Upgrade to Pro
— share decks privately, control downloads, hide ads and more …
Speaker Deck
Features
Speaker Deck
PRO
Sign in
Sign up for free
Search
Search
AIの全社活用を推進するための安全なレールを敷いた話
Search
ShoheiMitani
July 07, 2025
Technology
2
120
AIの全社活用を推進するための安全なレールを敷いた話
ShoheiMitani
July 07, 2025
Tweet
Share
More Decks by ShoheiMitani
See All by ShoheiMitani
The Citadel
shoheimitani
0
110
Rails-ishなActiveRecordの操作方法
shoheimitani
0
130
自己実現のためのキャリア選択 / Choosing a Career Path for Self-Realization
shoheimitani
1
250
rails statsで大解剖 🔍 “B/43流” のRailsの育て方を歴史とともに振り返ります
shoheimitani
3
1.3k
法律に準拠した本人確認システムを0から作った話 〜家計簿プリカB/43でのeKYC開発実例〜
shoheimitani
3
1.2k
初めましてが多いチームの形成期にEMが取り組んだ事
shoheimitani
1
220
ユーザーフレンドリーな取引明細のアーキテクチャ 〜VISAカードの複雑性に向き合う実践例〜
shoheimitani
5
3k
孤独のCTOグルメという やや奇抜な企画をやった目的と効果
shoheimitani
3
1.5k
VISAカードの裏側と “手が掛かる” 決済システムの育て方
shoheimitani
48
27k
Other Decks in Technology
See All in Technology
20250707-AI活用の個人差を埋めるチームづくり
shnjtk
1
1.3k
Beyond Kaniko: Navigating Unprivileged Container Image Creation
f30
0
120
React開発にStorybookとCopilotを導入して、爆速でUIを編集・確認する方法
yu_kod
1
120
ネットワーク保護はどう変わるのか?re:Inforce 2025最新アップデート解説
tokushun
0
170
生まれ変わった AWS Security Hub (Preview) を紹介 #reInforce_osaka / reInforce New Security Hub
masahirokawahara
0
400
MUITにおける開発プロセスモダナイズの取り組みと開発生産性可視化の取り組みについて / Modernize the Development Process and Visualize Development Productivity at MUIT
muit
1
11k
20250625 Snowflake Summit 2025活用事例 レポート / Nowcast Snowflake Summit 2025 Case Study Report
kkuv
1
400
2025-07-06 QGIS初級ハンズオン「はじめてのQGIS」
kou_kita
0
140
Fabric + Databricks 2025.6 の最新情報ピックアップ
ryomaru0825
1
160
AIとともに進化するエンジニアリング / Engineering-Evolving-with-AI_final.pdf
lycorptech_jp
PRO
0
150
2025-06-26_Lightning_Talk_for_Lightning_Talks
_hashimo2
2
120
ビギナーであり続ける/beginning
ikuodanaka
3
650
Featured
See All Featured
StorybookのUI Testing Handbookを読んだ
zakiyama
30
5.9k
Imperfection Machines: The Place of Print at Facebook
scottboms
267
13k
Documentation Writing (for coders)
carmenintech
72
4.9k
JavaScript: Past, Present, and Future - NDC Porto 2020
reverentgeek
48
5.4k
Into the Great Unknown - MozCon
thekraken
39
1.9k
Raft: Consensus for Rubyists
vanstee
140
7k
Making Projects Easy
brettharned
116
6.3k
Visualizing Your Data: Incorporating Mongo into Loggly Infrastructure
mongodb
46
9.6k
ReactJS: Keep Simple. Everything can be a component!
pedronauck
667
120k
Bootstrapping a Software Product
garrettdimon
PRO
307
110k
Evolution of real-time – Irina Nazarova, EuRuKo, 2024
irinanazarova
8
810
Learning to Love Humans: Emotional Interface Design
aarron
273
40k
Transcript
AIの全社活用を推進するための安全なレールを敷いた話 EMゆるミートアップ vol.10 〜生成AI時代のマネジメントを探究しよう〜
2 SmartBank, Inc. Engineering Manager 三谷 昌平 @shohei1913
