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三菱電機のIoT実践事例 空調機器IoT化およびPoC効率化【SORACOM Discovery 2023】

三菱電機のIoT実践事例 空調機器IoT化およびPoC効率化【SORACOM Discovery 2023】

大手総合電機メーカーの三菱電機は、IoTを活用して機器状態に応じたサービスの充実化を進めています。空調機器のIoT化、研究開発部門におけるIoT PoCの最適化という二つのプロジェクトの取り組みを通じて、複雑・不確実な時代に向けたIoTシステムのアーキテクチャやIoTプロジェクトの進め方についてお話しいただきます。また、PoCの最適化プロジェクトに伴走したソラコム プロフェッショナルコンサルタントからも、成果を得るためのPoCの進め方についてご紹介します。

三菱電機株式会社 設計システム技術センター 古賀 陽一郎
三菱電機株式会社 ライフBA戦略室 技術ユニット ソリューション開発プロジェクト グループマネージャ 中田 成憲
株式会社ソラコム シニアソリューションアーキテクト 須田 桂伍
株式会社ソラコム アカウントマネージャー 林 隆史

SORACOM

July 06, 2023
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Transcript

  1. 本日のハッシュタグ #SORACOM @SORACOM_PR fb.com/soracom.jp youtube.com/@SORACOM_Japan instagram.com/soracom.official 使用例 他には… • #SORACOM

    IoTやDXの話を聞きにきた • キーノートは2日目! #SORACOM #SORACOM の検索で、最新情報が!
  2. ©Mitsubishi Electric Corporation ©Mitsubishi Electric Corporation SORACOM DISCOVERY 2023 ▪

    三菱電機株式会社 ▪ 設計システム技術センター ▪ 古賀 陽一郎 SORACOM Booster Pack 利用体験まとめ
  3. ©Mitsubishi Electric Corporation 自己紹介 氏名:古賀 陽一郎 所属:三菱電機株式会社 設計システム技術センター 普段のお仕事 •

    システム・ソフトウェア開発の技術支援 • 社内プロダクト開発案件へのアジャイル導入やコーチング • 社内技術ワーキングの運営・ファシリテーション 資格とか • CSM, CSPO • SAFE SPC 4.5 2023/7/5 15
  4. ©Mitsubishi Electric Corporation 背景 2023/7/5 16 設技セ ソフト(基)※ ※設計システム技術センター ソフトウエア技術推進部

    設計基盤技術グループ IoTシステム 仮説検証 当社関連会社 当社事業場所・工場 連携先企業様 ツール/サービス ベンダ 販社 顧客企業 エンドユーザ 設計システム技術センターとは:
  三菱電機グループにおける製品設計の生産性向上と設計品 質向上を目的に、全社に対して支援を行う技術者集団
 • 設計向上のため全社を支援
 • 幅広い分野の製品開発に密着
 ソラコム様 アジャイル DevOps AI活用 クラウド活用
  5. ©Mitsubishi Electric Corporation 背景 • 社会環境やユーザーの嗜好などが多様化し、物事の予測がたてにくい複雑・不確実な時代。 • IOTソリューションの構築は… 2023/7/5 17

    IoTシステム 仮説検証 要求実現の技術的難易度よりも、要求の不確実性に対処する困難さが常に勝っている。 まず課題感が 合っているか 分からない。 課題があったとして それはコストをかけて解決する ほどに切実なのか? 課題を解決する実現方式は 適切なのか? … 本当に必要とされているか、価値があるかを確かめもせず 最初に要求や実現方式(設計)を固めて、一気に作り上げるのはリスクが大きすぎる
  6. ©Mitsubishi Electric Corporation 取り組みの全体像 2023/7/5 18 企画 PoC 仮説の検証 Phase1

