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人依存からAIネイティブの体制へ:バックエンド開発の裏側【SORACOM Discovery ...

人依存からAIネイティブの体制へ:バックエンド開発の裏側【SORACOM Discovery 2026】

前半は「あの人がいないと回らない」からの卒業を目指し、ノウハウ蓄積や当番制を通じ、開発・運用の属人性を徹底して排した取り組みを振り返ります。後半は、その知見を生成AIが活用し、開発を加速させる「AIネイティブ」な体制への転換を詳解。少人数で巨大インフラを支え続ける、現場の変遷をありのままに共有します。

株式会社ソラコム ディレクター ソフトウェアエンジニアリング 中西 数樹
株式会社ソラコム シニアソフトウェアエンジニア 原 義博

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Transcript

  1. 全体の流れ 前半 人依存(属人化)の解消 ― どう人に依存しない体制をつくったか ノウハウを蓄積する 採用してスケールする チーム力を上げる アフター AI

    時代のコードレビュー アフター AI 時代のナレッジ集積 後半 アフター AI 時代の開発へ アフター AI 時代の開発者の役割 状況に合わせて組織や開発手法を進化させることを常に意識
  2. 自己紹介 株式会社ソラコム / ディレクター ソフトウェアエンジニアリング 中西 数樹 (なかにし かずき) エンジニアリング部門でマネージャ兼開発を担当

    経歴: 前職は SIer でパッケージ開発などソフトウェア 開発を中心に活動。 ソラコムは 2019 年に入社。バックエンドエンジニア を経て現職。
  3. 個人の時代の終わりとチーム作り ビジネスの拡大、その裏で • 顧客も社員も増え、日本・米国・英国の3拠点 体制に • 知識が特定の人に集中(SPOF)し、属人化が 課題に 目指したチーム像 IoT

    プラットフォーム SORACOM の契約回線数が、100万を突破 2019年6月、ソラコム プレスリリースより • 一人に依存せず、ナレッジを共有・蓄積して組 織の力にする体制 • 事業の成長や環境の変化に合わせて、チームと 開発のあり方を変え続ける文化
  4. マニュアルオペレーションの整備 ノウハウを蓄積する セルフサービス化候補 › 採用してスケールする 頻度の高いものを 優先的に対応 › チーム力を上げる 対応したことの

    ある人を追加 システムで対応していないオペレーションは、手順を整備していく。そうすることで 属人化を防げるし、システム化するときにも要件が固まっていてスムーズに進められる。
  5. Internal FAQ の作成 ノウハウを蓄積する › 採用してスケールする › チーム力を上げる テンプレートを用意して 他チーム向けに整備

    質問されたら FAQ に記載することを繰り返す。そうすることで、毎回同じことを 説明しなくても済むし、質問する方も手間を取らせなくて済むので win-win に。
  6. 蓄積がもたらした効果 ノウハウを蓄積する ✓ › ✓ 採用してスケールする › チーム力を上げる ✓ マニュアルオペレーションの整

    ドキュメントを整備することで、 他チームにも FAQ やオペレー 備により、作業手順が確立され 自分しか対応できない作業が無 ションの整備など、ノウハウの て作業ミスが減った。 くなり、安心して休めるように 蓄積が広がった。 なった。
  7. 社内向けボットとの連携 ノウハウを蓄積する › 採用してスケールする › チーム力を上げる ボットのインデクス対象に Internal FAQ を含

    めることで、セルフサービスで質問を解決。 さらに言語の壁も越えられるようになった!
  8. Weekly Aegis Officer 制度の導入 ノウハウを蓄積する › 採用してスケールする › チーム力を上げる 週替わりで問い合わせ対応の当番を決めて、バックエンドエンジニア宛ての問い合わせに対応する。

    対応が難しいものは、他のエンジニアがフォローし、適宜マニュアルオペレーションを更新する。 メリット ✓ 内容問わず対応するため、満遍 なく知識を付けることができる。 ✓ 他のメンバーは、割込み作業に 気を取られることなく開発に集 中できる。 ✓ 複数人でマニュアルオペレー ションを実施することで、ド キュメントが洗練される。
  9. バックエンドチームの定期イベント ノウハウを蓄積する › 採用してスケールする › チーム力を上げる Iteration planning / retrospective

