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TECHPLAY_データマネジメントの勘所_GAtechnologies_意志ある羅針盤た...

 TECHPLAY_データマネジメントの勘所_GAtechnologies_意志ある羅針盤たれ<事業サイド>

GA technologies では、「不動産による資産形成を、あたりまえにする」というブランドミッションのもとで、AI不動産投資「RENOSY」というサービスを提供しています。不動産ドメインというレガシーな産業のデータをどのように取得し、基盤構築を行い、最終的に事業に資するように利活用するのかについてお話しいたします。オンライン上にデータがリッチに残りにくい不動産業において、取得・基盤構築・利活用、すべてのポイントにおいて多くの失敗を繰り返しつつ、弊社が導出した解決策についてお伝えできればと思います。

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山口貴矢

June 19, 2025
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Transcript

  1. 4

  2.   登壇者紹介:山口 貴矢
 職歴:2019年 GA technologies 新卒入社(2017年からインターン)
    財務経理 → 経営戦略(IR)→

    営業企画 → 事業戦略 → データ
 ( 事業側:5年、データ側:1.25年 )
 所属:データ本部 データアナリシス部 データアナリスト
 
 GA technologiesでの取り組み:主要事業における、データの取得 / モデリング / 利活用
 • 取得    :非構造化データの構造化など 
 • モデリング :事業ファネルに応じたファネルテーブル (One Big Table)の作成
 • 利活用   :構造化されたデータから、 Asset Planner のキーアクションの発見を推進 
 ※1 ※1 ファネルテーブル:社内用語で、一般的な One Big Tableを意味する。詳細は本日の夜に開催予定の、 dbt tokyo meetup #14「意思ある羅針盤たれ<データサイド>」にて発表予定 ※2 弊社では、一般的な営業職のことを「アセットプランナー( Asset Planner)」と呼称している。営業という言葉がもつ「販売することが何よりも重要であり、販売したらそこまで」という印象から脱却し、一人一人 の顧客が所有しているアセット(資産)を継続的に最適なものとなるようサポートし続けるというニュアンスをこめている。 ※2 事業
 データ

  3. GA technologies の SSoT 達成への道のり
 SSoT を実現する 技術 SSoT を組織に定着させる

    技術 ※ SSoT:Single Source of Truth。組織内でデータの唯一の正しい情報源を定め、すべての関係者が同じデータを基に意思決定できるようにする考え方のこと   また、技術的な SSoTをどのように実現したかについての詳細は、本日の夜に開催予定の、 dbt tokyo meetup #14「意思ある羅針盤たれ<データサイド>」にて発表予定 データチームが提供するデータを 
 事業が活用している状態 
 
 裏を返せば、各事業部で 
 野良のダッシュボードがない状態 
 ※ 各KPIを表現するにあたり 
 唯一の情報源から利活用可能な状態 
 
 裏を返せば、ある KPIを
 二つ以上の方法で表現しない状態 

  4. 既存データの中身を確認 (RAW層の内容を把握) FY24 下期 FY25 上期 データモデリングを行い SSoTな環境を整備 FY25 下期

    SSoTなデータを利用し 事業の成長に貢献する 社内システムのデータを紐解き、 dbt × Snowflakeで達成
 OBT (One Big Table)の概念を採用し、技術的 SSoTを局所的に達成したが、まだ道半ばな状態 
 GA technologies の SSoT 達成への道のり(実現する)
 ※ ※ OBT(One Big Table):一つのテーブルの中に必要な情報や指標を非正規化してまとめて持たせる構成(例:顧客情報の OBTでは、顧客IDに対して多種多様な情報を付与させる)
  5. As Is To Be(中期目標) データへの各領域・各役職の活用状況、および、そもそもの活用意志がどのくらいあるか 
 GAの場合は営業組織が不動産なので難易度が高いからこそ、色々な試行錯誤に取り組めるフェーズ 
 領域 \

    役職 経営層 (役員) 管理職 (部長・MGR) メンバー マーケティング ◎ ◎ ◎ 事業戦略 ◯ ◯ ◯ プロダクト ◯ ◯ ◯ Asset Planner(営 業) ◯ △ △ ◎:活用ができている    ◯:活用の意志がある    △:活用にまだ興味がない 領域 \ 役職 経営層 (役員) 管理職 (部長・MGR) メンバー マーケティング ◎ ◎ ◎ 事業戦略 ◎ ◎ ◯ プロダクト ◎ ◎ ◯ Asset Planner(営 業) ◎ ◎ ◯ GA technologies の SSoT 達成への道のり(定着させる)

  6. データが事業に与えられる価値とは何か
 技術力 事業理解 × データエンジニアリングとして 
 関心が向きやすい領域 
 意外と深掘りされにくい 領域


    
 ここをどのように深めていくか 
 <今日のメインテーマ> 
 ※ ※ データアナリストが事業理解を深掘りしにくい背景として、「分野の専門性」と「社内の専門性」との違いがあると考えている   分野の専門性には名前がつけられている(例: SQL、tableau、データモデリング、 Semantic Layer)一方で、社内の専門生にはポータブル要素がないため転職に活用しづらい データが事業に価値を与えるには、「技術力」だけでなく「事業理解」も重要なパーツ 
 両方の要素の掛け算によって、事業への提供価値が決まるので、バランスよく伸ばしたい 

