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中央大学AI・データサイエンスセンター 2025年第6回イブニングセミナー 『知能とはなにか ...

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September 24, 2025

 中央大学AI・データサイエンスセンター 2025年第6回イブニングセミナー 『知能とはなにか ヒトとAIのあいだ』

https://www.chuo-u.ac.jp/aboutus/efforts/ai_and_ds/event/2025/06/80767/
日程 2025年9月24日(水) 17:30 - 20:00
場所 後楽園キャンパス 3号館14階セミナー室(オンライン配信あり)
講師 理工学部教授 田口 善弘

動画はこちら
https://youtu.be/vwFnsK_LwY0

ー講師紹介ー
バイオインフォマティクスを専門とし、遺伝子発現プロファイル解析やマルチオミックスデータ解析に長く取り組み、現在はテンソル分解を活用した教師なし学習による変数選択法を遺伝子選択に用いる研究を行う。著書や論文も多く、ISET2021基調講演やセミナー講師、ラジオ出演なども行う。
スタンフォード大学が選出する「世界の上位2%の研究者」(バイオインフォマティクス分野)として2021年から4年連続で選ばれている。

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Y-h. Taguchi

September 24, 2025
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Transcript

  1. AI・データサイエンスセンター第6回イブニングセミナー 15 フィニアス・P. ゲージ(Phineas P. Gage 、1823 – 1860 )は、米国の鉄道建

    築技術者の職長である。今日では、大き な鉄の棒が頭を完全に突き抜けて彼の左 前頭葉の大部分を破損するという事故に 見舞われながらも生還したこと、またそ の損傷が彼の友人たちをして「もはや ゲージではない」と言わしめるほどの人 格と行動の根本的な変化を及ぼしたこと によって知られている。 (かなり誇張は入っているらしい)
  2. AI・データサイエンスセンター第6回イブニングセミナー 24 モラベックのパラドックス: 「古典的記号処理パラダイム」では「常識」の学習が難しかった。 「人間にとって簡単なことはAI にとって難しく、逆に人間にとって 難しいことはAI にとって簡単」 1. 将棋やチェス

    vs. 歩くこと AI に得意なこと:チェスや将棋のような複雑な論理計算。コン ピュータは膨大な手を高速に計算できるため、人間トップを凌駕。 AI に苦手なこと:歩行やバランス保持。赤ん坊でも自然に学べる が、ロボットが滑らかに歩き、転ばずに段差を登るのは極めて難し い。
  3. AI・データサイエンスセンター第6回イブニングセミナー 25 2. 数学の問題 vs. 視覚認識 AI に得意なこと:高度な数式の計算や方程式の解法。人間は時間 がかかるが、AI は一瞬で処理。

    AI に苦手なこと:犬と猫の写真を見分けること。人間の子供なら 直感的にできるが、AI には膨大な学習データが必要。 3. 論理推論 vs. 家事 AI に得意なこと:論理パズルやルールベースの問題解決。 AI に苦手なこと:洗濯物をたたむ、卵を割って料理するなど日常 的な家事。物理的環境の不確定性や微妙な操作は非常に難しい。 (今の生成AI 、ロボットは相当程度これができる)
  4. AI・データサイエンスセンター第6回イブニングセミナー 26 2つの新しい潮流 身体性AI :AI に体を持たせれば「常識」を理解できる→ 今の 今のPhysical AI Physical

    AI に繋がる流れ に繋がる流れ→成果を残せずに頓挫(高 度な知能獲得に至らず) ニューラルネットワーク: 多層化によるパーセプトロンの復権→「局所解」の問題 を越えられず衰退→今の深層学習に繋がる 今の深層学習に繋がる →人工知能研究冬の時代へ→生成AI の成功!
  5. AI・データサイエンスセンター第6回イブニングセミナー 34 この画像には、室内の学習スペースあるいは会議室のよう な場所が写っています。以下の特徴が見られます:室内の 様子 テーブルと椅子:金属フレームの長方形テーブルが 複数並べられており、その周囲には赤い立方体のスツール (椅子)が配置されています。可動式のテーブルのよう で、配置を自由に変えられる構造です。床:カーペット敷 きになっており、落ち着いた雰囲気を出しています。壁と 照明:コンクリート打ちっぱなしの壁と、シンプルな照明

