名刺ネットワークを活用した企業ブランド調査データによるB2Bブランドに関する新たな知見 / Identification of B2B Brand Components and their Performance's Relevance Using a Business Card Exchange Network

名刺ネットワークを活用した企業ブランド調査データによるB2Bブランドに関する新たな知見 / Identification of B2B Brand Components and their Performance's Relevance Using a Business Card Exchange Network

■イベント 
:日本マーケティング・サイエンス学会「マーケティングの計算社会科学」研究部会セミナー
http://www.jims.gr.jp/

■登壇概要
タイトル:名刺ネットワークを活用した企業ブランド調査データによるB2Bブランドに関する新たな知見
発表者: 
DSOC 研究開発部 SocSci Group 真鍋 友則

▼Sansan DSOC
https://sansan-dsoc.com/

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Sansan DSOC

June 25, 2020
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Transcript

  1. 名刺ネットワークを活⽤した企業ブランド調査データによる B2Bブランドに関する新たな知⾒ 真鍋友則 DSOC R&D SocSci Group

  2. ※ 掲載されている内容等は発表時点の情報です。 ※ 公開に当たり、資料の⼀部を変更・削除している場合があります。

  3. Data Strategy and Operation Center 本⽇のテーマ 名刺ネットワークデータを活⽤したB2B企業ブランド調査 調査データを⽤いた以下の研究 • B2Bブランドへの新規知⾒

    • ESG の Social 指標としての活⽤可能性 1
  4. Data Strategy and Operation Center 名刺ネットワークデータを活⽤したB2B企業ブランド調査 調査概要 名刺交換ネットワークのデータは、 ビジネスネットワークデータである 活⽤:

    企業の名刺所有者 (名刺を名刺アプ リ 「Eight」 に登録したユーザー) に対 し、交換企業に対する印象を定性・定量的 に調査し、指標を作る → Eight Company Score 2 Eight Company Score Eight ユーザー
  5. Data Strategy and Operation Center Eight Company Score • 名刺アプリ「Eight」ユーザーを対象とした

    任意のアンケート調査 • 企業の名刺所有者に対して⾏われる 「企業ブランド印象アンケート調査」 • 回答者の個⼈情報は全て匿名化 • ユーザー250万⼈以上の「Eight」ネットワーク データを活⽤し、業種横断的な⼤規模調査が 可能 • 調査項⽬は「ブランド」「製品(サービス)」 「ヒト」の印象、および「アウェアネス」 名刺所有者の特徴 1. その企業の⼈と少なくとも⼀度は⾯識 がある (⾯会経験に基づいた印象) 2. 取引相⼿や協業など、ステークホルダ ーを含む企業周辺者 3. 同じ業界、近しい業界、隣接した業界 の可能性が⾼い 3
  6. Data Strategy and Operation Center Eight Company Scoreを⽤いた研究 B2Bブランドの構成要素と企業業績との関連について ESGの「社会」指標としての可能性

    4
  7. Data Strategy and Operation Center 研究背景 無形資産投資・ブランド投資の興隆 ESG(環境 Environment、社会 Social、ガバナンス

    Governance ) など, 企業の無形資産, ⾮ 財務指標に対する⻑期的投資の重要性が⾼まり続けている 経済産業省, 2017, 価値協創のための統合的開⽰・対話ガイダンス-ESG・⾮財務情報と無形資産投資. 5
  8. Data Strategy and Operation Center 研究背景 1. B2Bブランド ブランドは、toC 商品の付加価値の属

    性として考えられてきた. しかし近年、B2B市場における企業ブ ランドの役割や価値についての研究が 進展している (Leek, S., & Christodoulides, G. (2011). Industrial Marketing Management, 40(6), 830–837., 右図) 6
  9. Data Strategy and Operation Center 背景 1. B2Bブランド B2Bブランドに関する論⽂数は 2000年頃か

    ら増加 (Seyedghorban, Z., Matanda, M. J., & LaPlaca, P. (2016). Journal of Business Research, 69(8), 2664-2677.) パフォーマンスとの関連性も報告 企業業績(ROA, ROS)との関連 (Eberl, M., & Schwaiger, M. (2005). European Journal of marketing.) 売上成⻑率 (Homburg, C., Klarmann, M., & Schmitt, J. (2010). International Journal of Research in Marketing, 27(3), 201–212) 7
  10. Data Strategy and Operation Center 背景 1. B2Bブランド B2Bブランド研究の未解決課題 (Leek,