    • 各エンジニアがイテレーション(2週間)で何をするか、何をリリースしたかを共有する。 Slack だけでなく、改めて集まって状況を共有する場があるので状況を把握しやすい。 Open discussion • 毎週1時間全員で集まり、相談したいことや新しく試してみたことなど、なんでも自由に共有できる。 分からないことを相談しやすい。planning / retrospective とは別の場を設けることが大事。 Document hackathon • 毎月、ドキュメント化したいと思ったものを各自半日程度集中して改善する。 • その後 Backend hackathon に形を変えて、月替わりでお題を決めてハッカソンを実施する流れに。
  10. アフター AI 組織への進化が始まる 開発者の役割 人 + AI 小さなチーム › コードレビュー

    › ナレッジ集積 増え続けるビジネス要求に、人員増 ではなく AI で応える 従来の 大きな組織 人 + AI 小さなチーム 人 + AI 小さなチーム 「Just Do It」で生成 AIをいち早く導入。2025 年には生成 AI を前提とした組織へ変化 • 他チームからの貢献が爆増 • AI や手法の進歩で実装は高速化 • 開発のボトルネックは実装以外のプロセスへ
  11. 実装コストは限りなく低くなった 開発者の役割 › コードレビュー › ナレッジ集積 開発者の仕事は、AI が成果を出せる場を作ること ① AI

    で開発できる土台を作り、開発してくれる人を増やす • AI を迷わせない • 成果物を簡単に試せる ② 品質を担保する • 成果物の責任は開発者にある
  12. ① AI で開発できる土台を作る 開発者の役割 AIを迷わせない • 既存ドキュメントを流用し、AIが必要と する コンテキスト(前提知識)を整備 •

    • 設計ガイド・仕様書・コードコメント など Agent Skill で編成を支援 コードレビュー › ナレッジ集積 成果物を簡単に試せる • 「テスト環境にデプロイして」の依頼が 足を引っ張る • 人間もAIも探しやすい構造に共通化 • › 好きなときに動作確認できる環境を整備 • • PRにラベル → Slackにデプロイボタン (self-serve) オンボーディングにも直結 PRにラベルを付けると Slackにデプロイボタンが出る
  13. ② 品質を担保する 開発者の役割 › コードレビュー › ナレッジ集積 成果物の品質は開発者のコードレビューが担保する AI が実装し

    成果物を作成 開発者が コードレビュー では、このコードレビューをどう回すか? 成果物の品質に 責任を持つ → 次章で深掘り
  14. AI ネイティブな開発と、その打ち手 開発者の役割 › コードレビュー 起こったこと • 一部のコードオーナーにレビュー依頼が集中 • 毎回同じ質問から始まる(「誰が・いつ・どう使う?」「テスト

    は?」) 打ち手:セルフレビュー Agent Skill — 過去のレビューから機械判 断可能な観点を抽出 変更理由 命名品質 コードドキュメント エラーハンドリング 構造的整合性 冗長性 テストカバレッジ 機械が判断できる観点はAIに、ロジック・整合性は人間に › ナレッジ集積
  15. AI でレビュアーを補助する 開発者の役割 › コードレビュー › ナレッジ集積 コードレビューにおいて人間と AI の得意分野は異なる

    • • 人間にはドメイン知識があり、不具合や問題の匂いを嗅ぎ分けることができる しかし AI の「コードを読む力」はすでに人間を超えている 人間は「疑念を提示」し、AI が「検証・証拠集め・コメント作成(よ り丁寧な文面・英訳も)」を担うことで、レビューの負担が大幅に低下 した [人間] 気になる [AI] コードを [AI] 懸念が妥当か [AI] 文面作成して コードを提示 調査・検証 証拠に基づき判断 コメント投稿
  16. AI にさらなるドメイン知識を 開発者の役割 › コードレビュー › これまで:人が読むナレッジを集積 → これから:AI が読めるナレッジへ

    • 前半パートのマニュアル / Internal FAQ / Slack を AI が読める形へ • Knowledge Base Repository に集約し、記事がどんどん増える環境を作る • • Slack のやり取りをすぐに記事化/ルーチン化で自動増加 これからの課題 • 投稿された記事の品質評価 • この積み重ねが複利的にナレッジを蓄積する形にしていく ナレッジ集積
  17. まとめ 組織と環境の変化とともに、開発者の役割も開発の形も変わり続けてきた これまで 属人性の排除 今 AI ネイティブ化(① AI で開発できる土台 /

    ② 品質を担保) これから コンテキスト・フィードバック・ナレッジ蓄積を、人ではなく仕組みが回す段階へ ソラコムのリーダーシップステートメント Be Right A Lot ― 正しい判断をし続ける 良心と良識に基づいた判断をスピーディに下す。多様な意見に傾聴し、自分の意見を訂正することも常に厭わない。もし状況 の変化に対応できなければ、正しくあり続けられない。 この姿勢で、これからも状況に合わせて変化し続ける