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Hideto Ishibashi
February 27, 2021
Design
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サイトについての断章
World IA Day Fukuoka 2021 をオンライン開催しました(石橋秀仁)
Hideto Ishibashi
February 27, 2021
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Transcript
サイトについての断章 石橋秀仁
情報アーキテクチャ information architecture
placemaking & sensemaking 場作り 意味付け
Ontology–Taxonomy–Choreography – Dan Klyn
Escaping Flatland - "The Spatial Turn" and Information Architecture by
Dan Klyn & Andrea Resmini (2019) Ontology–Topology–Choreography – Dan Klyn & Andrea Resmini
サイト 土地、場所 ウェブサイト 福岡 用地、現場 site website
ローカルなコミットメント
Twitter 橋爪勇介|美術手帖 @hashizume_y 2020年1月18日
日本の美術館サイト – 橋爪勇介
World IA Day Fukuoka 2020 – 大橋正司&石橋秀仁
World IA Day Fukuoka 2020 でワークショップを実施しました 来るべきユーザーのためのインクルーシブな美術館構想 @WIAD_Fukuoka
ローカルなコミットメント – アビー・コバート “そのチームで働いて一年が経ち、私は思い切ってその年に一度の会 議をやめようと提案書を書きました。私の心の中では、トレーニング予算 があり、私たちの集合的な旅の知恵を求めて遠くに広く旅をする能力の ある人たちのために作られた会議は十分にあったのです。私たちが必要 としていたのは、世界中の情報アーキテクチャへのローカルなコミットメン トでした。” World
IA Day Curious? by Abby Covert (2020)
運動や連帯のサイト – 北川フラム (1946-) “自分が社会とかかわれる場はどこかといえば、働いている場所、仕事で 関係している場所、もしくは住んでいる場所だろう。リアリティをもってか かわれる場所にしか実態はない。だから具体的な土地にかかわる以外 の運動や連帯はできないのが僕の基本だ。” 北川フラム『アートの地殻変動 大転換期、日本の「美術・文化・社会」』(2013)
具体的な連帯 – ユク・ホイ “そもそも抽象的な連帯が魅力的なのは、まさにそれが抽象的だからだ。 つまり具体的でいることとは違って、抽象的なものには土台も地域性もな い。だからどこにでも移送できるし、どこにでも落ち着くことができる。しか し抽象的な連帯とはグローバル化の産物であり、とうに終わりを迎えたは ずのものに向けられた大きな物語(あるいは形而上学)なのだ。” ユク・ホイ『百年の危機』(2020)
情報圏 – ユク・ホイ “情報圏という概念を拡張するふたつめの方法を言おう。それは、情報圏とは 国境を越えて拡大する具体的な連帯であると、つまり国民国家(および事実上 グローバル権力の傀儡となっている国際的な組織)という観点にもとづかない 免疫学だと考えることだ。具体的な連帯を生みだすには、技術多様性を実現 し、それによってべつの種類のあらたなテクノロジーを開発する必要がある。そ れはたとえばあらたなソーシャル・ネットワークや共同作業のためのツール、そ れからグローバルな共同作業の基盤を形成しうるような、デジタル技術にもとづ
く組織のインフラである。” ユク・ホイ『百年の危機』(2020)
福岡市 – 高島宗一郎 (1974-) “認知症は一例ですが、このように「福岡100」では、人生100年時代の課 題を乗り切るだけでなく、逆に課題をむしろチャンスにすべく、さまざまな チャレンジをしていきます。 福岡市は、たくさんの企業や有識者などと一緒に大きな絵を描いて進め ます。ひいては、日本がこの課題解決の手法をパッケージ化し、世界へ 羽ばたくビジネスチャンスにすることができればと考えています。”
高島宗一郎『福岡市を経営する』(2018)
古代の博多 “福岡県は日本列島の最南端に位置する九州の北部を占めている。九 州と本州とを結ぶ要であり、日本と中国大陸・朝鮮半島の接点に位置し ている。日本の歴史のなかで福岡県が重要な役割をになう要因の一つ はここにある。” “[弥生時代]の日本列島には、各地に同じような初期政権ができて競合 しはじめる。こうした情勢のもとで、金印奴国王はそれまでの楽浪郡との 交渉から一歩進め、漢帝国との直接交渉の道を開き、優位をかためよう としたのである。” 山川出版社『福岡県の歴史』(1997)
