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VUI Design概要

VUI Design概要

Yoichiro Tanaka

April 16, 2018
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Transcript

  1. VUI Design概要
    Yoichiro Tanaka (Google Developers Expert)

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  2. Yoichiro Tanaka
    Software Engineer / IT Architect
    Google Developers Expert (Web)
    twitter.com/yoichiro
    google.com/+YoichiroTanaka

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  3. 1. 会話が成立する前提
    2. 会話の流れと組み立て
    3. 会話サービスにおけるキャラクター設定
    4. おもてなしと信頼の作り方
    5. 会話としてやり取りする方法、原則
    6. 台本の書き方
    7. 試作、テスト

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  4. 1. 会話が成立する前提

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  5. 単なる雑談ではなく、適切な会話を組み立てて話し続けるのは、かなり難しいこと

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  6. 天気は?

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  7. 天気は?
    いつの?
    どこの?
    雨降るか聞きたいだけ?
    どこまで細かく知りたいの?

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  8. 会話には状況を示すコンテキストが必要
    意識していないけれど絶対に存在するコンテキスト
    上で会話している。
    コンテキストを全部「会話で」伝えることは難しい。
    話の流れ、話し相手のこと、今置かれている状況、
    必要とされている事項
    長時間覚えておくことでもない。

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  9. 大前提
    役目、目的を説明しておく。
    役目や目的を欲張らない。
    会話の理解、言葉の認識を前提にしない。失敗を前提にする。
    期待していない会話をするユーザもいる。

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  10. 2. 会話の流れと組み立て

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  11. 会話は様々な断片に分かれ、基本的にそれらが連続していたりいなかったり。つまり、整理が必要。

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  12. 会話の種別(Leszek Zawadzki氏提唱)
    Opening 会話のはじめ、きっかけ
    Extra 特別な会話、普段あまりない事象
    Skip 次の事象、次の会話へ、選択して次へ
    Core 核となる大切な会話、主たる内容の会話
    Chatter 雑談、会話を楽しむための会話
    Ending 会話を終えるための結び、失敗時の終了
    Help ヘルプ、手助け、質問

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  13. 1. 共通の土台を据えるためにチャンネルを開
    く。
    2. 約束する。
    3. 意味を組み立てる。
    4. 発展させる。
    5. 同意に集中する。
    6. 行動または交流する。
    会話の6つのステップ
    1. 話し手Aが話し手Bにメッセージを送る。
    2. BはAと会話することを約束する。
    3. AとBは一連の構造化されたアイディアと文
    脈を理解し合う。
    4. AまたはBが今回のインタラクションから物事
    を学習し獲得する。
    5. 上手くいけばAとBは同意に達する。上手くい
    かなければ状況の修復を試みる。
    6. 会話の結果として実用的なアクションがとら
    れるか、無意識の目標に達する。

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  14. 会話の流れと組み立てのテクニック
    答えを誘導する。
    はい、いいえ、わかりません
    答え方を誘導する。
    何時に起こしましょうか?
    うまく会話を終わらせる。
    失敗してうまくいかなったときも ...

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  15. 3. 会話サービスにおけるキャラクター設定

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  16. コンピュータを使っている、という感覚ではなく、誰かにお願いしている、という感覚に近い

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  17. 会話型インターフェースを設計する前に、会話の雰
    囲気について検討する。
    - 楽しいゲームを作成しているのであれば、少し変
    わった口調を使用したほうがよい。
    - ニュースリーダーを作成しているのであれば、堅
    実で改まった口調を使用したほうがよい。
    名前、性格、特徴、会話ポリシーなど
    ペルソナを作る

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  18. 独自のブランドとアイデンティティを反映する。
    リピーターになってもらう。
    一貫性を持つ。
    ペルソナを作る

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  19. 会話の距離感
    ちゃんと会話の距離感を計る。
    例えば7段階評価して、改善していく。
    親しすぎる ぞんざいすぎる

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  20. 4. おもてなしと信頼の作り方

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  21. おもてなしは、最初の印象が非常に重要

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  22. あなたが誰であるかを伝える。
    相手がわかることで安心する。
    適量の情報を伝える。
    多くの情報を与えて圧倒しない。
    短くて親しみやすい挨拶にする。
    上級者にとっても...
    会話の始まり

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  23. 会話を適切に終了する。
    ユーザがシンプルなフレーズで会話を終わ
    ることができるようにしておく。
    会話の終わり

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  24. 5. 会話としてやり取りする方法、原則

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  25. 文章とは違う「会話」
    相手のことを考える。
    タイミングを読む。
    先読みする。
    感情に寄り添う。
    マネジメントしてもコントロールしない。
    話の要点がわかりやすいように。
    余計なプレッシャーを与えない。
    上から目線ではいけない。
    ネガティブな言い回しにならない。

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  26. GUIですらわかりづらいことは、会話では絶対にわかってくれない

