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オープンサイエンスの視点から見た理科教育研究のあり方

Unzai Hiroshi
September 19, 2021

 オープンサイエンスの視点から見た理科教育研究のあり方

大会名:日本理科教育学会第71回全国大会(群馬大会)
開催日:2021年9月19日〜20日
発表日:2021年9月19日
場所:オンライン開催

Unzai Hiroshi

September 19, 2021
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Transcript

  1. 市民科学 ギャラクシーズー 2 • 2007年~2009年に天文学の研究者が始めた プロジェクト • 自動で撮影された銀河の画像の分類をボラン ティアにやってもらった •

    この調査によって1億5000万回以上の分類が なされた • ボランティアの業績から22編の科学論文が 生まれた (ニールセン,2013) 科学研究を市民と協働したことによって科学的発見が生まれた Galaxy ZooのWebページ( https://www.zooniverse.org/projects/zookeeper/galaxy-zoo/ )
  2. ちょっと暗い話 再現性の危機 4 •再現性:同じ手続をすれば同じ結果が現れること •他の科学者の実験結果を再現しようとして失敗したことがあるのは70%以上 自分自身の実験結果の再現に失敗した経験があるのは50%以上 (Baker,2016)n = 1,576 •教育のトップジャーナル100誌の過去5年間の掲載論文(164,589編)のうち

    追試をした論文は0.13%(221編)。このうち67.4%が追試に成功している。 ただし別の著者による追試だと成功したのは54%(Makel & Plucker, 2014)。 •なぜ再現性の危機が起こっているのか? ー問題のある研究実践(QRPs)が行われているから ーHARKing:データを見てから仮説を作ること ーp-hacking:有意差が現れるように意図的に p 値をいじること など 引用:Nature ダイジェスト(Vol. 13 No. 8, doi : 10.1038/ndigest.2016.160822)
  3. オープンアクセスと理科教育研究 12 •日本理科教育学会の刊行物のうちインターネットで閲覧可能なもの ー『理科の教育』: 0 / 830巻 ー『日本理科教育学会研究紀要』:0 / 約120編

    ー『理科教育学研究』:375 / 約700編(J-STAGEの絞込による数字なので,実際は違うかも) •オープンアクセスに向けて(お金やリソースの話は一端抜きにして) ー本学会の知見を広く社会に発信しているとは言えない状況にある ー発信力を高めることは社会的信用を得ることにもつながる ー著作権が切れたものについては,インターネット上に公開してもいいのでは?
  4. バッジを導入するとOD・OMが促進される 16 Kidwell et al. (2016) オ ー プ ン

    デ ー タ の 割 合 バッジの導入 Psychological Science はバッジを導入して,2015年上半期の論文の40%がOD・OMになった バッジの導入 オ ー プ ン マ テ リ ア ル の 割 合
  5. Open Science Framework (OSF) について 20 •無料でアカウントが作成可能 •主な機能 ープロジェクトの管理 ー事前登録

    ーデータ・ファイルの管理・公開 ーDOIの付与 ー匿名化して査読者に限定公開 など https://doi.org/10.17605/OSF.IO/YSTC4
  6. オープンコラボレーション 24 •オープンコラボレーションとは 職種,組織,分野,世代などを超えた集団による協働的な研究活動 (例.ギャラクシーズー,雷雲プロジェクトなど) •オープンコラボレーションにおける重要要素 ー人脈 :知り合いからの紹介だと安心する。もちろんインターネットで募集してもいい。 ー連絡のインフラ :メーリングリスト,Facebookグループ,Slackなど。使用のサポートも含めて。

    ー目的の共有 :何をしたいのか,何を目指すのか,目的を共有する(◯◯をテーマにした論文を書く,など)。 ー定期的なイベント:読書会,勉強会,雑談会など,コミットメントが持続できる企画を続けていく。 ー心理的安全性 :価値の多様性を尊重し,建設的な議論ができる文化・雰囲気を醸成する。
  7. 引用・参考文献 30 Baker, M. (2016). 1,500 scientists lift the lid

    on reproducibility. Nature News, 533(7604), 452. 長谷川龍樹, 多田奏恵, 米満文哉, 池田鮎美, 山田祐樹, 高橋康介, & 近藤洋史. (2021). 実証的研究の事前登録の現状と実践── OSF 事前登録チュートリアル──. 心理学研 究, 92-20217. Kidwell, M. C., Lazarević, L. B., Baranski, E., Hardwicke, T. E., Piechowski, S., Falkenberg, L. S., ... & Nosek, B. A. (2016). Badges to acknowledge open practices: A simple, low-cost, effective method for increasing transparency. PLoS biology, 14(5), e1002456. Makel, M. C., & Plucker, J. A. (2014). Facts are more important than novelty: Replication in the education sciences. Educational Researcher, 43(6), 304-316. 中村大輝, 原田勇希, 久坂哲也, 雲財寛, & 松浦拓也. (2021). 理科教育学における再現性の危機とその原因. 理科教育学研究, 62(1), 3-22. ニールセン,M,高橋洋訳(2013)『オープンサイエンス革命』紀伊國屋書店. 小野英理. (2019). オープンサイエンスの概説と展望. システム/制御/情報, 63(3), 101-106. UNESCO(2021). Draft text of the UNESCO Recommendation on Open Science, (https://unesdoc.unesco.org/ark:/48223/pf0000378381.locale=en )(2021/9/18閲覧)