Upgrade to Pro
— share decks privately, control downloads, hide ads and more …
Speaker Deck
Features
Speaker Deck
PRO
Sign in
Sign up for free
Search
Search
初めてのデータ移行プロジェクトから得た学び
Search
momochi29
January 26, 2023
Technology
0
960
初めてのデータ移行プロジェクトから得た学び
2023/1/25 Hatena Engineer Seminar #23
https://hatena.connpass.com/event/271696/
momochi29
January 26, 2023
Tweet
Share
More Decks by momochi29
See All by momochi29
いかにして不足・不整合なくデータ移行したか
tjmtmmnk
1
1.3k
データのマスタが変わっても継続的に分析したい!
tjmtmmnk
1
230
Other Decks in Technology
See All in Technology
RaspberryPi CM4(CM5も)面白いぞ!
nonnoise
0
160
AIエージェント時代のエンジニアになろう #jawsug #jawsdays2025 / 20250301 Agentic AI Engineering
yoshidashingo
9
4.2k
職位にかかわらず全員がリーダーシップを発揮するチーム作り / Building a team where everyone can demonstrate leadership, regardless of position
madoxten
15
8.4k
Exadata Database Service on Cloud@Customer セキュリティ、ネットワーク、および管理について
oracle4engineer
PRO
2
1.6k
x86-64 Assembly Essentials
latte72
4
470
AI自体のOps 〜LLMアプリの運用、AWSサービスとOSSの使い分け〜
minorun365
PRO
9
1.1k
RayでPHPのデバッグをちょっと快適にする
muno92
PRO
0
200
"TEAM"を導入したら最高のエンジニア"Team"を実現できた / Deploying "TEAM" and Building the Best Engineering "Team"
yuj1osm
1
240
アジリティを高めるテストマネジメント #QiitaQualityForward
makky_tyuyan
1
400
[OpsJAWS Meetup33 AIOps] Amazon Bedrockガードレールで守る安全なAI運用
akiratameto
1
140
AWSアカウントのセキュリティ自動化、どこまで進める? 最適な設計と実践ポイント
yuobayashi
7
1.8k
生成AI×財務経理:PoCで挑むSlack AI Bot開発と現場巻き込みのリアル
pohdccoe
1
820
Featured
See All Featured
GitHub's CSS Performance
jonrohan
1030
460k
How To Stay Up To Date on Web Technology
chriscoyier
790
250k
The Language of Interfaces
destraynor
156
24k
Fantastic passwords and where to find them - at NoRuKo
philnash
51
3k
Designing on Purpose - Digital PM Summit 2013
jponch
117
7.1k
Code Review Best Practice
trishagee
67
18k
GraphQLの誤解/rethinking-graphql
sonatard
69
10k
Reflections from 52 weeks, 52 projects
jeffersonlam
348
20k
Into the Great Unknown - MozCon
thekraken
35
1.6k
KATA
mclloyd
29
14k
Evolution of real-time – Irina Nazarova, EuRuKo, 2024
