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GISA2017_VGIAssesment

 GISA2017_VGIAssesment

* ボランタリーな地理空間情報の品質評価に関する一考察
* 山下潤, 岩崎亘典, 西村雄一郎, 瀬戸寿一

Toshikazu SETO

October 29, 2017
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Transcript

  1. 3 1.研究の背景と目的(2) n 社会的には、先進諸国ばかりでなく、国際機関で も公共機関以外の主体が作成した、ボランタリー な地理空間情報(Volunteered Geographic Information, VGI)を含むオープンデータの利活用 への期待が高まっている(Ubaldi、2013)

    n 公共の地図データが未整備な発展途上国では、そ の期待はなおさら高い Ø ただし、データの品質に関して課題がある n 地理空間情報に関しては後述するISO19157:2013
  2. n 本報告はボランタリーな地理空間情報 (Volunteered Geographic Information, VGI)の品質に焦点をあてる n VGIの特徴(Goodchild, 2007) n

    In “using the Web to create, assemble, and disseminate geographic information provided voluntarily by individuals” (p. 211) n “They are largely untrained“ (p. 212). n VGI “require(s) a fair degree of training and expertise“ (p. 218). n 公共機関や民間企業(測量・地図会社等)により 作成され、データの品質が保証されている公共 データとは性格が異なる 4 1.研究の背景と目的(3)
  3. 5 1.研究の背景と目的(4) Ø ではVGIではデータの品質が保証されているのだ ろうか? n VGIの品質を保証する際、以下の点が課題となる ①(そもそも論として)VGI作成者が、VGIの品質 を意識しているか。またVGI作成者が②どの品質 項目に関して、③どのようにVGIの品質を担保し

    ているか n 研究目的 Ø ①VGI作成者・利用者のVGIの品質に対する意識 について把握した上で,②公共データとVGIを比 較することで、どの品質項目が担保されているか を明らかにし,さらに③クラウドソーシングがVGI の品質保障の場となりうるかについて検討する
  4. 7 3.研究①:VGI作成者・利用者のVGI の品質に対する意識(1) n 地図ベースVGIの品質保証に関して、 ISO/TC211Starndardが使用されることが多い (Senaratne et al., 2017)

    n 地理空間情報の品質に関しては以下が対応(図 1) n 「品質原理(ISO 19113:2002)」 (最新版は「データ品質」(ISO 19157:2013)
  5. 8 3.研究①:VGI作成者・利用者のVGI の品質に対する意識(2) n 国内においては、ISO 19100シリーズの国内規格 であるJIS X7100シリーズと、地理情報標準プロ ファイル(JPGIS)2014)に準拠 n

    先述した「品質原理(最新 版はデータ品質(ISO 19157:2013)はJIS X 7157 にあたる n 品質は、表1で示される5 つのデータ品質要素と副 要素で記述される Ø 本研究では、これら5品質 要素に関する意識を問う 表1 データ品質要素・副要素 データ品質要素 データ品質副要素 1.完全性 過剰 漏れ 2.論理一貫性 概念一貫性 定義域一貫性 フォーマット一貫性 位相一貫性 3.位置正確度 絶対または外部正確度 相対または内部正確度 グリッドデータ 位置正確度 4.時間正確度 時間測定正確度 時間一貫性 時間妥当性 5.主題正確度 分類の正確性 非定量的属性の正確性 定量的属性の正確度 (6 Usability) (国土地理院(2005)をもとに作成)
  6. 図2 バッファーによる公共データとOSMの 比較例 (Haklay et al. (2010)による) 10 4.研究②VGI作成者がどの品質項目を 担保しようとしているか

    n 本研究では5つのデータ品質要素のうち位置正確 度に着目する。 表1 データ品質要素 1.完全性 2.論理一貫性 3.位置正確度 4.時間正確度 5.主題正確度 (国土地理院(2005)をもとに作成) n 方法:Haklay(2010)が 用いた方法と同様の手 法 n 参照データセットと、試 験データセットである VGIをバッファーにより 比較し、位置正確度を 明らかにする n 参照データ:基盤地図 情報 n 試験データ:オープンス トリートマップ(OSM)
  7. 11 5.研究VGI作成者がどのようにVGIの 品質を担保しているか n VGIの品質保証を担保する主体に関する3つのア プローチがある(Goodchild and Li、2012) ① クラウドソーシングアプローチ:ある個人の投稿者によ

    る誤りを集団で検証・訂正 ② 社会的アプローチ:VGIへの貢献という点で高く評価さ れ、信頼できる個人が、他の投稿者によるVGIのゲート キーパーの役割を果たし、VGIの品質を維持・制御 ③ 地理的アプローチ Ø 本研究では、クラウドソーシングによるOSMの品 質保証について検討する ←リーナスの法則:チェックする人が多ければ,すべ てのバグは解消される n OSMマッパーが多く関与しているか,もしくは,その編集 回数が多い地域のOSMほど,位置正確度が高い?
  8. 12 6.まとめ n 本研究では、VGI作成者・利用者のVGIの品質に 対する意識と、品質項目のうち位置正確度に関 する公共データとVGIの比較、ならびにクラウド ソーシングがVGIの品質保障の手段となりうるか について検討した n 今後の課題

    Ø VGIのデータ品質はISO 19157:2013(JIS X 7157、 地理情報標準プロファイル(JPGIS)2014)だけで 保証されるものなのか? Ø 公共データとのMixed-useを可能とするには、 VGIを含む地理空間情報の新たな評価項目・手 法が必要では?