今日話したいこと ❖ 全社員のAI活用推進をマネジメントしたい!! ➢ 全社のAI活用を推進するために考案したR.E.D.S.(レッズ)について ➢ そのうちの一つ「Safeguards」の取り組み紹介
4
スマートバンクのAI推進状況 職種問わずAI活用を推進
スマートバンクのAI推進状況 ❖ 全社員が利用できるように会社で契約しているAIサービス ➢ Gemini, Notebook LM, Notion AI ➢
Devin, v0, n8n ❖ 色々なサービスを試せるよう$50/月まで経費申請可能 ➢ Chat GPT, Gemspark, Cursor, etc... ❖ エンジニアが利用できるAIコーディングツール ➢ Claude Code(Claude Max), Cursor, Github Copilot ➢ Devin, Claude Code Github Actions
なぜ、全社的にAI活用を推進しているのか? スマートバンクをAIファーストの会社にする ❖ 5月2日の全社定例にてCEOが宣言 ➢ プロダクトでのAI活用は進みつつある ▪ AIレシート読み取り / AIスクショ読み取り
/ AI埋蔵金チェッカー / AI支 出チェッカー / etc…. ➢ プロダクトだけでなく全社員にAIで業務を再構築することを宣言
全社員のAI活用を推進させる4つの重要施策 R.E.D.S.(レッズ) (※今日来る前に自分がGeminiと一緒に考えたのでググっても出てきません) ❖ Resources (資源確保) ➢ AIサービスを試行錯誤するために十分な予算・人員を確保する ❖ Empowerment
(能力強化) ➢ AIサービスは初心者ばかり、先駆者からのサポートが必須 ❖ Direction (方向性の明示) ➢ トップダウンによる強烈な号令なしでは進めれない ❖ Safeguards (安全策) ⭐ 今日はここのお話し ➢ 安全に安心してAIサービスを利用するためのレールが重要
Safeguards
AIサービスは群雄割拠時代 ❖ プロダクト開発向けのAIサービスは群雄割拠 ➢ Cursor / Copilot / Claude Code
➢ Devin / Codex / OpenHands ❖ バックオフィス系のAIサービスはこれから? ➢ 汎用ツール : Gemini / Notebook LM ➢ ワークフロービルダー : n8n / Dify ❖ 日々生まれる新AIサービスを早く試して効果検証サイクルを加速化した い
AIは便利だけど危険😱 ❖ 情報漏洩 / 著作権侵害 / 誤った結果による意思決定などなど ❖ Amazon /
Apple / Samsung(2023年) : 情報漏洩を懸念して ChatGPTを禁止
安全性と速度を両立したい 2つのSafeguardsがあれば良いのではないか 1. 安全にAIサービスを利用するためのルール設計 ➢ AIサービスに入力して良い情報とダメな情報をルール化する 2. 日々新しく生まれるAIサービスを早く試すための仕組み ➢ ルールに沿って利用可能なサービスを一覧化
➢ 利用可能なサービスの選定基準と申請ワークフローを整備する
安全性を高める
安全性 : 情報漏洩の危険性について ❖ 入力されたデータは生成AI企業(OpenAI, Anthropic, Google)に渡るため、以下を 気にする必要がある ➢ モデルの改善のため、学習データ利用されるかどうか
➢ 入力されたデータの所有権の所在 ➢ 第三者への共有制限 ➢ 履歴の保存期間や削除方法 ❖ 似たようなサービスでも規約や設定は異なる ➢ 入力データの学習利用 ▪ ChatGPT : デフォルトON ▪ Claude : デフォルトOFF
安全性の担保 ❖ 生成AI企業に渡しても良い情報 / ダメな情報のルールが必要 ➢ 業務で利用するなら、ユーザーの個人情報と業務情報のルールを決めれば良い ❖ ユーザーの個人情報 ➢
直接識別情報 / 個人に被害を与える情報 / 要配慮情報 / 間接識別情報 / 連絡可能 情報 / 個人関連情報 / 仮名加工情報 / 匿名加工情報 ➢ 👉 重要データ / 保護データ / 制限データ / 制限無しデータに分類してルール化 ❖ 業務情報 ➢ 経営情報 / 営業情報 / 人事労務情報 / 採用情報 / 守秘義務契約情報 / 技術情報 / セキュリティ情報 / 問い合わせ情報 ➢ 👉 極秘 / 秘 / 社外秘 / 社外秘に分類してルール化
ガイドラインで整備しているもの 個人情報
ガイドラインで整備しているもの 業務情報
工夫ポイント ❖ できるだけ色んな情報をデータ入力できるようにしたいが、安全性とデー タ入力可能な範囲にはトレードオフがある ➢ 色々な情報を扱う部署がいるので、色々なデータを入力したい要望があ る(経営情報、人事情報、採用の候補者情報...) ❖ 極秘 /
秘 / 社外秘 / 社外秘などの分類を細かくしたり、安全に利用でき るAIサービスを探すなどして、できるだけ入力できるように工夫 ❖ このケースはこうしてくれたら入力できる!みたいな細かい点はFAQを 使って紹介するなど
速度を早める
利用可能なAIサービスの一覧化 ❖ 業務で使って良いものを明示することで、利用障壁をなくす ❖ 基本方針 : Google WorkspaceのAIサービスを活用する(Gemini / NotebookLM等)
➢ 個人情報の取り扱いにてクラウド例外 が適応可能 ▪ すでにGmailやGoogleDriveには個人情報や業務情報がいっぱい保存されている ▪ 同じような扱いでAIサービスを利用したい ❖ Google Workspaceでは足りないもの ➢ 個別ツールの利用規約やポリシー類を確認し、法務・コンプラが判断 ▪ 初期に最低限あった方が良いもの : 自分主導で整備 ▪ 追加で欲しいもの : 申請ワークフロー を整備
利用可能なAIサービスの一覧化 AIツールの一覧
利用可能なAIサービスの一覧化 申請ワークフロー
まとめ ❖ R.E.D.S.(レッズ)の紹介 ❖ Safeguardsの取り組みを紹介 ➢ 安全にAIサービスを利用するためのルール設計 ➢ 日々新しく生まれるAIサービスを早く試すための仕組み化 ❖
実際に運用してみての良さ / 辛みなどは懇親会でお話ししましょう!