irinanazarova
6
580
A designer walks into a library…
pauljervisheath
205
24k
Transcript
初めてのデータ移行 プロジェクトから得た学び id: momochi29 2023/1/25 Hatena Engineer Seminar #23 1
プロフィール • id: momochi29 • 所属: マンガメディア開発 • 職種: Webアプリケーション
エンジニア • 2022年4月入社 2
プロジェクト背景 • あるサービスが終了する • ユーザー情報と課金契約を移行する必要がある • 移行日はユーザーに告知済みで必達 3
特に難しかったポイント • 不確実性が高い • 自信を持って移行したい 4
不確実性が高い 5
不確実性を高める要因 • 何もかも初めて ◦ 課金、データ移行の知識/経験がない • 移行日はずらせない • 実現可能なのかわかっていない ◦
課金契約を移行した前例がない 6
不確実性を高める要因 • 何もかも初めて ◦ 課金、データ移行の知識/経験がない • 移行日はずらせない • 実現可能なのかわかっていない ◦
課金契約を移行した前例がない 7
不確実性を下げるには? • 何もかも初めて → 詳しい人と協力する? ◦ 課金、データ移行の知識/経験がない • 移行日はずらせない •
実現可能なのかわかっていない ◦ 課金契約を移行した前例がない 8
一人でやるのは難しそう 9 • エッジケースが多い ◦ ドメイン知識が強く要求される • 間に合わなさそう ◦ 見積もりをして消化具合を見る
▪ 例) バーンアップチャート
助けを求める 10 • 増員をお願いする ◦ エントリに現状を書いて増員をお願いした • ドメイン知識を持った人に聞く ◦ 壁打ちで高速に知識を得る
◦ 移行時の考慮漏れを減らす
不確実性を下げるには? • 何もかも初めて → 詳しい人と協力する? ◦ 課金、データ移行の知識/経験がない • 移行日はずらせない •
実現可能なのかわかっていない ◦ 課金契約を移行した前例がない 11
不確実性を下げるには? • 何もかも初めて → 詳しい人と協力する? ◦ 課金、データ移行の知識/経験がない • 移行日はずらせない →
本当にずらせない? • 実現可能なのかわかっていない ◦ 課金契約を移行した前例がない 12
移行に使える時間は限られている 13 • 移行に使える時間は多くない ◦ 移行完了の時間が決まっている • 移行だけをやればいいわけではない ◦ 何かしらミスが発生する
◦ リカバリの時間も必要 やることを最小にして確実に終わるスケジュールを組みたい
移行日にやることを最小化する 14 • かたまり毎に分割して移行する ◦ ユーザー情報移行フェーズ ◦ 課金契約移行フェーズ • 移行日に何を移行したいかを明確にする
◦ ユーザー情報の移行は移行日前でも可能とわかった • 移行日を調整する ◦ 関係者が多いのでコミュニケーション役が1人いると良い
不確実性を下げるには? • 何もかも初めて → 詳しい人と協力する? ◦ 課金、データ移行の知識/経験がない • 移行日はずらせない →
本当にずらせない? • 実現可能なのかわかっていない ◦ 課金契約を移行した前例がない 15
不確実性を下げるには? • 何もかも初めて → 詳しい人と協力する? ◦ 課金、データ移行の知識/経験がない • 移行日はずらせない →
本当にずらせない? • 実現可能なのかわかっていない → プロトタイプ作る? ◦ 課金契約を移行した前例がない 16
• まずは実現できそうかを 知りたい ◦ 実装したあとにダメとわか るのは悲しい • 不確実性の高いものから 取り組む ◦
不確実性が高い ≒ 難しい ので大変なのは事実 ◦ 実現できるかわからない不 安を解消する あとはやるだけにしたい 17 https://xtech.nikkei.com/it/article/COLUMN/20131001/508039/ より引用 不確実性コーン
プロトタイプを2回作る 18 • 1回目: 繋がりを確認して自分が納得するため ◦ 自分の中で実装のイメージを付けることが目的 ◦ どれだけ適当でも気にしないしテストも不要 •
2回目: ちゃんと考えてみんなが納得するため ◦ ソースコードレベルで議論することが目的 ◦ 本気で命名や処理を考えるけどテストはなくても良い 1回目で素早く実現可能性を検証し、2回目で品質の高い実装をする
不確実性を下げることができた • 何もかも初めて ◦ → 仲間を頼ってプロジェクト全体の不確実性を下げる • 移行日はずらせない ◦ →
