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役割は変わっても、変わらないもの 〜スクラムマスターからEMへの転身で学んだ信頼構築の本質〜 ...
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ShinoP
August 31, 2025
Technology
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役割は変わっても、変わらないもの 〜スクラムマスターからEMへの転身で学んだ信頼構築の本質〜 / How to build trust
スクラムフェス仙台2025の登壇の資料です。
ShinoP
August 31, 2025
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Transcript
Scrum Fest Sendai 2025 2025/08/30 株式会社タイミー 篠塚翔平(ShinoP/しのぴー) 役割は変わっても、変わらないもの 〜スクラムマスターからEMへの転身で学んだ信頼構築の本質〜 @marupopu
株式会社タイミー所属 篠塚 翔平 (ShinoP/しのぴー)@marupopu プロフィール 大学卒業後、独立系のWeb制作会社に新卒入社。幅広い技術領域での開発経験やス クラム導入なども推進。岩手への転居を機に SI事業を展開する大手グループ会社転 職。その後、スクラムマスターとして活動することを決意。 "専任"スクラムマスターのポジ
ションを求め、2022年7月より株式会社タイミーに JOIN。 現在は、専任スクラムマスターやアジャイルコーチのキャリアを経て、 Engineering Managerとして、複数チームで活動しつつ、組織構造へのアプローチも行っている。 盛岡スクラム運営等も努めコミュニティ活動も実施中。 役割 Engineering Manager 自己紹介
タイミーについて
Copyright © Timee All Rights Reserved タイミーとは
Copyright © Timee All Rights Reserved タイミーの特徴
Copyright © Timee All Rights Reserved 導入実績
Copyright © Timee All Rights Reserved 導入企業の例
ここまでテンプレ
大前提の話 これからする話は ShinoPがEMになりたての体験談 今回話すことが唯一の正解ではない また、人によっては当たり前の話かもしれない ここからが本番
信頼関係の構築に 苦労されたことはありませんか?
信頼関係の構築のやり方について 今回のテーマ
信頼構築をする為のヒントを持ち帰れる Learning Outcome
目次 • 言葉の定義 • EMへの挑戦 • 絶望の「壁」 • 希望の「光」と「発見」 •
信頼構築の為の3要素と結果 • まとめ
目次 • 言葉の定義 • EMへの挑戦 • 絶望の「壁」 • 希望の「光」と「発見」 •
信頼構築の為の3要素と結果 • まとめ
言葉の定義 信頼と信用は似た言葉だが性質が異なる
信頼と信用の違い 評価の対象は「過去」 基づくもの:実績・データ・経歴・担保 性質:客観的・条件的 例えるなら:クレジットカードの審査・履歴書 信用 -
Credit 📄 評価の対象は「未来」 基づくもの:人柄・価値観・可能性 性質:主観的・感情的 例えるなら:長年の友人・チームの仲間 一言で表すと... 信頼 - Trust ❤ 過去 未来 信用 は、その人の「条件」を信じること 信頼 は、その人の「存在そのもの 」を信じること
言葉の定義 今回は信頼にフォーカス
目次 • 言葉の定義 • EMへの挑戦 • 絶望の「壁」 • 希望の「光」と「発見」 •
