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ビジネスライティング講座
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Yoshiki Eguchi
April 16, 2020
Business
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12k
ビジネスライティング講座
ビジネスライティングのノウハウを解説したスライドです。
Yoshiki Eguchi
April 16, 2020
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Transcript
ビジネスライティング講座 April 2020 AWS事業本部 オペレーション部 江口佳記
この講座の目的と構成 目的: - ビジネスライティングにおいて、配慮すべき事項やTIPSを身につけていただく 構成: - 概念的な話(文章によるコミュニケーションの概要) - 具体的な話(分かりやすい文章を書くコツ) -
その他TIPS 2
About me 江口 佳記(よしき) - クラスメソッド AWS事業本部 オペレーション部 カスタマーサポートグループリーダー(※2020年4月より) - 2019年7月クラスメソッド入社
- 文学部卒の文系エンジニア(ただし史学科) - 社会人大学院で情報学の修士取得 - 著作: - Splunk Appのつくりかた(単著、2019年刊行) - みんなのAWS(クラメソメンバーとの共著、2020年4月17日発売) 3
最初に:概念的な話 4
文章とはコードである - 書き手は伝えたいことを文章というコードに込める(エンコード) - 読み手は書き手の文章を解読し意図を読み取る(デコード) 文章 エンコード デコード 書き手 読み手
5
読み手は「誤読」する - 読み手は文章を自身でデコードするので、必ずしも書き手の意図どおり解釈す るとは限らない - ビジネス文書においては、書き手は文章の意図が読み手になるべく誤読されな いよう注意を払う必要がある 6
コンテクスト - 意図を正しく伝えるには、書き手と読み手で「コンテクスト」をすり合わせることが 大事 - コンテクストとは、ある文章の意図を理解するのに必要な背景や前提のこと - コンテクストは一般に「文脈」と訳されるが、その文章に含まれない場合もあるので「背景」とか 「前提」と解釈したほうが理解しやすい -
コンテクストについて書き手と読み手でズレがあると、読み手は意図を正常に読 み取ることができない - 読み手に共有されているかが明確ではない情報はドキュメント内に含める 7
コンテクストを活用した例:100日後に死ぬワニ - 少し前に流行した「100日後に死ぬワニ」は、4コマ漫画部分 だけ単純に読むとただのつまらない日常漫画でしかない - 「このワニは100日後に死ぬ」というコンテクストが加わるこ とで、読み手はこの日常の描写が儚いものだと解釈するよ うになる 引用元:きくちゆうき氏 Twitter
https://twitter.com/yuukikikuchi/status/1205120078322159617 8
ハイコンテクスト - コンテクストが深く共有されていることを前提に、書いていない言外の意図を伝 えることをハイコンテクストという - 京都の都市伝説的言い回し「ぶぶ漬けでもどうどす?」は典型的な例 - ハイコンテクストな文章は通じ合っている相手同士であれば便利だが、コンテク ストを共有できていない相手には理解できない -
良く言えば「読み手を信頼している」 - 悪く言うと「自分が手を抜いて読み手に負担をかけている」 - 外部の人間とコミュニケーションする場合は特にハイコンテクストな文章は避け るべき 9
ここまでの一旦のまとめ - 文章はコードであり、読み手はそれをデコードして書き手の意図を解釈する - どう解釈するかは読み手に委ねられている(ので誤読する可能性がある) - 書き手と読み手でコンテクストにずれがあると、読み手は意図を正しく解釈でき ない - このため、コンテクストのすり合わせを念頭に入れたほうがよい
- ハイコンテクストはなるべく避ける 基本的には読み手が誤読をしないよう書き手が注意を払う それでも伝わらない場合もあるがそれは仕方ない 10
具体的な話 11
読みにくい文章 ビジネス文章というものにおいては、この文章のようにはてしなく長く一文で書くこと はあまり良いとはされておらず、読者にとってもよみにくいので、それを避けるために は、文章を適切な単位で区切るのが良く、加えて箇条書きなどを用いると、読み手も 理解しやすくなりますし、そうした工夫は、書き手が自身の考えを整理するにも役立 つのではないかと思います。 12
13
分かりやすい文章を書くコツ - 簡潔な文章にする - 構造化する - 言いたいことを最初に持ってくる - 必要に応じて前提や背景を書く(コンテクストのすり合わせ) -
事実と意見を分ける 14
簡潔な文章にする - 一文を長くせず、適切に区切る - 文を短くすることで、主語のねじれ(主語と述語が整合しない)を避けやすくなる - 長い言い回しを避ける - 「ビジネス文章というものにおいては〜」→「ビジネス文章では」で通じる -