    ビジネスキャンバス、超上流の要求分析手法 ユーザーインタビュー 軽量なプロトタイプ(一枚絵, ナラティブストーリー, 画面モック) プロダクト 開発 仮説の検証 Phase2 そもそもそんな課題があるのか? 課題があったとして、それはコスト(費用, スイッ チングコスト)を支払ってでも解決したいほどな のか? 検証を終えた仮説の実現 課題を解決するための実現方式は適切か? ユーザーは私たちのプロダクトを使ってどのよう に課題を解決しようとするのか? 検証したいこと アジャイル/WF開発 Dev(Sec)Ops ユーザーに提供する作りこんだプロダクト ユーザーは私たちのプロダクトを快適に使ってく れているか? アジャイル開発 カスタマージャーニー/ユーザーストーリーマッピング 安価ですぐに利用可能な汎用デバイス/サービス ユーザーが体験可能なプロトタイプ(MVP) ユーザーは繰り返して使ってくれるか? 不便に感じているところはないか? 今回のスコープ
  7. ©Mitsubishi Electric Corporation 課題と解決案の検証 • 自分たちがPOCと呼んでいるものの規模が大きすぎることが分かってきた。巨大な大砲を 打って、本来必要だったものを、少しだけかすめている感じ。 • インタビューなどやって、そこで一番声が大きい人の声を完全に信じ切ってしまって、そ れ以上、検証せずに、いきなり開発に突入する。結果としてできるものは微妙...

    • モノを作らずにどこまで正しい要求を見つけれるか?がテーマ • POCと称して重たすぎるものを作っている自覚はある。そして顧客が期待するところまで 結果を出せず、話が先に続かない... • POCに対応する開発プロセスがなく、正規の開発プロセスで重たいものを作っている。ど うすれば... • 紙芝居ではやりたいことが伝わらない、POCと称したプロトタイプは重たすぎる...この間を 埋めるような方法はないか。 2023/7/5 20 返ってきた反応まとめ
  8. ©Mitsubishi Electric Corporation 課題の整理 2023/7/5 21 PoCを実施するための軽量な開発プロセスが確立されていない。 ゆえに正規(製品開発)の開発プロセスをPoCに適用してしまい、 PoCと称した開発が(極端な場合)半年~数年と続く。 いつリリースできるんですか?状態。

    PoCを実施するのに適した開発の進め方を確立したい。 ソラコム様を含め、PoCやアジャイル開発を得意とする 複数の会社と協力して、仮説検証のための開発体系を構築しています。 まとめると…
  9. ©Mitsubishi Electric Corporation 目標設定 2023/7/5 22 検証期間 半年~数年 検証期間 1~3ヵ月

    成果物 プロダクトレベル のドキュメント, システム/ソフトウェア 開発プロセス 正規開発(ウォーターフォール) 開発プロセス 軽量な計画立案・構築・検証(アジャイル) 成果物 1枚絵, ナラティブストーリー, MVP, etc 検証段階に応じた実現方式を選択 FROM TO TOの方式(進めかた)を整理すると共に その進め方が有効であることを実証するため、自分達で題材を決めてPoCを実施。
  10. ©Mitsubishi Electric Corporation PoCの全体像 2023/7/5 23 SORACOM Booster Pack(全2日間のワークショップ形式) PoC計画の策定

    PoCのシステムアーキテクチャ検討 SORACOM IoT Service Field Device/Network セルラー網 Public Cloud 社内システム 設技セ エンジニア やりたいこと、要望 PoC計画 実現 評価 レポート スコープ/評価項目 約3ヵ月でPoCを完了 当社関連会社 エンジニア 実現手段、方式 ソラコムエンジニア ファシリテーション、 SORACOMサービスの使いどころ Facility Office
  11. ©Mitsubishi Electric Corporation PoCの実施結果 2023/7/5 24 評価観点 評価項目 ノックアウト要件 結果

