Upgrade to Pro — share decks privately, control downloads, hide ads and more …

第1回病院経営データ分析入門セミナー/seminar1

 第1回病院経営データ分析入門セミナー/seminar1

2021年の4月15日・18日に実施した、
「第1回病院経営データ分析入門セミナー」にて使用した、
プレゼンテーション資料です。(一部追加・修正あり)

【資料タグ】
#地域医療、#分析デザイン、#将来予測
【固定タグ】
#病院経営、#病院原価計算、#データ分析、#プレゼン資料

小川 陽平

March 25, 2021
Tweet

More Decks by 小川 陽平

Other Decks in Education

Transcript

  1. 病院経営データ分析に必要なスキルを体系的に学べるセミナーです 理論 分析の考え方など 進め方に関する基本ルール 情報 分析に利用できるデータや その取得方法に関する知識 処理 取得したデータを 加工・集計するためのスキル

    周知 把握できた情報を 分かりやすく伝える技術 はじめに 病院経営データ分析入門セミナーとは 本日は、データ分析を進めるときの基本ルールについて これまでの経験を踏まえながらご説明させていただきます
  2. 1 データ分析が必要な理由 病院経営データ分析が必要な背景 目次 3 データ分析に必要なスキル 分析担当者に求められるスキル 4 分析前に決めておくこと 情報収集の段階で意識すべきこと

    5 分析を実施するプロセス 収集データを用いた分析の進め方 2 データ分析のパターン 経営データ分析の基本パターン 6 分析結果のとりまとめ 分析結果を報告する資料の作り方
  3. 1 データ分析が必要な理由 病院経営データ分析が必要な背景 目次 3 データ分析に必要なスキル 分析担当者に求められるスキル 4 分析前に決めておくこと 情報収集の段階で意識すべきこと

    5 分析を実施するプロセス 収集データを用いた分析の進め方 2 データ分析のパターン 経営データ分析の基本パターン 6 分析結果のとりまとめ 分析結果を報告する資料の作り方
  4. 増収施策の検討例③ その他(診療収益以外)の収入を上げる 例①個室を増やして室料差額を徴収する 例②テナントを誘致して施設収入を得る 増収施策の検討例② 患者単価(延べ患者単価)を高める 例①加算や管理料の算定率を上げる 例②新たに施設基準の届け出を行う 増収施策の検討例① 患者数(延べ患者数)を伸ばす

    例①挨拶周りによる紹介患者増加施策 例②応需率向上による救急患者の確保 2データ分析のパターン 経営データ分析の基本パターン① 分析パターン①増収施策を検討するケース…患者数・患者単価などを取得 病院における収入の多くは診療収益で構成されており 患者数を伸ばす・患者単価を高めることで増収に繋げられる
  5. 増益施策の検討例② 変動費(薬品費・材料費など)を下げる 例①価格交渉によって購入単価を下げる 例②ジェネリック薬への切り替えを行う 増益施策の検討例① 固定費(人件費・委託費など)を抑える 例①スタッフの退職時に補充を見送る 例②業者の変更により委託費を下げる 2データ分析のパターン 経営データ分析の基本パターン②

    分析パターン②増益施策を検討するケース…変動費・固定費などを取得 収入の総額が減少してしまったとしても 固定費・変動費の削減額がその金額を上回れば利益は増加する 増益施策の検討例③ 収入を増やすことにより 費用の対収益比を下げる
  6. 1 データ分析が必要な理由 病院経営データ分析が必要な背景 目次 3 データ分析に必要なスキル 分析担当者に求められるスキル 4 分析前に決めておくこと 情報収集の段階で意識すべきこと

    5 分析を実施するプロセス 収集データを用いた分析の進め方 2 データ分析のパターン 経営データ分析の基本パターン 6 分析結果のとりまとめ 分析結果を報告する資料の作り方
  7. レベル③ 依頼者の想定を超えるデータ分析 ↓ 診療科別の延べ患者数減少要因を報告 レベル① 依頼者の指示通りにデータ分析 ↓ 診療科別の延べ患者数を報告 依頼者からの指示が同じでも担当者のレベルに応じてアウトプットには差が出る 依頼者からの指示が同じでもアウトプットには差が出るため

    分析担当者が自ら分析のデザインができるようになる必要がある Q.病床稼働率が前年比を下回っているので診療科別の状況を報告して欲しい レベル② 依頼者の想定通りにデータ分析 ↓ 診療科別の延べ患者数増減を報告 3データ分析に必要なスキル 分析担当者に求められるスキル②
  8. ③分析後のプロセス ↓ 集めた情報を整理する ②分析中のプロセス ↓ 仮説と検証を繰り返す ①分析前のプロセス ↓ やることを明確にする データ分析のシナリオをデザインするためには分析プロセスの理解が不可欠

    データ分析のシナリオをデザインするためには アウトプットまでのプロセスに一貫性をもたせることが重要 ・分析の目的をできる限り具体的に理解する ・目的を達成するために必要な情報を整理する ・収集困難な情報を補うための仮説を検討する ・確認したい情報のうち上位の階層から分析を行う ・分析の過程で認識した情報をもとに仮説を立て直す ・妥当性が高いと感じた結論に対する反証を試みる ・結論としてどのようなことが言えるのかをまとめる ・報告する場面における相手の反応をイメージする ・最低限の情報で結論の妥当性を示す資料を作成する 分 析 準 備 か ら 資 料 作 成 ま で 一 気 通 貫 3データ分析に必要なスキル 分析担当者に求められるスキル③
  9. 1 データ分析が必要な理由 病院経営データ分析が必要な背景 目次 3 データ分析に必要なスキル 分析担当者に求められるスキル 4 分析前に決めておくこと 情報収集の段階で意識すべきこと

