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taRgreyでコストを掛けずにスパム削減

 taRgreyでコストを掛けずにスパム削減

2010/10/23にインフラエンジニア勉強会(hbstudy)と2010/12/4に長野ソフトウェア技術者グループ(NSEG)勉強会でお話させていただいた際のプレゼン資料です。
taRgreyというスパム対策手法と、その背景にあるスパムの現状や対策手法について説明しています。
NSEGでの発表時に一部修正と追加いれたものに置き換えています。
この時のustは http://www.ustream.tv/recorded/10369319http://www.ustream.tv/recorded/11240729 で見ることが出来ます。

SATOH Kiyoshi

March 16, 2022
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Transcript

  1. スパムの数 • 海外だと 90% 以上という報告が多い • 日本だと 70% ~ 80%

    程度という実感 • 年々増えている – 5 年前のアメリカで 70% ~ 80%
  2. スパムは bot から出されるのが主流 • スパムの大半は海外の動的 IP から • bot 化してリモートコントロールされた

    PC から出す • 97% 前後が bot によるスパム • 日本発のスパムは OP25B により激減 • bot は直接送信先メールサーバへ SMTP 接続してくる
  3. SMTP セッション情報で判断 • SMTP セッション時の相手の「クセ」で判定 • 主な例: greylisting • 一時拒否して再送してきたら受け取る

     → スパムは到達性は求めないからわざわざ再送しない • 他に… tarpitting (返答の遅延)など
  4. スパム送信時の制限 • スパムを受け取らないのではなく、出させない対策 • 主な例: OP25B (Outbound Port 25 Blocking)

    • 自ネットワークから外へ SMTP 接続をさせない • 他に…  throttling ( 送信数制限 ) など
  5. S25R • 「動的 IP っぽい」逆引き名を拒否 • 逆引き名とのパターンマッチング – evrtwa1-ar3-4-65-157-048.evrtwa1.dsl-verizon.net –

    pcp04083532pcs.levtwn01.pa.comcast.net • 誤検出はホワイトリストで対処 • 再送をログで確認して救済 • 95% 以上のスパムがマッチ • 検出率も高いが誤検出も多い
  6. Rgrey • S25R + greylisting • 怪しい接続に対してのみgreylistingを掛ける • selective greylistingという名で手法として一般化

    • S25R(の補集合)は汎用ホワイトリストという考え方 • S25RはDNSBLと比べ結果が揺れないという利点が大きい • 95%弱のスパムを排除
  7. Starpit • S25R + tarpitting • 怪しい接続に対してのみtarpitを掛ける • S25Rに引っかかった時の遅延が無くなる •

    メールマガジン配信などが引っかかりやすい • 中規模ISPで実際に運用しているもの • 85%程度のスパムを排除
  8. taRgrey • S25R + tarpitting + greylisting • 怪しい接続に対してのみtarpitting •

    S25Rに引っかかった時の遅延が無い • 再送で救済する • メールマガジンなども自動救済 • ほぼ誤検出はない • 85%弱のスパムを排除
  9. 検出率実績 • 69% スパム比率 • 93% S25Rのスパムマッチ率 • 91% tarpitingでの駆除率

    • 85% taRgreyでの駆除率 • 64% S25Rにマッチせずに    抜けたスパム率 2010/2時点 SA での判定を 100% と仮定して算出
  10. 中規模での長期運用実績 • 運用条件 – Starpit – 2006/2月より運用開始(約4年半) – 約 36,000アカウント 30メールサーバ

    • 総誤検出数 – 延べ35ドメイン (ホワイトリスト追加数) – ユーザからの問い合わせ数はその半数程度 – 全て再送有り (taRgreyでは救済可能)
  11. 他での採用実績 • アプライアンス – HDE tapirus – A.T.WORKS Sentinel Beagle

    • 教育機関 – 大東文化大学 – 和歌山大学システム情報学センター – 佐世保高専 – 尚絅学院大学 – 宇部工業高等専門学校 – 一橋大学 情報基盤センター – 中央大学 等々… 公開されていて自分の知る限り
  12. 運用の実際 • 詳しくはtaRgreyとStarpitの解説ページを参照 http://k2net.hakuba.jp/targrey/ http://d.hatena.ne.jp/stealthinu/20060706/p5 • 弊社: taRgrey 125secの遅延、30分後以降に再送で救済 95sec遅延、10分後以降に再送で救済とかで十分

    • warnでフィルタ対象となる接続のIP/From/Toのログを残す • check_recipient_access等のアクセス制御でユーザ毎に フィルタを掛けることも可 • postfixにsleepパッチを当ててプロセス数増大を抑制する (2~3倍のプロセス数増が1.5倍ほどで収まる)
  13. 日本語スパム用個別フィルタ • 素のpostfixやqmailで送られてくるものを防ぐ • 対象は特に日本語スパム • HELOのブラックリスト – MTA自身のIPアドレス –

    m20.mailyes.net – SPK02 • NSのブラックリスト – ドメインを大量に取って送ってくるもの • taRgreyと個別フィルタで90%強くらいになる
  14. 総務省見解要約 • 電気通信事業者が、利用者の同意なく、発信者情報に基づいて通信 を遅延させることは電気通信事業法に抵触する可能性が高い • ゆえにStarpit/taRgreyは電気通信事業法に抵触する可能性がある • しかし、サーバ負荷などによるメールの送受信時の支障を解消する 目的で必要最小限の方法で遅延させる場合には、正当業務行為とし て許される

    • よって選択的な遅延によるフィルタは – 大量の迷惑メールによるサーバ負荷のためにメール送受信 の遅延が生じることがないよう、迷惑メールが増えるのに あわせて、サーバの増強等を強いられていること – この問題を解消するために必要かつ相当な方法を採用して いること から、電気通信事業法上の問題はない