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株式会社TimersがLeSSを導入後 1年半の成長記録
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suzukentaro
June 25, 2021
Technology
2
680
株式会社TimersがLeSSを導入後 1年半の成長記録
2021/06/25のLeSS Studyで登壇した内容になります。
suzukentaro
June 25, 2021
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Transcript
株式会社TimersがLeSSを導入後 1年半の成長記録 2021/06/25
自己紹介 • 鈴木 健太郎(Twitter:@suzukentaro) • 年齢:38歳 • 開発ディレクター歴:16年 • 現職:株式会社Timers
プロダクトマネージャー
運営サービス紹介
Famm Famm(ファム)とは、お子様の写真・動画共有、子育て費用の相談会つき撮影会、ママのための キャリアスクール、出張撮影など、子育て家族の理想のライフデザインに寄り添うブランドです。
今回のお話は 今回は家族成長共有アプリ「Famm」チームのお話です。
アジェンダ 1. Timers開発体制の歴史 2. TimersがLeSSを導入した経緯 3. 社員向けLeSSインストールイベント 4. LeSSで得られた効果 5.
LeSSでうまくいってない点
1. Timers開発体制の歴史
Timers開発体制の歴史 2012年:株式会社Timers創業 2012~2014年:ウォーターフォール開発 2015年:アジャイル開発導入宣言 2015~2017年:プロジェクト型開発(ウォーターフォールに戻る) 2017年:あるプロジェクトで「カンバン」「スクラム」の試験導入開始 2018年:「スクラム」を開発チーム全体に適用 2019年:「カンバン」を開発チーム全体に適用 2020年:「LeSS」を開発チーム全体に適用
2019年までの流れ Agile Japan2019の登壇資料にまとめております 「開発チームにカンバンを導入した理由とその変遷」 https://speakerdeck.com/suzukentaro
2. TimersがLeSSを導入した経緯
LeSS導入の背景 LeSS導入となった端的な背景 1. カンバン型開発に疲れを感じてきた 2. 開発メンバーが急拡大してきた
カンバン型開発の疲弊 元々なぜカンバン型開発を導入したか? • 価値を最速で提供するため、ジャストインタイムでストーリーを動かしたかった カンバン型開発を続けて何が起こったか? • 都度ストーリー作成のための企画検討MTGが増え、開発リズムが取りづらいという声が上がった • 担当者が担当レーン以外見ず、機能の開発状況がわからずチーム一体感もないという声が上がった
開発メンバーの急拡大 2019 → 2020年で開発メンバーが増員していった 何が起こったか? • チームメンバーが10名以上になり、誰が何の案件を実行・把握しているかわからなくなってきた • 今後も開発メンバーが増える計画だったので、チーム分割の必要が出てきた •
過去1プロダクトを目的別チームに分けて2チーム運営した際に、開発内容のコンフリクトや作業待 ちが発生した経験が何度かあった
LeSSの採用 以下の前提・経験課題を、総合的に解決できそうなフレームワークが「LeSS」 だと思えたのでLeSSを採用 • 1プロダクトの開発チーム • 過去スクラム開発をやっていた経験がある • less.works の読書会を、ある社内メンバーがやっていた
• 目的別チームの失敗経験があるので、複数チームでも優先度を統一させたい • 今後も開発メンバーが増える予定
3. 社員向けLeSSインストールイベント
体制変更案とLeSSの紹介 カンバン → LeSSへ移行する際は1ヶ月弱かけて説明・質疑応答を実施 • 1週間目 ◦ 現開発体制の課題説明 、解決策のLeSSの紹介、分割チーム案の紹介 •
2週間目 ◦ LeSSに移行した際の具体スケジュール案の説明、質疑応答 • 3週間目 ◦ 質疑応答 • 4週間目 ◦ Sprint1開始
1週間目の説明 こんな長文Wikiを作成し、開発チーム 全員向けに説明会を実施。 資料の目的/アジェンダ 開発チームの前提情報 チーム課題と解決案(LeSS) なぜLeSSなのか? LeSSとScrumのイベントの違い LeSS移行に当たっての課題感
2~3週目にやったこと LeSS移行について気になったことは全部 書きだしてもらい、全部回答した • 挙手制では質問少なかったが、ふせんに書いて もらったらメチャクチャ意見出た • 一方的に回答せず、ワークショップ形式で皆で 討議する形をとった •
開発メンバー15人くらいだったから全ての回答 できた感はある
丁寧めな説明会のおかげで 移行初期は「Sprint Planning1・2」「Sprint Review」「OVERALL Retro」の 主催だけSMが厚めに実施だけすれば、そんなにトラブルなくLeSS移行が進んだ • 導入1ヶ月くらいで「OVERALL Retro」以外は各主催者に引き渡せた チームメンバーからも移行後の手こずりはあったが、LeSS移行の不満はほとんど
