数式識別子の文書内曖昧性解消は、自然言語中の 数式理解を実現する上で重要である。文書をまたいだ数式識別子の曖昧性解消については一定の進展が得られてきたが、文書内曖昧性は十分に研究されな いまま残されてきた。本研究では、どのような情報 が文書内曖昧性解消に必要であるのかを明らかにする。我々は文書内の位置データと数式識別子周辺の数式内ローカル構造が特に有効であると結論付けた。構築した多層パーセプトロンモデルは、人間アノテータに近い精度(一致率85%、カッパ値0.73)で文書内曖昧性解消を実現する。また、重要な情報種は対象文書の科学分野に依存しないことを確認 した。