    が見えます。モダンなデザインの部屋です。人物と持ち物 画像奥には、黒い服を着た人物が1 人座っており、ノート PC で作業をしています。テーブルの上にはバッグやノー ト、筆記具などが置かれています。ホワイトボード 奥にホ ワイトボードがあり、うっすらと文字が書かれています。 上の行:「物理基礎 期末テスト」下の行:「本日スケ ジュール」と読めるため、授業か試験対策の場である可能 性が高いです GPT-5 による 画像要約
  6. AI・データサイエンスセンター第6回イブニングセミナー 36 $5900でとんぼ返り、逆立ち可能な2足歩行ロボットが発売 https://www.youtube.com/watch?v=v1Q4Su54iho (ものはつかめません!) 動画では、移動とカスタマイズを目的としたヒューマノイドロボット 「Unitree R1」が紹介されています。動画では、ロボットが屋外と屋 内のさまざまな環境で手立ちや側転などのアクロバティックな動作 を披露し、26の関節による機敏さと柔軟性を強調しています。ま

    た、軽量設計(約25kg)や、音声と画像に対応した大規模なマルチ モーダルモデルとの統合についても説明されています。最後に、ロ ボットのカスタマイズ可能性について触れ、さまざまな部品の色や デザインオプションを示し、最終的な出荷時の外観が変更される 可能性があると説明しています。動画は、ブランドロゴと、過酷なテ スト、機能の差異、安全ガイドライン、ヒューマノイドロボット開発の 初期段階に関する免責事項で締めくくられています。
  7. AI・データサイエンスセンター第6回イブニングセミナー 47 • 白いスクリーンに黒い文字が映る、というのも錯覚であ る。白いスクリーンに光を当てて黒くなるわけがない。 • 光が当たって「より明るくなった」部分に比べて相対的に 暗いので「ここは黒い色が塗ってあるので暗くなってい る」と脳が誤認しているだけである。 •

    我々の知能だって、不完全な外界認知をしているが「不完 全さ」の方向が違うので生成AI の粗が見えやすいだけ • そもそも網膜には2次元画像(平面)しか移らないのだか ら3次元(立体)空間を一意的に再現できるわけがない。
  8. AI・データサイエンスセンター第6回イブニングセミナー 48 生成AI の誤認 人間の錯視 • b の数を間違える • 赤い服の女性が2回出てくる

    ・影で色が変わって見える ・奥行きの大きさ誤認 ・白いスクリーンに黒い字 が見える 比較まとめ 👓 誤認=生成の過程での推測ミス/錯視=知覚の系統的偏り
  9. AI・データサイエンスセンター第6回イブニングセミナー 55 現実をリバースエンジニアリングして真実と違うものになって しまった例:古典力学 古典力学 F=ma と書いた時のF やa は量子力学には存在しない。量子力学 からF

    やa がある程度出せるのは確かだが完全ではない。 F: ポテンシャル力の場合はエーレンフェストの定理から近似的 に出せるがそれ以外は難しい a: ハイゼンベルグ表示を使えば定義はできるが、ポテンシャル 未知では計算できないので運動論的な加速度は存在しない。
  10. AI・データサイエンスセンター第6回イブニングセミナー 56 知能とは現実のシミュレーターだと いう立場に立てば、人間の脳と生成 AI は現実を異なった方法で認識して いるが同じようなアウトプットを出 すことができる別種のシミュレー ターと思えばいい。生成AI は知能を

    持っているか、という問いは往々に して「(人間と同じ)知能を持って いるか」という問いに無意識のうち に変換されているが、知能が人間の それと同じあり方で無くてはならな いとは限らない。 現実 解釈
  11. AI・データサイエンスセンター第6回イブニングセミナー 61 本講演は「知能とはなにか」という問いへ の学術的なレビューを欠いています。それを 話してもつまらないからです。そこの部分を 補うためにGemini 2.5 Pro Deep Research

    に 概要を調べてもらいました。 https://note.com/tagtag/n/n4cb64f2c9100 また10分の解説音声も作ってくれたので 本格的な知能研究の歴史の概観はこちらを どうぞ。 https://youtu.be/RwhNBcyQQ50