  7. データが事業に与えられる価値とは何か
 × 名前のある専門性
 技術力(分野の専門性) 事業理解(社内の専門性) ※ 上記表の出典:「いいキャリア」の育て方(著:青田 努) 名前のない専門性
 どのよう

    なものか 複製性 汎用性 耐久性 WEBデザイン、人材開発、会計 〇〇エンジニア、コンサルタントなど 同様の専門性を持つ人が少なくない 転職後も発揮しやすい場合がある 社会変化や技術進歩で陳腐化しやすい 現場・事業に関する理解、社内の暗黙知 社内人脈、社内の歴史など 複製は難しく、習得には時間を要する 転職により失われる 事業変化や倒産で価値を失うことがある 技術力は「分野の専門性」として、一般的に名前のある専門性なのに対して、 
 事業理解は「社内の専門性」として、名前のない専門性のため、認知もされにくい 

  8. 事業理解(社内の専門性)を獲得するには
 事業理解があるとは、どういう状態なのかを要素分解する 
 そうすると、事業に対する自分の見解(見立て)があるかどうかであることが重要だとわかる 
 STEP 1 STEP 2 STEP

    3 STEP 4 STEP 5 事業のKGI達成ためのKPIツリーを自分で書ける 各KPIを比較し、より重要なKPIへの見立てがある そのKPIが、何によって変動しそうかの見立てがある(CSF ) CSFを現場が改善するための具体的アクションの見立てがある アクションコストと得られるリターンとのROI の見立てがある ※ CSF:Critical Success Factor の略称。企業や組織が目標を達成するために、特に重要となる要因を指す。   ROI:Return on Investment の略称。投資に対してどれだけの利益が出たかを表す指標。 ※ ※
  9. 事例)事業理解を深め、事業への自分の見解を持ったか
 体系的知識(総論) 各事業への理解(各論) × 事業領域への体系的知識(例:不動産業への理解)や、経営上の体系的知識(例: PL/BS)を習得しつつ、
 各事業特有の個別的知識(例: RENOSYへの理解)も業務理解を進めながら習得していく 
 •

    情報取得
 ◦ 統計情報, 決算情報(市場情報)
 ◦ 土地白書, 税制大綱(環境情報)
 ◦ 書籍, 雑誌, Youtube(一般情報)
 • 資格取得
 ◦ 宅地建物取引士
 ◦ 管理業務主任者
 ◦ 不動産コンサルティングマスター 
 ◦ (挑戦中)不動産証券化マスター • ジョブローテーション
 ◦ 営業企画:各種制度設計 
 ◦ 事業戦略:予実策定(PL理解)
 • Asset Planner のドメイン把握 ◦ 朝会参加、ナレッジワーク • 食事の場での交流 ◦ ランチ / 飲み会での会話 5月:ランチ19回、飲み会19回 6月:ランチ12回、飲み会17回
  10. どうすれば、事業理解のための明日の一歩につながるか
 体系的知識(総論) 各事業への理解(各論) × • 情報取得
 ◦ 市場情報
 ▪ 競合他社の決算資料を見る

    
 ◦ 環境情報
 ▪ 関係省庁の白書/青書を見る
 ◦ 一般情報
 ▪ 大きな本屋で散歩する
 • ドメイン関連の資格取得
 ◦ 事業部で推奨される資格が 
 もしあれば、積極的に勉強する • ジョブローテーション
 ◦ 座席配置の一時的な変更 
 ▪ 現場業務を観察し理解する 
 • 自身が自社商材を経験する ◦ BtoCであれば実際に購入する ◦ BtoBであればロープレを受ける • 社内ドキュメントをたくさん読む • 食事の場での交流を積極的にする • マインドセットを切り替える ◦ 社内の別事業は共に戦う仲間 ◦ 自分と違う行動原理を理解する
  11. 技術的な課題 不動産購入までのファネルには 
 非構造な状態のデータが多く 
 構造化しないと分析に活用しづらい 
 
 (例:通話音声記録、面談録画記録) 


    組織的な課題 システムへの情報入力にあたり 
 Asset Plannerの手動入力が多い
 
 そのため、ヒューマンエラーや 
 多忙ゆえの適当な入力を防ぎきれていない 
 事業に資するデータを用意するにあたっての課題

  12. 解決方法 課題をどのように乗り越えたか(技術的な課題)
 技術的な課題 非構造な状態のデータを、どのように構造化するか 具体例 社内のApplied MLチームが半年間強で、社内の Dify基盤を構築 交渉の書き起こし情報を、構造化(パラメータに変換)することに成功 (例:顧客とAsset

    Plannerとの共通点に関して交渉で話題にしてるか) 今後 現在の構造化(パラメータに変換)が局所的な対応のため、 より広範に対応することができるように、データマネジメントと連携中 この領域の進捗次第では、交渉の科学が一気に進む可能性あり 通話音声記録、面談録画記録、顧客とのテキストベースでのやり取りなど