出なかった
こぼれ話 Retty Tech Blogを参考に、Timersでも目的別ではない チーム名を考えてみることに。 チーム名を10案ほど考え、MTG残り10分弱で開発チー ムに投票で決めてもらおうと思ったら、「もっといい チーム名があるはず」と開発チーム有志で1時間追加し てチーム名候補案が30案ほど追加され、白熱した投票に よりTimersでは「🐶Dog
Team」「🐱Cat Team」と決 まりました。 (かつてないくらいにメンバーが盛り上がりました)
新入社員・スクラム未経験者への教育 「Large-Scale Scrum is Scrum」なので、 LeSS自体の教育はほぼしていない • 事前に以下文献に目を通してもらう ◦ アジャイルソフトウェア開発宣言
◦ アジャイル宣言の背後にある原則 ◦ スクラムガイド • スクラム開発説明会(合計2h程度) ◦ 文献に目を通してわからなかった点の解説会 ◦ スクラム体験会(15min Sprintの実践) ◦ スクラムとLeSSのイベントの違い解説
4. LeSSで得られた効果
LeSSで得られた効果 1. 開発リズムを取り戻し、POもDevチームも見通しが立てやすくなった 2. 自己組織化が進み、マネージャー負荷が減った 3. 他チームの開発した内容の自分ごと化が進んだ
開発リズムの安定化 カンバン開発時代の課題であった「予測しにくい企画検討時間」がSprint期間に より見通し立てやすくなった。 • POは次Sprintまでに施策案を用意しておけばよい • 開発チームもカンバン開発時代よりも開発集中時間が確保できるように
チームの自己組織化の進化 分業チーム → フィーチャーチーム化したことで、開発チーム間の問題は自己解 決するよう動いてもらい、結果マネージャーの調整役負担を減らせた • 合言葉その1「それ、チームふりかえり(TEAM Retro)で相談してみれば?」 • 合言葉その2「チームふりかえりでわからんことは、全体ふりかえり(OVERALL
Retro)で!」
他チームが開発した内容の自分ごと化 過去のTimersのスクラム体制は目的別チームなので、他チームの開発成果物の 運用に興味が薄い状態だったが、LeSS体制に移行後その意識が変わった • 成果物レビューを、自フィーチャーチーム外にも確認しにいくように • 後の運用のためのドキュメント作成が積極的になった
5. LeSSでうまくいってない点
LeSSでうまくいってない点 LeSSを導入して1年半で、直面した問題点や解決状況のお話 1. ☑ Sprint Planning1なんか時間かかる問題 2. 🤔 Sprint Reviewが進捗報告会になってる問題
3. 🤔 質の良いPBI枯渇しがち問題
☑Sprint Planning1なんか時間かかる問題 ⚠起こったこと • Sprint Planning1で特定メンバーから「優先度高いストーリーで取れるものがない」という声が上 がり、特定メンバー向けのストーリー検討が始まる • MTG参加者の時間が、特定メンバーのストーリー探しのために拘束されがち 💡解決策
• 各チームでSprint中にTeam PBL Refinementを行ってもらい、1~2Sprint先のストーリーを見越し てもらった • 特定メンバーの優先度高いストーリーがない場合はPOに早めに相談して、対応ストーリー検討して もらった • 機能横断チームになれるよう学習時間に当ててもらった
🤔Sprint Reviewが進捗報告会になってる問題 ⚠起こったこと • スマホアプリサービス&リモートワーク状況のため、操作体験してもらうのが難しい • 開発チームがSprint中の全ストーリーを発表し、誰にFeedbackを求めてるのかわかりにくい 💡解決策 • 文字/キャプチャのみの説明→動画撮影で、一連の体験を追いやすくしてもらった
• ストーリーごとに、主に誰からフィードバックが欲しいかを明確に記載してもらった • 参加ステークホルダーが積極発言しやすいよう、チャットにガヤを入れ投稿しやすい雰囲気作り
🤔質の良いPBI枯渇しがち問題 ⚠起こったこと • チームのベロシティが向上していきて、ストーリーをDoneにできるスピードが上がった • POの課題検討時間が追いつかず、優先度/納得度の高いPBIが枯渇してきた 💡解決策 • 開発チームもPBIを作成検討する、Dual Track
Agileを導入してみた • PdMを開発チームから切り出し、ビジネスユニット化してみた
まとめ
TimersとLeSS開発 導入1年半が経ちまだ課題もあるものの、安定かつ満足度高くLeSSを活用できて いる • LeSSにより開発リズムが安定し、出荷速度が向上した • 1PO+複数チームの体制により、優先度や大事にすることの一貫性が保てる • チーム分割により、自己組織化と互いのチームから良い要素を取り込む文化 が生まれた
Special Thanks LeSS導入時は以下で得た情報を、とても参考にさせていただきました🙇 • Webサイト ◦ LeSS公式サイト ◦ Retty Tech
Blog ◦ atama plus note記事 • イベント/コミュニティ ◦ Regional Scrum Gathering Tokyo ◦ LeSS Study