    S., & Christodoulides, G. (2011). Industrial Marketing Management, 40(6), 830–837) ブランドは、B2B市場におけるステークホルダーたちにおいて、どのような機能を持っ ているのか B2B市場におけるブランド価値の構成要素は何か B2B市場におけるブランド価値をどのように測定するか 8
  11. Data Strategy and Operation Center 背景 9 2. ESG指標 ESGは環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の英語の頭⽂字を合わせ

    た⾔葉。⾮財務情報であるESG要素を考慮する投資を「ESG投資」という。 Social: Human capital, Product liability, Stakeholder opposition, Social opportunities (MSCI website) https://www.msci.com/what-is-esg
  12. Data Strategy and Operation Center 背景 2. ESG指標 &4(4PDJBM のうち、ステークホルダーとの関連性や社会関係資本に関連した指数は現

    状、あまり流通していないように⾒受けられる &JHIU$PNQBOZ4DPSFはステークホルダーを含む名刺ネットワーク上の、企業ブラン ド、製品、社員に関する SFQVUBUJPO指標 ⾣ Social の⼀部を表す新規指標として捉えることが可能ではないか 10
  13. Data Strategy and Operation Center 研究の⽬的 1. 名刺ネットワーク上、すなわちビジネスネットワーク上における企業の Reputation は、ESG

    の Social の側⾯をもつ指標であると考えられる。こ の指標が企業価値や企業業績と関連があるかどうかを検証する ( ▶ 投資指 標としての有効性の検討) 2. 名刺所有者と企業は toB の関係性が想定され、名刺所有者による企業ブラ ンド評価は B2B ブランド評価を表していると考えられる。この指標を⽤ いた分析により、B2B ブランドに関する新たな知⾒を得る。 11
  14. Data Strategy and Operation Center 実証分析 1. Eight Company Score

    と企業時価総額との関連分析 2. Eight Company Score と企業業績 (ROA) との関連分析 3. Eight Company Score を⽤いた B2Bブランド構成要素の抽出 12
  15. Data Strategy and Operation Center データ概要 約 1400 社 上場企業

    550 社 (うち、B2Bと分類される 企業 323 社) 「ブランド」「製品(サービス)」「⼈」「ア ウェアネス(認知)」について、0 - 10 までの 11 段階の評点、フリーコメントの記⼊ Eight Company Score 調査時期 調査企業数 調査⼈数 調査内容 半年に1回の頻度、5⽉と11⽉に調査 2018年 5⽉ 〜 1社あたり約1500⼈の名刺所有者に調査 平均回答率: 約10% (約150⼈の有効回答者) 回答者1⼈につき、調査企業が選択した3社に ついて質問 13
  16. 14 ্هʹՃ͑ͯɺϑϦʔίϝϯτͷهड़ཝ͕͋Δ

  17. Data Strategy and Operation Center データ概要 15

  18. Data Strategy and Operation Center スコアの定義 企業スコア: 企業ごとの回答者のレーティング (0-11) の平均値

    16
  19. Data Strategy and Operation Center ランキング 2020年 5⽉ 時点調査 17

  20. Data Strategy and Operation Center フリーコメント 富士フイルム オリンパス 18

  21. Data Strategy and Operation Center 1. Eight Company Score と企業時価総額との関連分析

    Q. Eight Company Score は企業の無形資産価値情報を表すか ⽅法: Barth (1998) のモデル インターブランド社のブランド評価額が、企業時価総額を有形資産の影響を除して、追加的に 説明可能かどうか、無形資産価値を⽰すかどうかを以下のモデルで検証 MV: 株価, YR: 年フラグ, BV: ⼀株当たり Book Value, NI: ⼀株あたり利益, BRAND: 企業のブランド評点 Barth, M. E., Clement, M. B., Foster, G., & Kasznik, R. (1998). Brand values and capital market valuation. Review of Accounting Studies, 3(1–2), 41–68. 19
  22. Data Strategy and Operation Center 1. Eight Company Score と企業時価総額との関連分析

    Q. Eight Company Score は企業の無形資産価値情報を表すか *BBES = Eight Company Score 企業時価総額に対し、NP (純利益)、BV (簿 価) 、業種のコントロール下で、追加的説明⼒ を有するかどうかを検証 真鍋, 中川 (2020), B2B企業ブランド評価と株価の価値関連性の実証 研究, 経営情報学会誌 (Accepted) 20
  23. Data Strategy and Operation Center 1. Eight Company Score と企業時価総額との関連分析