移行日に移行するものを明確して移行時の不確実性を下げる • 実現可能なのかわかっていない ◦ → プロトタイプを作って実装時の不確実性を下げる 19
もっとうまくやるなら • もっと早く助けを求めるとより良かった ◦ 投機的に増員してもらうのがよかった ◦ 増員して早く終われば解散すればいいだけ 20
自信を持って移行したい 21
不安がつきない • 移行時に課金が発生するのでミスできない • 漏れなく全員移行できるかな • etc… 22
どうしたら自信を持てる? • 移行の状態を人間が管理しなくて良い • 何回実行しても壊れない • 本番環境で問題ないか事前に知りたい 23
どうしたら自信を持てる? • 移行の状態を人間が管理しなくて良い • 何回実行しても壊れない • 本番環境で問題ないか事前に知りたい 24
どうしたら自信を持てる? • 移行の状態を人間が管理しなくて良い → 状態を記録する? • 何回実行しても壊れない • 本番環境で問題ないか事前に知りたい 25
すべての状態を記録する必要性 • 成功か失敗かだけわかればいい? ◦ 例) 移行後に成功/失敗をファイルに出力する • リカバリが必要になったら? ◦ リカバリしたら失敗から成功に遷移する
◦ 数が増えれば増えるほど状態が複雑になる 26
移行用のテーブルを作る • 移行用のテーブルを作る ◦ 移行のために必要な情報 ◦ 移行フェーズごとで得た情報 ▪ 例) 課金契約移行が成功したら課金情報が得られる
◦ 移行ステータス ▪ 移行フェーズごとに成功/失敗が記録される ◦ エラーコード ▪ 例) 課金時にクレジットカードが不正でエラーになった • 追記専用で更新はしない ◦ 更新すると情報が失われる ◦ 操作した記録をすべて残す 27
どうしたら自信を持てる? • 移行の状態を人間が管理しなくて良い → 状態を記録する? • 何回実行しても壊れない • 本番環境で問題ないか事前に知りたい 28
どうしたら自信を持てる? • 移行の状態を人間が管理しなくて良い → 状態を記録する? • 何回実行しても壊れない → 冪等性を持たせる? •
本番環境で問題ないか事前に知りたい 29
冪等性を持たせる • 移行処理全体を冪等にする • 課金処理を冪等にする 30
移行処理全体を 冪等にする • ステートマシンを 実装 ◦ 処理ごとに成功/失敗の 状態を遷移 ◦ 処理対象の状態以外は
対象にならないことを 保証 31 ステートマシン
課金処理の事情 • 課金契約を外部 サービスと連携し ている ◦ 気を付けないと不整合 が発生する 32 外部サービスとの連携
課金処理を 冪等にする • どこでロールバック しても状態がずれな いようにする ◦ 処理の順番に気を付ける ◦ 2相コミットを利用する
33 2相コミット
どうしたら自信を持てる? • 移行の状態を人間が管理しなくて良い → 状態を記録する? • 何回実行しても壊れない → 冪等性を持たせる? •
本番環境で問題ないか事前に知りたい 34
どうしたら自信を持てる? • 移行の状態を人間が管理しなくて良い → 状態を記録する? • 何回実行しても壊れない → 冪等性を持たせる? •
本番環境で問題ないか事前に知りたい → 本番環境で確認する? 35
本番環境で事前に検証する • テスト用のアカウントを用意する ◦ 必要な分だけ用意する ▪ 同値分割、境界値分析の要領 • 移行にかかる時間を計測する ◦
当日の移行に必要な時間を見積もる ▪ 計測した結果を平均処理時間として並列数を考慮して見積もり 36
自信を持って移行できた • 移行の状態を人間が管理しなくて良い ◦ → 状態がすべて記録されているので漏れはないだろう • 何回実行しても壊れない ◦ →
移行できるものしか移行できないので安心して実行できる • 本番環境で問題ないか知りたい ◦ → 事前に本番環境で動いたので大丈夫だろう 37
もっとうまくやるなら • 移行用のテーブルに移行後も参照が必要な情報を持たせ てしまった ◦ 移行は完了したのに移行用のテーブルを削除できない ◦ TRY ▪ 移行後も参照が必要な情報は通常のテーブルに記録する
▪ 移行用のテーブルからデータを入れる 38
振り返り 39
振り返り • 仲間を頼ることも大事 ◦ 仲間じゃん ◦ 仲間を信じる ▪ 自分の仕事のスコープ外のことを考えすぎない ▪
自分のやること、考えることを減らす • 移行プロジェクトは大変 ◦ 最低3人は必要 ▪ 1. コミュニケーション役 ▪ 2. 主担当 ▪ 3. 相談役 40