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  27. 会話は短く。相手の時間を尊重する。単刀直入に邪魔にならないように。
    相手を信頼する。ひとりひとりそれぞれの会話の仕方がある。
    無理矢理システム側が便利な機械的な言葉を話させようとしない。
    文脈、その時の状況、環境を意識して、関連する役立つことを話す。
    会話としてやり取りする方法、原則

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  28. 会話としてやり取りする方法、原則
    本来の目的から気をそらすことなく、会話として心地の良いやり取りを。
    初めて使う人を引き込み、引き込んだ人は離れないように。
    会話は交互に。一方的に質問するだけでなく、会話のキャッチボールを。
    勝手に想像して、口に出していないことを予想して決めつけない。

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  29. 自然な言い回し
    「会話」であって「コールセンターの自動応答」では
    ない。
    → 大事なことは、ユーザを信頼すること。
    ● ユーザに言って欲しいことを押しつけること
    で、圧倒的に不自然な会話になる。
    ● 単に「〜ですか?」と質問すれば良い。
    1イート0バイトです。"ヒント"と言うことで、いつでもヒ
    ントを得ることができます。
    ヒント
    1イート0バイトです。ヒントを聞きたいですか?
    はい

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  30. 自然な言い回し
    同じ返事でも複数パターン準備しておく。
    ● ユーザにはできるだけ機械的な会話に感じ
    させない。
    ● 現在は3パターン。多ければ多い方が良い。
    ● 現在は乱数で返事を選択。本当は同じ返事
    を連続しない工夫が必要。
    おめでとうございます!3イートです!もう一度遊びま
    すか?
    すばらしい!3イートです!もう一度遊びますか?
    やりましたね!3イートです!もう一度遊びますか?

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  31. バリエーションを予測し、エラーを防止する
    「3桁の数字を言ってください」に対して、ユーザが
    言うであろう2つの表現に対応する。
    ● "ひゃくにじゅうさん" → 123
    ● "いち に さん" → 1 2 3
    どちらも3桁の数字。
    1イート0バイトです。
    ひゃくにじゅうさん
    いち に さん
    1イート0バイトです。

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  32. わかりやすい指示を出し直すか、質問を変える
    何度も間違え続けることで、ユーザが諦めてしまう
    懸念がある。
    → 難しすぎて2度と遊んでくれない。
    1イート0バイトです。
    123
    456
    789
    1イート0バイトです。
    1イート0バイトです。

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  33. わかりやすい指示を出し直すか、質問を変える
    3回連続で間違えた場合は、ユーザにヒントを聞き
    たいかどうかを促す。
    ● 許可なしにヒントを言うことは避ける。
    ● 連続して間違えていることを気にかけてくれ
    ている、という印象を持たせる。
    ● 目的達成(= 正解を言い当てる)を助けること
    で成功体験をできるだけ経験してもらう。
    1イート0バイトです。ヒントを聞きたいですか?
    789
    3桁の数字の合計は、16です。
    はい

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  34. 6. 台本の書き方

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  35. VUI Designにおいて台本は非常に重要

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  36. 台本の書き方
    一息で話せる長さ。(声に出して読み上げる)
    自然なセリフ。(話しやすい雰囲気作り)
    ユーザ発話の方向付け。(質問を投げる)
    会話の目印を利用する。(「まず」、「それから」)
    変化をつける。(特にあいさつ系の言葉)

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  37. 台本の書き方
    言葉の統一。(動詞と名詞はいつも同じ言葉遣いを)
    過去の発話を覚えておく。(中断と再開)
    問題が発生した場合の対処。(特に丁寧に)
    文脈に沿ったヘルプの提供。(なるべく少なく)
    録音されたオーディオの利用。(時には音源やラジオ)

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  38. 台本の書き方
    音声サービスならではの価値を入れ込む。
    音声サービスには心理的障壁をさげる意味もある。
    人が応答できない時間帯でも、いつでも対応できる。
    気軽に聞いて、簡単に答えてくれる。
    文章ではなく、会話。
    人間は面倒すぎてやらないことを任せる。

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  39. 7. 試作、テスト

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  40. 試作、テスト
    何も作らなくても、会話そのものでテスト
    できる。
    ● 台本を使って相手をVUIアプリに
    見立てて実際に会話する。
    ● 足りなかった言葉の発見
    ● 言い回しの変更
    ● 欠けている情報の発見
    ● より適切な用語
    ● 言葉遣い

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  41. PDCAを回す
    最初から完璧は無理。早いタイミングで改善してい
    く。
    エラーの回避策をGUIアプリ以上に考慮する。
    エラーから抜け出せるようにする。
    どこで会話が終わってしまったかを知る。

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  42. 参考資料
    音声/会話インターフェースの UX(ユーザー体験)
    の勘所
    株式会社エクサ 安藤幸央
    https://www.slideshare.net/yukio.andoh/voice-u
    iux-design-guideline-87578500

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  43. Fin.

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