信頼構築の為の3要素と結果 • まとめ
これまでの役割 スクラムマスターやアジャイルコーチとして支援したチームは8チーム程 主に、チームに対してのアプローチ 一部、プラットフォーム性を重視した組織に対してのアプローチ
EM転身の動機と、Why EM? まず前提として、プロダクト「タイミー」が好きで その成功に心から貢献したいという想いがあった
EM転身の動機と、Why EM? チームのパフォーマンスを最大化し、プロダクトを成功に導く為には 部分的な改善ではなく組織構造そのものにアプローチする必要がある そのために最も効果的な手段がEMへの転身だと考え決断した とはいえ、組織構造へのアプローチだけではなく 掌握チームの生産性向上はミッションとしては担う
EMになってからの状況 2つのチームのマネージャーになった 特徴 ・ShinoPとの関係性がない ・スクラムチームではない 特徴 ・ShinoPがスクラムマスターの時に関係性がある
・スタンダードなスクラムチームである
目次 • 言葉の定義 • EMへの挑戦 • 絶望の「壁」 • 希望の「光」と「発見」 •
信頼構築の為の3要素と結果 • まとめ
EMになってからの状況 特徴 ・ShinoPとの関係性がない ・スクラムチームではない 特徴 ・ShinoPがスクラムマスターの時に関係性がある ・スタンダードなスクラムチームである
こちらのチームの話
関係性のないチームの背景 かつてSuper PdMの強力なリーダーシップにより、価値提供を遂行 一方で、EMの支援を受けたことが無いメンバーが多数 その結果、EMからのプロセスの提案、様々な改善案を受け入れ難い環境 Super PdMの
退職
当時やっていたこと プロセスの提案、様々な改善案を受け入れられない状況で何をしていたか? 1on1、目標管理・評価、労務管理がメインで、チームに入り込めていない状況
そんな中、チームメンバーから投げかけられた一言 「あなたは何がしたくて このチームに来たのですか?」
当時の結論 “EM”ってすごく難しい
目次 • 言葉の定義 • EMへの挑戦 • 絶望の「壁」 • 希望の「光」と「発見」 •
信頼構築の為の3要素と結果 • まとめ
EMになってからの状況 特徴 ・ShinoPとの関係性が無い ・スクラムチームではない 特徴 ・ShinoPがスクラムマスターの時に関係性がある ・スタンダードなスクラムチームである
こちらのチームの話
関係性のあるチームの背景 スクラムマスターとしてチームの立ち上げ期にも関与 厳密なスクラムはやっていないが、スクラムライクな開発を実施 プロセスの改善や、提案をすると「とりあえずやってみよう」という文化
当時やっていたこと スクラムマスターの延長線上 + 1on1、目標管理・評価、労務管理
その結果 例として、組織の都合による増員という、メンバーが望まない状況 しかし、”ShinoPが言うならやってみよう”と受け入れられている
なぜ、こんなにも差があるのか? 関係性のないチームに関しての悩み ・やっていることは、そこまで変わらないのに... ・スクラムマスターとしての動きができれば貢献できるのか? ・そもそも何故、受け入れられないのか? 関係性のあるチームにEMとしてのShinoPに対してFBをもらってみよう...!
「そういえば、ShinoPさんEMでしたね! あまり意識してなかったw」 関係性のあるチームメンバーから得られたFB
注目すべきは役割ではなく ShinoP自身に対しての議論が行われていた 投げかけられた一言に対して
役割は、そんなに重要ではないのでは? 投げかけられた一言に対して
何が差分としてあるのか 🤔
“信頼関係”の有無💡
目次 • 言葉の定義 • EMへの挑戦 • 絶望の「壁」 • 希望の「光」と「発見」 •
信頼構築の為の3要素と結果 • まとめ
どうやってゼロから信頼関係を 築いていくの?
