとアウトプットを整理する • アウトプットまでの流れを分析し、ボトルネックを解消する

    High Output Managementの重要な考え方 原材料 朝食 労働力 スタート (客の注文) 客に渡す 卵を手に取る 卵をゆでる アセンブリー (組立て・ まとめあげ) パンを持つ トーストする テスト コーヒーを注ぐ テスト
  3. PdM Tech PjM Ops BrSE Dev Offshore Design Frontend Sales

    CS PMM GM Infra Customer プロダクト 価値 開発力 フロント エンド技術 UI/UX 要件 顧客 問合せ インフラ 技術 顧客 サポート Discovery Support Business Side Specialized Unit Development Test Release Specialized Unit Technical Research Operation
  4. プロダクトの変遷と事業状況 • 立上げ期:メール配信ツールからマーケティングツールへの進化 ◦ 状況:業務に精通していた事業部長主導でマーケ機能を強化 • 探索期:マーケティング機能のブラッシュアップ ◦ 状況:顧客課題 や事業側の要求理解

    と周辺組織との連携 がより重要に • 市場拡大期:セールス領域へのサービス拡張 ◦ 状況:開発規模とスピード への対応力と技術的課題解決力 も重要に イマココ 事業フェーズに合わせて組織的な改善に取り組むことで迅速・最適に顧客価値を提供 市場成長率(約10%)に対して高い成長率(約20%)を維持し、利益面で会社の成長に貢献
  5. PdM Tech PjM Ops BrSE Dev Offshore Design Frontend Sales

    CS PMM GM Infra Customer プロダクト 価値 開発力 フロント エンド技術 UI/UX 要件 顧客 問合せ インフラ 技術 顧客 サポート Discovery Support Business Side Specialized Unit Development Test Release Specialized Unit Technical Research Operation
  6. 1. バリューチェーンの最適化 背景と課題 • 事業成長の過程で事業→開発→顧客までの要求伝達が不透明化 • PMM/PdMの責務が曖昧、開発要件に落とし込む過程で属人化・抜け漏れが発生 取り組み • PMM/PdM役割の整備

    ◦ PMM/PdMが事業と開発の「翻訳者」となる ◦ 顧客課題・事業ニーズの要件化、開発優先度の明確化のプロセスを整備 • 開発チームとの連携フロー構築 ◦ PMM/PdM中心にスプリントレビューでステークホルダから緊密にフィードバックを得る ◦ ビジネス上のインパクトを定期的に共有し、開発関係者のプロダクト理解を深める 学び・得られたこと・今後の課題 • PMM/PdMに情報が集まり、流れるよう にすることが重要 • 事業→開発→顧客のサイクルが早まり、顧客の解約率低下などに貢献 • 市場拡大により開発関係者の継続的な顧客理解の深化も重要
  7. PdM Tech PjM Ops BrSE Dev Offshore Design Frontend Sales

    CS PMM GM Infra Customer プロダクト 価値 開発力 フロント エンド技術 UI/UX 要件 顧客 問合せ インフラ 技術 顧客 サポート Discovery Support Business Side Specialized Unit Development Test Release Specialized Unit Technical Research Operation
  8. 2. 専門性を活かす連携設計 背景と課題 • 横断組織との連携が個別最適に陥りがちで顧客視点の統一が不足 • 横断的な専門チームのインプットが早期に得られないことによる手戻りリスク 取り組み • 横断組織の共通プロセス整備

    ◦ デザイナー・フロントエンド:要件定義段階からUI/UXを検討できる体制・プロセス整備 ◦ インフラ:アーキテクチャや性能のレビュープロセス整備 • インプット最大化のための「早期巻き込み」 ◦ スプリントレビューや定例会議で、各専門チームと相互に相談・提案できる場を設置 ◦ インフラ:大規模案件では企画段階から参加し、負荷・セキュリティ・コストを初期段階で考慮 学び・得られたこと・今後の課題 • インプット(顧客体験に直結するフロントの品質向上、サービス基盤の安定維持)の強化 • 経営層や組織の方針を理解 した上で最大限それを活かし、機能するようにする • 意思決定の早期化と手戻り削減、開発チームの工数と 認知負荷の軽減
  9. PdM Tech PjM Ops BrSE Dev Offshore Design Frontend Sales

    CS PMM GM Infra Customer プロダクト 価値 開発力 フロント エンド技術 UI/UX 要件 顧客 問合せ インフラ 技術 顧客 サポート Discovery Support Business Side Specialized Unit Development Test Release Specialized Unit Technical Research Operation
  10. 3. 段階的アーキテクチャ導入によるボトルネック解消 背景と課題 • プロダクト拡大に伴い、技術的負債やシステム構造がネックに • レガシーな構成やモノリシックなアーキテクチャが新機能リリースの遅延リスク化 取り組み • フロントエンドの分離(フロントエンドチームが推進)

    ◦ 新機能の要望に合わせてjQueryなどのレガシー部分を段階的にリプレイスし、モダン技術を導入 ◦ バックエンドとフロントエンドを分離し、並行開発しやすい体制へ • 段階的アーキテクチャ導入(チーム内に Techユニットを形成して推進) ◦ 大規模リプレイスではなく、機能単位で段階的にモダンなアーキテクチャ・技術を活用 ◦ 既存システムも機能ごとにモダンな内部設計へリファクタリングし、負債を徐々に解消 学び・得られたこと・今後の課題 • 技術的推進がボトルネック解消に繋がり、新機能開発と技術刷新が両立 • プロダクトの継続的な成長のために適度な 技術的意思決定の持続性 を重視 • 技術的な打ち手を持続的に保持するための 長期的視点での改善に取り組む必要性
  11. まとめ EMの仕事 • 顧客への価値提供を軸に 、組織を磨き続けるアーキテクト • EMだからこそ見える経営の意図 や各組織の強み弱み を踏まえ最適化する High

    Output Management • インプット~アウトプットの流れを随時整理し、ボトルネックを排除することで迅速かつ 高品質な価値提供が可能になる 今後の展望 • 組織やプロダクトの成長フェーズに合わせて、継続的に改善を回していく • 顧客価値創出を軸 に理想のチームを目指す
  12. ※参考情報 • PdM領域の取り組み事例 ◦ 経験ゼロからはじめる! 10年以上続くプロダクトの アウトカム創出戦略 ◦ https://speakerdeck.com/radiocat/challenges-of-product-manag ement

    • フロントエンド分離と段階的アーキテクチャ導入の 取り組み事例 ◦ 新たな顧客課題に挑む 17年目の進化とモダナイゼーション ◦ https://speakerdeck.com/rakus_dev/rakustechcon2024-haihaim ail