    補足 ビジネス 業務面 カメラで撮影した映像をもとにメンテナンス作業に関する 適切なフォローができるか 〇 △ より実地に近い運用での評価が必要 ビジネス 業務面 これまでに撮影されたメンテナンスの動画を新任メンテナ のトレーニング用途に活用できるか △ より実地に近い運用での評価が必要 ビジネス 業務面 撮影にあまり作業負荷をかけずに、画像を保守に活用で きるか 〇 ビジネス 業務面 本PoCの原案を実施した人々にこのPoCについて紹介し てどんなフィードバックがあるか - ビジネス 業務面 必要な動画がどういったものかを実データをもとに判断す る △ より実地に近い運用での評価が必要 技術面 カメラ・ビーコンを用いた仕組みで期待する動画データが 取得できるか 〇 技術面 ビーコンセンサーを検知するために必要な信号強度の確 認 〇 技術面 必要なHW構成の確定 〇 技術面 必要な画角、画質、フレームレートの確認 〇 技術面 クラウド側構成の確定 〇 技術面 メンテナンス業務記録(その日、いつから~いつまで、誰が 実施したか)を生成して1日の時間軸 (08:30~19:00)に正確にプロットできるか - 技術面 デバイスの電池のもちが作業にどのような影響を与える か △ より実地に近い運用での評価が必要 技術面 今回の仕組みで5wが正しく記録できるかどうか 〇 △ より実地に近い運用での評価が必要 技術面 本システムによるメンテナンス業務(安全衛生パトロール 等)を(ほぼ)自動で記録し、実施履歴を正確に残すことが できるか 〇 技術面 ビーコンの設置個所の調査 〇 〇 技術面 複数のネットワークプロトコルの使い分けが可能か 〇 技術面 複数ビーコンを検知してしまわないか △ 設置施設に応じた信号強度パラメータ の調整が必要 技術面 デバイスの設定手順の確認 〇 技術面 どのような事前キッティングが必要かどうか 〇 コスト面 どういったエラーケースが発生するか △ より実地に近い運用での評価が必要 コスト面 発生するデータ通信量の確認 〇 コスト面 クラウド側費用(ソラコム含む) 〇 コスト面 HWの導入コストがどれぐらいか 〇 気づき PoCがぐだぐだと続くのは評価項目の設定が曖昧だから。 → 今回はBooster Packの中で、PoCのスコープを評価項目として計画段階で明ら かにしたので、何が検証できて、何が検証できなかったか明確になった。 構築段階で技術的問題が複数発生してコスト超過、追加発注で対応したが … → 2日間の日程では大枠は決めれても、実現時に生じる全ての問題を潰せるわけで はない。 → SORACOM Booster Pack後の構築フェーズにはアジャイル開発を導入してトラ ブルに素早く対応する体制を作りたかった … SORACOM IoT Serviceの使いどころを、ワークショップを通してソラコムのエンジニ アにガイドしてもらうことでシステム設計を素早く終えることができた。 • 「他社ではこうした実績がある」という情報提供も大変参考になる。
  12. 自己紹介 株式会社ソラコム / シニアソリューションアーキテクト 須田 桂伍 (すだ けいご) 経歴: •

    エンタープライズシステムのエンジニア ◦ 基幹システム ◦ ストリームプロセッシング • プラットフォームサービスでのプロサービス
  13. IoTシステムの構築にむけて インターネット クラウド モノ センサー ゲートウェ イ
 デバイス 通信 データ収

    集 可視化
 分析 デバイス
 管理 省
 電力化 セキュリ ティ クラウド
 連携 遠隔
 管理 プロジェク トマネジメ ント
  14. 1 2 3 4 5 企画/検討 リサーチ 学習/トライ PoC/評価 商用展開

    ❏ 導入事例の活用 ❏ イベント参加 ❏ IoTレシピの活用 ❏ ハンズオン参加 ❏ サポートの活用 ❏ 社内課題の把握 ❏ 顧客ニーズの理解 ❏ ゴールとスコープの決定 ❏ PoC計画の策定 ❏ プロトタイピングの作成 ❏ 結果評価とNext Actionの整理 ❏ 産業プロトコルへの理解 ❏ and more … ❏ クラウドネイティブな設計 ❏ 非機能要件への対応 ❏ デバイス要件の確定/量産 ❏ 運用設計 ❏ and more … DXプロジェクトの5つのステップ SORACOM Professional Servicesの活用 検討すべき要件や設計開発の範囲が膨らむ分岐点 DXプロジェクトを成功に導くために乗り越えたい壁 企画検討がなされたアイデアに対して、初期のキャッチアップからPoCとしてまずは動かしてみる段階までは既存のコンテンツを活 用しながらプロジェクトを推進しやすい。 一方この先は検討すべき事項が大きく膨らむ分岐点であり、商用展開につなげるための評価軸の設定や適切な評価を行うための 検証計画の策定、更にその先には商用展開のためのアーキテクチャデザインなど多岐にわたる。