信頼関係を構築する為の3つの要素
Serveから始める信頼の第一歩 信頼関係を構築する為の3つの要素 共感性
共感性:Serveから始める信頼の第一歩 自分の考えを押し付けず、まずは相手の話に耳を傾ける 対話を重ね、相手が何を考えているのかを探る 言葉だけではなく、振る舞いも注意深く観察する 相手を知る Step1
共感性:Serveから始める信頼の第一歩 SlackのHuddleや発言ログを注意深く観察し、相手の興味・関心事を把握する 1on1では受け身にならず、こちらから関心ごとの仮説を投げかける
共感性:Serveから始める信頼の第一歩 多くの場合、「良いものを作りたい」といったゴールは共通している 課題は「ゴール」そのものではなく、「ゴールへの進み方」の違いにあると認識する 相手のやり方の中に、共感できる部分を見つけ出す、つまり関心ごとを揃える 共通のゴールを見つける Step2
共感性:Serveから始める信頼の第一歩 Huddleや1on1では観察に留まらず、把握した関心事に積極的に共感を伝える まず「この人は敵ではない」という安心感を持ってもらうことを目指す
共感性:Serveから始める信頼の第一歩 共感した部分に対して、「全力でServe」し、相手が望む結果を出すことにコミットする 相手が求めるものが手に入ることで、両者の距離は確実に縮まる 全力で奉仕し、結果を出す Step3
共感性:Serveから始める信頼の第一歩 勧められたPodcastや本は即座にインプットし業務に繋げて議論する 素早く目に見える結果を出すことを重視
信頼構築の入り口で重要なのは 共感性
Serveから始める信頼の第一歩 信頼関係を構築する為の3つの要素 完璧なリーダーではなく本当の仲間になる 共感性 透明性
透明性:完璧なリーダーではなく本当の仲間になる 自分の考えや組織の状況を、事実ベースで正直に伝える 「困っていること」やスタンスも含めて話すことで、相手に自分を理解してもらう 勇気を出して、自分を曝け出す Step1
透明性:完璧なリーダーではなく本当の仲間になる 組織の状況を踏まえたチームの将来像や、プロセス改善への思いと懸念について 「私はこう思う」というI message(アイメッセージ)を使い素直に伝える
透明性:完璧なリーダーではなく本当の仲間になる 互いに背景やストーリーを理解すると、相手もより深く考えを話してくれるようになる 一方的な関係から、双方向の「仲間」の関係へ 相互理解のサイクルを回す Step2
透明性:完璧なリーダーではなく本当の仲間になる 私が先に弱みを見せて困っていることを相談する メンバーも「実は…」と本音を話してくれるようになる 具体的な改善アクションに繋がる「協力のサイクル」が回り始める
信頼構築を加速させる為に重要なのは 透明性
Serveから始める信頼の第一歩 信頼関係を構築する為の3つの要素 完璧なリーダーではなく本当の仲間になる 全ての行動を貫く一本の背骨 共感性 透明性 一貫性
一貫性:全ての行動を貫く一本の背骨 「自分は何を大切にしているのか?」 という根幹が不可欠。 この軸がブレると、ただの「便利屋さん」で終わってしまう危険性がある。 自分の「根幹」を意識する Step1
一貫性:全ての行動を貫く一本の背骨 常に顧客に価値を届けるための最善の方法か?を自身に問い続ける
一貫性:全ての行動を貫く一本の背骨 常に立ち返るべき判断の拠り所を持つ 会社のValueや自分達で考えた行動指針などを共通言語とする 判断の「軸」を揃え、共通言語にする Step2
一貫性:全ての行動を貫く一本の背骨 会社のバリューをチームで問い続けた 具体的な行動指針を共通言語として確立させ、共感する価値観とも接続させる
信頼構築の土台に重要なのは 一貫性
Serveから始める信頼の第一歩 信頼関係を構築する為の3つの要素 完璧なリーダーではなく本当の仲間になる 全ての行動を貫く一本の背骨 共感性 透明性 一貫性
愚直にやっていった結果 愚直な信頼構築が実を結び、「チーム賞」を獲得 メンバーより「最初は微妙だったけど今では一番良いEM」との最高のFBを得る
目次 • 言葉の定義 • EMへの挑戦 • 絶望の「壁」 • 希望の「光」と「発見」 •
信頼構築の為の3要素と結果 • まとめ
まとめ 伝えたい4つのこと
大前提 役割の前に、まず「一人の人間」として
信頼関係の価値 信頼関係の構築とは「土俵に立つ」こと
信頼構築の方法論 信頼は「3つの要素」から生まれる
Serveから始める信頼の第一歩 信頼関係を構築する為の3つの要素 完璧なリーダーではなく本当の仲間になる 全ての行動を貫く一本の背骨 共感性 透明性 一貫性 再掲
信頼の先にあるもの 信頼はゴールではなく、「始まり」
メッセージ 今回の話は特別な話ではない
メッセージ まずは、来週から隣のメンバーの景色を 見ることから始めませんか?
時間あれば宣伝
75 Thank you!