    5 分析を実施するプロセス 収集データを用いた分析の進め方 2 データ分析のパターン 経営データ分析の基本パターン 6 分析結果のとりまとめ 分析結果を報告する資料の作り方
  10. 5W1Hのフレームワークを利用して分析の前提条件を明確にする データ分析をデザインするためには 5W1Hのフレームワークを利用して前提条件を整理する 4分析前に決めておくこと 情報収集の段階で意識すべきこと① Why 何故分析するのか ↓ 目的の明確化 Whom

    誰からの要求か 誰に説明するのか ↓ 対象者の明確化 When いつまでに どのくらいの時間で ↓ 完了する期日 説明時間の明確化 What 何について調べるか ↓ 分析指標の明確化 Where どこで説明するか ↓ 報告手段の明確化 How 5Wを満たす手段 ↓ デザインの明確化
  11. 必要な情報を整理してどのようにデータ収集すれば良いかを確認する データ分析に必要な情報を整理するときは 分析範囲・単位・期間・指標などを細分化すると具体化しやすい 4分析前に決めておくこと 情報収集の段階で意識すべきこと② 全国 地方区分別 全期間 年度別 範囲の選択肢イメージ

    利益 診療収入 1日入院単価 入院診療収入 収入 その他収入 平均在院日数 入院患者数 費用 ・・・ 都道府県別 医療圏別 四半期別 月別 期間の選択肢イメージ 分析指標の選択肢イメージ 1入院単価 外来診療収入 ・・・ ・・・ ・・・ 病院全体 入外別 単位の選択肢イメージ 診療科別 患者別
  12. 1 データ分析が必要な理由 病院経営データ分析が必要な背景 目次 3 データ分析に必要なスキル 分析担当者に求められるスキル 4 分析前に決めておくこと 情報収集の段階で意識すべきこと

    5 分析を実施するプロセス 収集データを用いた分析の進め方 2 データ分析のパターン 経営データ分析の基本パターン 6 分析結果のとりまとめ 分析結果を報告する資料の作り方
  13. 分析したい指標の上位に位置する階層からドリルダウンを実施する 上位の階層から段階的に分析を行うことで なるべく少ない工数で重要なトレンドを掴むことを心掛ける 5分析を実施するプロセス 収集データを用いた分析の進め方① 分析範囲 パターン例 全国 都道府県別 医療圏別

    分析期間 パターン例 年度別 四半期別 月別 地方区分別 半期別 分析指標 パターン例 利益 収支科目 科目明細 収入・費用 細 か く な る ほ ど 情 報 量 が 増 加 す る 分析単位 パターン例 病院全体 診療科別 疾患別 入外別
  14. 1 データ分析が必要な理由 病院経営データ分析が必要な背景 目次 3 データ分析に必要なスキル 分析担当者に求められるスキル 4 分析前に決めておくこと 情報収集の段階で意識すべきこと

    5 分析を実施するプロセス 収集データを用いた分析の進め方 2 データ分析のパターン 経営データ分析の基本パターン 6 分析結果のとりまとめ 分析結果を報告する資料の作り方
  15. 分析結果をそのまま伝えるだけでは経営的な意思決定に繋がらない 時間をかけて分析した結果を伝えるときは 受け手がどのように解釈すれば良いか分からない表現は避ける 6分析結果のとりまとめ 分析結果を報告する資料の作り方① 入院受診延日数増加率予測 (福岡県) ①悲観的なシナリオを想定 2020年から2025年にかけて 病床利用率は83.6%(△16.4%)になる

    ※入院受療率の増減が過去最低レベルになると仮定 ②楽観的なシナリオを想定 2020年から2025年にかけて 病床利用率は103.7%(+3.7%)になる ※入院受療率の増減が過去最高レベルになると仮定 ③地域医療構想ガイドラインを想定 2020年から2025年にかけて 病床利用率は108.1%(+8.1%)になる ※入院受療率が2017年度実績のまま一定と仮定 結果として何が言いたいのか? 増える?減る?どっち?
  16. 分析結果をもとに具体的な取組に向けた議論が進むきっかけを作る 受け手に認識してもらいたい情報と これから取り組んで欲しいことを結果報告の場面で表現する 6分析結果のとりまとめ 分析結果を報告する資料の作り方③ 入院受診延日数増加率予測 ※循環器系疾患(福岡県) ①最小予測:悲観的なシナリオを想定 ※入院受療率の増減が過去最低レベルになると仮定 2020年から2025年にかけて

    病床利用率は67.7%(△32.3%)になる ②最大予測:楽観的なシナリオを想定 ※入院受療率の増減が過去最高レベルになると仮定 2020年から2025年にかけて 病床利用率は98.1%(△1.9%)になる →①・②のいずれも減少予測のため 地域全体の需要が下がることを前提に 病院としての施策を検討する必要がある 方向性①地域内のシェアを拡大する 方向性②地域で連携して戦略的縮小 その他、循環器疾患が減少することを許容しながら 他疾患を強化してカバーするなどの発想もあり得る