「ですが」を多用している文章=前提・注記が多い文章 - 整理して前提・注記は分けて書く 15
構造化する - 文章を整理し、同じまとまりごとに分けて書く - 文章を分けるには以下を利用する - 見出し - 段落 -
箇条書き etc - 見出しや箇条書きでは、階層化を活用する - 階層化することで、文の関係性を表せる - 見出し:見出し1/見出し2・・・といった見出しを使い分け - 箇条書き:インデントによる階層化 16
構造化に関するTIPS - 段落や階層といった文章のまとまりの単位で話の粒度を合わせる - 粒度の大きい話:曖昧であったり、広い範囲を対象とした話題 (たとえば、組織としての戦略など) - 粒度の小さい話:細かい話 (たとえば作業内容など) -
粒度の異なる話が同じまとまりで混在すると混乱が生じやすい - 階層化する場合、最初の階層は粒度の大きい話、階層を下るにつれ粒度の小 さい話となっていくのがセオリー 17
言いたいことを最初に持ってくる - 質問文ならば質問、意見ならば意見の要約を最初に書くと分かりやすい - 文章が長いと後ろの文章を読み逃がす場合がある - 最初の文章はみんな読む - これとかけて、英語のスラングでは最初に書く文章の要約のことを「 TL;
DR(Too Long, Didn’t Read)」と言ったりする - 「長すぎるから読まない」人のために要約してやるよ的なニュアンス 18
前提や背景を書く - 共有できていなさそうな前提・背景を記載しておく - これによりコンテクストをすり合わせる - 文章内で「ですが」「〜であるものの」といった言葉で繋ぐことが多い場合、説明 すべき前提が多いということ - 文章を分離して前提を最初に書くことで分かりやすくなる
19
事実と推測を分ける - 推測や意見を事実と混同すると読み手が判断を誤る可能性があるため、これら は区別して記述する - 事実: - 証拠などにより確定している(検証できている)事項 - 意見と推測:
- 意見=検証できない個人の主観や考え - 推測=まだ検証できていない(事実と確認できていない)事項 - トラブルの報告の際は特に重要 - 起きた事象(事実):「 PCが壊れた」 - 推測される原因:「昨日見た Webサイトからウィルスに感染したかも」 →確かめるまではまだ事実ではない 20
その他TIPS 21
文章作成時のTIPS: 細かい注意点 - 用語や記法のルールの統一 - 用語は一貫して利用する - きちんとしたドキュメントであれば、用語集を作るとよい - いわゆる表記ゆれ(「ユーザ」と「ユーザー」など)も避ける
- 句読点のルールも統一する - たとえば、箇条書きで文末に句点をつけるかどうか - 「である調」「ですます調」の統一 - 字面の「白さ」を考慮する(=ひらがなと漢字のバランスを取る) - 漢字を使いすぎたり、逆にひらがなばかりだと字面のバランスが悪いので、適度に交える - 「良い」を「よい」と表記するなど - 日本語ならではの配慮だが、作文技術に関する名著「理科系の作文技術」でも紹介されている TIPS 22
文章作成時のTIPS:(2) 日本語の校正 - 細かい表記ゆれや基本的な文法チェックについては、ツールを使ってある程度 自動で行うことが可能 - たとえばVSCodeでは「テキスト校正くん」というツールなどを入れると文章の校 正をしてくれる - Webで校正できるサービスもある
- 日本語校正サポート 23
コミュニケーションに関するTIPS(1): 相手への質問 - 何を聞きたいかを明確にする - オープン・クエスチョン、クローズド・クエスチョンを意識する - オープン・クエスチョン:相手の回答に制限を設けない聞き方 - 「どう思います?」といった聞き方
- 自由に意見を貰える反面、相手が答えづらい場合もある (「何を答えればいいの?」と返されたりする) - クローズド・クエスチョン:選択肢を提示するなど、回答に制限を設ける聞き方 - 「AとBどちらがいいか?」「 YESかNOか?」など - 回答の幅を狭めてしまうが、相手は選べばよいので答えやすい 24
コミュニケーションに関するTIPS(2): 言いにくいことを書く - 筆者自身が苦手なのであんまりうまいアドバイスはない・・・ - あえて言うなら - 背景をきちんと書く - こちらからの言い分を相手が受け入れたときのメリットを明示する
- 可能であれば代案も併記する - 少しトピックが変わってしまうが、提案の場合「松竹梅」を使うテクニックが有名 (真ん中の竹を選ばせる) 25
メディアによる違い - 文章の書き方はメディアによっても異なってくる メディア テキストの長さ 読み手とのコミュニケーション その他の特徴 Confluence(*) 長い 難
(基本的に一方的な発信) 新人などに後から参照される可能性が高いので、 前提・背景などの記述を手厚く行う メール 中間 (あまり長い文章は避けた 方が良い) 中間 (相手から返信を受け取る。多く て1日に数回) 個別の顧客に送る場合は、読む対象は限られる のでコンテクストの共有が不要な場合もある (一斉送信の場合は必要) Slack 短い 簡単 (アクティブに相手とコミュニケー ションできる) 相手からの返信が早いので、ある程度コンテクスト が欠けていても補足が容易 *Confluence...Attlasian社の情報共有ツール。クラスメソッド社ではナレッジベースとして使用している 26
終 27