イノベーター – 高島宗一郎 (1974-) “私ではなく、36歳のキャスターだった私を市長に選んだ福岡市民のほう が相当イノベーティブなのです。” “ですから私は、その確信と市民の期待にしたがって、ビジネスにおいて も大企業とは真逆のスタートアップを主役に据えています。” 高島宗一郎『福岡市を経営する』(2018)
大企業 – 岡本豊 (1983-) “はじめは「バスをさがす 福岡」というアプリ名で、平成24(2012)年8月に作成、その年の11月にリリー スしました。西鉄さん非公式のアプリでしたが、西鉄さんの中でも「こんなアプリがあるらしい」とちょっと した話題になったようです。ただ、まだアプリは不完全で、ブラッシュアップする必要があった。そのた めに路線の情報提供をお願いできないかと思っていたけど、いかんせん西鉄さんは規模が大きく、歴 史もある大企業。どうアプローチすればいいかわかりません。そんな時に、福岡で知り合った印刷会社
の方がつないでくださって、なんと直接、ご相談に行くことができたんです。正直、「こんなアプリは認 められない!」なんて言われるんじゃないかとビクビクしながら担当の方に会いに行ったのですが、実 際に話をしたら西鉄さんもアプリを好意的にとらえていただけて、結果、西鉄の公式アプリとして「にし てつバスナビ」という名前で再リリースすることになりました。” 福岡発のアプリ「にしてつバスナビ」は“よそ者”視点が生んだ作品だった |#FUKUOKA (2015)
指定用地(サイト)
かり立て – マルティン・ハイデガー (1889-1976) “人間が今日、自分自身に、すなわち自分の本質に出会う場所など、じ つは、もうはやどこにもないのです。人間は、もうすっかり総かり立て体制 の言いなりになっているので、このことを何らかの要求として認知しては いませんし、自分自身が要求されている者だということを見逃していま す。” ハイデガー『技術とは何だろうか』(1954=2019)
指定用地 (site) – ミシェル・フーコー (1926-1984) “今日、「われわれは、空間が、さまざまな指定用地の連関というかたち でたちあらわれる時代に生きている」、とフーコーは結論づける。” エドワード・W・ソジャ『第三空間 ポストモダンの空間論的転回』(2005)
ユートピア – エドワード・W・ソジャ (1940-2015) “「実在の場所を持たない指定用地」であり、それは「……社会自体の完 成した姿であるかもしくは社会を反転させた姿であるが、そのいずれに せよ、基本的または本質的にいって非現実的空間」” エドワード・W・ソジャ『第三空間 ポストモダンの空間論的転回』(2005)
ヘテロトピア – ミシェル・フーコー (1926-1984) “恐らくあらゆる文化や文明の内部には、社会組織自体のなかにデザイ ンされた、現実に存在する場所でありながら一種の反=指定用地である ような場所がある。それは、現実化したユートピアというべきものであっ て、そこではその文化の内部にある他のすべての指定用地が表象される と同時に異議を申し立てられ、逆転させられる。そこは、具体的に位置を 限定されているにもかかわらず、すべての場所の外部にある。”
エドワード・W・ソジャ『第三空間 ポストモダンの空間論的転回』(2005) ミシェル・フーコー『他なる空間について』(1986)
アレフ – ホルヘ・ルイス・ボルヘス (1899-1986) “永遠の、時間に対する関係が、アレフの、空間に対する関係に相当す る。永遠の中には、あらゆる時間––過去、現在、未来––が同時に共存し ている。アレフ、つまり直径三センチメートルにも満たない、小さな光り輝 く球体の中には、宇宙空間の総体が見出されるのである。” エドワード・W・ソジャ『第三空間 ポストモダンの空間論的転回』(2005)
ボルヘス『アレフと他の物語1993-1969年』(1945)
EPCOT – ウォルト・ディズニー (1901-1966) Experimental Prototype Community of Tomorrow
3 Placemaking Lessons
From the Magic Kingdom by Jorge Arango (2017) ディズニーランドのトポロジー – ホルヘ・アランゴ
3 Placemaking Lessons
From the Magic Kingdom by Jorge Arango (2017) ディズニーランドのトポロジー – ホルヘ・アランゴ
空間と情報 – 磯崎新 (1931-) 磯崎:少なくとも今世紀に入ってからは、空間を扱うのが建築家だ、という定義が広がってきました。様 式概念に対して、空間概念をもちだすようになってきた。(…)それを「空間アーキテクト」とよぶとしま す。もし次があるならば、 こんどは「情報アーキテクト」、つまり情報そのものを建築の判断根拠にして いくということになるんじゃないか。(…)