    Eight Company Score の Brand と Service は有意な正 の係数を⽰し、時価総額に対し説明⼒を有すること、 無形資産価値情報を含んでいることが⽰された ブランドスコア 1 の増加に対し、時価総額の 1.2 倍が 対応する 「ヒト」のスコアに関しては、統計的有意に負の係数 を⽰した 真鍋, 中川 (2020), B2B企業ブランド評価と株価の価値関連性の実証研究, 経営情報学会誌 (Accepted)
  24. Data Strategy and Operation Center 2. Eight Company Score と企業業績との関連分析

    22 Q. B2Bのブランド⼒は企業の業績と関連があるか? ブランドが⾼い B2B 企業は、業績が良いか H1: Eight Company Score とROA (Return on asset) に関連がある ブランドが⾼い企業は取引に伴うリス クが軽減されるため、⾼いマージン率 を確保できのではないか ⼀⽅、ブランドが低い企業は回転率 (資本あたりの売上⾼) を⾼める「コス トリーダーシップ戦略」を取っている のではないか H2: ブランドが⾼い B2B 企業は、利益 率が⾼く、回転率が低い
  25. Data Strategy and Operation Center 2. Eight Company Score と企業業績との関連分析

    23 Q. B2Bのブランド⼒は企業の業績と関連があるか? B2B 企業における Eight Company Score (BBES) と、ROA、利益率、回転率を分析 ⽬的変数: ROA (総資産利益率) , 営業利益率 (売上⾼あたりの営業利益), 回転率 (資本あたりの売上⾼) コントロール変数: 企業規模 (売上⾼)、業種 真鍋, 中川 (2020), B2B市場における 企業ブランドとROAの関連性, 証券ア ナリストジャーナル vol.58, No. 6
  26. Data Strategy and Operation Center 2. Eight Company Score と企業業績との関連分析

    24
  27. Data Strategy and Operation Center 2. Eight Company Score と企業業績との関連分析

    25 ROAとの関連性 ⼈の評価を統制した条件において、ブランドが ROA と正の関連、⼀⽅⼈の評価はROAに対し負の 関連性 利益率・回転率との関連性 ブランド、サービス、アウェアネスは利益率と正の関連、回転率との負の関連性を⽰した。 B2B 企業においても、周囲からブランドが⾼いと評価される企業は、⾼いマージンを取得している こと、また、ブランドが低い企業は低利益率・⾼回転率の「コストリーダーシップ」戦略を取って いることが⽰された 真鍋, 中川 (2020), B2B市場における企業ブランドとROAの関連性, 証券アナリストジャーナル vol.58, No. 6
  28. Data Strategy and Operation Center 3. Eight Company Score を⽤いた

    B2Bブランド構成要素の抽出 Q. B2Bブランドはどのような認識要素から成り⽴っているか? ⽅法: 回答者の⾃由記述⽂とブランド評点を関連付け、「企業について、どのような内容・ 印象を持っていると、ブランドを⾼く評価するのか」を明らかにする Supervised Latent Dirichlet allocation (sLDA) を⽤いる(Blei, D. M., & McAuliffe, J. D. (2009). Advances in Neural Information Processing Systems 20 - Proceedings of the 2007 Conference, 1– 22., 右図) ⽂書ラベル(連続値)に対する予測精度を最⼤化する ように⽂書の潜在トピックを定める⼿法 ブランド印象評点 (0-11) を⽬的変数とし、⾃由記 述⽂から、ブランドと関連のある潜在トピックを抽 出する Blei, D. M., & McAuliffe, J. D. (2009). Advances in Neural Information Processing Systems 20 - Proceedings of the 2007 Conference, 1–22.
  29. Data Strategy and Operation Center Q. B2Bブランドはどのような認識要素から成り⽴っているか? ⾃由記述⽂データについて Eight Company

    Scote の⾃由記述⽂から、「特にない」「知らない」のような⽂書を削除 ⽤いた⽂書数は 423,973 ⽂書。全ての⾃由記述⽂にブランドレーティングのラベルがついて いる。 ⽂書あたりの平均⽂字数は 21.3 (min 1, max 255) Mecab-ipadic-NEologd を⽤いて形態素解析、Bag-of-Words を作成。品詞は名詞、形容詞、 副詞、動詞、接続詞に限定。出現頻度が 20 以下の単語、および頻度 top 5 の単語を除外。 3. Eight Company Score を⽤いた B2Bブランド構成要素の抽出
  30. Data Strategy and Operation Center Q. B2Bブランドはどのような認識要素から成り⽴っているか? Supervised topic models

