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「再現ケース」の必要性とその難しさ

 「再現ケース」の必要性とその難しさ

銀座Rails#23

Yasuo Honda

July 04, 2020
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Transcript

  1. • Rubyのどのcommitが現象を引き起こしたか特定する ◦ git bisect を利用 ◦ How to git

    bisect ruby/ruby repository 参照のこと • 現象が再現する手順を確立する ◦ minitest_bisect を利用する ◦ https://gist.github.com/yahonda/b67b19304d34fc1150a9db 79ee325bcc 参照のこと ◦ この時点ではRubyにとって”ミニマムな”再現手順ではない ◦ "ミニマム"の意味はリポジトリにより異なる Rubyの変更でRailsのCIが落ちたらやること
  2. • 考えられる選択は以下のいずれか • 現象が発生したRailsのissues ◦ Issues · rails/rails · GitHub

    • 現象を引き起こした(と報告時点では考えている) Rubyのissues ◦ Ruby Issue Tracking System 再現できたらどこにレポートするか
  3. • 現象のきっかけとなったレポジトリ ◦ いまはこうしています(bugs.ruby-lang.orgにまずレポート) • いいところ ◦ Ruby開発者にRubyの非互換性や問題を直接レポートできる ◦ 非互換性や問題はRuby開発者が意図している場合と意図していな

    い場合があることがわかる ◦ Rubyが直る場合とRailsが修正される場合がある ▪ 意図しているRubyの非互換性であれば、現象が発生したレポジ トリ(Rails)で修正を行うことになる 再現できたらどこにレポートするか(3)
  4. • よくないところ(難しいところ): ◦ ミニマムな再現ケースを作りにくい ◦ Ruby開発者にとってはRailsフレームワークのunit testはミニマム ではない ◦ Railsのunit

    testをplainなRubyでの再現ケースにするのは大変 ▪ 私自身ほとんどできていない • Note: 100%の再現性を特定できていない場合 ◦ 現象が発生したレポジトリで、再現性を高めるための情報を得ましょ う 再現できたらどこにレポートするか(4)
  5. • 最初はRailsにレポートした ◦ Action Text and Action View unit tests

    are failing with ruby 2.8.0dev · Issue #38613 · rails/rails ▪ NoMethodError: undefined method `runnables' for ActiveJob::Base:Class • 2日後にRubyにレポートした ◦ https://bugs.ruby-lang.org/issues/16669 Case 1
  6. • よかったこと ◦ Rubyが修正された ▪ https://github.com/ruby/ruby/commit/8119bcbf ▪ https://ruby-trunk-changes.hatenablog.com/entry/rub y_trunk_changes_20200423 に解説があります

    • “defined? で undef したメソッドも "method" になってし まっていた” ◦ あたらしいRubyのビルドのきっかけになった ▪ 後で話します Case 1 (2)
  7. • うまくいかなかったこと ◦ minitest の--seedを固定しても、テスト実行順が固定化されなかっ た(再現したりしなかったりする原因) ◦ RailsのParallel testingがAction ViewとAction

    Packで有効に なっているのに気づくのに時間がかかった ▪ Railsガイドを修正しました ▪ [skip ci] How to run Action View and Action Pack unit test in serial · Issue #38693 · rails/rails Case 1 (3)
  8. • 最初からRubyにレポートした ◦ https://bugs.ruby-lang.org/issues/16973 ▪ ActiveSupportのto_jsonのテストが落ちる • Railsのbug templateを参考にしたRubyスクリプトにした ◦

    Railsリポジトリをクローンしなくても再現できる ◦ https://github.com/rails/rails/blob/master/guides/bug_rep ort_templates/generic_master.rb ◦ gem "activesupport" - Plain Rubyスクリプトには遠い Case 2
  9. • よかったこと ◦ 意図通りで、3rd party issueとしてクローズされた ▪ https://github.com/ruby/ruby/commit/41582d5866 ▪ https://ruby-trunk-changes.hatenablog.com/entry/rub

    y_trunk_changes_20200619 に解説があります ◦ Ruby側の判断を受けて、Railsが修正されました ▪ https://github.com/rails/rails/pull/39697 Case 2 (2)
  10. • よかったこと ◦ 再現ケースを小さくしたり、print debugの結果を更新していたら、 Railsの該当コードレビューワーからコメントがもらえた ◦ http://blade.nagaokaut.ac.jp/cgi-bin/scat.rb/ruby/ruby-cor e/98900 •

    うまくいかなかったこと ◦ "Without Active Support"での再現ケースはつくれなかった ◦ それでも事象が解消されたことのほうが重要ではあります Case 2 (3)
  11. • https://bugs.ruby-lang.org/issues/16895 が報告され、debug build(-DRUBY_DEBUG=1)つきRuby 2.8.0devが利用可能になった ◦ GitHub Actions: ruby-debug ◦

    Docker Image: rubylang/ruby:master-debug-nightly-bionic • Railsでは下記のpull requestがopen ◦ https://github.com/rails/buildkite-config/pull/9 • Oracle enhanced adapterでは導入済み ◦ https://github.com/rsim/oracle-enhanced/pull/2015 最近追加されたRubyのビルド