浅田:あるいは、情報アーキテクチュアというものがもし成立したとして、それは空間的には支離滅裂な ものになる可能性もあるわけですよね。 磯崎:そこではもう評価基準として空間はないんです。情報があればいい。その処理の面白さが建築 的な感動を呼び起こすような状態を想像してみるといいでしょう。そうすると、そこでの美学は、また別 個の形で出てくるんじゃないか。 『Any: 建築と哲学をめぐるセッション 1991-2008』(2010)収録 Anyplace: 情報・空間・建築、磯崎新、柄谷行人、伊東豊雄、浅田彰 (1996)
場 – 野中郁次郎 (1935-) “場は知識創造の基盤であり、「知識が共有され創造され、活用される共 有された動的文脈」と定義される。” “場とは、この第三の段階[無心・無我の相互主観]であり、参加者の間 で自他の感性、感覚、感情が共有される相互主観が生成している状態 である。そこでは、個人は自己の思惑やりがいなどの自己中心的な考え から解放され、全人的に互いに向きあい受け容れあうことになる。”
野中郁次郎『流れを経営する―持続的イノベーション企業の動態理論』(2010)
サイトについての断章 石橋秀仁
付録
ステイホーム
歩くこと – レベッカ・ソルニット (1961-) “家という貝殻は自分を守ってくれもするが、監獄のようなものでもある。 親しみと継続性で人を包み込み、外部を消し去ってしまうのだ。街を歩く ことは社会参加の一形態になりえる。反乱やデモや革命でそうするよう に、みなでいっせいに歩けば、政治行動にだってなる。でも歩くことは、 夢想や主観性や想像力を働かせる手段でもある。いわば外界の刺激や 干渉と、内面から流れ出るイメージや欲望(そして恐怖)が演じるデュエッ
トのようなものだ。ときに思考は戸外での身体的な活動でもある。” レベッカ・ソルニット『説教したがる男たち』(2018)
ナイトライフ – レベッカ・ソルニット (1961-) “酒場の夕食に、真夜中の街路。都市生活で得られる自由は、アイデン ティティを定義するのではなく失うという、自由そのものにとって決定的な 要素を含んでいる。” レベッカ・ソルニット『説教したがる男たち』(2018)
建築 Architecture
建てること – マルティン・ハイデガー (1889-1976) “私たちは、住むことを能くするときにのみ、建てることができるのです。” ハイデガー『技術とは何だろうか』(1954=2019)
スティーヴン・ホール (1947-) “建築物は立地条件に拘束されている。そして敷地と建築物には、哲学 的で詩的なつながりがある気がしている。” BNN『the ARCHITECT says 建築家から学ぶ創造を磨く言葉たち』(2013)
ヨーン・ウツソン (1918-2008) “建築現場は建築家にとって非常に学びの多い場所だ。ローマのサンピ エトロ寺院についての本を何冊読むより、その工事現場で1時間過ごした ほうがよっぽど有意義だ。” BNN『the ARCHITECT says 建築家から学ぶ創造を磨く言葉たち』(2013)
距離 – マルティン・ハイデガー (1889-1976) “私たちが今--私たち全員が--ここに居ながらにして、ハイデルベ ルクの古い橋のことに思いを致すとき、かの場所に思いを馳せることは、 ここに居合わせている人たちのたんなる体験などではありません。むし ろ、いま名前の挙がった橋に思いを致すことがそれ自体で、その橋の場 所までの遠さを跨ぎ越しているのだということが、この思いを致すことの本 質には属するのです。私たちはここに居ながらにして、かの橋のもとにい
るのであり、べつに意識の中の表象内容のもとにいるのではありませ ん。” ハイデガー『技術とは何だろうか』(1954=2019)
メディアの空間的隠喩 – 東浩紀 (1971-) “[サイバースペース]の隠喩は、本来は「ひとりの人間」「ひとつの場所」 を二重化し解体するはずのメディアを、それ自体ひとつの「場所」として 描き出すことを可能にしてくれる。それゆえ、『ニューロマンサー』に満ち た情報/メディア系ガジェットは、不気味さを「祓」われ導入された装飾 品になっている。” “サイバースペースは、ポストモダンを捉えるための世界観のひとつとし
て構想されたのだ。” 東浩紀『サイバースペースはなぜそう呼ばれるのか+』(2011)
習慣は思考の母である – 國分功一郎 (1974-) “考えた結果、何かを得られてうれしい、楽しいということはあるかもしれ ないけれど、考えること自体は大変なことだし、とても「楽しい!」って目を キラキラさせて言えるようなことじゃない。習慣って、新しい刺激から身を 守るための盾のようなものかもしれません。この盾のおかげで、同じことを 繰り返しながら、考えずに生きていられる。でも、その盾を破壊しちゃうよ うなものがどうしても来るから、やはり考えてしまうわけですね。”
國分功一郎 監修『哲子の部屋 1 哲学って、考えるって何?』(2015)