    を⽤いた、ブランドレーティングと関連のあるトピックの抽出 トピック数の決定: トピック数を変化させた時の Perplexity と ブランド・レーティングに対 する R-squared に基づいて決定 真鍋, 中川 (2020), B2B企業ブランドの構成要素と 企業価値の関連性, 人工知能学会 2020 ポスター 3. Eight Company Score を⽤いた B2Bブランド構成要素の抽出
  31. Data Strategy and Operation Center Q. B2Bブランドはどのような認識要素から成り⽴っているか? 3. Eight Company

    Score を⽤いた B2Bブランド構成要素の抽出 Table.1 各トピックの重要語と ラベル、ブランドへの 係数
  32. Data Strategy and Operation Center 企業 j の全単語内において、topic k に

    割り当てられた単語数の割合を、企業 j の トピック k ⽐率と定める このトピック⽐率は、企業のブランドと 関連付けられた特徴を表していると考えら れる 企業のトピック⽐率と業績の関連を調べる Q. B2Bブランド・トピックと企業業績の関連性 3. Eight Company Score を⽤いた B2Bブランド構成要素の抽出
  33. Data Strategy and Operation Center 3. Eight Company Score を⽤いた

    B2Bブランド構成要素の抽出
  34. Data Strategy and Operation Center 32 PBR (Price Book-value Ratio)、および営業利益

    率とトピック⽐率の関連 PBR、営業利益率を⽬的変数とした重回帰分析 コントロール変数は業種と企業規模 (売上⾼) PBR に対しては「期待感・開発⼒・積極的」 「サービス・製品の魅⼒・品質」トピック 営業利益率に対しては「⼤企業・古い体質・営 利主義」「営業・対応の悪印象」トピックがそ れぞれ有意に正の偏回帰係数 3. Eight Company Score を⽤いた B2Bブランド構成要素の抽出
  35. Data Strategy and Operation Center 分析サマリー 名刺ネットワーク上の企業印象評価 (ブランド、製品・サービス、⼈)指標 Eight Company

    Score を⽤い、以下のことを実証した Eight Company Score と企業時価総額との関連分析 • Eight Company Score のブランド、製品・サービスが⾼いほど時価総額が⾼く、⼈に関す る印象が⾼いほど時価総額が低い Eight Company Score と企業業績との関連分析 • Eight Company Score のブランドは、⼈に関する評価が同程度のとき、ROA と正の関連性 をもつ。 • Eight Company Score のブランドが⾼い企業は⾼利益率・低回転率の「ブランド戦略」を 成⽴させており、B2B についてもブランド戦略がみれらることを⽰した Eight Company Score を⽤いた B2Bブランド構成要素の抽出 • ブランドのレーティングと関連したトピックを抽出し、B2B関係において、どのような時 に企業のブランドを⾼いと評価するのか、その認識の要因を考察した。 • そのトピックの出現⽐率は企業ごとに異なっており、企業業績との関連も⽰された
  36. Data Strategy and Operation Center まとめと future plan ESG Social

    指標としての Eight Company Score • ESG インデックスにはダブルボトムライン (経済的収益と環境・社会への貢献) が求められる。 Eight Company Score は Social のうち、社会関係資本や製品への信頼性などを表す指標だが、 企業業績との関連が⾒られており、ESG Social インデックスとして成⽴する⾒込みがある • 今後、株価のリターンや暴落耐性、⻑期的企業成⻑との関連を分析することにより、エビデ ンスを強化していく B2B ブランド • テキストとブランドレーティングの関係により、B2Bブ ランドの構成要素についての⽰唆を 得た。これらはB2Bブランド研究や、企業のブランド戦略に対しても有益な知⾒と考える • 今後は、既存研究との⽐較、B2C との⽐較、業種ごとの際などについての検証を⾏い、さら にB2Bブランド研究を進めていく
  37. Data Strategy and Operation Center 最後に 35 ご静聴ありがとうございました。 Eight Company

    Score を⽤いた共同研究を募集しております。ご興味のある⽅はご連絡ください
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